著者
鈴木 花菜 岩田 吉生
出版者
愛知教育大学特別支援教育講座・福祉講座
雑誌
障害者教育・福祉学研究 (ISSN:18833101)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.37-45, 2021-03

聴覚障害児を育てる保護者にとって、早期からの教育機関による支援は必要不可欠である。庄司ら(2011)の研究では、人員不足や教育相談体制の未整備、人事異動による専門性維持の困難が乳幼児教育相談の課題となっていることが報告されている。また、これらの保護者支援の困難さについて、下司(2013)は難聴幼児通園施設に関する調査を行っているが、聾学校幼稚部における保護者支援の困難さや、保護者支援に対する具体的な対応がまとめられている論文は少ない。そこで、本研究では、全国の聾学校乳幼児教育相談担当者に調査を依頼し、保護者への具体的な支援方法、困難さ、担当教員の専門性、今後の課題について整理し、幼稚部の充実した保護者支援について検討することを目的とした。その結果、聾学校の幼稚部(教育相談担当を含む)の教員は、聴覚障害児を持つ保護者における心理的な不安や子育てに対する悩みを理解し、様々な支援を行っていることが明らかにされた。また、聾学校と医療機関の連携を進める努力を重ねていることがわかった。聾学校の幼稚部の教員は、幼少期の聴覚障害児に対する多様な指導・支援だけでなく、保護者に対しても多様な対応を取っていくことが課題とされる。
著者
森 忠洋
巻号頁・発行日
no.602, 1979
著者
稲吉 真子
出版者
北海道大学文学研究科
雑誌
研究論集 (ISSN:13470132)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.147-159, 2016-01-15

「も」の基本的な用法である「累加」とは,「同じカテゴリーに属するとい う判断(同一範疇判断)を示すこと」である。しかしながら,その用例を見 てみると,同一範疇の判断がつきにくい,もしくは同一範疇のものが文脈上 に存在しない場合も多くある。「も」の同一範疇を判断する基準としては,統 語的同一範疇判断と語用的同一範疇判断があり,その内どちらかが必要とな るが,語用的同一範疇判断についてはある種の推論を必要とすることが多い ため,統語的同一範疇判断と比較し,同一範疇判断がつきにくいと言える。 同一範疇判断がつきにくいか否かについては,類命題の有無が大きく関与し ており,それぞれの用例を類命題との関わりから考察する必要がある。 なお,類命題がないものに関しては,類命題以外にどのような同一性に基 づき「も」を使用しているのかについて,新たなる観点を導入して検討する 必要があるが,それについては,「世界知識」という観点を導入し,話し手の もつ「世界知識」に基づき発話がなされているタイプとして分類することが できる。 また,数量をとりたてる「も」についても,類命題がないタイプとして位 置づけることができるが,これについては,「まで」,「しか(ない)」,「は」, などの,他のとりたて詞との対応関係から,「も」の特徴を明らかにしていく。 以上のように,本稿では,「も」の基本的な用法とそれ以外の用法について, 統語論的観点から整理した上で,新たなる観点を取り入れつつ,語用論的観 点からの考察を試みる。
著者
寺島 俊穂
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4-5, pp.795-848, 2004-02-25

土倉莞爾教授還暦記念論文集
著者
斯波 義信
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.131-146, 1992-06-30
著者
高清水 奈央 安達 裕行 伊藤 誠人 高橋 勉 太田 翔三 新井 浩和 下田 勇樹 三浦 広志 佐藤 朗
出版者
秋田医学会
雑誌
秋田医学 = AKITA JOURNAL OF MADICINE (ISSN:03866106)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.51-55, 2017-06-30

Despite a negative result for syphilis in a maternal serological test in the first trimester, we experienced a case of congenital syphilis. The mother was a 23-year-old primipara who had been undergoing regular prenatal care since early pregnancy ; a serological syphilis test at 10 weeks of gestation was negative. She was admitted to our hospital with preterm labor, fever, liver dysfunction, and skin rash at 29 weeks of gestation. Her fetus had ascites and hepatomegaly, although the cause was unclear. The mother delivered a male infant by emergency C-section at 32 weeks of gestation due to concerns over fetal status. The neonate had severe persistent pulmonary hypertension. He also had epidermolysis, hepatomegaly, and thrombocytopenia. CRP value and serum IgM level were abnormally elevated. Considering the clinical findings, and the mother’s previous medical history, we checked the serological syphilis tests for both infant and mother. As both tests were positive, we made a diagnosis of congenital syphilis and commenced treatment with penicillin. Treatment was effective and the patient was discharged from the neonatal intensive care unit at 75 days of age ; developmental follow-up is ongoing. Our case shows that even if a syphilis test is negative during the first trimester, it is important to consider congenital syphilis in infants with suspicious clinical findings.
著者
高橋 美穂
出版者
金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習
雑誌
論文集 / 金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編] (ISSN:21886350)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.81-96, 2018-03-22

<概要>近年、テレビや携帯電話などをはじめ数多くの業界でコモディティ化が深刻になってきている。これに伴い、企業は価格や品質・サービスの他に、ブランディングによって差別化を図るようになった。ブランディングの方法は様々であり、本研究では企業の顔となるロゴマー クについて注目した。これまで激しい市場競争をしてきた大企業を対象に、各企業のロゴマー クの変遷をみることで、歴史的背景及び社会情勢との関係を調べていく。本研究では、日本企業のロゴマー クは、更新されるにつれて複雑なものからシンブルなものへとデフォルメ化されているのではないか、日本企業のロゴマー クは、1960 年代以降カラー テレビの普及した時期とともに、色彩が使われるようになったのではないか、という2つの仮説を立て、分析した。
著者
渡辺 美穂 釜井 隆男 増田 聡雅 古谷 信隆 米沢 智子 中西 公司 神原 常仁 辻井 俊彦 吉田 謙一郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.505-509, 2004-07

32歳男性.患者は約2年前に右精巣腫瘍(病理検査ではセミノーマと診断)により高位精巣摘除術を施行した病歴があり, 今回, 左側背部痛が出現したために受診となった.所見では左第10肋骨部背側に超鶏卵大, 弾性硬の腫瘤が触知され, CTでは左第10肋骨起始部に腫瘤を認めた.更にMRIのT1強調像では同肋骨は軟部腫瘍に置き換わるように断裂し, T2強調像では高信号の腫大した軟部組織を横突起間近まで認めた.これらより吸引細胞診でセミノーマと診断し, セミノーマの肋骨への血行性転移と考え, BEP療法を行い62.5%の腫瘍縮小率を得た.しかし残存を疑い, 末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法を加え, 左第10肋骨広範切除術を行なった結果, 現在も再発は認められていない
著者
石井 照久 大澤 佳奈 羽田 麻里子 ISHII Teruhisa OOSAWA Kana HADA Mariko
出版者
秋田大学教育文化学部
雑誌
秋田大学教育文化学部研究紀要 人文科学・社会科学自然科学 (ISSN:13485296)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.113-120, 2014-03-31

From Lake Hachiro in Akita Prefecture, one compound hydra, Cordylophora japonica, was reported in 1976 (Toriumi, 1976). On the other hand, Ishii has been seeing solitary hydras in Lake Hachiro since 1996, however, he had not investigated those hydras. In this report, two species of freshwater solitary hydras have been described. In this report, taxonomy of Hydras in Japan is based on the reports by Ito (1947a-d). Hydra magnipapillata and Hydra japonica collected from Lake Hachiro in 2011-2012 had been firstly reported of living in Akita Prefecture.
著者
石山 志央子 小林 央美 新谷 ますみ
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.31-36, 2016-10-14

学校において学級担任をはじめとする教職員により行われる健康観察は,日常的に子どもの健康状態を観察し,心身の健康問題を早期に発見して適切な対応を図り,学校における教育活動を円滑に進めるための重要な活動である。そこで,特に児童生徒と日常的に関わり教育活動を進める学級担任の行う健康観察に着目しその実態について質問紙調査を行った。結果,朝の健康観察は,小学校では98.8%,中学校では100.0%,高校では73.5% の割合で実施していた。校種別にみた朝の健康観察の主要な方法は,小学校では「健康状態申告方式」,中学校では「自己申告方式」,高校では「観察方式」であった。朝の健康観察は「体調不良を訴えた児童生徒の経過観察」に最も活かされていた。健康観察の機会の内,「朝の会」を小学校では特に大切にしていた。高校では,「清掃時」や「放課後」等も大切にしていた。朝の健康観察の方法は発達段階に応じて選択されており,その日一日の教育活動で行う健康観察に連動されるように活かされており,特に重点的に行う必要があることが示唆された。