著者
成田 亮子 加藤 和子 長尾 慶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.153, 2006

[目的]食事が多様化されるなかで、正月の雑煮として欠かすことのできない餅について、家庭における行事と餅がどのように受け継がれてきているかの摂取状況調査を行った。<BR>[方法]調査対象は、本学家政学部栄養学科並びに短期大学部栄養科に在籍する学生170名である。調査期間は、2004年5月から9月とした。<BR>[結果](1)鏡餅について:正月に鏡餅を供える家庭が82%、供えない家庭が18%であった。入手方法の内訳では、スーパーで購入が66%、家庭で作るが30%、米店・和菓子店で購入が4%である。また、鏡開き後の餅を食する家庭が75%であり、食べ方としては、汁粉など小豆を使用する料理が27%、次いで焼く(磯部巻き・あべかわ)が14%、雑煮(12%)、揚げ餅(10%)であった。その他にチーズ巻き餅、ピザ餅といった回答も少数みられた。(2)雑煮について: 100%の家庭において食されていた。餅の種類では角餅の餡なしが87%を占め、餅の加熱方法では焼いてから入れるが76%と多く、次いで茹でる(12%)、生(11%)、電子レンジ(1%)であった。(3)餅を食する機会:正月のみが35%であり、年間を通して20回以上食する家庭も25%と多い。その餅を常備している家庭が25%、必要に応じて購入する家庭が67%であった。(4)餅に対する嗜好・イメージ:餅が好きと回答した学生が92%と多く、好きな餅料理では、雑煮、磯部巻き、あべかわ、汁粉、納豆餅と和風料理が94%を占めた。その他に、バター海苔餅、チーズ巻き餅、ピザ餅、ピザ餅グラタン、キムチ餅、キムチ鍋などの洋風アレンジが5%みられた。学生に餅から受けるイメージ語を自由記述させると、'雑煮'、'正月'、'おいしい'が多く出現した。
著者
前 協子
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.85, pp.101-124, 2016

『トレインスポッティング』は『ポスト・ヘリテージ映画』で既に指摘されていたように「スコットランドの貧しく未来の無いように見える"陽気で悲惨な" 若者たち」の姿を描いた映像テクストとして,反ヘリテージ映画として機能して」おり,しかしながら,「イングランド外部のローカルな空間や社会的背景にイングリッシュネスの伝統や共同体への帰属に抵抗や逃走を試みる若者たちの活写」という表象が,英国南部の上流階級のそれとは正反対のもう一つのヘリテージ文化として商品化され,消費流通する可能性がある映像作品でもあった。 本稿では「人生を選ばないということを選んだ」という捨て台詞とともに麻薬に溺れていた主人公が,一転,「オレは変わり続ける,転がり続けるんだ」と言いながら仲間から逃走し,ドメスティックな英国社会にとどまることにも背を向けてグローバルに転回していくことを選択した姿を通して,階級の再編にどのように適応しようとしていったのかを主として考察した。
著者
奥川遼 村尾和哉 寺田努 塚本昌彦
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2014-MBL-71, no.16, pp.1-8, 2014-05-08

近年,健康意識の高まりを背景に自転車を利用する人が増えており,特にスポーツとしての自転車の利用に対する関心は年々高まっている.サイクルスポーツにおいて高いパフォーマンスを発揮するには,競技用自転車特有のペダリングスキルが要求される.サイクルスポーツでは回転数が高くかつ回転速度の揺らぎが小さいペダリングが理想とされているが,メトロノームの音を用いた従来のトレーニング方法では単位時間あたりの回転数を一定にすることはできるが回転速度の揺らぎについては評価できない.サイクルスポーツ熟練者のペダリング技術は長時間のトレーニングによって形成されるため,初心者が一定で揺らぎが小さい回転速度でペダリングする技術を習得することは容易ではなく,イメージを共有しにくいため指導も困難とされている.そこで本研究では,聴覚情報による引き込み効果を利用して,ユーザがペダリングの回転速度を一定にすることを意識することなく,半無意識的にペダリングを誘導することで,サイクルスポーツ初心者のペダリングスキルの上達を支援するシステムを設計および実装する.実装したシステムを用いて行った実験の結果,従来のケイデンス計で回転数のみを提示した場合と比較して回転速度の分散値が 3 つの提案手法でそれぞれ 46.7%,68.6%,58.8%減少したことから,提案システムによって非サイクリストのペダリングスキルが向上することを確認した.
著者
川本 哲也
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.210-224, 2015

本研究の目的は成人形成期の人のアイデンティティと複数の社会的関係性がいかに関連するかを検討することであった。分析対象者は385名(男性:210名,女性:175名;<i>M</i>=22.4,<i>SD</i>=2.4,レンジ:18–29歳)であった。対象者のアイデンティティは多次元自我同一性尺度(MEIS;谷,2001)を用いて測定され,社会的関係性は,改訂版親密な対人関係体験尺度(ECR-R;Fraley, Waller, & Brennan, 2000; 島,2010)を用い,養育者・友人・恋人に対するアタッチメント・スタイルを測定した。対象ごとのアタッチメント・スタイル,年齢,性別を独立変数とし,アイデンティティの各側面を従属変数とした重回帰モデルを用いた共分散構造分析を行い,以下の結果を得た。「自己斉一性・連続性」は養育者に対するアタッチメント・スタイルからの効果が有意となった。「対自的同一性」は年齢からの効果が有意であり,「対他的同一性」は友人と恋人に対するアタッチメント・スタイルからの効果が有意となった。「心理社会的同一性」は年齢と,友人に対するアタッチメント・スタイルからの効果が有意となった。この結果から,主観的なアイデンティティの側面は養育者との関係性と関連し,社会的なアイデンティティに関しては友人や恋人との間の関係性が関連することが示唆された。
著者
Yumi Kim Sehee Kim Chanyang Kim Takahiro Sato Masayasu Kojima Seungjoon Park
出版者
The Japan Endocrine Society
雑誌
Endocrine Journal (ISSN:09188959)
巻号頁・発行日
pp.EJ14-0436, (Released:2014-12-23)
被引用文献数
13 38

Neurogenesis occurs in the adult hippocampus and is enhanced by dietary restriction (DR), and neurogenesis enhancement is paralleled by circulating ghrelin level enhancement. We have previously reported that ghrelin modulates adult neurogenesis in the hippocampus. In order to investigate the possible role of ghrelin in DR-induced hippocampal neurogenesis in adult mice, ghrelin knockout (GKO) mice and wild-type (WT) mice were maintained for 3 months on DR or ad libitum (AL) diets. Protein levels of ghrelin in the stomach and the hippocampus were increased by DR in WT mice. One day after BrdU administration, the number of BrdU-labeled cells in the hippocampal dentate gyrus was decreased in GKO mice maintained on the AL diet. DR failed to alter the proliferation of progenitor cells in both WT and GKO mice. Four weeks after BrdU injection, the number of surviving cells in the dentate gyrus was decreased in AL-fed GKO mice. DR increased survival of newborn cells in WT mice, but not in GKO mice. Levels of brain-derived neurotrophic factor protein in the hippocampus were similar between WT and GKO mice, and were increased by DR both in WT and GKO mice. These results suggest that elevated levels of ghrelin during DR may have an important role in the enhancement of neurogenesis induced by DR.

2 0 0 0 OA 現代聾唖筆談

著者
聾唖月報社編輯部 編
出版者
聾唖月報社
巻号頁・発行日
vol.第1輯, 1936
著者
村主 大輔 馬場 隆 森勢 将雅 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.1-8, 2012-01-27

日本ではカラオケや DTM の普及によって音楽活動がますます一般化され,年間 200 組以上のアーティストがメジャーデビューしている.それに伴い,新たなジャンルや歌唱スタイルが生まれることは少なくない.その一つの例として,ポピュラーソングに沖縄や奄美大島などアーティスト出生地の特色を出した音楽表現のスタイルが近年注目されるようになっている.そこで本研究は,歌唱スタイルが特徴的な奄美大島出身歌唱者の歌い回しに注目し,一般歌唱を奄美大島出身の歌唱者の歌い回しにするシステムの開発を目指す.具体的には,「グイン」 と呼ばれる奄美大島出身歌手の歌唱音声を歌唱特徴の定量的な分析を実施し,その分析結果に基づいて,一般歌唱に 「グイン」 を付加するシステムの概要と,その動作結果について報告する.The recent spread of "Karaoke" and DTM has been promoting music production more generally, and more than 2 hundreds musicians make their debuts in Japan. This leads emergence of new singing styles. Among them, "Okinawa-style" or "Amami-style" is typical one that has been popular recently. We have been developing an assistance system for designing "Okinawa-style" or "Amami-style" vocal melodies. In this paper, we report acoustic analysis of "Amami-style," especially singing style called "guin" and propose a "Amami-style" singing generator, called "Guin-Resonator."
著者
野口実著
出版者
高科書店
巻号頁・発行日
1994
著者
佐々木 敏
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.763-768, 2010 (Released:2010-07-05)

昨年(2009年)、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が発表された。2010年版は2005年版で示された考え方が踏襲されているが、数値の時代から理論・理屈の時代に、そして、活用は数値をあてはめる時代から考える時代に入ったという印象を強く受ける記述になっている。食事摂取基準の基本的な考え方はほとんどが「総論」で記述されている。「総論」の特徴をあげるとすれば、「活用の基礎理論」が盛り込まれたこと、活用目的が3種類に分けられて記述されたこと、そして、アセスメントの重要性が強調されたことであろう。これで現場が食事摂取基準をじゅうぶんに活用できるかといえば、そこまでは至っていない印象が強いが、それでも、栄養管理業務が医療業務のひとつであり、「科学」であるとすれば、食事摂取基準の理論、特に、総論の内容は栄養管理に携わる者が必ず理解していなければならないことは明らかである。
著者
渡辺 知恵美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. データベース・システム研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.78, pp.429-436, 2006-07-13
参考文献数
16

近年,地球観測のための測定機器の高機能化,コンピュータの高性能化により,地球惑星科学者が扱うデータが爆発的に増えつつある.これに伴い,科学者らは自らの持つ膨大なデータの中から必要なデータを検索したり,共同研究者もしくは同分野の科学者間で公開したいという要求が高まっている.しかしながら一般の科学者が気軽にデータ検索や公開を行うには,作業コストや学習コストの面でまだまだハードルが高く二の足を踏む科学者が多いのが現状である.そこで我々はできるだけ科学者の作業コストをかけずに手元にあるデータを検索・公開できる簡易データセンタ構築パッケージの開発を行っている.本稿では本システム開発に向けての考察と開発構想について述べ,基本機能である地球観測データを対象としたデスクトップサーチの開発について述べる.提案するデスクトップサーチでは,ユーザにはデータを特定の科学データファイルフォーマットで保存することのみを要求し,ファイルのヘッダ情報に含まれる空間情報および時間情報からデータの検索およびランキングを行う.
著者
津田 敏彦 今田 和則 水口 清
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.1, pp.55-63, 2008 (Released:2008-07-14)
参考文献数
54
被引用文献数
2

イミキモド・クリーム剤(販売名:ベセルナクリーム5 %)は,米国の3M Companyで開発された外用剤で,本邦初の尖圭コンジローマ治療薬である.イミキモドは,細菌やウイルスの構成成分を認識し免疫応答を賦活化するトール様受容体(TLR)のひとつであるTLR7に対してアゴニスト活性を示す.イミキモドは,直接的にはウイルスの増殖抑制作用を示さないが,単球あるいは樹状細胞に発現するTLR7に作用してIFN-α,TNF-αおよびIL-12などのサイトカイン産生を促進し,主としてIFN-αの作用によりウイルスの増殖を抑制する.また,イミキモドにより産生が促進されるIFN-α,TNF-αおよびIL-12などのサイトカインはT細胞を活性化し,活性化T細胞から産生されるIFN-γなどのサイトカインを介して細胞性免疫応答を賦活化する.尖圭コンジローマ患者を対象とした臨床薬理試験において,イミキモド5 %クリームの塗布により疣贅部位のヒトパピローマウイルス-DNA量の減少,IFN-α,TNF-α,IFN-γおよびIL-12のp40サブユニットの各mRNA量の増加が認められた.以上から,イミキモド5 %クリームは塗布部位において各種サイトカインの産生を促進し,ウイルス増殖の抑制および細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞傷害作用により,疣贅を消失させると考えられる.国内および海外で実施された尖圭コンジローマ患者を対象とした臨床試験において,イミキモド5 %クリームの1日1回,週3日,最大16週間塗布により疣贅の消失あるいは縮小が認められた.本邦では,これまで尖圭コンジローマの治療には外科的療法が用いられてきたが,イミキモド・クリーム剤は外科的療法と比較して侵襲が少なく,有用な治療薬として期待される.
著者
岩下 直行
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1095-1101, 2018-11-15

ここ数年,金融業界において大流行しているフィンテックという言葉は,銀行による新技術の導入,仮想通貨,キャッシュレス決済など,多義的に使われている.それらは多様だが,「インターネットを利用して顧客に新しい金融サービスを提供する」という点では共通している.同時に,新たな情報セキュリティ上の脅威を生み出し,新たな対策を必要とする点も同じである.しかし,ITによる利便性,生産性の向上を重視するのであれば,金融機関もその利用者も,システムとセキュリティに対する考え方を一歩進め,信頼できるものをしっかり峻別することが必要である.銀行とその利用者の奮起が期待されている.
著者
山本 孝夫 仁谷 浩明 清野 智史 小原 孝介 大門 英夫 中川 貴
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.481, 2008

放射線による水の放射線分解で発生するラジカルが水溶性の貴金属イオンを還元しナノ粒子を生成することを利用し、AuとPtを同時に加速器電子線で処理し合金のナノ粒子(直径が数nm)を担体粒子(酸化鉄もしくはカーボン)の上に多数担持した複合ナノ粒子を合成した。得られた粒子材料は大気中のCOを還元する触媒作用を持つ。X線回折によるAuとPtは合金を形成していることが判った。従来の化学的手法では、ビルドアップ法で二元合金ナノ粒子を合成しようとすると、酸化還元電位の序列に妨げられるが、放射線合成法によればこれが克服される。合金化することで触媒特性も促進されるだけでなく、触媒機能の本質を持つ高価な白金の節約ともなる。