著者
仲地 豊 金沢 徹文 康 純 岡崎 康司
出版者
埼玉医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題は性同一性障害(GID)当事者ゲノムの全遺伝子のうち、エクソン領域を対象とした全エクソーム解析による研究計画であった。しかし海外の研究グループから性同一性障害と関連が示唆されるエクソン領域以外の多型が報告された。当初予定していた全エクソーム解析ではエクソン領域近傍100bp程度の範囲までしか変異・多型を検出することができないため、手法を当初の計画から変更し全ゲノム解析に移行して再解析をする必要があった。予備解析でイントロン領域や遺伝子間領域にみられる反復配列多型の検出も全ゲノム解析で十分可能であったため、手法を変更して10例のGID当事者サンプルについて全ゲノム解析をおこなった。
著者
綿谷雪山田忠史編
出版者
新人物往来社
巻号頁・発行日
1969
著者
福岡 正夫 須田 伸一
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.701(155)-727(181), 2006-01

論説本稿ではまず, パレート最適性より弱い効率性規準として, グロスマンによる規準とジーナコプロス=ポレマルカキスによる規準の比較を行い, 資産市場モデルにおいては後者の規準が, 相対価格の変化によるspillover効果を含むという理由でより適切な「制約された効率性」規準であることを示す。そののち, 資産市場が不完備であるならば, ほとんどすべての経済において, 資産市場均衡がその意味での制約された効率性さえをも満たさないことを証明する。In this study, we first compare Grossman's criteria with Geanakoplos-Polemarchakis' criteria as efficiency criteria weaker than Pareto efficiency, indicating that in an asset market model, the latter criteria is a relatively proper "constrained efficiency" criteria for the reason that it considers spillover effects through relative price changes. We subsequently prove that if the asset market is incomplete, asset market equilibrium does not satisfy, even the constrained efficiency in that sense, in almost all economies..
著者
尾上 圭介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

漫才、落語の音声資料を収集して文字化し、これに既存の落語活字資料を加えて、その談話構造を分析した結果、次のような見解を得た。1.落語は、(1)演者による<素材紹介>行為と(2)演者による場全体の<共感形成>行為とが重層して成立するものであり、(1)と(2)の重層は<下げ>において集約的に見られるのみならず、落語のテクスト全体において見られる。2.漫才の談話論的構造も基本的にはこれと同じである。笑う対象としての<素材>は、ボケ側の発言内容や、そういう発言をすることによってそこに形成される一つの人間像、また二人の会話の進展そのものによって構成される。それを笑うべきことだとする場の<共感形成>は、ツッコミ側の発言によって実現される。3.場全体が笑うための<素材>を効率的に構成するために、漫才において長年にわたって練り上げられた会話の運びの型がいくつもあり、その中には(A)通常の日常会話の中にもあり得る運びのタイプと、(B)漫才を代表とするような笑いの話芸の中でしか現れないような運びのタイプとが認められる。4.大阪方言では、会話を笑いにもちこむための努力と工夫が通常の会話の中でも濃厚に為される傾向が強い。それは(B)タイプの会話が日常化していると言うこともできる。5.上記(4)のことの根底には笑いを求める大阪人の気質があるが、そのような言語行動上の顕著な傾向の背後には、大阪人の気持ちの動き方、発想様式、美意識にかかわる9個の特徴が指摘できる。
著者
沖田 瑞穂
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.83, pp.109-129, 2016

ヒンドゥー教の主神の一人シヴァと,日本のスサノヲ神には,八つの点で特徴的な類似が認められる。1.破壊と生殖:シヴァは時が来ると世界を破壊する破壊神であり,スサノヲはその行動によって世界を危機にさらす。他方,シヴァはリンガに表されるように生殖の神であり,スサノヲは豊穣の地下界と一体化して,豊穣神オホクニヌシに試練を課す。2.〈教示する神〉:シヴァはインドラの欲望を戒め,スサノヲはオホクニヌシを試練によって導き祝福を与える。3.悪魔退治と武器:シヴァは悪魔の三都を破壊し,英雄アルジュナに武器を授ける。スサノヲはヤマタノヲロチを退治し,それによって得た剣をアマテラスに献上する。4.荒ぶる神・罰・(宥め):英雄神であると同時に両神は荒ぶる神でもある。5.暴風神:シヴァの前身ルドラは暴風神,スサノヲも自然現象としては暴風雨。6.文化:シヴァは踊り,スサノヲは歌と関わり,世界のエネルギーを表す文化と関連する。7.女性的なものとの一体化:シヴァはシャクティとして妃と一体化し,スサノヲは冥府の主であることによって母神イザナミと一体化している。8.イニシエーションを授ける:シヴァはアルジュナに,スサノヲはオホクニヌシに。 このように多くの類似を有するが,両神の間に何らかの系統的関係は想定できず,自然現象としての暴風に基づく神格として,別個に形成された性質が偶然に一致したものと考えることができる。
著者
堀之内 秀仁 関根 郁夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.3064-3071, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
42

肺がんの罹患率,死亡率には人種,性別による違いがあることが古くから指摘され,能動喫煙や受動喫煙を中心とした環境要因がその差異の大きな要因となっていることが明らかにされてきた.一方,近年,宿主である患者側の要因や,がんの生物学的特徴についての研究が成果を挙げ,注目を集めている.分子標的薬であるゲフィチニブやエルロチニブの有効性には人種差や性差があり,その背景にはEGFRの遺伝子変異頻度の違いが存在することが明らかにされた.イリノテカンの代謝に関わるUGT1A1の遺伝子多型,フッ化ピリミジン系抗がん剤の代謝に関わるDPDの遺伝子多型が明らかにされ,それぞれ人種により頻度が異なることも示されている.これらの知見により,人種差や性差による治療効果,副作用の違いについて理解が深まるだけでなく,適切な対象者を選んだ治療や,副作用の頻度を抑えた治療が可能となり,肺がんの新たな治療戦略が生み出されている.
著者
丸野 俊一 高木 和子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.18-26, 1979-03-30
被引用文献数
6

本研究は,基本的な物語のシェマがどの年齢段階でどの程度できあがっているのか,また認知的枠組形成のための先行オーガナイザー情報が後続する物語の理解・記憶にどのような効果をもたらすのかを検討するために企画された。被験者は平均年齢6才2か月の保育園児42名と9才2か月の小学3年生42名である。刺激材料としては,33文からなり,7つの事象を含んでいる「ぐるんぱのようちえん」という短い物語が用いられた(TABLE1)。被験者は各年齢とも無作為に,順序提示群,ランダム提示群,統制群の3条件にふりわけられた。順序提示群とは,7つの事象を絵にしたものを先行オーガナイザー情報として物語の展開通りに被験者に提示される群である。ランダム群とは7つの絵画情報がランダムに提示される群であり,統制群とは,絵画情報が与えられない群である。 実験は3つの部分から成っている: (a)絵画的先行オーガナイザーによる枠組形成と物語の提示のセッション,(b)理解テストおよび事象の自由再生テストを含む直後テスト,(c)事象の自由再生のみを3目後に行う遅延テスト。(a)においては枠組形成後,"これから象さんの話をします。後でどんな話であったか私に話せるようによくおぼえて下さい」という教示のもとで物語が話された。主な結果は次のとおりである。 (1) 展開部,終末部および因果関係の叙述での6才児の得点は9才児の得点とほぼ同じであったが,9才児は6才児よりも開始部の理解がすぐれていた(FIG. 1)。 (2) 事象の初頭と新近性部位での再生率は中間部位の再生率よりも高いという系列位置の主効果が有意であった。さらに直後再生における初頭と新近性部位における再生率(それぞれ.97と.95)は,遅延再生における再生率(それぞれ.95と.93)と非常に類似していた(FIG. 2)。 (3) 9才児は6才児よりも事象の継続的順序性をよりよく再生した(TABLE4)。 (4) 直後テストにおける順序提示群での順序性把握の得点は,ランダム提示群や統制群よりも優れていたが,遅延テストでの3群間の成績には差異はみられなかった(FIG. 4)。
著者
宮下 啓三
出版者
慶應義塾大学独文学研究室
雑誌
研究年報 (ISSN:09174281)
巻号頁・発行日
no.23, pp.30-38, 2006-03

寄稿論文1. Wilhelm Tell im Fernen Osten2. Ein deutsches Hamlet-Stück auf Japanisch in Gotha
著者
Hikaru Sawada Tsuyoshi Iizuka Yukiyasu Tsutsumi Yukio Isozaki
出版者
GEOCHEMICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
GEOCHEMICAL JOURNAL (ISSN:00167002)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.171-179, 2019 (Released:2019-06-11)
参考文献数
64

To understand the timing and mode of crustal production and reworking in the Archean, we performed U-Pb and Hf isotopic analyses of detrital zircon grains from the ca. 2.3 Ga Murmac Bay Group in the Rae Craton, central Canada. The zircon U-Pb ages range from 3.9 to 2.3 Ga with a significant gap interval of 3.6–3.3 Ga, indicating that felsic magmatism has semi-continuously within the craton since the early Archean. The combined U-Pb and Hf isotopic data define three distinct Hf isotope-age arrays that share a similar slope equivalent to that of typical 176Lu/177Hf ratio of continental crust, and the slope intersects the mantle evolution curve at 2.9–2.6, 3.3–3.2, and 3.8–3.6 Ga. The secular trends in zircon Hf isotopes illustrate episodic crust formation from depleted mantle during the three periods with subsequent reworking of pre-existing crusts into younger granitoids. Furthermore, these results infer that granitoid crust was rarely reworked for more than 800 million years after its formation. This finding is well explained by assuming that the Archean Rae block has grown outward from the interior by adding new crusts through subduction-related magmatism and/or by secondary accretion of exotic arc crusts. In such a tectonic framework, younger crusts were likely utilized more preferentially in crustal melting during subduction-related magmatism. These observations suggest that plate subduction has operated already in the early Archean, as early as 3.6 Ga Eoarchean.
著者
工藤 美奈子 佐々木 麻有 嶋崎 日奈子 後藤 美奈子 桜井 毬衣 一場 理那 小泉 昌子 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.34, 2018

<b>目的</b> 消費者の食の簡便化ニーズの上昇や野菜価格の高騰を受け、カット野菜の需要が増加している。カット野菜が多く消費されると、芯や皮の未利用部分の量も増加する。カット野菜の原料としてはキャベツが最も多く用いられており、その歩留まりは約70%といわれている。そこで本研究では未利用部分であるキャベツの芯に焦点を当て、その特性を把握して活用方法を検討した。<br><b>方法</b> キャベツの芯を3部位(芯中心部、維管束、芯周辺葉)に分け、部位別重量割合、成分分析、官能評価を行った。芯の利用には独特のにおいが問題になる為、芯を部位別にして各部位のにおいをにおい識別装置(㈱島津製作所、FF-2A)で測った。これらの結果、芯を利用した「やわらかシャキシャキの鶏つくね」を調製し、未利用資源であるキャベツの芯が有効利用できるかを検討した。<br><b>結果</b> キャベツ全体に対する芯の重量割合は約10%で、芯の部位別重量割合は芯中心部16%、維管束16%、芯周辺葉68%であった。官能評価の結果、維管束部のにおいが有意に強かった。このにおいは芳香族系のにおいであると考えられた。調製した鶏つくねは、キャベツの芯を肉の重量の50%まで刻むかすり卸した状態で添加することができた。これにより、芯の約70%を活用することに成功した。食品ロスが削減でき、未利用部分の価値を高めることで食料資源が可能となった。そして、持続可能な社会環境の継続への一助となると考える。
著者
向井 由紀子 橋本 慶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.467-473, 1978-10-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
2

1) 被験者中60%をしめるA型の持ち方をする者は幼いころよりとくに母親に継続的な訓練をうけたようであった.2) 一定の作業を行った場合, 作業能率に及ぼす影響は持ち方の違いよりも, 個人の器用さや箸を使う熟練度のほうが大であった.3) 筋活動度は伝統的な持ち方の方が第一指 (母指) の活動が大きく現われた.他の持ち方を伝統的な持ち方に変えた場合よりも, 伝統的な持ち方を他の持ち方に変えたほうが筋活動度の増加は大であった.
著者
Kimito FURUTA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF APPLIED ENTOMOLOGY AND ZOOLOGY
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.313-324, 1977-12-25 (Released:2008-02-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

Hunting spiders Oxyopes selatus and O. bodius are common in young pine plantations.The number of 3rd-instar larvae of Lymantria dispar captured by a spider was affected by the hunger of predator and the number of prey, but not exceeded three in 10 days. In a pine plantation, one spider killed less than one 3rd-instar larvae of L. dispar. No aggregation to prey densities was observed. The number of spiders in pine plantations was seemingly determined through dispersal, predation by natural enemies and other factors, and it was not sufficiently large to cause high mortality in macrolepidopterous caterpillars. The role of the spiders in determing the density of the caterpillars was considered as follows. (1)Mortality caused by the predation was negligibly small and inversely density-dependent.(2) Though, when small number of caterpillars was there on a tree, it would be exterminated on the tree. (3) And as the result, the distribution pattern of the caterpillars seemed to become contagious. (4) The spiders, however, could not control the local occurrence of the caterpillars

2 0 0 0 OA 物質と記憶

著者
ベルクソン 著
出版者
星文館
巻号頁・発行日
1914
著者
張 沢良
巻号頁・発行日
2018-03

Supervisor:飯田 弘之