著者
脇 実花 秋田 馨 宮本 直 笹木 栄子 原口 友里恵 松井 弘稔 金子 ひろみ
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.305-308, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
8

当院では,2012年7月よりFisher & Paykel Healthcare社より発売されたOptiflow®(ネーザルハイフロー:以下NHFとする)を導入した.NHFには様々な使用効果があるが,新しい酸素供給デバイスのためエビデンスが少ない現状がある.2013年度途中までに当院でNHFを使用した患者25名の疾患内訳,NHF使用前の酸素デバイス,NHFの使用時期,NHF使用後の転帰,NHFの使用期間,NHF使用中に経口摂取や会話が可能だったかを分析した.その結果,NHFを使用することにより,人工呼吸器装着以外の治療の選択肢が広がり,高流量酸素投与下でも会話や食事ができる機会が増えたことを認めた.
著者
丸橋 朝奈 上村 ひろみ
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.277, 2018

はじめに出生後、心身中隔欠損閉鎖術を受け、24時間の呼吸器装着を余儀なくされた18トリソミーの男児に対し、母親は、「抱っこしてあげたい」「外出や外泊を増やし家族の思い出をたくさん作りたい」との想いがあった。その想いに寄り添うために、呼吸器離脱が可能な状態であることを確認し、離脱時間延長を試みた。結果、安全安楽な離脱環境を提供できたことで、児と母親そして職員との関わりが拡大し、外出や外泊の機会を増やすことができた。その医療と看護の実践を報告する。事例紹介6歳男児、18トリソミー、慢性呼吸不全、心室中隔欠損症術後。夜間呼吸器管理。看護の実際人工呼吸器装着時に、呼吸器の実測モニター画面で(1)自発呼吸の確認(2)体重に応じた1回換気量が45〜75ml以上、呼吸回数は30回/分前後であったが、呼気二酸化炭素分圧は31〜38mmHg、動脈血酸素飽和度は95〜100%と保たれていたことから、離脱が可能ではないかと考えた。平成29年2月17日に呼吸器の設定変更(酸素濃度を28%から25%、呼吸回数を25回/分から20回/分)。2月20日に呼気終末陽圧を5から4へ変更、呼吸状態に変化がないことを確認、1時間の離脱を開始した。2月27日から2時間、3月13日から5時間、9月20日から9時間、10月30日から16時間と段階的に呼吸器離脱を行うことができた。結果離脱中は、呼吸回数20〜27回/分、酸素飽和度97〜100%、心拍数60〜80回/分、呼気二酸化炭素分圧34〜37mmHgと保たれていた。離脱後に初めての散歩に出かけ、出発前は眠っていたが外に出た途端覚醒し、周りをキョロキョロと見ていた。その後、自宅へ4泊5日の外泊も可能となり、家族と仮面ライダーの映画を見に行くことができた。外泊の様子について母親は「テレビをじっと見たり、お姉ちゃん達にたくさん遊んで貰ったり、とても楽しそうにしていました」と話され、自宅で機器を気にすることなく、母と児がゆっくり過ごせる時間を提供することができた。
著者
奥野 ひろみ 小山 修 安部 一紀 深井 穫博 大野 秀夫 中村 修一
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.247-256, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
24

目的 カトマンズ近郊 A村をフィールドとして、人口、経済力、情報量などの増加が母親の妊娠、出産、育児という保健行動にどのような影響を及ぼしているのか、 2001年と 2006年の実態の比較から考察を行い、都市部近郊地域の母子保健の課題を明らかにする。方法 ネパール国ラリトプール郡 A村で、0~12か月児を持つ母親へ聞き取り調査を実施した。就学歴のある母親とその児群と就学歴のない母親とその児群および全体について、 2001年と 2006年のデータを比較した。結果 2006年に少数民族の母親の増加がみられた。妊婦検診、分娩、児の罹患時に利用した施設は病院が多く、この 5年間でいずれも増加傾向がみられた。また、妊婦検診費用が約 7倍、分娩費用が約 2倍となっていた。児の発育状況では、カウプ指数が 1ポイント上昇した。児の一般的な感染症への疾患の罹患は減少した。考察 海外への出稼ぎなどにより収入の増加した中間層と、地方からの移入者で経済的な課題を持つ層の 2極化がみられた。妊婦や児が病院での健康管理を積極的に受けている理由は、病院に対する安全や安心の意識に加え、中間層の増加による消費文化の意識が考えられた。経済的な課題を持つ層は、ハイリスクグループと捉えることができ、安価で身近な場所でのサポートの必要性が示唆された。育児の課題は、「栄養改善」や「感染症対策」から「栄養のバランス」などに移行していることが示唆された。
著者
長尾 ひろみ
出版者
大阪大学
巻号頁・発行日
2010

24231
著者
今井 明 鈴木 ひろみ 渡辺 晃紀 梅山 典子 塚田 三夫 中村 勤 松崎 圭一 加藤 開一郎 冨保 和宏
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.572-578, 2010-11-26 (Released:2010-12-03)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

脳卒中の自然経過を検討する目的で,生命予後と死因について調査し,AHAによる報告と比較した.対象は1998年4月から1999年3月に脳卒中を発症し,栃木県内で登録された5,081人である.発症から5年9カ月までの死亡の有無と,死因簡単分類で死因を調査した.生存率はKaplan-Meier法で算出した.脳卒中全体の5年生存率は62.3%であり,病型別の5年生存率は,くも膜下出血54.9%,脳出血57.9%,脳梗塞62.8%であった.死因の観察では,すべての病型で1位を脳卒中,2位を循環器系の疾患が占め,3位はくも膜下出血と脳出血では悪性新生物,脳梗塞では呼吸器系の疾患が占めた.くも膜下出血と脳出血では原疾患による急性期死亡が多く,75歳以上の脳梗塞では肺炎による死亡が多かった.AHAの報告によると,脳卒中の5年以内の致死率は男性47%,女性51%であり,栃木県の致死率は男性38.5%,女性36.7%とアメリカの報告より低かった.脳卒中の生命予後の改善には,急性期治療の充実と慢性期脳梗塞の肺炎に対する対策が重要と考える.
著者
木元 道雄 岸本 寛文 西 ひろみ
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.917-921, 2015
被引用文献数
1

がんによる死亡数が年々増加する中,ホスピス・緩和ケア病棟(以下,PCU)のベッド数は未だに不足しておりPCU を医療資源として有効に活用するためには適切で公正な入院判定が重要となる.厚生労働省の緩和ケア病棟入院料の施設基準や病院評価機構の緩和ケア機能の評価項目でも入院判定を適切に行うことを求めている.多くのPCU では入院判定会議が設置されているものの,入院の優先順位を決める明確な基準を公表している施設はない.今回,当科では独自の「緩和病棟入院チェックリスト」を作成し,入院の必要性をスコア化して入院判定に利用した.2013 年度は年間51 回の入院判定会議を開催し,延べ403 例(1 回平均7.9 例)の判定を行い入院の優先順位を決定した.2013 年度の実際の入院患者数は187名(平均在院日数は31.6 日)と少なく,優先順位による判定が必要であった.
著者
石井 亮登 森田 ひろみ
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1784-1793, 2013-06-15

スクロール表示は,狭い領域に多量の情報を提示するために用いられる.本論文では,横書きの文章が下から上へと流れる縦スクロール表示について,その基本的な読み特性を調べることにより,携帯端末などのデザインに資することを目的とする.実験1ではスクロール表示の読みの基本的評価指標の1つとされる快適速度(読み手が快適に読めると感じる速度)と,移動単位(スクロールする際に1度に移動する距離,ここでは1ピクセルまたは1行)や表示枠サイズ(表示行数および1行内の表示文字数)の関係を調べた.その結果,移動単位が1ピクセルの条件の方が快適速度が速いこと,また表示行数および表示文字数の増加にともない快適速度が速くなること,表示枠内の広さが同じであれば,行数を犠牲にして行内の文字数を多くとる方が快適速度が速くなることが示された.実験2では,読み最中の眼球運動を測定した結果,移動単位により読み方が異なることが分かった.ピクセル単位のスクロール表示を読む場合は,1行を読み終えたら速やかに次の行の行頭に視線移動するのに対し,行単位のスクロール表示を読む場合,1行を読み終えてもそのまま行末で行送りを待つ読み方をする.また,移動単位によらず読み手は表示枠内の最下行に視線を向けて読むことが多いことが分かった.結果から,移動単位により異なる縦スクロール表示の読みモデルを提案する.
著者
井土 ひろみ 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.89-99, 2007

【目的】TPBの枠組みを用い, 中学生における菓子の過食行動に関する心理社会学的要因を検討し, 菓子類の摂取に関する新たな栄養教育の方法を提案する.<BR>【方法】2005年5月下旬から7月末, 東京都内の8つの公立中学校の生徒1, 936人を対象に, 横断的質問紙調査を実施した.質問紙の内容は, 態度, 主観的規範, 行動コントロール感, 行動意図, 行動, 食べ過ぎないための対処法等の項目であった.<BR>【結果】1, 796人から回答を得た (回収率93%) .菓子をよく食べ過ぎる生徒はそうでない生徒に比べ不定愁訴が多かった.TPBに基づく重回帰分析は, 男女ともに態度が行動意図に与える影響が最も大きかった (男子: β=.44, 女子: β=.34) .態度の項目別得点では男女で違いがみられ, 男子の1位は「お金がかかること」, 女子は「太ること」であった.行動コントロール感が高い生徒は, 対処法をよく実施していた.<BR>【考察】心理社会学的要因には性別による違いがいくつかの項目において確認されたことから, 男女の違いを考慮した栄養教育のプログラムの必要性が示唆された.また, 従来の栄養教育は知識伝達型のものが多かったが, 本研究からは, 菓子の過食を防ぐためのスキル教育が提案できた.
著者
宮下 ひろみ
出版者
仙台白百合女子大学
雑誌
仙台白百合女子大学紀要 (ISSN:13427350)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.117-123, 2002-01-31
被引用文献数
1

若年女性の調理可能なレパートリー調査をしていく過程において,比較的調理経験の浅い対象者にとって,料理の「できる」「できない」という実態または判断にはどんな要素がどのように関与するものなのか,検討の余地が残されている。ここでは,料理の難易度はどのような要因に起因するのか,難易度の基準となるものはどのようなことなのかを探ることを目的として,これまで調査票に取りあげた34種のうちご飯物の6品の料理についてその食材数と調理過程を詳しく分析することを試みた。結果はご飯ものの場合,食材数は赤飯の5食品を除き,おおよそ10食品前後が使用されていた。食材の数と調理操作数をみると,ちらし寿司のように食材の数,調理操作数共に多い料理もあれば,赤飯のように食材数が少なくても調理操作数が比較的多い料理もみられた。調理操作数が同じ29のチャーハンと赤飯でも学生の調理可能者数の割合には大きな差がみられた。今後の課題として,調理過程の分析にはそのもととなる調理過程を設定するにあたり,家電調理器の普及や市販のインスタント調味料類や加工品の使用状況を把握したり,共存する調理法を標準化していく必要がある。