著者
尾下 豪人 渕田 比呂志 伊藤 徳明 妹尾 美里 磯山 正子 山本 祐太郎 由田 彩佳 大﨑 慶子 川﨑 広平 奥崎 健
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.26-31, 2019-03-20 (Released:2019-03-28)
参考文献数
20

目的:閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)のリスク評価における日本語版STOP-Bangテストの有用性を検証する.方法: OSASのスクリーニング目的でパルスオキシメトリー検査を受けた内科入院患者を後ろ向きに検討した.結果:受検者144人のうち,3%酸素飽和度低下指数≧10/hrの精査対象者57人に精密ポリグラフィ検査を施行し,17人を中等症,29人を重症のOSASと診断した.受信者動作特性曲線分析の結果,STOP-BangテストのBMIカットオフ値は従来の35 kg/m2よりも30 kg/m2にした場合に良好な診断能を示した.STOP-Bangテスト値3点以上を陽性とした場合,中等症―重症SASを検出する感度は95.7%,特異度は42.9%だった.結論: STOP-Bangテストは簡便にOSASリスクを評価できる.
著者
伊藤 徳也
出版者
東京大学連携研究機構ヒューマニティーズセンター
雑誌
Humanities Center Booklet (ISSN:24349852)
巻号頁・発行日
no.10, pp.39-67, 2021-05-10

日本と中国の文化交流には少なくとも千年以上の長い歴史があります。その うち、中国人が積極的に日本文学を翻訳しその作品を読んだのは、この百年余 りのことにすぎません。1980年代以降特に近年、日本文学作品は、膨大な量 が翻訳・紹介されていますが、これはかつてなかった空前の出来事です。今回 の講演で紹介する周作人(1885−1967)は、中国に今ほど日本文学の読者 がいなかった二十世紀前半に、最も積極的に日本文学の翻訳・紹介を行ったパ イオニア的な文人作家です。1925年に中国最初の日本文学の教育研究組織を 北京大学内に設置したのもこの周作人です。周作人は、日本文学の専門家とし てというより、中国の新文化運動の強力な推進者として、日本文学に注目しま した。今回の講演では近代中国の文化史になるべく目を配りながら、彼と日本 文学との関わりを概観してみたいと思います。
著者
中村 誠宏 寺田 千里 湯浅 浩喜 古田 雄一 高橋 裕樹 藤原 拓也 佐藤 厚子 孫田 敏 伊藤 徳彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.1816, 2019-11-08 (Released:2020-01-13)
参考文献数
17

北海道中川郡音威子府村から中川町を結ぶ全長 19.0 kmの一般国道 40号音威子府バイパスの建設が 2007年から始まっている。北海道大学中川研究林を通過する区間では、周辺地域のトドマツ及びミズナラ、シナノキ、オヒョウなどが生育する北方針広混交林生態系に対してより影響の少ない管理手法の開発が検討されている。 2010年より検討を開始し、翌年より施工手法や装置の開発、施工対象予定地での事前調査を行った。 2013年に試験施工を行い 2014年よりモニタリングを開始した。本研究では表土ブロック移植に注目して、 1)これまでより安価な表土ブロック移植の簡易工法の開発、 2)すき取り表土と比較して簡易表土ブロック工法が施工初期の草本層植生や土壌動物群集に与える影響、 3)それらの回復について 2014年と 2015年の 8月下旬に調査を行った。本工法では装置開発を最小限にして、一般的に用いられる建設機械を利用したことから、施工費が大幅に削減された。表土ブロック区では在来種の被度がより高かったが、すき取り土区では外来種の被度がより高かったため、植物全体の被度は処理間でそれ程大きな違いはなかった。ヒメジョオンのような 2年生草本の種数はすき取り土区でより多かったが、多年生草本と木本の種数は表土ブロック区でより多かったため、植物全体の種数は表土ブロック区でより多かった。さらに、移植元の植物相との類似度も表土ブロック区でより高くなった。一方、リター層も土壌層も土壌動物の個体数は表土ブロック区でより多く、種数も表土ブロック区でより高かった。リター層を除く土壌層のみ表土ブロック区において移植元の土壌動物相との類似度がより高くなった。本研究の結果から、開発した表土ブロック移植の簡易工法は植物と土壌動物に対して早期の回復効果を持つことが示された。
著者
赤沼 安夫 繁田 幸男 井村 裕夫 七里 元亮 垂井 清一郎 馬場 茂明 堀野 正治 兼子 俊男 三村 悟郎 清水 直容 内藤 周幸 中川 昌一 工藤 守 久保田 奉幸 阿部 祐五 王子 亘由 鍋谷 登 河原 啓 安東 千代 陣内 冨男 小坂 樹徳 後藤 由夫 葛谷 健 平田 幸正 伊藤 徳治 梶沼 宏 堀内 光 坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.9-18, 1984

ブタインスリンの化学的修飾によつて酵素学的畔合成されたHuman Momcomponent Insuliれの安全性, 有効性および免疫学的推移を精製ブタインスリンを対照薬剤とした二重盲検法にて検討した. 用いた製剤はいずれもActrapidおよびMonotard製剤である. 治験は96週間の予定にて実施進行中であるが, 今回は24週間まで投与し得ている症例を対象とした中間成績である. 対象は, 精製ブタインスリン製剤のみで治療されているType IおよびType II糖尿病患者153例であった. 解析は除外症例8例を除いた145例にて実施された.<BR>患者の年齢, 糖尿病病型, 肥満度, 糖尿病発症年齢, 糖尿病罹病期間および糖尿病性合併症など背景因子に明らかな偏りはなかった.<BR>全般改善度, 有用度とも精製ブタインスリン群の方で改善および有用と判定する傾向があった (0.05<p<0.1).<BR>インスリン1日用量, 空腹時血糖値およびヘモグロビンAiでは両薬剤群間に有意な差は認められなかった. 体重, 抗インスリンIgG抗体およびインスリン特異性IgE抗体でも両薬剤群間に差を認めなかった. インスリンアレルギーが治験開始1ヵ月頃に, リポアトロフィーが12週間頃に各1例ずつ認められたが, いずれも治験はそのまま継続し得た. これら以外に副作用は認めなかった. 臨床検査成績に治験薬剤によると思われる直接的な影響は認められなかった.<BR>以上より, Human Monocomponent Insulinは, 精製ブタインスリンとほぼ同様の安全性, 有用性を有しており, 糖尿病治療上, 有用なインスリンであると判断された. しかしながら両者間には作用特性に多少の差異がみられる可能性は残る. この点に関しては今後さらに検討される必要があろう.
著者
伊藤 徳政
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.732-736, 2009-09-01

地球環境変動観測ミッションGCOM(Global Change Observation Mission)は,宇宙から地球の環境変動を長期間にわたって,グローバルに観測することを目的としたプロジェクトである.GCOMは水循環変動観測衛星GCOM-W及び気候変動観測衛星GCOM-Cという二つの衛星を複数世代打ち上げて運用することで,太陽活動周期をカバーする10〜15年規模の長期継続観測を目指している.GCOM第1期の衛星GCOM-W1及びGCOM-C1は,それぞれ,高性能マイクロ波放射計2(AMSR2:Advanced Microwave Scanning Radiometer 2),多波長光学放射計(SGLI:Second-generation Global Imager)を搭載し,両者の併用により水循環変動・気候変動の解明に必要な幅広い地球物理量データを取得する.
著者
伊藤 徳正
出版者
愛知学院大学
雑誌
地域分析 : 愛知学院大学経営研究所々報 (ISSN:02859084)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.25-41, 2007-03-31

1928年に,実験物理学者のパーシー・ブリッジマンは,『現代物理学の論理』を発表し,操作主義を提唱した。操作主義とは,「概念の正当なる定義は,そのものの特性によるのではなく,実際の操作によるのである」というものである。この後,心理学や社会学,哲学など様々な分野に操作主義が応用された。ベドフォードは『利益決定論』で,利益概念の本質を明らかにするための方法論として,利益概念に操作主義を適用した。操作的概念は,企業の「経営活動」に適用され,企業の利益創出活動から利益計算をする会計の枠組みを提唱した。バッターは,『資金会計論』の中で,操作主義を取り入れて会計理論上の用語を定義し,会計報告の新たな理論を提唱した。マテシッチの『会計と分析的方法』での理論展開には,スティーヴンスの心理学における操作主義的展開の影響が見られる。プリンスは『会計理論の拡大』で,操作的アプローチは会計理論の現存実体の精細化に妥当な方法であるが,現行の構造を社会会計,政府会計及び管理会計を包括する一般理論に変えるには妥当ではないと批判している。ここで見た会計理論は,どれも学際的アプローチの流れの中で操作主義を取り入れたものであり,操作主義を取り入れることによって,新たな会計理論の構築が可能になった。
著者
伊藤 徳彦 高野 伸栄
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.75-85, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本研究では,道路整備事業の建設工事に伴う経済効果のうち,工事関係者の事業地域での日常生活支出に着眼し,高規格幹線道路事業トンネル工事をケーススタディに経済波及効果を推計し,推計プロセスの開発を行った.その結果,工事関係者88名の域内日常生活支出は年額1,756万円,一人あたり20万円であり,ガソリン・一般食料品・生鮮食料品の購入と自動車整備が支出全体の約70%を占める傾向とわかった.経済波及効果は2,933万円で,同年度我が国の名目経済成長率が1.1%のなか,過疎化高齢化とマイナス経済成長の懸念の地域で,域内生産額16,846百万円の0.17%増分に相当するものと推計した.産業別では,製造業・農業・商業運輸・自動車整備業等に効果が及ぶとわかり,結果,推計プロセスを開発できた.
著者
刈間 文俊 若林 正丈 村田 雄二郎 クリスティーン ラマール 生越 直樹 伊藤 徳也 代田 智明 瀬地山 角 高橋 満 古田 元夫 若林 正丈 黒住 真 代田 智明 深川 由紀子 生越 直樹 クリスティーン ラマール 高見澤 磨 楊 凱栄 谷垣 真理子 伊藤 徳也 瀬地山 角 田原 史起 有田 伸 岩月 純一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

中国では、漢字が、簡略化や教育によって、血肉化され、作家達も、前近代的なものを凝視し続けた.戦前の日中関係では、日本の漢学者と漢字紙が大きな役割を果たした.戦後韓国は、漢字を駆逐する一方、伝統的な同姓不婚制度を再構築させ、台湾は、漢字を簡略化せず、80 年代以降には、多文化主義的な社会統合理念を形成した.それに対して、中国大陸では今や、漢字文化からも消費文化からも疎遠な農村が、自律と国家による制御の間で揺れ動いている.本研究は以上を実証的に解明した.