著者
[蘆田伊人 編]
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
vol.第29巻, 1931
著者
服部 潤 赤羽根 良和 永田 敏貢 齊藤 正佳 栗林 純
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.130, 2012 (Released:2013-01-10)

【はじめに】 梨状筋症候群とは、坐骨神経をはじめとする末梢神経が骨盤出口部で梨状筋により絞扼や圧迫などの侵害刺激を受けることで、疼痛や痺れが惹起される病態である。また、障害される神経は、教科書的には坐骨神経とされているが、実際の臨床では後大腿皮神経や下殿神経の症状も呈することが多い。そのため、臨床症状が多様化ことも少なくない。今回、末梢神経障害を臨床症状から分類し、その割合について検討を行ったので報告する。【対象】 対象は、2012年1月から6月までに梨状筋症候群と診断された25例(男性8例、女性17例、右13肢、左11肢、左右1肢)である。平均年齢は54.3±19.7歳であり、発症から来院までの期間は平均52.7±66.0日であった。【方法】 末梢神経障害の識別方法について述べる。後大腿皮神経(第1-3仙骨神経)は、感覚枝のみを有する。そのため、臀部下部から大腿後面における神経領域内に疼痛及び感覚障害を認めた場合とした。総腓骨神経(第4腰神経-第2仙骨神経)と脛骨神経(第4腰神経-第3仙骨神経)は感覚枝と運動枝を有する。そのため、前者は、下腿外側から足背における疼痛及び感覚障害と長母趾伸筋の筋力低下を認めた場合とし、後者は、下腿後面から足底における疼痛および感覚障害と長母趾屈筋の筋力低下を認めた場合とした。上殿神経(第4腰神経-第1仙骨神経)と下殿神経(第5腰神経-第2仙骨神経)は運動枝のみを有する。前者は、中殿筋の筋力低下や萎縮を認めた場合とし、後者は、大臀筋の筋力低下や萎縮を認めた場合とした。 また、それぞれを単独例と合併例に分類した。【結果】 神経別に分類すると、総腓骨神経障害は22/25例(88.0%)、後大腿皮神経障害は21/25例(84.0%)と多く認められ、下殿神経障害は3/25例(12.0%)、上殿神経障害は2/25例(8.0%)となった。脛骨神経障害の症例は、0/25例(0%)であり、今回の検討では認めなかった。 症状別に分類すると、後大腿皮神経+総腓骨神経16/25例(64.0%)、後大腿皮神経+下殿神経1/25例(4.0%)、後大腿皮神経+総腓骨神経+上殿神経群1/25例(4.0%)、後大腿皮神経+総腓骨神経+下殿神経群1/25例(4.0%)、後大腿皮神経+総腓骨神経+上殿神経+下殿神経群が1/25例(4.0%)であった。単独例は、総腓骨神経3/25例(12.0%)、後大腿皮神経2/25例(8.0%)であった。【考察】 梨状筋症候群は、坐骨神経の障害とされているが、今回の調査では主に総腓骨神経と後大腿皮神経による障害を多く認める結果となった。また、少数ではあるが下殿神経と上殿神経障害も認められた。つまり、梨状筋症候群の病態把握や治療には、坐骨神経のみならず、他の末梢神経障害の合併も考慮した複合的な病態把握が重要と考えられる。
著者
石川 みどり 阿部 絹子 秋山 有佳 祓川 摩有 山縣 然太朗 山崎 嘉久
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.269-275, 2020 (Released:2020-05-01)
参考文献数
21

学童期の食の課題を見据えた幼児への食支援事業の事例から、継続的な支援に重要な事項を検討した。方法は、幼児への支援組織(保健センター・保育所等)と学童への支援組織(小学校等)の両者の協力で活動を実施する市区町村を抽出し、自治体の代表者(事業責任者または担当者)にインタビュー調査を実施した。発言内容の音声データを逐語化した後、質的研究手法を応用して分析した。その結果について、事業名、ねらい、対象、事業内容に整理した。その後、幼児期・学童期の両者ともに重要と考えられている指標を抽出した。その結果、7事業の事例を得た。子どもの野菜嫌い改善のための市民への調理教室、小学校入学後を考慮した幼児の給食体験、市が開発した食事の適量の教育、幼児健診に活用できる栄養相談票の開発等が見られた。重要な指標には、偏食の減少、食事の適量の理解、野菜摂取の増加、食事の栄養バランスの理解、朝食欠食の者の減少、食事を楽しむ者の増加が見られた。
著者
服部 四郎
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1950, no.15, pp.1-26,103, 1950

The writer of this article classifies linguistic forms as follows _??_ is definition of various forms is as the following:<BR>A form which is never uttered separately (by means of pauses) from other. form (s) is a bound form; all others are free forms. A free form which cannot be uttered alone is a clitic; all others are independent forms.<BR>It is sometimes difficult, however, to distinguish clitics bound forms, because clitics are. generally, although not always, uttered jointly with other form (s)<BR>The author explains first how to identify various fractions of utterances as the same form. Then he proposes three points..s the criteria to determine whether a form-is a clitic or a bound form.<BR>I) If the form in question can be co: ined freely with various independent forms, which belong to different classes because their functions and inflections are different, it, is a free form, i. e. a clitic.<BR>2) If other word (s) or phrase (s) can be inserted freely. between two forms united semantically, both of them are free forms Accordingly the form in question is-a. clitic.<BR>3) If two forms combined can change their order of combination, the two forms are free forms. The phonological structure of a form cannot be utilised as a criterion, because many clitics have similar structtres to those of bound forms. Of course we cannot depend upon the_meaning, too.<BR>It must be noticed, however, that clitics have such phonological&lsquo; structures as can be uttered separately from other forms, and they are very &lsquo;regular&rsquo; in relation to the words, with which they enter into close combinations. Ehglish &rsquo;-s of the possessive case is a bound form, because it has not such a phonological structure as can be uttered alone. The-e of Latin puellae is a bound form, because i t is not regular. Compare puerT, hostis, cornas, diei.
著者
大屋 隆章 財前 知典 小関 博久 田中 亮 多米 一矢 樋口 亜紀 星 唯奈 三浦 俊英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P3400, 2009

【目的】臨床場面において、肩甲骨下制位により肩関節に疼痛を訴える患者を体幹からアプローチすることで、良好な結果が得られることを多く経験する.これらの経験から、今回は腹斜筋群を促通し、肩甲骨脊椎間距離(以下、SSD)に着目し、肩甲骨の位置関係に変化がみられるか検証した.<BR><BR>【方法】対象は、本研究の趣旨を理解し同意が得られた肩関節に疾患を有さない健常男性12名とした.対象の平均年齢は23.5±2.8歳であった.測定は安静坐位での肩甲骨位置と外腹斜筋促通後の位置変化をみた.SSDは坐位にて、肩甲骨脊椎-肩甲骨上角及び下角を結ぶ線をメジャーにて測定した.腹斜筋群の促通方法は背臥位にて、臀部にred cord社製エアスタビライザーを置き、下肢体幹を軽度回旋させ促通し、腹斜筋群の求心性収縮を目的とした.促通の際、上部体幹・肩甲骨の動きが出ないこと、また体幹側面の第5・6肋骨周囲で腹斜筋群の収縮を確認しながら促通を行った.<BR><BR>【結果】上角におけるSSD差は、腹斜筋群促通前と促通後において12名中7名が内方へ位置移動がみられたが0.20±0.63cm、2群間での有意差は認められなかった(p>0.05).下角におけるSSD差は、促通前に比べ促通後では12名中全被検者において内方への位置移動がみられ0.58±0.38cm、2群間に有意差が認められた(p<0.05).<BR><BR>【考察】本研究の結果から体幹筋である腹斜筋群の収縮によって、肩甲骨下角の内方移動がみられた.外腹斜筋と前鋸筋は解剖学上第5肋骨から第8肋骨までで強固に筋連結しているため、前鋸筋による肩甲骨を胸郭へ引きつけ作用が起こったと考える.しかし今回促通されたと考える第4肋骨から第9肋骨に起始する前鋸筋線維は肩甲骨下角に集中して停止しており、作用としては肩甲骨上方回旋である.肩甲骨が内転、下方回旋するには前鋸筋でも上位にある第1・2肋骨に付着する線維の作用が必要である.肩甲骨内転、下方回旋は前鋸筋作用ではなく、他の筋連結作用により起こったものと考えられ、前鋸筋は菱形筋とも筋連結しているため菱形筋作用により今回の結果である肩甲骨内転、下方回旋が起こったものと考える.体幹、肩甲骨周囲では多数の筋連結作用があり、今後は筋電図などで筋を区別し、関与する筋の検証をする必要がある.
著者
藤田 佳希
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.855, pp.1-16, 2019-08
著者
松岡 篤 山北 聡綜 榊原 正幸 久田 健一郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.XXI-XXII, 1998 (Released:2010-12-14)
被引用文献数
1

秩父累帯の主要部は, ジュラ紀の付加体からなる. 付加体に含まれるチャートや石灰岩などの海洋性物質について, その堆積年代や含まれる化石の古生物地理学上の特徴を明らかにすることにより,秩父累帯の形成モデルに制約を与えることができる. また, 地質構造の特徴は, 付加体形成から現在にいたるまでのプロセスを反映している, 秩父累帯を構成する主要なユニットについて, 露頭のようすや山塊の表情を紹介する. 斗賀野ユニットと三宝山ユニットは南部秩父帯に, 柏木ユニット, 住居附ユニットおよび沢谷ユニットは北部秩父帯にそれぞれ属する.
著者
山北 昌毅 橋本 実 山田 毅
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.61-67, 2004-01-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
7 13

A snake robot is a typical example of robots with redundant degree of freedom. Using input-output linearization for only movement of the head of a robot, we can control the head speed as a desired one, but eventually the robot will come to a singular posture like a straight line. In order to overcome the problem, a control with dynamic manipulability was proposed. In this paper, we propose a control technique in which a physical index of horizontal constraint force is used, and a control law for head configuration. By using these, the winding pattern with which the robot can avoid the singular posture is generated automatically and head converges to the target.
著者
村上 真幸 仙石 新
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-12, 2007-03-25 (Released:2011-03-01)
参考文献数
21

This paper describes the background of, and the necessity for the transition of the Japanese national geodetic datum from Tokyo Datum to the geocentric geodetic datum (or world geodetic system). Historically, the shape and scale of an earth ellipsoid have become accurately determined with the development of artificial satellites and laser ranging technique, and the position of an earth ellipsoid relative to the earth has been accurately determined by space geodetic techniques such as VLBI, SLR and GPS. As a result, at the end of the twentieth cen tury, geocentric geodetic datums, ITRF and WGS 84, were established and many international organizations recommend adopting ITRF or WGS 84 as the standard datum. Recent prevail ing use of GPS in surveying and navigation reveals the difference between traditional datum and geocentric datum to users of maps and charts. To leave the difference as it is would make confusion and could cause an accident if one makes positioning by GPS based on geocentric datum while using maps/charts based on traditional datum. Transition of datum from traditional one to geocentric one appears inevitable. Two governmental organizations, the Geographical Survey Institute (GSI) and the Hydrographic and Oceanographic Department of Japan Coast Guard (JHOD) made much effort to realize a new Japanese geodetic datum basedon a geocentric datum and develop maps and charts (both paper-based and digital ones) referenced to the new datum. They also collaborated to have relevant laws (Survey Act and Law for Hydrographic Activities) to be amended which regulate the geodetic datum to be used in Japan. The amended laws became effective on April 1, 2002, and the datum change was propagated among Japan without serious troubles owing to extensive preparations.
著者
増田 一太 西野 雄大 野中 雄太 山村 拓由 河田 龍人 笠野 由布子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0208, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】梨状筋症候群(以下,PS)は,運動時や座位時に殿部痛を主体とする圧迫型神経障害である。PSの発症には,不良座位姿勢が危険因子であることや鑑別試験であるPaceテストは座位で実施するなど,PSと座位時痛の関係性は深い。若年者を対象とした先行研究においても,座位時の梨状筋偏平化要因は殿部脂肪厚と比較的強いの正の相関(r=0.7,p=0.02)を認め,座位に伴う梨状筋の偏平化の可能性が示された。しかし,脂肪組織のクッション機能が経年的に低下することが報告されているため,PSの好発年齢である中年者においても先行研究の結果が必ずしも当てはまるとは言い難い。そこで今回,PS例を殿部痛の有無により分類し。殿部痛の発生要因を統計学的に検討したので報告する。【方法】対象は2014年4月より2015年3月までの間に,PSと診断され運動療法を終了した50名を対象とした。その内,座位時殿部痛を有する群(以下,S群)は21名(59.5±14.3歳)と座位時殿部痛を有さない群(以下,N群)29名(67.3±11.9歳)とした。検討した項目は身長,体重,BMI,性差,殿部最大周径,殿部最大周径をASIS間距離で除し正規化した殿部係数,レントゲンより計測した腰仙椎アライメント,腰椎前後角度とした。これらの検討項目から判別分析を行うために,性差にはカイ二乗検定,その他の項目には対応のないt検定を実施し検討項目を選別した。選別した項目に対しステップワイズ法による判別分析を用いて疼痛要因を分析した。統計学的処理の有意水準は5%未満とした。【結果】検討項目の選別において,年齢,体重,BMI,仙骨傾斜角,殿部最大周径,殿部係数に有意な差(p<0.05)を認めた。これらの項目に対し判別分析を実施した結果,BMI,殿部係数,年齢が座位時殿部痛の発生を判別するのに重要な因子であった。【結論】深部軟部組織は長時間座位に伴いより圧迫を受けやすいことや長時間の筋の圧迫による筋内圧上昇により脈管系を妨げ組織壊死を生じさせる可能性を指摘する報告がある。これらより,深層に存在する梨状筋は,長時間座位に伴い圧迫ストレスを持続的に受けやすく,また脈管系の阻害に伴い攣縮が生じやすい環境が存在するため,座位時殿部痛が継続的に生じる可能性が高い。判別分析の結果より座位時殿部痛の発生要因は,BMI,殿部係数,年齢の順に座位時殿部痛の発生に強く関与していることが分かった。S群において,BMI,殿部係数の低値など殿部脂肪組織厚が薄い可能性を示す所見が得られた。これは先行研究の結果の殿部脂肪組織厚と梨状筋の偏平化率との関係性を支持する結果であると考えることができる。またN群に比較し高い年齢帯であることは,経年的に脂肪組織のクッション機能が低下する報告とも整合性が得られる結果となった。これらより殿部脂肪組織の薄さは,座位時殿部痛との関係が深く,治癒阻害因子となる可能性が示唆された。
著者
川尻 啓太 末吉 正尚 石山 信雄 太田 民久 福澤 加里部 中村 太士
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.133-148, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
34

積雪寒冷地の札幌市では路面凍結防止のために,塩化ナトリウムを主成分とする凍結防止剤が大量に散布されている.散布された塩類は除雪された雪とともに,雪堆積場へと集められ,春になると融けて近隣の河川に流れ込む可能性がある.しかしながら,雪堆積場からの融雪水中の塩類の含有量や河川水質,生物への影響はほとんど明らかになっておらず,その実態把握が求められている.本研究では,まず,札幌市内の 73 箇所の雪堆積場における人為由来の塩化ナトリウム含有量の推定をおこなった.次に,2015 年 2 月から 6 月にかけて雪堆積場 7 か所とその近隣河川を対象に,雪堆積場からの融雪水の水質ならびに雪堆積場からの融雪水が流入する上流部(コントロール区)と下流部(インパクト区)における河川水の水質調査,河川に生息する底生動物と付着藻類の定量調査を 2015 年 2 月から 6 月にかけて継続的に実施した.調査の結果,融雪初期において,雪堆積場からの融雪水中の Na+ 濃度と Cl- 濃度が河川水の 2~9 倍と極めて高くなる傾向が見られた.さらに同時期のインパクト区における Na+ および Cl- 濃度がコントロール区に比べて 1.56 ± 1.27 mg L-1,3.05 ± 2.74 mg L-1(平均値±標準偏差)上昇した.生物については底生動物の一部では雪堆積場の負の影響が認められ,トビケラ目の個体数と代表的な水生昆虫 3 目(カゲロウ目,カワゲラ目ならびにトビケラ目)の総個体数はコントロール区よりインパクト区で低い傾向が認められた.積雪寒冷地における河川生態系の保全のためには,融雪開始時期の河川水質の急激な変化を抑えることが重要であり,これにより底生動物への影響を回避することができるだろう.
著者
河西 秀哉
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.75-91, 2013-06

本稿が明らかにするのは、初期のうたごえ運動の活動実態である。うたごえ運動は、1948年に関鑑子(せきあきこ)によって、中央合唱団が結成されたことにより始まった。1953年に「第1回日本のうたごえ祭典」が開催され、その後、全国に急速に広まっていく。中央合唱団は共産党系の青年組織である日本共産青年同盟の音楽部門として結成されたことからもわかるように、共産党の影響を大きく受けていた。しかしうたごえ運動は共産党の影響下にあったわけではなく、社会の動向に大きく影響を受け、歌を通して平和を追求する運動を行っていた。これまで、うたごえ運動の研究はほとんど行われてこなかったが、近年になって急速になされるようになってきた。しかし、一次史料がほとんど検討されていないこと、初期の動向がほとんどわからないことなどの問題が残っている。そこで本稿は、中央合唱団の機関誌『うたごえ』の分析を通じて、1940年代後半から1950年代初頭にかけてのうたごえ運動の実態の解明を行った。その結果、①みんなで歌うという行為に活動の重点を置いていたこと、②平和を追求するような思想を持ち、そのような歌を歌っていたこと、③ロシア音楽や日本民謡を特にレパートリーとしていたこと、などが明らかになった。
著者
冨田 幸光
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.20-28, 1997
参考文献数
27
被引用文献数
2