著者
新田 裕史
出版者
科学技術政策研究所 科学技術動向研究センター
雑誌
科学技術動向 (ISSN:13493663)
巻号頁・発行日
no.059, pp.11-18, 2006-02-01 (Released:2013-06-12)
著者
堀之内 末治
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

グラム陽性細菌である放線菌は、菌糸状に生育して最終的には珠玉状胞子を着生する複雑な形態分化を行う。放線菌中に見出されたカルシウム結合タンパク質CabAは、遺伝子破壊などのデータからカルシウムバッファーまたはトランスポーターとして機能すると推定された。CabBと名付けたタンパク質は放線菌に広く分布し、2個のEFハンドモチーフを有する。CabBは真核生物のカルモジュリンと高い相同性を示す。なお、カルモジュリンは相同性のあるドメインが2個連なったダンベル構造をとっているが、CabBはその1個分の大きさを持つ。CabBについて以下の知見を得た。(1)S.ambofaciensとS.coelicolorにおいて、cabBは培養期間を通じて単一の転写開始部位から転写された。(2)CabBは放射ラベルのCaを用いた実験で、高いCa結合能が確認された。CabBは2個のEFハンド有することから、2個のCaイオンを結合すると推定された。(3)CabBはCa結合により、そのα-ヘリックス含量が大幅に増加することをCDスペクトル分析で確認した。(4)cabB破壊株では、胞子の発芽に違いが見出され、また高濃度カルシウム培地での生育が遅れた。したがって、CabBは、放線菌の増殖、胞子発芽に関係することが推定された。CabBと相互作用する菌体内タンパク質の同定やその分子機構の解明は今後の興味ある課題である。
著者
塚原 史
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
人文論集 (ISSN:04414225)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.220-197, 2017-02-20
著者
中岡 伊織 谷 久壹郎 亀井 且有
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.631-640, 2005-10-15
被引用文献数
1

ポートフォリオは株価の変動から期待収益率とリスクを算出し, 最適な有リスク資産運用を目的としている.従来手法として様々な手法が提案されているが, 過去の期間での投資システムや単純に株価を予測するシステムしか提案されていず, 現実問題に適用可能な意思決定システムは未だ提案されていない.一方, 有リスク/無リスク資産分配においても, 従来法はポートフォリオによる銘柄選択とは独立して, 一般的な指標を用いてその分配比が求められており, 有リスク資産運用を考慮した最適有リスク/無リスク資産分配とは言い難い.本論文では, 分散投資の観点から自己組織化マップ(SOM)を用いて同様の経営指標を有する銘柄への複数投資を避けながら, 幅広く株式投資銘柄を選定し, またその選定銘柄の経営指標を用いてファジィ推論により, 有リスク/無リスク資産(株式/国債)の投資資産分配をする手法を提案する.また, 提案手法を実株価データへ適用し, TOPIXを用いた場合より受取額が多く, 2000年以降のITバブル崩壊のような株価急変に対しても有効な投資を行えることを示す.
著者
山内 友三郎
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第Ⅰ部門, 人文科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:03893448)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.71-82, 2017-02

西洋近代主義(Western modernism)は人間と自然を分ける二元論であって,人間による自然と先住民支配を本質とする「人間中心主義」(anthropocentrism)に陥っている,--というのは現代の環境倫理の定説である。これが地球環境危機を惹き起こした思想的原因と考えられている。西洋近代主義の二元論に絶望した環境倫理学者は,東洋思想の「自然と人間を分けないで一体と見る一元論」(ないしは全体論)に注目するようになった。こうして西洋的二元論と東洋的全体論の対立が生じて,両者を統合するような哲学は未だ現れていないような状況である。1)日本儒学の主流では--西洋的二元論,東洋的一元論に対して--第三の道として,人間が自然に働きかけて自然を豊かにする,という思想があった。筆者はこの思想を「天地の化育を賛く」という儒教(『中庸』)に由来する日本思想の主流の一つとみて,この思想を地球的・人類的規模にまで拡張して再構成する試みを続けてきたが,その試みの一つが本稿に他ならない。叙述は次の順序で進められます。序 徳川の平和と西洋近代主義, I 加藤弘之の人権新説, II 和辻哲郎の世界国家の説, III 普遍的道徳はあるのだろうか, IV 西洋近代主義の崩壊と梅原猛の人類哲学, V 新・人類哲学の構造。Today's environmental crisis and the threat of war have made an global ethics necessary and even urgent. My trial in this paper is in the creation of an integral philosophy of humanity that should synthesize the philosophies of East and West. My strategy is mainly in the using Hare's method of dividing levels of moral thinking into two; that is, intuitive and critical. While Hare excludes the human moral concern for nature from his ethical system, Leopold's land ethic asks people to change the role of humans from a conqueror of nature toward a simple member of the land community. I tried in this paper to found Hare's two level utilitarianism on the basis of Leopold's land ethic; thus creating three levels of moral thinking. Applying this three level theory (that I call three level eco-humanism), I compare the traditional Japanese philosophy with Western modernism to find the way of combining both philosophies.
著者
佐々木 俊介 陳 奎廷 馬場 孝明
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成27年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第68回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.348, 2015-09-10 (Released:2018-02-16)

近年、機械学習の手法として、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)が文字・画像認識や音声認識などの分野で注目されている。CNNは有効な特徴量を自動的に抽出できることから、一般物体認識で高い認識精度を達成し、その有効性が認められている。日本語の手書き文字認識は、書き手による字体の問題だけでなく、ひらがなやカタカナといった認識対象の数や類似文字の多さなども挙げられる。これらは誤認識の要因となり、手書き文字の識別において課題となる。本研究では、複雑な識別問題である日本語の手書き文字認識システムをCNNにより試作を行う。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1748, pp.36-41, 2014-07-07

台頭する新興キャリア旧勢力を脅かす中東勢とLCC2つの新興勢力が世界の航空勢力図を塗り替えようとしている。中東勢とLCC(格安航空会社)だ。なぜ彼らは強いのか。Part1で見た「異変」の正体をつまびらかにする。 「衝撃だな。
著者
福嶋 美佐子
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
no.5, pp.165-179, 2017-03

本研究の目的は,「才能をめぐるグローバル競争」の時代において,外国人高度人材の予備軍として留学生を積極的に受け入れようとしている韓国とオーストラリア,日本の留学生政策を比較し,日本における政策において必要とされる点を見出すことである。3か国の比較を通じて,かつては日本を手本としていた韓国は,留学生獲得に積極的に乗り出し,定住を視野に政策を組み立て始めていること,オーストラリアも留学生政策と移民政策が連動しており,高度人材予備軍としての留学生を総合的に管理,育成するシステムができていることが明らかとなった。留学生受け入れ機関の質的保証や,留学生の総合的管理など質に関しては日本のモデルケースとなるものの,留学生の非熟練労働者への移行など質を保ちながら量を確保することの難しさもあり,考慮しながら応用する必要があると思われる。
著者
浅見 克彦
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
no.14, pp.9-26, 2013

時間SFは、しばしば型破りな言説構成をとりながら、特異な時間世界を描き出す。この時間世界のありようは、時代的な隔たりを越えて、現在の文化に瀰漫する意識と、いくつかの点で通じあっている。例えば、「反復ループもの」は、社会の歯車として同じようなことを繰り返す現代人の情況に重なる。また、「枝分かれする世界」の物語は、不確定な時の流れに翻弄され、意志と自由を骨抜きにされた私たちの実情を映し出す。さらには、「因果ループ」を焦点とした作品は、物事の真正さと価値の根拠を空洞化させてゆく、ニヒルな文化意識と共鳴しあっている。本稿は、こうした現代の時代意識との照応を確認することを通じて、時を隔てて現代と共振しあう、時間 S Fの不思議な魅力を詳らかにしようとするものである。

2 0 0 0 OA 水彩絵具

著者
荒木 豊
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.450-454, 2002-09-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
3
著者
長谷美 達雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.33-43, 1991-03-29 (Released:2010-02-05)
参考文献数
14
被引用文献数
2 12

日本の主な気象官署の天気と気温の記録から,固体降水の発生確率と地上気温の関係を,季節風型および低気圧型天気図時の降水に分けて調べた.その結果,発生確率と地上気温の関係は地域性が大きいことがわかった.例えば同じ発生確率に対する地上気温は標高(H:m)とともに低くなり,発生確率が50%となる地上気温(T50:℃)で代表するとその傾向は次の式で表わされる. (季節風型) T50=4.0-0.44・1n(H) (低気圧型) T50=2.2-0.21・1n(H) T50が標高とともに低くなる理由として降雪粒子が標高が高いほど小さいことが考えられた.また,T50が季節風型と低気圧型で違う理由として,上層大気の熱量の違い等が示唆された.この結果を利用して,降水が雪になるか雨になるかの判別予測,降雪量,降水のうち着雪に寄与する降水量,あるいは積雪として残る量の推定が地域性を反映してより精度よく行なえるであろう.