著者
平良 斗星
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.26-30, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)

沖縄県南城市で行われている「古写真トークイベント」という事業における、コミュニティアーカイブの活用事例紹介を紹介した。このイベントはエコミュージアム構想推進のために古写真を収集し、地域の歴史を住民と確認し記録してきた。古写真トークイベントの準備時の記録方法を紹介し、将来アーカイブをオープン化する場合、どのようなルールでデータベース化すべきかとの方向性を議論した。最後にコミュニティアーカイブの活用の可能性とヒントを提示した。
著者
宮本 聖二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.6-8, 2019-01-07 (Released:2019-02-18)
参考文献数
3

沖縄は独自の歴史と豊かな文化を持つ。一方で米軍基地の整理縮小が進まない上に普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡って県と国が対立するなど沖縄戦とその後の米国統治の影響が大きな社会課題として残っている。いま私たちには沖縄の歩んできた近現代史への正確な知識に基づいた眼差しが求められる。その時アーカイブが大きな役割を果たすはずだ。今回の特集では沖縄のアーカイブをテーマに、自治の歴史を刻んだ「琉球政府文書」のデジタルアーカイブ化、沖縄戦や占領下の沖縄をとらえた映像資料の公開と利活用、そしてメディアや個人が所蔵する映像や写真を利用して新たな“アーカイブコミュニティ”を生み出そうという取り組みについて報告する。
著者
上田 博唯 小林 亮博 佐竹 純二 近間 正樹 佐藤 淳 木戸出正継
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.87-97, 2006-01-15
被引用文献数
10

ユビキタス環境における対話型ロボットインタフェースの対話戦略を提案する.近い将来,ユビキタス環境は多種多様なホームサービスをユーザに提供すると期待されている.しかし,サービスの複雑化・多機能化にともない,用意されたすべてのサービスをユーザが把握することは困難となる.そこで,この課題を解決するために,ユーザの状況理解を補助し,サービス実行のきっかけとなるユーザ発話を誘導することができる,連想しりとり型対話戦略を提案する.この対話戦略は,ユーザが何気なく発話したキーワードをもとに関連する知識をしりとり的にユーザに提供することで,サービスのきっかけとなる発話をユーザから誘導する.ロボットは木構造で表現された知識を持ち,関連のあるキーワードを連想する.音声対話システムを試作し,対話のみを行う評価実験と実際にユビキタス型住宅での生活実験の中での評価実験を行った結果,連想しりとり型対話戦略の正当性を確認することができた.This paper presents a new dialog-strategy for an interactive robot interface in home network (so-called ubiquitous environment). In this environment the users can receive more intelligent services provided by many networked appliances. However it becomes more difficult for users to understand the whole services. In this paper we propose the associative shiritori dialog strategy. An interactive robot continuously tries to obtain a keyword that triggers the service through the shiritori like word game the conversation with the user. In this dialog-strategy, the interactive robot has the tree-structured knowledge that consists of keywords that are associated with the real world and services. Using this tree-structured knowledge, the robot chooses a matched keyword in the user's previous talked sentence. Then the robot construct the next utterance by using the tree-structured knowledge. By this mechanism, the robot can obtain the user's needs while the user feels that he/she has a natural conversation with the robot. We developed an interactive robot dialog system to evaluate our proposed strategy. Through the experiment, the robot showed its ability to obtain proper key words that trigger the meaningful services.
著者
越智 和弘
出版者
名古屋大学オープンコースウェア委員会
巻号頁・発行日
2010-05-31

<前期> 世界に類をみないまでに性的快楽を敵視し、その元凶を女性に押しつける禁欲のシステムを構築し得たことが、西欧文明がこれまで進歩し得た真の原因であることを理解したうえで起きる最大の疑問は、にもかかわらず西欧が性にたいしもっとも解放的な文化であるかに見えるのはなぜか、というものである。 この逆説に答えるべく、講義はまず、1960年代後半期に起きた性の解放運動に焦点を当てる。性の解放がどのようにして起き、それがいかなる結果をもたらしたのかを総括する中から、そこにもまた快楽を資本主義に奉仕する力に変換する巧妙な禁欲のメカニズムが確実に作用していた事実を、とりわけドイツを中心とした若者文化をたどるなかから明らかにする。 <後期> 西欧文明が古代ギリシア・ローマの直接的継承者であるという言説を、批判的に検証し直す作業が講義の最初の主題となる。今から1500年程前ヨーロッパ文明は、それまであった高度に発達した文化を、いちど徹底的に破壊し尽くす中から立ち上がった。その大混乱のあとに生まれた文化は、継承すべき文化と、切り捨てるべき文化とを明白に区別し、その分断のうえに築き上げられたのが今日ある西欧文明だといえる。 講義では、資本主義というグローバルな体制が、はるか中世以前に遡る時代から現代にいたるまで、女性的快楽を消去し尽くすという、西欧以外にはどこにも見られない価値観によって展開してきたことを明らかにする。
著者
皆川 晶
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学紀要 = Bulletin of Sojo University (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.109-123, 2015

大学生が父親や母親に対してどのような呼称をしているのかを、アンケート調査した。直接呼びかけるとき、友人に親のことを話すとき、目上の人に親のことを話すとき、楽しいとき、怒っているときなど、さまざまな場面を設定し、場面によって親への呼称に変化はあるのか、また、その選択基準について調査し考察した。親に対する呼称は、話す相手や場面によって使い分けをしていることがわかった。また、特に怒っている場面では、女子学生の父親、母親に対する呼び方に、通常とは違いがみられた。よって、大学生は親への呼称はいつも同じではなく、場面や話す相手によって使い分けをしていることがわかった。
著者
八木橋 勉 齋藤 智之 前原 紀敏 野口 麻穂子
出版者
東北森林科学会
雑誌
東北森林科学会誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.63-65, 2014

従来,カブトムシ(<i>Trypoxylus dichotomus septentrionalis</i>)が自ら樹皮を傷つけて樹液を得るという報告はなかったが,近年シマトネリコ(<i>Fraxinus griffithii</i>)の樹皮を傷つけて樹液をなめる例が報告された。しかし,シマトネリコは庭木や公園樹として導入された樹木で,本来の分布域は亜熱帯から熱帯であり,カブトムシの分布域とは重なっていない。そのため,この行動がカブトムシ本来のものであるのか不確実であった。本研究では,岩手県滝沢市において,在来種であるトネリコ(<i>Fraxinus japonica</i>)に,野生のカブトムシが傷をつけて樹液をなめる行動を観察した。これにより,この行動がカブトムシの分布域に存在する在来の樹種に対しても行われる,カブトムシ本来の行動であることが明らかになった。
著者
新井 敏康
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.322-337, 1988-11-14 (Released:2008-12-25)
参考文献数
118
被引用文献数
1
著者
田中 耕一
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイオビジネス (ISSN:13464426)
巻号頁・発行日
no.19, pp.55-60, 2002-12

受賞が決まったという知らせを聞いた瞬間に思ったのは、「なんで私が」ということです。受賞の対象となった研究は5人のチームで行ったものです。私だけもらっていいのだろうかと、気にもなりました。 でもそれから2週間たって、少しは気持ちも変わってきました。というのは、日本や韓国のみなさんが喜んでいるという話を多く耳にしたからです。
著者
渡久山 幸功 とくやま ゆきのり Tokuyama Yukinori 沖縄キリスト教学院大学非常勤講師 英米文学
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 = Okinawa Christian University Review (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.15, pp.41-55, 2018-03-16

Two American authors, Vern Sneider and E. A. Cooper, wrote fictional stories set on Okinawa during the US military occupation period(1945-1972). Sneider wrote The Teahouse of the August Moon(1951)and The King from Ashtabula(1960), Cooper B.C. Street(2007 and 2015). Their approaches to dealing with Okinawan subjects are rather different from each other from a technical point of view: the former created fanciful narratives by employing Okinawan elements he reinforced to describe"what might happen"for Okinawans(Asians)if the US military government listened to the locals while the latter depicted the Okinawan society as realistically as possible in order to reveal what actually happened in Okinawa in the early 1960s. On the other hand, it is also true that the both authors shared the notion of criticizing the US military administration on Okinawa and both shared a similar message that the US should stop imposing American values on Okinawans and abusing Okinawan society and its people by the military logic. Their sympathy toward the Okinawans they actually met in person while stationed in Okinawa motivated them to write the Okinawan stories, and the essential messages in their novels are still effective and useful for US readers. Therefore, these "contact zone" stories are worth reading especially if Americans are eager to understand why Okinawans strongly oppose the US bases and to develop a much closer relationship between the US and Okinawa as long as the US military presence is necessary for regional security around the East Asia.米軍政府占領下時代(1945-1972)の沖縄を舞台した小説をヴァーン・スナイダー(Vern Sneider)とE. A. クーパー(E. A. Cooper)が出版しているが、両者の物語のアプローチの仕方は対称的なほどに異なっている。スナイダーは、The Teahouse of the August Moon(1951)とThe King from Ashtabula(1960)において、米軍統治下ではありえないような非現実的、空想的なストーリー展開を採用し、一方でクーパーは、B.C. Street(2007/2015)の中で1960年代前半の米軍基地周辺の沖縄社会をジャーナリズム的な写実的描写の手法を取り入れている。しかし、より重要なことは、彼らの物語には、在沖米軍政府への批判・風刺という観点を共有しているという事実である。沖縄滞在中に実際に出会った沖縄人への共感・共鳴が、沖縄を舞台にした小説を書かせる動機となっているが、アメリカの価値観の押しつけや軍隊の論理で沖縄社会や 沖縄の人々を乱用することアメリカ軍政府をアメリカ人の立場から批判している。米軍が東アジアの安全保障のために沖 縄駐留を継続することが必要であるというのであれば、アメリカ人が、なぜ沖縄の反米軍基地運動が激しいのかを理解す ること、及び、アメリカと沖縄の友好的で緊密な関係を築くこと、は必要不可欠であり、これらの「コンタクト・ゾーン」沖縄ストーリーは、被植民者(他者)と彼らの異文化を理解するための本質的なメッセージを内包している。
著者
石川 重遠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1-8, 1997
参考文献数
34

19世紀初頭のロンドンで誕生した書体「ファット・フェイス」の形態の成立について次のように考察し、まとめた。(1)端物印刷媒体の興隆により、ディスプレイ・タイプとしてファット・フェイス・ジョビング・レターの使用が活発化した。これらの活字書体がより大きく、より太く、目立つ書体として形成されたものがファット・フェイスの基本となった。(2)18世紀には書籍用活字鋳造界のモダンな活字書体の継続的開発が活発に行われた。それらの書体の形態構成要素がファット・フェイス・ジョビング・レターに取り入れられたことは、さらに、ファット・フェイスヘと発展するための重要な形成要素となった。(3)ファット・フェイスは、当初、トランジショナル・ローマン系とモダン・ローマン系の書体があったが、モダン・ローマンの形態を強く受け継いだファット・フェイスがその典型として確立された。