著者
Hideki WAKUI Ikuko TADA Yasunori KIMURA Kosaku YOSHIDA Yasuyuki ENDO Akira B MIURA
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Japanese Journal of Medicine (ISSN:00215120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.736-739, 1989 (Released:2006-03-27)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

We report an Rh(D)-negative man with myelodysplastic syndrome who produced six anti-erythrocyte alloantibodies (anti-D, -C, -E, -Dia, -Jka and -S) in succession. Three of these antibodies (anti-E, -Jka and -S) were not noted until delayed hemolytic transfusion reactions occurred. Treatment with cortico-steroids was effective in preventing both further formations of antibodies and other transfusion reactions. It was very difficult to find blood compatible with the patient, but repetitive blood transfusions were required for his progressive anemia and thrombocytopenia. Several problems concerning the transfusion of blood in such a case are discussed.
著者
進藤 雄三
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.401-412, 2004-03-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
43

本稿の課題は, 現代社会における「個人化」現象が「医療」領域においてどのように顕現しているのか, そしてそれがいかなる社会学的含意を持っているのかを暫定的に素描するところにある.この目的にそって, (1) まず「個人化」概念の意味を確認し, (2) 次に「医療」領域においてそれが具体的にどのように現れてきているのかを, インフォームド・コンセントと自己決定医療, 遺伝学のインパクトという2つのトピックを素材に例証した上で, (3) それを「個人化」の2つの側面-選択と強制-と関連づけて整理し, (4) 最後に医療における「個人化」がいかなる社会学的含意を持つのかを検討する.「個人化」概念は「近代化」概念と切り離しがたく結びついて理解されてきた.現代において再度「個人化」が「問題」としてクローズァップされてきた背景はどこにあり, 古典的近代と現代における「個人化」はいかなる意味において質的に異なるといいうるのか, その問いに対する回答の一端を現代の「医療」状況において浮き彫りにすること, それが本稿のねらいである.
著者
足立 仁志 井形 勉 西村 敏弘 山本 祐紀恵 瀬津田 愛 中野 博
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第28回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.95, 2006 (Released:2007-05-01)

【始めに】 重症心身障害児者(以下重症児者)においては、咳嗽反射の低下による喀痰困難や脊椎側彎症の増悪などによる換気能力低下から慢性気管支炎等の呼吸器疾患へと移行し、ひいては外出日数の減少や在宅における健康管理上の問題となる.これらの問題に対し、体位ドレナージや呼気胸郭圧迫法(いわゆるSqueezing)等を用いての排痰援助が用いられるが、手技の習熟度、実施頻度、手技自体の限界などから十分な排痰を行うことが困難な症例がある.近年このような重心児・者に対して、肺内パーカッションベンチレーター (Intrapulmonary Percussive Ventilator: 以下IPV)やCough Machine (以下CM) 等の機器を用いての気道クリアランスの有効性が報告されており、当院においても使用する機会を得た.今回は、気管切開を行っていない2症例に対し呼吸音解析による検討とともに、その受け入れ状態の変化の観察を行い、その有用性及び課題について若干の考察を行った.【実施方法】排痰は一日一回実施した.呼吸音の記録には、コンデンサーマイクロホン及びパソコンを用いて記録し、その後時間軸波形及びサウンドスペクトログラムでの解析を行った.【結果】〔症例1〕23歳、男性 レノックス・ガストー症候群 気管支喘息 慢性気管支炎脊椎の高度な右凸側彎変形が認められ、呼吸音は、左肺呼吸音は弱く時折crackleが聴取された.排痰援助として開始当初CMの使用を試みたが、不快感が強いためIPV後に吸引を行う方法をとった.この症例においては従来の方法との排痰効果の比較を行う目的で、Squeezing時 とIPV( Percussionaire社製 IPV-1 使用しフェイスマスクにて実施)実施時各4回づつ前後での呼吸音の記録・解析を行った. その結果、IPV後は、4回全てにおいてcoarse crackleが著明となったがSqueezingでは、2回で同様の変化が認められたが、その程度はIPVより小さいものであった. 〔症例2〕3歳、男性 滑脳症 水頭症 食道逆流現象症 慢性気管支炎 常時crackle聴取されるとともに喉頭部での痰貯留音も認められ、1,2時間ごとの吸引処置が必要であった.主治医よりCMによる排痰が有効かとの依頼があり検討を行った.CMはレスピロニクス社製 Cough assist CA-3000 使用し、フェイスマスクを用いて実施した.CM前後での呼吸音の比較を4回行った結果、CM後でのcrackle及び喉頭部の痰貯留音の減少が全ての回において認められた.〔受け入れの状況〕症例1においては、当初CMを数回試みたが、不快感のため全身の筋緊張の亢進や息こらえ等のため実施困難と判断し、IPVに変更したところ、その状況に改善が見られ継続実施可能となった.この点についてはIPVの場合、自発呼吸をあまり妨げられないことなどが関係していると考えられた.症例2では、CM実施当初は不快な様子で開口し、頚部を反らせる等の行動が見られ、呼吸パターンも不規則になるため、手動にて呼吸に合わせ実施したが、4回目以降にはその様子も落ち着き、オートモードでの使用が可能となった. 【考察】重症児者では、側彎変形や四肢の関節拘縮により、体位ドレナージやSqueezing等の効果が得られにくく、また最終的な喀出段階で難渋する場合が多いが、今回経験した二例も同様の症例であった.今回の結果からこのような排痰困難例に対し、これらの機器は有用であると考えられた.その一方、今回のようなマスクを使用する場合、顔面・口腔周囲の過敏性をいかにクリアーするかといった点や自発呼吸とのマッチングをうまく図ることなどが、スムーズな導入への重要な課題と考えられた.
著者
山本 剛郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.466-468, 1988-03-31 (Released:2009-11-11)
著者
佐藤 浩
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.104-120, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
15
被引用文献数
1

パキスタンが実効支配しているカシミール地方で2005年10月8日,パキスタン北部地震(Mw7.6)が発生した.震源近くで撮影された1 m解像度のIKONOSカラー単画像を用いて斜面崩壊を判読したところ,11 km×11 kmの広さで約100箇所の斜面崩壊を認定した.単画像のため,崩壊が斜面横方向に連なる場合,個々の斜面崩壊を認定することは難しかった.さらに,2.5 m解像度の白黒SPOT5ステレオ画像を用いて55 km×51 kmを対象に斜面崩壊を判読したところ,2,424箇所の斜面崩壊を認定した.現地調査によると,ほとんどが岩石の浅層崩壊である.しかし,SPOT5の解像度と白っぽい画質のため,地すべりのタイプの分類や地形学的特徴を詳しく判読できなかった.IKONOS,SPOT5いずれの画像判読の場合も,斜面崩壊は起震断層であるバラコット-ガリ断層の上盤側で多発していた.2,424箇所の斜面崩壊は,断層から1 kmの範囲内にその1/3超が集中していた.1/100万地質図と重ね合わせたところ,最多(1,147個),最高密度(3.2個/km2),最大崩壊面積比(2.3 ha/km2)の斜面崩壊がそれぞれ,中新統の砂岩及びシルト岩,先カンブリア系の片岩と珪岩,暁新統と始新統の石灰岩と頁岩に見出された.2,424箇所のうち,約79 %の1,926箇所は小規模な崩壊(崩壊面積0.5 ha未満),大規模な崩壊(崩壊面積1 ha以上)は約9 %の207箇所だった.大規模斜面崩壊の分布を米航空宇宙局のスペースシャトル搭載レーダー観測(SRTM: Shuttle Radar Topography Mission)による90 m 解像度の数値地形モデル(DEM: Digital Terrain Model)と傾斜データ(SRTM-DEMから計算)に重ね合わせたところ,斜面崩壊は断面的に凸な斜面のほうが凹な斜面よりも,また,35°以上のほうがそれ未満よりも,わずかに多い傾向が見られた.
著者
藤原 智 飛田 幹男 佐藤 浩 小沢 慎三郎 宇根 寛
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-103, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
8

地震に伴う地殻変動の面的分布を求めることで地震時の地下の断層の位置とその動きを推定することができる.2005年パキスタン北部地震について,人工衛星ENVISATの干渉SARおよびSAR画像のマッチング技術を用いて,地殻変動を面的かつ詳細に求めるとともに,断層モデルを作成した.1m以上の地殻変動は全長約90kmの帯状に北西-南東方向に広がり,最大の地殻変動量は6mを超えている.地震断層推定位置は,既存の活断層に沿ってつながっており,活断層地形で示される変動の向きなどとも一致している.これらのことから,今回の地震は過去に繰り返して発生した地震と同じ場所で発生していることがわかった.地殻変動のパターンから,大まかに見て2つの断層グループが存在する.大きな地震被害が発生したムザファラバード付近は,この2 つの断層グループの境に位置するとともに,最大の地殻変動量が観測された.
著者
熊原 康博 中田 高
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.72-85, 2007 (Released:2010-06-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

本研究では,2005年10月に発生したパキスタン地震(Mw=7.6)の起震断層を明らかにするため,CORONA偵察衛星写真を用いて断層変位地形の判読をおこなった.その結果,長さ66km,北西―南東走向,右横ずれ変位成分をもつ北東側隆起の逆断層タイプの活断層が認められた.活断層の特徴が地震のメカニズム解と整合すること,断層トレースに沿って地表地震断層が生じていることから,この活断層は本地震の起震断層であると認定される.この活断層をバラコット―ガリ(Balakot-Garhi)断層と呼称する.断層破壊方向と断層トレースの分岐パターンの関係によると,震源付近から両端に向かって断層破壊が伝播したことが推定され,実際の震源過程と調和している.地震前後の衛星画像から地震に伴う斜面崩壊を抽出すると,震源周辺及び断層トレースから上盤側5km以内に斜面崩壊が多いことが明らかになった.
著者
柳澤 定勝
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.1335-1342, 1987-12-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
26
著者
松木 洋忠 江崎 哲郎 三谷 泰浩 池見 洋明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1-8, 2011 (Released:2011-08-19)
参考文献数
27
被引用文献数
1

河川流域の土地利用は過去の人間の働きかけの蓄積である.本論は,遠賀川の河川・流域の特性を理解するため,人為的開発が始まった古代の土地開発の変遷を把握しようとするものである.検討にあたっては,地質と地形による基本的な自然条件を整理した上で,縄文時代,弥生時代,古墳時代の各時代の最先端の土木施工技術を勘案しながら,遺跡等の分布と考古学的な研究成果に解釈を加えている.分析の結果,弥生時代の木製の鍬と鋤,古墳時代の鉄製刃先は,水田稲作の伝来以来,沖積地の開発に寄与したといえる.そして開発の対象地は,古墳時代までの土木施工技術に発達に伴って,干潟周辺の低平地から,上流の盆地や源流域に移っている.このような古代の土地開発の歴史は,今後の河川・流域管理を考える上で考慮するべき情報である.
著者
鈴木 章
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.105-108, 2005-02-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
2

症例の概要: 本症例は咀嚼・審美障害を主訴とする51歳男性に対して, 支台歯への負担軽減, 清掃性の向上, 審美性などの点から, コーヌス義歯治療を選択した. しかし, 食事が味気ない, 温度感覚がないなどの口腔機能感覚のさらなる改善を求められたため, 上顎臼歯部にインプラント補綴治療を行った. 前歯部についてはコーヌス義歯の内外冠を利用した可撤性ブリッジに改良した.考察: 本症例を通じて, 患者の要望に応じた適切な治療計画を選択することの難しさが痛感された.結論: 治療計画を変更したことにより, 口腔内不快感は消失し患者のQOLは改善された. 定期的にメインテナンスを行い装着後3年経過するが, 良好に推移しており患者も大変満足している.
著者
阿形 健司
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.177-197, 1998-10-20 (Released:2011-03-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1 6

These days there seems to be a “qualification fad” with the publication of many books that encourage the obtainment of occupational qualifications and the trend in which university students attend vocational training school in addition to their university courses in order to get qualifications.In Japan, it has been shown that there has been different access to social resources depending on socioeconomic status or educational career.Then does the obtainment of occupational qualifications result in the successful attainment of social status? If they do, in which strata does this occur? Or do these qualifications have no effect on one's social status? Using data from the 1995 SSM Survey, this paper investigates whether occupational qualifications increase an individual's chances of acquiring social resources, such as income and occupational prestige.Independent of the factors of academic career or socioeconomic status, some analyses suggest that these qualifications are profitable for women but not for men.This is partly because of the difference in jobs available to men and women. Although it is taken for granted that men should work, women have limited opportunities to get jobs. This difference between men and women also occurs due to the nature of the qualifications themselves. In other words, some of the qualifications are necessary for continuing to work in some “male-dominated” occupations, and thus, such qualifications do not have any effect on one's income or social status.
著者
原田 眞理
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.45-49, 2004-03-01 (Released:2009-12-21)
参考文献数
7