著者
辻 智佐子 辻 俊一 渡辺 昇一
出版者
城西大学経営学部
雑誌
城西大学経営紀要 (ISSN:18801536)
巻号頁・発行日
no.10, pp.77-103, 2014-03

本稿は,コミュニケーション手段の技術革新と選挙運動の高度化という観点から,第23回参議院議員通常選挙の候補者が展開したネット選挙運動や選挙をめぐるインターネット・コミュニケーションの動向のなかに,今後の政治参加に影響を与える要素を見出せるかについて考察した。まず,戦後日本の選挙制度の変遷を振り返り,そして2013年の公職選挙法改正のポイントを整理し,ついでアメリカにおけるネット選挙運動の事例から何が読み取れるのかについて先行研究に依拠しながら確認した上で,今回の選挙結果について分析を加えた。その結果,おもに次の4点を指摘した。一つに,ITマーケティング手法を選挙運動期間に導入することが得票に一定の効果をもたらす可能性があること,二つに,組織的な票獲得手段ではアプローチしにくい個人単位での投票行動を行うクラスターに対する選挙戦術として今後効果を上げ得ること,三つに,政党がITマーケティング手法を中長期的に活用してきた土壌に選挙運動期間において短期的にも活用するようになり,投票日に向けて票獲得を目指す選挙戦術の基本型が構築され始めた選挙であったこと,四つに,候補者のメッセージが有権者一人一人の興味関心などを引くことによって共感を形成し,中長期的な共感形成と短期的な共感形成の波を投票日に向けて最大化していくことが,今後政党や候補者がネット選挙戦術に期待する要素になること,である。 This paper examines, from the viewpoints of the technological innovation of the means of communication and the sophistication of election campaigns, whether it is possible for Internet election campaigns of some candidates for the 23rd Upper House Election and other forms of current internet communication to impact public political participation in the future. First, the paper reviews the history of changes in the election system of post-war Japan and outlines the key points of the current revision of the Public Office Election Law. Then, it introduces examples of Internet election campaigns in the United States and discusses their implications, referring to preceding studies. As the result of this review, the paper presents four important findings. (1)The introduction of the Internet marketing method used during the period of an election campaign can to some degree influence the number of votes obtained. (2)The Internet marketing method can engage individual voters who are difficult to approach through conventional organizational election campaign methods. (3)During the 23rd Upper House Election, political parties used the Internet marketing method in the short term, not just in the medium and long terms as they previously had; thereby, a new, basic form of election tactics to win votes began to be established. (4)In the future, political parties and candidates will expect their messages to draw attention from voters and be favorably shared by them, and will optimize the "waves" of the "feeling of being connected" between candidates and voters, both in short term, and the medium and long terms, in the days leading to the election.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1348, pp.132-135, 2006-07-03

小泉純一郎のこの言葉がメディアに初めて登場するのは、1979年9月にまでさかのぼる。3期目の当選がかかった第35回衆院選挙。神奈川新聞の候補者アンケートに対する回答に、小泉は後に政権のキャッチフレーズとなるこの文句を用いた。 行政改革——。27年前の選挙でも、今と同じ政治課題が主要な争点になっていた。
著者
本間 義孝 小山 明夫 バロリ・レオナルド
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.109-116, 2003-08-28
参考文献数
8

近年,無線通信端末のみで一時的に構成されるアドホックネットワークへの注目が高まっている.これまでにアドホックネットワークのルーティングプロトコルとして様々なものが提案されているが,その性能はネットワークの規模や移動度に左右される.既存プロトコルの一つであるZRP(Zone Routing Protocol)は他のプロトコルに比べて高い柔軟性を持ち,多くの状況に対応できるプロトコルであるが,無駄な制御パケットの送信によりネットワークへの負荷が増加し,その結果ネットワークの性能を低下させてしまう.本稿では,過去に探索したノードへのルート再探索の際に探索方向を限定してネットワークへの負荷を減らす事ができるSBZRP(Selective-Bordercasting Zone Routing Protocol)を提案し,ZRPと比較してネットワークの性能を向上させる事ができる事を示す.Recently, a lot of research is going on in ad-hoc networks and many routing protocols for ad-hoc networks are proposed. But, the performance of these protocols depends on the scale and the frequency of network movement. One of known routing protocols for ad-hoc networks is ZRP (Zone Routing Protocol). The performance of ZRP is better than other protocols. However in ZRP, many useless control packets are sent in the network, thus the load of network is increased resulting in a decrease of network performance. In this paper, we propose a SBZRP (Selective Bordercasting Zone Routing Protocol) in order to reduce the network load by limiting the number of sending control packets when searching for a new route. The performance evaluation via simulations shows that the proposed SBZRP has a good behavior and a better performance compared with ZRP.
著者
平川 秀治 南 典政 江崎 正
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会年次大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.163-167, 2006

IEC(International Electrotechnical Commission: 国際電気標準会議)のTC 100(Technical Committee No.100)で進めているAVマルチメディア機器のホームネットワーク関連技術の標準化についての報告。テレビ、ホームビデオサーバ、ロケーションフリーテレビなどホームネットワークの動向を紹介、DLNA, ECHONETなどTC 100におけるAVネットワークアプリケーションの標準化について述べる。ホームネットワーク関連の標準化に関わっている他の標準化機関、ITU-R、ITU-T、ISO/IEC JTC 1/SC 25と協調しつつ進めている。
著者
大隅 紀和
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要. A, 人文・社会 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.159-170, 1997-03

本稿は,現在の教育系学部教育の学生たちの一般的な傾向を検討して,学部教育方法の革新(ファカルティ・デベロプメント)を工夫する必要性を考察する。その観点から,筆者らが実施している教育実践基礎演習工の構成,概要,方法などについて紹介し,学生たちのグループ演習の導入を実施している状況について述べる。この演習は,十数回の連続するものであり,多メディアの利用やショート・レクチャーも活用しているが,学生の自学自習によるグループ演習を大幅に取り入れている点に特徴がある。これによって,学生たちは活発な活動を展開している。この演習には,いくつかの新しい課題はあるものの,一定の手応えを得ていることを報告する。As an introduction, this paper discusses the general tendency of undergraduate students and the faculty development special with reference to teaching method in the pre-service training programme. The author takes as an example a subject such as "Basic Teaching Practice I". In this subject, faculty staff strongly introduce several series of session of students' group practice. As a result, almost all students of this subject actually participate in the training practice topics and subjects.
著者
岩間 文男 広瀬 典子 中村 司 丸田 詮二朗
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1387-1389, 1971

渡り鳥の一種であるオオヨシキリを, 渡りの直後 (春) および渡りの直前 (秋) に捕獲して, 皮下部分と体内部分に分けて, エーテルで脂質を抽出し, 抽出物をアセトン可溶部と難溶部に分けた。可溶部をケン化し, 不ケン化物を抽出して, アルミナを用いるカラムクロマトグラフィーを行なって, 炭化水素とアルコ一ルに分離した。分離した各部分について, ガスクロマトグラフィー, 薄層クロマトグラフィー, 赤外吸収スペクトル測定, 諸特数測定などを行ない, 春と秋とについて脂質の変化を比較検討した。<BR>その結果春秋ともに脂肪酸の主成分は C<SUB>16</SUB>, C<SUB>18</SUB><SUP>1</SUP>であり, アルコールの主成分はC<SUB>10</SUB>, C<SUB>14</SUB>, C<SUB>15</SUB>, C<SUB>16</SUB>, C<SUB>17</SUB>, C<SUB>18</SUB>であることを明らかにした。またリン脂質としてレシチン, リゾレシチン, スフィゴメリン, ケファリンが, 糖脂質としてサッカローズ, ガラクトーズ, D(-)-リボース, L(+)-ラムノーズなどを構成成分とする糖脂質が存在することを認めた。さらに共役酸として, ジエン酸と少量のトリエン酸が含有されていることを明らかにした。
著者
古川 徳 高橋 強 山中 良忠
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.153-159, 1996-02-25
被引用文献数
1

パイェル板細胞と胸腺細胞および脾臓細胞との相互関係を明らかにするため,ケフィール粒から分離した菌体区分(KGM),多糖区分(KGP)およびタンパク質区分(KGPP)を添加してin vitroで培養したパイエル板細胞の培養上澄液(PPS)が胸腺細胞ならびに脾臓細胞のマイドジェン応答性に及ぼす影響を検討した.<br>正常C3H/HeJマウスから得た胸腺細胞の増殖は,KGMおよびKGPPを添加して培養した正常C57BL/6マウスならびにLewis担癌C57BL/6マウスのPPSの添加によっても影響されなかった.KGPを添加して培養したバイエル板細胞から得たPPSの添加は,胸腺細胞に対するフィトヘマグルチニンーP(PHA-P)のマイトジェン活性を高めた.この傾向は,正常C57BL/6マウスのPPSに比べてLewis担癌C57BL/6マウスのPPSで高い傾向を認めた.また,胸腺細胞に対するPHA-Pのマイトジェン活性は,KGPPを添加して培養したLewis担癌C57BL/6マウスのPPSの添加によっても促進された.しかしながら,これらのPPSの添加は,胸腺細胞に対するコンカナバリンA(Con A)およびリポポリサッカライド(LPS)のマイトジェン活性に影響しなかった.<br>正常C57BL/6マウスから得た脾臓細胞の増殖ならびにCon A, LPSおよびPHA-Pに対するマイトジェン応答は,KGM, KGPおよびKGPPを添加して培養した正常C57BL/6マウスPPSの添加によって影響されなかった.いっぽう,Lewis担癌C57BL/6マウスのパイェル板細胞にKGPおよびKGPPを添加して培養し,分離したPPSは,正常C57BL/6マウスから得た脾臓細胞の増殖と脾臓細胞に対するCon Aのマイトジェン活性を高めた.さらに,KGPを添加して培養したLewis担C57BL/6マウスのPPSは,脾臓細胞に対するLPSおよびPHA-Pのマイトジェン活性をも高めた.
著者
中村 レイモンド 田中 雅生
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF BENTHOLOGY
雑誌
日本ベントス学会誌 = Benthos research (ISSN:02894548)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.29-37, 1995-08-31

九州天草西岸において,潮間帯に棲息するカメノテ,Capitulum mitellaの集団内の個体を1年間にわたり追跡し,サイズと生存の有無を記録した. サイズの指標として峰板の先端と嘴板の先端の距離を測定した.成長曲線については,ロジスチック,ベルタランフィ,ゴンパーツ,指数の4つの曲線を使って適合度を検討したが,指数式が最も合いがよかった.指数式を使って検討を行ったが,成長は集団の内側の個体と外側の個体とで統計的な有意差はみられなかった.内外個体を込みにした指数式のパラメータの値a=1.2902,b=0.008843,t<SUB>0</SUB>=80.73であった.1年間の生存率をみると,内側と外側の個体で有意差はみられなかった.内外個体込みの生存率は0.804であった.
著者
小林 光夫 吉識 香代子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.249-261, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
1

PCCS(Practical Color Co-ordinate System)は, 色彩調和を考慮した表色系である.PCCSは, 色相, 明度, 彩度という三属性による色表現のほかに, 配色に有用な"トーン"の概念をもっている点に特色がある.しかし, PCCSのトーンと三属性値との対応は, いくつかのトーン代表色でしか与えられていないし, 他の表色系との関連も明確でない.また, PCCSの色票集の色票の数が少ない.これらの理由で, PCCS利用の範囲は狭められている.われわれは, PCCSの各トーン代表色におけるPCCS三属性値とマンセル三属性値の関係を分析したところ, PCCS-マンセル間の簡明な数学的関係を見出すことができた.また, この関係を利用し, 相互表色値変換のアルゴリズムを構成した.さらに, トーンを表わす色相に依らない座標系を, PCCS三属性値からの簡単な線形変換という形で, 構成することができた.この結果, 任意のマンセル表色値に対し, PCCS三属性値およびPCCSトーンを計算することが可能となり, PCCSの利用範囲の拡大が期待される.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.319, pp.35-38, 2016-05

1カ月ほど前に入所した70歳代半ばの男性が、早朝に転倒して骨折してしまった。同施設では、入所者が朝トイレに行くときにはブザーを鳴らして介助者を呼ぶことになっていた。しかし、この日は鳴らさずに1人でトイレに行こうとして転倒した。
著者
菅野 憲司 カンノ ケンジ KANNO Kenji
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.39, pp.139-149, 2010

千葉大学「人文研究」第39号第39号p.144について訂正(第40号に記載)(誤)小川さんが名古屋大学で助手をされていた時期に益川さんが大学院生で、「益川君にはよく指導しましたよ、…、→ (正)小川さんが、名古屋大学の博士(後期)課程1年の時、学部生だった益川氏らのクラスの英語のQuantum Mechanics(量子力学)の輪講セミナーで、Tutorを務めたり、数理物理だったかの演習で問題を出したりしたこともあったそうで、「益川君などは良く出来たから、何も指導しなくて良い、印象的な学生でした、