著者
中川 裕美 横田 晋大 中西 大輔
出版者
The Japanese Society of Social Psychology
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.153-163, 2015

In this study, we tested the theoretical validity of both Social Identity Theory (SIT) and the Bounded Generalized Reciprocity Hypothesis (BGR) for explaining in-group cooperation in real social groups. While most previous investigation on real social groups has found support for SIT, confirmatory evidence for BGR remains limited. We conducted a vignette experiment in which reciprocity was manipulated by controlling knowledge of group membership. The participants were 117 undergraduate students who were baseball fans. To control expectation of reciprocity in the experiment, we asked participants to imagine scenarios where they helped others who wore either the same baseball team T-shirts as they did or plain T-shirts. Consistent with BGR, participants tend to cooperate with in-group members when both they and their partner knew that they might be supporters of the same team. On the other hand, participants showed in-group cooperation even when only they knew their partner's group membership. This finding coincided with SIT. These results thus further verified the theoretical validity of both SIT and BGR in real social groups.
著者
中川 裕志 佐藤 一誠
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

プライバシー保護データマイニングのひとつである差分プライバシーは有望な方法であるが、データベースのレコード間に相関がある場合の分析があまり進んでいなかった。本研究では、相関がある場合に従来の差分プライバシーを適用した場合、データ入手を狙う攻撃者が相関に関する背景知識を少なく持っているほうが、流出する情報が大きいという直感に反する状況を明らかにし、この状況を改善するために背景知識も考慮したベイズ型差分プライバシーの数理モデルを確立した。この数理モデルにおいて情報漏洩の確率を与えられた閾値以下にする加算すべきラプラス雑音のパラメタを求める近似的アルゴリズムを示した。
著者
簗瀬 拓弥 増田 英孝 山田 剛一 荒牧 英治 中川 裕志
雑誌
研究報告情報基礎とアクセス技術(IFAT)
巻号頁・発行日
vol.2013-IFAT-110, no.1, pp.1-6, 2013-02-21

本研究では電車の運行状況をリアルタイムに一般の Twitter のユーザのツイートから取得することを目的とする.対象として常磐線をキーワードとして含むパブリックタイムライン上のツイートを半年分収集した.このデータを用いて単位時間あたりのバースト数を元に定常時と異常時を判別し,通知を行うシステムを試作した.また,遅延や運転見合わせ時のユーザのツイートの特徴の分析を行った.
著者
滝澤 修 松本 勉 中川 裕志 村瀬 一郎 牧野 京子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.1977-1979, 2004-08-15
参考文献数
1
被引用文献数
1

プライバシ保護などに利用できるステガノグラフィ(秘匿通信)は,情報の埋め込み媒体が持つ情報の冗長性を利用するため,画像や音響信号など冗長度の高い媒体について多く提案されてきた.本論文では,ディジタルドキュメントを埋め込み媒体とし,文書内に挿入された改行コードの位置を秘匿情報とするテキストステガノグラフィを提案する.提案手法はドキュメントのレイアウト情報を利用しないため,電子メールのようなプレーンテキストに対しても秘匿情報の埋め込みが可能で,文字通信においてプライバシを保つ手段として利用できる.In the usual steganography applied to digital documents, secret messages are embedded in the layout information (e.g., the space between lines or characters) because character codes have no redundancy. This paper proposes a new method for hiding information in plain text without using any layout information. It enables a secret message to be embedded as binary digits that are related to the number of characters in each line of the cover text.
著者
中川 裕
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.32-41, 1993

アイヌ文学中の「散文説話」と呼ばれるジャンルはさらに四つに分けられ、その中心となるのは「人間の散文説話」であるが、日本をふくむ他民族の伝承と関係づけられるものは「和人の散文説話」と「パナンペ・ペナンペ譚」に集中する。これは、前者において主人公の人称が四人称であるのに対し、後者が三人称であることと密接に関係する。それを立証する過程で、アイヌ文学における「一人称叙述体」という定説化した概念を再検討する。
著者
赤澤 陽一 上山 浩也 永原 章仁 中川 裕太 松本 紘平 稲見 義宏 松本 健史 今 一義 八尾 隆史 渡辺 純夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.1968-1975, 2014-10-05 (Released:2014-10-05)
参考文献数
22

66歳女性.上部消化管内視鏡で体上部後壁に17 mm大の胃粘膜下腫瘍(SMT)を認め,PET-CTで体下部大弯に別病変として30 mm大のFDGの集積を認めた.CT gastrography(CTG)では上記検査で指摘し得なかった8 mm大のSMTをさらに診断できた.病理組織診断ではGIST,神経鞘腫,壊死組織とそれぞれ異なる組織像であった.CTGが胃SMT診断に有用であった貴重な症例であったため報告する.
著者
中川 裕志 角野 為耶
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.12, pp.1-6, 2013-11-14

ビッグデータ利用において個人特定をできることがプライバシー保護の観点から問題であることが指摘され,プライバシー保護データマイニングの分野で匿名化手法の研究が進んできた.一方,個人が自分自身と直接関係しない情報で否定的な事情を疑われること,すなわち濡れ衣の被疑はこれまでプライバシー保護データマイニング分野では見過ごされてきた問題である.本研究では,このような問題意識から特定の事象と無関係な人にその事象に関する疑いがかかる濡れ衣現象を誘発する構造を明らかにし,対策を検討する.Identifying person in using the Big Data is problematic in privacy protection, resulting in the advancement of anonymization methods for privacy preserving data mining. On the other hand, a person is misleadingly suspected as a bad guy due to the information which actually has nothing to do with him/her. This is so called false light which we have not paid enough attention so far. In this report, we identify the mechanism which generates false light and also propose one of countermeasure.
著者
小宮山 純平 本多 淳也 鹿島 久嗣 中川 裕志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-103, no.14, pp.1-8, 2015-06-16

バンディット問題 (multi-armed bandit problem) は,情報の活用と探索の間のトレードオフをモデル化した問題である.バンディット問題にはいくつかの亜種があるが,そのうち比較バンデイット問題 (dueling bandit problem) と呼ばれるものは,一対比較によるフィードバックを用いて最適化を行う.比較バンディット問題の枠組みを用いることによって,検索エンジンのランキング手法の比較や,人間の選好抽出の問題に対して,効率的な最適化を行うことができる.本研究では,比較バンディット問題における理論的な性能限界およびそれを達成するアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,経験尤度を用いた通常のバンディット問題におけるアルゴリズム (本多,竹村,2010) の比較バンデイット問題への拡張である.提案手法を評価するため,検索エンジンの実データにおけるランキング手法の比較や,寿司データセット (神嶌,2003) などによる人間の選好抽出における性能を既存手法と比較する.
著者
中川 裕太 河野 恭之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.10, pp.1-7, 2015-01-07

本研究は手持ちカメラを撮影者自身に向けて撮影した "自撮り" 動画像から人物領域を推定して抽出する手法を提案する.撮影者自身と背景を写せる自撮りは手軽に自身の体験や状況を他者と共有できる.しかし一般的な自撮りではレンズと撮影者の距離が腕の長さに制限されてしまうため,どれも背景が広く写らない自撮り特有の構図になってしまう.そこで本研究では自撮り動画像から人物領域だけを自動で抽出し,加工や修正,または合成用素材に利用しやすい状態にして編集することで自撮り特有の構図に縛られない自由な自撮り写真の作成に活用するための人物領域抽出手法を提案する.自撮り動画像はカメラを持った腕を前方に伸ばして撮影者自身が写り込むようにし,カメラは撮影者自身に向けたまま身体が中心軸になるように体を回転させて撮影する.撮影者自身はフレームのほぼ中央に写り込み続けてあまり時間軸に対して変動しない人物領域となるが,その周囲の背景領域ではフレーム内に写り込む背景が時間軸に対して大きく変動する.また撮影者の背面に隠れて写り込まなかった背景空間がカメラの回転移動により背景領域に写り込むため,前景である人物領域とその背面に隠れていた背景の差分を検出できる.これら背景領域と人物領域の特徴に着目して各領域を推定し,推定結果を基に GrabCut アルゴリズムを利用して人物領域を抽出する.
著者
中川裕太 河野恭之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.8, pp.1-6, 2013-05-10

通常の自撮り写真ではカメラのレンズと撮影者自身との距離が最長でも腕の長さに制限されるため背景を広く写しこむことが難しい.自撮り写真の背景を広く映し込むことは写真の情報量を多くするだけではなく,1 枚の写真で撮影者自身の様子と周囲の状況を見栄え良く伝えられるため,SNS への投稿など体験の記録や共有に効果的である本研究では自撮り動画像から人物領域を抽出し,背景のみを繋ぎ合わせた背景パノラマ画像と人物のみの画像を生成して重ね合わせることで従来では撮影しづらかった背景が広く写った自撮り写真を生成する手法を提案する.自撮り動画像はカメラを持った腕を前方に伸ばして撮影者が写り込むようにし,カメラは撮影者自身に向けたまま身体が中心軸になるように腰を回転させて撮影するものとする.この撮影方法で得られた動画像中の背景領域は横軸方向へ変動するのに対し人物領域はほぼ変動しない.この変動の差異を動画像中の特徴点移動量と分割ブロックごとの輝度の時間軸変動から検出して人物領域を推定し,残りの背景領域を背景の移動量に合わせて重ね合わせた背景パノラマ画像に貼り合わせることで自撮りパノラマ写真を生成する.
著者
森 辰則 瀧野 弘幸 中川 裕志
出版者
言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.3-18, 1995-10

我々は,接続助詞「ので」による順接の複文と接続助詞「のに」による逆接の複文を対象とする理解システムを計算機上に構築することを目的とする.この際には,ゼロ代名詞の照応の解析が重要な問題となるが,文献(中川1994; Nakagawa and Nishizawa1994) にあるように,本論文で扱う形式の複文では動機保持者という語用論的役割を新たに定義し用いることにより,従属節と主節それぞれで設定される意味役割や語用論的役割の間の関係を制約として記述することができる.そこで,日本語の複文に対する形態素解析や構文解析の結果を素性構造で記述し,この結果に対して制約論理プログラミングの手法を用いることにより意味および語用論的役割間の制約を解消し,ゼロ代名詞照応などを分析する理解システムを計算機上に構築した.