著者
山崎 俊彦 アンドリュー ギャラガー ツーハン チェン 相澤 清晴
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J97-D, no.9, pp.1437-1444, 2014-09-01

近年,SNSにアップロードされた大量のジオタグ(位置情報)を用いた処理が盛んに研究されている.旅行推薦はその代表的なものであり,特に都市内旅行推薦の研究が数多く進められてきた.都市内推薦とは,ある都市で旅行しているとき,その時点までの旅行履歴を元に今後の訪問地を推薦するものである.これまで,トピックモデルを用いた推薦や年齢・性別・人種などの属性に応じた推薦などが提案されている.本論文では,季節・時間帯を考慮にいれた都市内旅行推薦方式を提案する.推薦では,ベイズの定理を用いて季節と時間帯による旅行ルートの人気の違いを表現し,マルコフモデルに組み入れることにより高精度な推薦を実現する.ベイズの定理に基づく旅行推薦手法は,これまでも幾つか提案されており,本手法はそれらの手法と組み合わせて用いることが原理的に可能である.提案手法の妥当性は,世界21の都市・公園で撮られた620万枚のジオタグ付き写真を用いた実験により確認した.
著者
翁長 麻美子 井山 淳 上田 敏之 荒木 敏弘 キュリエ ピエール デュモン アレキサンダー ルー チェンフェイ 井上 雅夫
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.699-704, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
10

3次元要素によるスポット打点のモデル化は,破断現象を高い精度で再現することが可能だが,その計算コストのため車両開発への適用は困難であった.本報は,高精度スポットモデルの車両開発への適用を目的に,要素数合理化と自動生成手法の開発を行い,車両衝突CAEの破断現象再現性について述べるものである.
著者
大野 敏 チェン スイ・イー
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.27, no.67, pp.1524-1529, 2021-10-20 (Released:2021-10-20)
参考文献数
1

The butai (chapel) and gohai (porch) of the main hall of Fudōji temple in Shiga prefecture was preserved during the restoration of the main hall in 1933. This paper describes the installation and evolution of the butai and gohai as an expansion of the main hall by studying the munafudas (ridgepole plagues) of the main hall and archives on the restoration of the main hall. It is believed that the butai and gohai were installed between the 1660s and 1750s and went through multiple modifications in 1770, 1809 and 1933.
著者
柑本 敦子 伊東 輝夫 内田 和幸 チェンバーズ ジェームズ 小島 一優 椎 宏樹
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.30-35, 2022 (Released:2022-12-21)
参考文献数
25

去勢雄の雑種猫が、喉頭尾側の気管腫瘤により急性の呼吸困難を示した。気管切開術による減量によって呼吸状態は速やかに改善し、患猫はその日に帰宅した。摘出した腫瘤は病理組織検査、免疫染色、遺伝子検査からび漫性大細胞B細胞性リンパ腫と診断された。細胞診に基づき手術当日からCOP療法を16回(5サイクル)、続いてドキソルビシン治療を4回実施して治療を終了した。術後958日を過ぎた現在も再発することなく生存中である。
著者
辻 瑞樹 松浦 健二 秋野 順治 立田 晴記 土畑 重人 下地 博之 菊地 友則 ヤン チンチェン 五箇 公一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

生物学的侵略機構の研究には自然分布域と侵入域の比較が不可欠である。日本ではあまり知られていないが、近年北米で日本由来の複数の外来アリ種による環境被害が広がっている。しかし皮肉にもこれは日本の研究者にとって居ながらにして侵略アリの自然個体群情報を収集できる絶好の機会である。そこで、本研究では侵略的外来昆虫研究の日米のエキスパートが協力し、これら日本からの侵入者の生態・行動・遺伝情報を侵入先と自然分布域である日本国内で徹底比較する。さらに広大な国土を持つ米国で日本では不可能な野外実験を行う。既存の諸学説を整理しながら網羅的にテストすることで外来アリの侵略機構に関する一般論を導く。以上の目的で研究を始めたが、初年度冒頭に代表者の不測の病気が発覚し研究が遅延した。そこで、2年度目以降は遅れを取り戻すべく主として以下の研究を鋭意進めている。まず、米国側のカウンターパートと協力し、オオハリアリ、アメイロアリ、トビイロシワアリの各国個体群の基礎データを収集した。とくにトビイロロシワアリの炭化水素データを重点的に収集した。また多数外来アリが分布する沖縄では外来アリと在来アリの比較研究を室内および野外で進め、外来種を含むアリには採餌機能に関する複雑なトレードオフが存在することを立証した。また、日米比較の最大の成果として、オオハリアリが侵入前の原産地である日本国内においても侵略先の米国個体群と同様に、高度な巣内近親交配を行なっていることを明らかにし国際誌に発表した。これは近親交配耐性が侵略の前適応であることを示した世界初の成果である。また、テキサスのフィールドに研究代表者が研究室の学生らとともに訪問し実験のプロットを設置しており、2017年夏に2度襲来したハリケーンのため野外プロットが水没した遅れを取り戻すべく鋭意研究を進めている。H30年度にはプロットを再設置した。
著者
蟻川 奈緒子 チェンバーズ ジェームズ 林 幸太郎 内田 和幸 苅谷 卓郎
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.77-82, 2018 (Released:2018-06-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

メルケル細胞癌を含む多発性皮膚腫瘍が発生した15歳齢の猫の臨床転帰および病理所見について報告する。腰背部に皮膚腫瘤を認め,病理組織検査からリンパ節転移を伴うメルケル細胞癌と診断した。背部にも多発性皮膚病変を認め,病理組織学的にボーエン様表皮内癌,基底細胞癌,および皮膚肥満細胞腫と診断した。第154病日に斃死し,病理解剖にて骨盤腔内にメルケル細胞癌の浸潤病変を確認した。本論文では,他の複数の皮膚腫瘍との併発がみられた猫のメルケル細胞癌の病理解剖および組織検査所見の詳細を述べる。
著者
村上 存 リュウ メイ チェン 柳澤 秀吉
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.126, 2006

アフォーダンスとは,事物をどのように使うことができるかを決定する最も基礎的な特徴であり,人間に対してその事物をどう使えばよいかの手がかりを与える.一方,機械設計やCADの分野では,フィーチャという概念が用いられている.フィーチャは,ある条件を満たすように人工物を設計したり,ある観点(機能,加工法など)に基づき人工物を分析することに使用される.本研究の目的は,人工物の設計,デザインに関係するアフォーダンスを発現する属性のまとまりをアフォーダンス・フィーチャとして定式化することである.人がある形状や構造を見てどう操作しようと思うかの要因の一つとして,様々な形状,構造について過去に経験,見聞した物理現象を仮定する(曲げようとして曲がった,曲がらなかった,細い枝は風でたわむが太い枝はたわまない,等).そこで本研究ではまず,形状のさまざまな属性と,人間がその形状を見てどのように操作しようと思うかの関係を,実験,アンケートにより抽出する.さらに,その関係の理由を物理現象で説明することを試みる.
著者
相馬 秀廣 山内 和也 山藤 正敏 安倍 雅史 バレンティナ サンコバ ヴァレリー コルチェンコ 窪田 順平 渡辺 三津子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

<b>はじめに:</b>天山山脈西部北麓には,オアシスを連ね唐代には「天山北路」が通り,北方にはカザフ草原が広がる.ヌリアン(2009)によれば,アクベシム遺跡は,紀元5-6世紀にソグド人による建設後,交易の発達により繁栄し,7世紀には西突厥の中心地として玄奘も滞在し,657年以降は断続的に唐,西突厥,吐蕃の支配下に置かれ, 682年の唐の「杜懐寶石碑」が出土している.「タラス河畔の戦い」の後も、カルルク、カラハン朝の中心的な都城址として13世紀初頭まで居住されたとされ,仏教寺院,ネストリウス派キリスト教会などの遺跡も複数存在する. 考古発掘により,アクベシム遺跡の概要は大まかには判明しているものの,何故この場所に同遺跡が建設されたか,南東部のラバドの性格など,基本的な点で未解決な部分も少なくない.また,同遺跡からおおよそ25km圏(アクベッシム遺跡地区)内には,数多くの遺跡の存在が知られているものの,それらの立地条件については,必ずしも明らかではない.そこで,発表では,高解像度衛星画像・同写真の判読と現地調査結果により,各遺跡の立地条件などについて報告する.本研究は,1967年撮影のCorona衛星写真(地上解像度約3m. Corona)および2007年観測のQuickBird衛星画像(同約0.6m)などによる衛星考古地理学的手法を用いた.<b>アクベシム遺跡地区の囲郭遺跡の立地条件</b>:当地区の囲郭遺跡の立地条件は, a)段丘面上端,b)段丘面上(一辺が数10mの小規模囲郭),c)扇端(アクベシム遺跡),d)沖積低地(ブラナ遺跡)に区分される.aは一辺の長さが100mオーダーで囲郭の一部に段丘崖を利用し,幅数から10mの空堀を周囲に巡らせており,防御に重点がおかれた可能性が高い.同様な囲郭址がイシク湖南岸にも存在する.bは烽火台である. アクベシム遺跡は,東西両側を南からチュー川に延びる2つの大きな開析扇状地扇端付近のほぼ合流部に位置する.当地区の遺跡の中では地下水を最も得やすく,また,両側からの河川氾濫に対して最も被害を受けにくい立地にある.ブラナ遺跡は,アクベシム遺跡の後,当地区の中心だったとされる囲郭であるが,アクベシム遺跡両側の扇状地の間を流下する小河川の沖積低地に立地する.以上の点から,アクベシム遺跡は,当地区において,中心となるのに最も望ましい立地にあることが判明した.
著者
ジンチェンコ アナトーリ 竹田 裕哉 三品 太志 村田 静昭 陳 寧
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-23, 2016

大学の教育研究活動に伴って生じる廃棄物の削減と再利用・資源化を進めるために、2009年度から2012年度の4年間に、名古屋大学から不要試薬として排出処分された化学物質廃棄物中に含まれていた貴金属またはレアメタルからなる未使用化学物質の実体について、排出記録と回収現場の調査に基づき研究した。明らかになった名古屋大学の現状を基に、有害物質の分別、リユースを基本とした化学物質廃棄物の削減と有効利用、研究費の無駄使いにつながる試薬購入の問題点について考察した。さらに、改善方法の例として化学物質ストック情報の共有、希少元素ライブラリーの創設、有価物としての売却について提案した。
著者
柑本 敦子 伊東 輝夫 内田 和幸 チェンバーズ ジェームズ 椎 宏樹
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.9-13, 2017

8 歳、避妊雌のジャック・ラッセル・テリアに急性細菌性腹膜炎が認められた。開腹手術で空腸に2つの穿孔部位が見つかり、それぞれを切除し、病理組織検査と免疫染色から組織球性肉腫と診断された。術後は順調に回復し、カルボプラチンの投与を7回行い、術後185日目の慢性下痢による死亡時まで穿孔性腹膜炎や腫瘤の再発はみられなかった。本症例は犬の小腸原発組織球性肉腫の最初の報告例であるが、本腫瘍では小病巣でも自然穿孔が生じる可能性があり、それに対しては手術切除が有効であることが示唆された。
著者
工藤 彰 岡田 猛 ドミニク チェン
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.573-590, 2015

The purpose of this study is to investigate the writing style and revision process of<br>a contemporary fiction writer from a cognitive science perspective. We focus on the<br> work of Mishima Prize winning author, Otaro Maijo. Using Type Trace, a text editor<br> devised by Dividual Inc., as an analysis tool for observing the writing process, we con-<br>sider features that have not been detected by creative experiment, protocol analysis or<br> manuscript research. Based on observations of Maijo's writing process, firstly revisions<br> are categorized as additions, deletions, substitutions, distributions, or consolidations.<br> Secondly, revisions are further classified as "revisions at a generative point", "revisions<br> in a generative sentence", "revisions in a generative paragraph", or "revisions beyond<br> the generative paragraph", according to the remoteness of the revision from the point<br> of composition. The results reveal that revisions such as the substitution of words and<br> adjustments in sentence length were mostly performed together with text generation.<br> All revisions that were made after an interlude took the form of revisions far removed<br> from sentence generation. We find that Maijo's writing style tends to be maintained<br> for several weeks to months and then changes substantially.