著者
後藤 昌弘 岩田 惠美子 大久保 郁子 西中 未央 森 元幸 森 一幸 中尾 敬
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

北海道産5品種,長崎県産5品種2系統を用いて,化学成分分析,テクスチャー測定,官能検査を行い,品種による調理適性を明らかにすることを試みた。官能検査の総合評価から,北海道産ジャガイモの収穫直後では,「ピルカ」が揚げ加熱,「はるか」がゆで加熱に,貯蔵6ヵ月では「ピルカ」が電子レンジ加熱,「はるか」が揚げ,蒸し,電子レンジ加熱に,長崎県産春作の「西海31号」は電子レンジ加熱,「西海37号」は蒸し加熱,ゆで加熱,秋作では「アイユタカ」は揚げ加熱,「さんじゅう丸」は揚げ加熱,「西海31号」は電子レンジ加熱,「西海40号」は揚げ,電子レンジ,ゆで,焼き加熱に適していると考えられた。
著者
久保木 富房 野村 忍 熊野 宏昭 末松 弘行
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.107-113, 1996-02-01
被引用文献数
1 1

摂食障害における死亡率の検討は現在までにいくつか報告されている。欧米および本邦でのそれらの報告では1〜10%とあり, 多数例による報告では4%とほぼ一致している。当科の23年間の外来患者中の摂食障害患者は724名である。これら全例についてその予後を調べ, どれほどの患者がどのような状況, 状態で死亡しているのかを調べてみた。当科の外来カルテ, 台帳およびデータベース, さらに担当医への質問紙などより資料を集め, 724名中データの得られた434名について該当者のリストをつくり, それぞれ担当医に直接依頼して, 症例サマリーと以下の項目についての回答を得た。全症例の中で死亡を確認できた症例数は9例あり, 全例女性で, 死亡時の年齢は17〜48歳(平均28歳)であった。発症時年端は14〜21歳(平均17歳)で, ANのみの症例は4例, AN+BNの症例が5例であった。また, 死亡時の体重は17〜66kg(平均35kg)で, 肝障害が確認されていた症例が6例, 浮腫が4例.低K血症が5例, 低血糖発作が4例であった。そして, 死因としては衰弱死3例, 飛び降り自殺2例.服薬自殺未遂後の心不全1例, 突然死2例, 癌死1例であった。さらに心理社会的な面では, やせ願望(肥満恐怖)は全例に強く認められ, 自殺企図4例, 人格障害4例, 母子共生6例, 強迫性5例, Hy傾向3例であった。また, 治療者側の反省点としては以下のことが挙げられた。(1)AN3例(No.1,3,9)→衰弱死この3例に共通する治療者側の反省点は, 治療関係の確立と治療動機づけができなかったことである。No.9の症例においては父親の単身赴任によって母親の負担が増加し, 母親が治療者へ陰性の転移を強く示し, 治療上の問題点とされていた。(2)AN+BN2例(No.5.8)→飛び降り自殺不安定な精神状態への対応が十分でなかったこと, 慢性的なうつ状態に対する評価と対策がとれなかったこと, さらに自殺の予知と対応が不十分であったこと。(3)AN+BN(No.6), AN(No.7)→突然死身体状況の的確な評価ができなかったこと。(4)AN+BN(No.4)→薬物自殺→心不全bulimia症例とのつき合い方, 治療者と患者との距甦の問題, identity crisisや大学への不適応などの問題が十分扱えなかったこと。(5)AN+BN(No.2)→癌死引きこもり(schizoid)への対応が不十分であったこと。両親への対応が十分でなかったこと。摂食障害における死亡は最悪のことであり, 今後さらなる検討が必要と考える。また, 長期化しsocial abilityの低下している症例も多く, Garfinkelらは25%と報告しているが, これらの症例についての今後の検討も重要な問題と考えている。
著者
川合 南海子(久保南海子)
出版者
愛知淑徳大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

加齢にともない抑制機能は一様に低下するわけではない。本研究では、フランカー課題とサイモン課題の遂行における前頭前野の血流量の変化を近赤外線分光法(NIRS)で計測した。その結果、従来と同様にフランカー課題では加齢による違いはなかったが、サイモン課題では高齢者の反応時間は若齢者より有意に延長した。フランカー課題では高齢者でより脳活動が顕著であった。不一致条件が一致条件よりも有意に脳血流量が増加したのは、サイモン課題の前頭前野右背外側のみであったが、両年齢群間での違いはなかった。すなわち、若齢者と高齢者で脳血流に差がないときには、刺激―反応の抑制に加齢の効果がみられることが明らかになった。
著者
須田 年生 馬場 理也 石津 綾子 梅本 晃正 坂本 比呂志 田久保 圭誉
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

造血幹細胞ニッチと幹細胞動態の研究、ならびに幹細胞におけるDNA損傷反応に関する研究を展開し、しかるべき成果を得て論文発表すことができた。幹細胞ニッチに関する研究に関しては、Integrin avb3 が周囲の環境に応じて、サイトカインシグナルを増強することを通して、造血幹細胞の維持・分化を制御することを示した(EMBO J, 2017)。造血幹細胞の代謝に関連した研究では、造血幹細胞が分裂する直前に、細胞内カルシウムの上昇を通して、ミトコンドリアの機能が活性化することを見出した。さらに、造血幹細胞分裂直前の細胞内カルシウムが上昇をカルシウムチャネル阻害によって抑制すると、① 造血幹細胞の分裂が遅延すること、② 分裂後の幹細胞性の維持(自己複製分裂)に寄与することを示した。また、in vivo において、造血幹細胞周辺のMyeloid progenitor(lineage-Sca-1-c-kit+)細胞が細胞外アデノシンが造血幹細胞の細胞内カルシウムの上昇やミトコンドリア機能の制御に関与することも確認した。さらに興味深いことに、Myeloid progenitorは、上記の細胞外アデノシンによる造血幹細胞の与える影響を増強していることも見出している(JEM in Revision)。造血幹細胞におけるDNA 損傷反応における研究では、Shelterinと呼ばれるタンパク複合体の構成因子Pot1aが、造血幹細胞のDNA損傷の防止に加えて、活性酸素(ROS)の産生を抑制し、造血幹細胞の機能維持に寄与することを新たに明らかにした(Nat Commun, 2017)。
著者
鈴木秀夫 久保幸夫著
出版者
朝倉書店
巻号頁・発行日
1980
著者
久保 純子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究はインド東海岸ゴダバリ・クリシュナデルタの完新世(過去1万年)における形成過程の解明を目的として、インドのアンドラ大学の研究者の協力を得ながら、1)アンドラ大学で保管しているボーリングコア(試料)の分析、2)対象地域における平野地形の分布、3)対象地域に分布する遺跡と地形の関係、について調査をすすめた。その結果、ゴダバリ・クリシュナデルタについて初めて詳細な形成過程を示すことができ、また平野の地形分布図と遺跡の年代測定データなどを得ることができた。これらの成果をアンドラ大関係者らと2015年に国際第四紀研究連合(INQUA)大会で発表し、また国際誌Paleo-3で公表した。
著者
大後戸 一樹 久保 研二 木原 成一郎
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.23-33, 2013-10-31 (Released:2014-06-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1

This research aims to examine the motion information described by elementary school pupils after watching videos. Second graders and sixth graders of an elementary school were asked to describe in writing the techniques they observed in videos. We then compared the contents of the written observations of the two groups of graders. Subsequently, we discussed the written observations by classifying them into cases; case analysis revealed the following three points. (1) While e second graders tended to focus on the preparation for a technique, the sixth graders used many nouns signifying parts of the body, such as leg, hand, back, and head, in their written observations. (2) The sixth graders described the trunk of the body and legs and major phases of a technique. This indicates that the six graders tended to observe the moves essential for a technique. (3) Some sixth graders described leg movements using a spatial image and timing and time lag between movements. Although some second graders also produced similar descriptions, their descriptions were exceptions. Analysis of the description contents of the second graders revealed that they were not adequately competent to explain the movements of the trunk of the body and legs.
著者
常田 聡 日比谷 和明 久保田 昇 平田 彰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は小規模畜産農家でも導入できる小型で高効率な有機物・窒素除去システムの確立を目指し,単一槽内において窒素除去が可能なメンブレンエアレーション型バイオフィルムリアクタ(MABR)を開発し,その評価を行ったものである。1.生物膜内溶存酸素(DO)濃度分布解析先端径数μmのDO微小電極を作製し,生物膜内のDO濃度分布を測定した結果,生物膜厚みが大きいものは嫌気部位が存在することを明らかにした。この結果は生物膜厚みおよび酸素の供給速度を制御することにより,生物膜内に局所的に異なる反応場を創生することが可能で,単一槽内もしくは単一生物膜内において硝化・脱窒同時反応が起こせることを示唆している。2.MABRコンセプトの実現と処理能評価易分解性である生活模擬排水を用いて連続運転による有機物・窒素の同時除去試験を行い,MABRのコンセプトを実現できるかどうかを評価した。運転開始後50日目以降,有機炭素および窒素の除去率はともに90%以上を達成し,コンセプト通り単一槽内にて有機物・窒素を逐次的に除去することに成功した。3.MABRの畜産系排水への適用とその評価生活模擬排水への知見を応用し,MABRの畜産系排水への適用性について検討した。約1年間の長期運転で有機炭素および窒素成分の平均除去率96%,83%を得た。また,メンブレン表面積当たりの窒素除去速度は4.48g-N/(m^2・day)であり,生物膜内で高効率に窒素除去が行われていることを示した。生物膜内のDO濃度および微生物生態分布を解析した結果,生物膜内で好気・嫌気部位が存在し,その環境に応じた微生物群が生息していることを確認した。また,硝酸を経由しない亜硝酸型脱窒が主な窒素除去経路であることが推察された。以上より,MABRを用いることにより,窒素成分の比率が高い畜産系排水においても単一槽で高効率に窒素を除去できることが示唆された。