著者
山本 圭一郎 伊吹 友秀
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.471-475, 2017-05-10

●ヒト受精胚を対象とするゲノム編集技術利用には,基礎研究,治療を目的とする臨床応用,エンハンスメント的な臨床応用の各段階で倫理的な課題がありうる. ●基礎研究の段階では,ゲノム編集研究に用いるヒト受精胚の入手のあり方,余剰胚利用の是非,ヒト受精胚への人為的操作などが倫理的課題となる. ●治療およびエンハンスメントの段階においては,安全性や有効性,責任の所在,優生思想ないし優生学,諸々の格差や差別の助長,世代や地域を越えた不可逆的な影響などに関する倫理的課題がありうると予想される.
著者
松田 利彦
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 = Journal of humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.106, pp.53-79, 2015

特集 : 領事館警察の研究朝鮮総督府は,韓国併合当初から中国との陸接国境地域の治安を重要課題と見ていた。間島 地域では,総督府から憲兵と朝鮮人警察官を派遣・駐在させていた。在間島領事館の要請で憲 兵を治安維持のために派遣する場合もあった。他方,鴨緑江岸では,総督府の憲兵・警察官は 常駐しておらず,現地領事館との連携の度合いは小さかった。 とはいえ,基本的な行動の枠組みは両地域とも共通していた。憲兵による対岸地域の内偵や 組織的調査,憲兵・守備隊による対岸への出動と警察活動・軍事行動といった点である。総督 府・朝鮮憲兵隊は,豆満江岸(間島)・鴨緑江岸の両地域を一体の国境警備問題として認識して いた。 このような認識のもと,総督府は,1910 年代後半以降,国境警備体制の刷新に着手した。 1916 年秋,寺内正毅総督は,朝鮮軍守備勤務規定の改訂を通じて,対岸への憲兵・守備隊の越 境派遣体制を整備した。さらに翌年秋以降には古海厳潮朝鮮憲兵隊司令官・長谷川好道総督が 対岸に憲兵を常駐させる構想を打ちだす一方で,間島領事館に総督府から大量の警察官を送りこんだ。 1910年代は,20年代のように国境対岸からの武装抗日運動勢力による朝鮮内侵攻が現実的な 脅威となってはいない。しかし,国境対岸地域に対して直接的な警察力を行使しようとする総 督府の志向は,早くもこの時期に確認することができ,それは具体的な活動や構想として展開 していたのである。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.975, pp.34-41, 1999-01-25

東京・渋谷の午前5時。始発電車が動くころに、行列ができる回転寿司がある。中高生が深夜たむろすることで有名な渋谷センター街にある「回転寿司・築地本店」だ。渋谷で夜通し遊び歩いた人々が、始発電車で帰路につく前に立ち寄る。こんな深夜需要を取り込んでいるのが、この店だ。 営業時間は午前11時から翌日午前6時まで。
著者
中川 敏宏
出版者
専修大学法科大学院
雑誌
専修ロージャーナル = Senshu Law Journal (ISSN:18806708)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.153-166, 2013-01-25 (Released:2013-05-14)

2012年5月24日,韓国大法院は,日本による植民地統治下において三菱重工(旧三菱)・不二越により強制徴用を受けたとして,その被用者らが同会社を相手に損害賠償と未払賃金の支払いを請求した事件において,原審である釜山高等法院が同じ請求を棄却した日本における判決(最高裁で本件原告らが敗訴確定)を受け入れ原告らの請求を棄却したのに対して,その原判決を破棄し,釜山高等法院に事件を差し戻した。この日本企業に対する戦後補償の可能性を認めた大法院判決は,韓国のマスコミでも大きく取り上げられ,さらなる追加訴訟を提起する動きも伝えられている。その意味で,本判決は,韓国において,対日本企業のみならず対日本国の戦後賠償問題に関し象徴的な意味を有するものになるであろう。本判決については,今後わが国でも様々な観点からの検証・分析が求められるが,そのような多角的な検証・分析は訳者の能力の域を出ており,ここでは,本判決の重要性に鑑み,公表されている三菱重工に対する訴訟の大法院判決を取り上げ,判決文の翻訳を試みたい。翻訳に際して,できるかぎり原文のニュアンスを尊重したが,日本人読者への便宜から,日本における一般的呼称等に従っている箇所がある(例えば,韓国と日本を指す際,韓国語では「韓日」と表現されるところは「日韓」と訳出している)。
著者
Jiyuan SI Ranran MENG Peng GAO Feifei HUI Yu LI Xianhu LIU Bin YANG
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:13411357)
巻号頁・発行日
pp.18-0089, (Released:2018-10-23)
被引用文献数
12

Percutaneous coronary intervention (PCI) is main treatment for acute coronary syndrome (ACS). However, restenosis caused by PCI-induced injury influences the outcome of patients. Linagliptin, a dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4) inhibitor, has been reported to ameliorate intimal hyperplasia post vascular injury. The underlying mechanisms by which linagliptin protects against balloon injury are unclear and require to be explored. Herein, Wistar rats with carotid artery balloon injury were given 1, 2 or 3 mg/kg/day linagliprin for 6 weeks. We found that linagliptin attenuated vascular injury-mediated neointima formation in rats without affecting body weight and blood glucose levels. ELISA results indicated that linagliptin significantly reduced overproduction of cytokines including tumor necrosis factor-α (TNF-α), interleukin-1β (IL-1β) and IL-6 post balloon injury. By detecting the level of malondialdehyde (MDA) and the activities of superoxide dismutase (SOD) and glutathione peroxidase (GSH-Px), we found that linagliptin prevented balloon injury-induced oxidative stress. Additionally, linagliptin decreased the level of Kelch ECH-associating protein 1 (KEAP1) compared with injury group. Results of Western blots and electrophoretic mobility shift assay (EMSA) demonstrated that linagliptin augmented nuclear accumulation of nuclear factor-E2-related factor 2 (NRF2) and its binding ability to target genes in rats with balloon injury. Moreover, heme oxygenase-1 (HO-1) and NAD(P)H quinine oxidoreductase 1 (NQO1), two downstream targets of NRF2, were further up-regulated after linagliptin treatment compared with injury group. In conclusion, our data suggest that linagliptin protects carotid artery from balloon injury-induced neointima formation and activates the NRF2 antioxidant pathway.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1933年06月13日, 1933-06-13
著者
難波 博孝
出版者
日本文学協会 ; 1952-
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.92-97, 2017-03
著者
小川 力也 長田 芳和 紀平 肇
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.33-55, 2000-08
被引用文献数
3

日本の固有種イタセンパラ(コイ科タナゴ亜科)は, その狭い分布域と絶滅の危機から, 天然記念物と絶滅危惧IA類に位置づけられている。本種を河川の中で保護・増殖するためには, 本種と本種が卵を産みつける二枚貝が繁殖する環境の特徴を明らかにする必要がある。そこで今回は, 淀川に生息するイタセンパラと生息環境に関するこれまでの研究をレビューした。また, 文化庁と環境庁の許可を得て, 本種の産卵, 貝内の卵・仔魚のはじめての写真を掲載した。本種は秋に産卵し, 仔魚はほぼ半年の間貝内で越冬した後に泳出する。淀川のイタセンパラの本来の繁殖場所は, 下流域に発達した河川内氾濫原に存在する池(通称ワンド)の中でも, 本流から隔離された小型の浅い池であることが示唆された。それらの池の水位は, 伏流水を通じて本流の水位と同調して変動する。そのため, 池には本流水が冠水し直接流入する時期(増水時)と氾濫原内に低水位で孤立する時期(減水時)が季節的に繰り返される。イタセンパラの繁殖に関する生態学的研究は, この観点にたって行なうことが重要である。The Japanese endemic bitterling, Acheilognathus longipinnis Regan was designated as both a natural monument and a critically endangered species for the reason of its restricted distribution and a sense of crisis of extinction in Japan. It is evident that the investigations on habitats of A. longipinnis and mussels were necessary for the purpose of preservation of the bitterling. In this paper, we summarized the studies that were carried out at the Yodo River, Osaka Prefecture, Japan. The first photographs of egg deposition into a mussel and eggs/larvae in the mussel were also published by permission both of the Agency for Cultural Affirs and the Environmental Agency. A. longipinnis deposittheir eggs in autumn, and larvae swim out from the mussel in May and early June, after passing the winter in the mussel during a half year. It was suggested that A. longipinnis mainly reproduced in small and shallow pools in the floodplain formed in the lower reach of the Yodo River. The floodplain pools where isolated from the main channel were filled occasionally by river flooding mainly in early summer and autumn. On the other hand, a small water body was remained in the pools through groundwater seepage in the lower water state of the river in winter. We must reseach the habitats both of A. longipinnis and mussels from the viewpoint of seasonal fluctuations in water level of the floodplain pools.
著者
硴崎賢一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.2386-2394, 1993-11-15

本論文では、述語呼び出し時に引数特性を伝達する、単純で効果的なPROLOGの単一化処理の最適化方式を提案する。提案方式では、直接出カ変数と呼ぷ引数の分類と、その分類情報を格納する直接出力変数フラグを導入し、述語呼び出しでその情報を受け渡すことにより最適化を行っている。本方式は、述語単位のコンパイルで述語間の大域的な最適化が行えるという特長を持っており、不必要なデリファレンスやトレイル処理を除去することによって、出カモードの単一化の処理速度を大幅に向上させることができる。append/3での評価により、従来のWAMに封して3.4倍の高速化が行え、58MIPSのワークステーション上で、3.3MLIPSの高い性能が得られることが明らかになった。
著者
硴崎 賢一 上原 邦昭 豊田 順一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第33回, no.プログラミング言語およびソフトウェア工学, pp.497-498, 1986-10-01

人工知能の研究においてPROLOGが広く用いられている。PROLOGは基本的にインタプリタによって実行される言語であるが、大規模なシステムや実用的なシステムを構築するには、コンパイラによる処理の高速化が必須である。筆者らはPROLOGを高速に実行するためのコンパイラの実現手法に関する研究を行っており、実用的な処理系としてスーパーミニコンMV/8000 II上にC-Prologコンパイラを開発している。テールリカージョンの最適化等を行った結果、25K LIPSの処理性能を得ている。本稿では、C-Prologコンパイラで実現しているPROLOGの特性に適した使用方法と、性能評価について報告する。
著者
和久 希
出版者
筑波大学哲学研究会
雑誌
筑波哲学 (ISSN:09162046)
巻号頁・発行日
no.22, pp.95-113, 2014-03
著者
硴崎 賢一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J75-D1, no.4, pp.241-250, 1992-04-25

本論文では,コンパイラの最適化手法をインタプリタに適合させ,処理速度とメモリ効率を向上させたPROLOGインタプリタの構築法について述べる.このインタプリタでは,インデキシング,レジスタ割当ての最適化,環境生成の抑制などの最適化手法を取り入れることによって性能の向上を図っている.例えば,インデキシングは,述語を動的と静的の2種類に分類し,この分類に基づいて行う方式を提案している.また,組込み述語の特性を利用することによって,複合項の構造複写を抑制し,処理速度とメモリ効率を大幅に向上させることができる最適化方式を提案している.この方式は,インタプリタだけでなくコンパイラにも導入できるため,PROLOG処理系の一般的な手法として広く利用できるという特長がある.試作した処理系では,RISCワークステーション上で従来のインタプリタの4倍程度の40 K LIPSの処理速度が得られると共に,メモリ効率が大幅に向上することを確認した.
著者
小寺 正明
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第41回ケモインフォマティクス討論会 熊本
巻号頁・発行日
pp.2Y05, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
10

代謝産物とその代謝経路に関する我々の知識は、天然物のほんの一部に過ぎない。既知酵素のリストであるIUBMB Enzyme List は参照経路に基づく代謝経路再構築の基礎である。ところがこのストラテジーは生物種固有の天然物生合成経路や、環境汚染物質の生分解経路には本質的に向いていない。近年私は代謝経路のde novo再構築として、新規化合物を生成するアプローチとは別に、機械学習を用いて既知化合物間を酵素反応でつなぐアプローチを開発した。また、その反応を触媒する酵素の予測として、化学構造からのECサブサブクラス予測手法と、化学構造からの酵素タンパク質予測手法を開発した。これらの研究は有機合成戦略の問題と類似した問題であり共通部分も多いが、利用可能な情報や、取ることができる戦略などの違いがあるのでそれを理解することが大変重要である。