著者
邓 士达 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.58-61, 2020-11-06

対戦ゲームにおいて,対戦相手の強さが適度であることは,楽しさを維持する上で重要であることは知られている.本研究では,動的に難易度を調整して適度な難易度を実現し楽しさを維持する格闘ゲームAI の実現を目指す.従来の研究から,モンテカルロ木探索(MCTS)を用いて強さを調整する手法は提案されているが,十分な強さを実現するものではなかった.一方で,MCTS の候補手の生成において,遺伝的アルゴリズムを用いることで,有用な候補手だけに絞ることで探索を効率化し,強さを実現する研究もある.ここでは,この2つの研究を結びつけたプロトタイプシステム(TestAI)を構築する.評価実験として,MCTS だけを利用する動的難易度調整システム(MCTS_DDA)とこのTestAI の性能の比較を行った.その結果,TestAI は人間の上級者レベルのプレイヤにも十分なレベルの強さを実現することができた.一方で,勝率を調べると,中級レベル以下の対戦相手には勝ちすぎてしまう可能性も示唆された.そこで,勝率を50%に近づけるために,攻撃の命中率も考慮した新たな難易度調整手法を考案した
著者
小坂 悠登 伊藤 毅志
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2019-GI-41, no.15, pp.1-7, 2019-03-01

本研究では従来チェスや将棋.オセロといった二人完全情報確定零和ゲームで行われてきたゲームAIを利用した棋力推定のアプローチを囲碁に応用する手法について検討した.他のゲームと囲碁AIの大きな違いはベースとなっているアルゴリズムがミニマックス探索ではなく,モンテカルロ木探索(MCTS)である点である.そのため,従来の手法で用いられてきたミニマックス探索でいうところの「評価値」の代わりに,本研究ではMCTSが導き出す局面評価に相当する概念である「勝率」という指標を用いることにした.棋譜の評価においては,MCTSのみ用いた囲碁プログラムと,Alpha Goの探索手法に倣ってDNN(Deep Neural Network)を用いた囲碁プラグラムの両者を用いて実験結果の比較検証を行った.さらに,これらの手法を合議で組み合わせることによって,さらに飛躍的に棋力推定の精度を高めることができた.
著者
内山 光太 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.SKL-22, pp.07, 2016-03-04 (Released:2021-08-31)

ジャグリングの3ボールカスケードを題材に、初心者7名を2週間に渡って練習をさせ、言語報告と動画の解析などにより、気付きや問題意識による身体知の獲得過程を詳細に調査した。
著者
伊藤 毅 岡 俊雄 高須 昭彦 中島 平太郎 林 謙二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.32-38, 1979-01-01

本稿は小特集"PCM録音"の一環として, 昭和53年8月18日機械振興会館で行った座談会を収録したものである.約2時間に亘る話の中から紙面の都合で半分以上を削ってここに掲載した.当日の話題の内容が失なわれないよう配慮したが, かなりの省略を行ったため, 座談の雰囲気および内容について意を充分尽くせない部分もあると思われる.ここに出席者の方々ならびに会員諸兄の御寛恕をお願いする次第です.
著者
木村 勇太 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1H1OS13a03, 2018 (Released:2018-07-30)

従来の人狼AIでは、役職の推定は製作者によりヒューリスティックに決められてきた.本研究では既存エージェントの推定部分に機械学習の一つであるSVR(Support Vector Regression)を導入しその有効性を検証した.その結果,中盤以降で従来の手法を上回る推定率を実現することが出来た.また,序盤では従来の手法,中盤以降では提案手法を用いるエージェントを構築することで,従来のエージェントを有意に上回る勝率を実現することが出来た.
著者
前川 篤志 伊藤 毅志 古郡 延治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.218-219, 1997-09-24

近年, 計算機の高速化, 記憶容量の大型化に伴い, 言語現象を経験的, 統計的に捉えようとする傾向にある。特に, 単語の意味的曖昧性の解消においては, 大規模コーパスから抽出した相互情報量, 機械可読の辞書やシソーラスをもとに, その文脈に沿った単語の意味を同定するという手法が主流となっている。しかし, 次々と新出単語や新出概念が現われる今日において, 既存の辞書やシソーラスに載っていない単語や概念が文脈中に現れることは, しばしば起こり得ることである。本研究では, 既存の辞書やシソーラスを使うことなく, コーパスのみから得られる情報をもとに, 文脈に沿った単語の意味を獲得する手法を提案する。例として動詞「開く」を用いて実験を行い, 得られた結果に考察を加えた。
著者
木村 幸一郎 伊藤 毅
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.60.2, pp.41-44, 1958-10-05 (Released:2017-08-30)

早稲田大学理工学部音響研究室に新しく造られた無響室及び残響室の音響特性がほぼ明らかになったので、ここに報告する。この音響測定室は、早大理工学部の建築学科及び電気通信学科の共同管理の下に、主として建築音響に関する測定を行う目的で建造されたものであつて、一つの隔壁を境とした残響室と無響室とから成り、隔壁には窓が設けられている。この測定室の附属設備は、デンマークのBruel & Kjaer会社製の音響測定装置一式より構成されており,その内容は次の通りである。[table]以上の設備によつて、建築材料の吸音率や透過損失は勿論、電気音響機器の特性測定、音場の騒音レベルの測定、消音器の音響減衰度の測定、送風ダクトの音響減衰度の測定等各種の音響測定が可能である。尚本測定装置の費用の一部は昭和31年度の文部省、私学設備助成金によるものである。
著者
柿沼 秀和 伊藤 毅志 古郡 廷治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.275-276, 1995-09-20

本稿の目的は,作文の添削システムを開発することである.作文の添削には多大の労力と時間を必要とする.形式的な間違いを指摘したり,訂正するだけでも,教師の負担は大きい.文章を書く能力の未発達な生徒は,作文上でいくつかの基本的な「誤り」をおかす.その誤りには,明白な「間違い表現」と,「不適切表現」とがある.教師は添削の過程で,前者の誤りは訂正し,後者の誤りは指摘した上で,書き換えを促すか,訂正案を示す.本稿で述べる作文添削システム,TENSAKUは,この教師の役目を果たすものである.
著者
伊藤 毅 渡辺 剛弘
出版者
Japan Wetland Society
雑誌
湿地研究 (ISSN:21854238)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.7-18, 2020 (Released:2020-08-10)
参考文献数
57

近年,過剰捕獲,人工孵化への過度な依存,産卵場所の減少により,サケの保全は危機的状況に置 かれている.サケは自然界の食物連鎖の中で湿原生態系を維持する役割を担うキーストーン種である 一方,人間社会においては,サケは生業としての漁業を成り立たせる重要な資源であり,両方の世界 の健全な将来のために必要不可欠な役割を担っている.本稿では,サケの保全に重要な役割を果たす 湿地に焦点を当て,特に,ラムサール条約で保護された日本最大の湿地である釧路湿原におけるサケ の自然産卵がいかに産業としてのサケ漁業と湿地の豊かな生態系の保全の両方に有用であるかを検証する.最初に,サケの自然産卵を通じた湿原生態系の保護が流域生態系にもたらすポジティブな影響を北米の事例を中心に取り上げ,次に,社会・生態システム分析を用いて,開発が進んだ明治から今日までの釧路地方の発展の歴史の中でサケと湿原を中心とした流域生態系がいかに変化してきたかを検証する.そこから明らかになったことは,林業,酪農,サケ増殖などの近代的産業が盛んになったため,人間社会とサケを中心とした流域環境の間で生態系サービスとスペースをめぐる競争が激しくなり,サケ捕獲のポイントは釧路川上流域から徐々に湿原の中心部そして河口域に移された結果,繊細かつ複雑に絡み合ったサケを中心とした流域生態系が崩れることになった.本稿は,人工孵化への過度な依存を見直し,自然産卵ができる環境とそれを促す社会システムを考えることで,釧路川流域の生態系の再生と地域社会の創生の両方につながることを提示する.
著者
杉山 卓弥 小幡 拓弥 斎藤 博昭 保木 邦仁 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2009論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, no.12, pp.59-65, 2009-11-06

コンピュータ将棋において,複数のクライアントの意見から1 つの指し手を選択する合議アルゴリズムが注目されている.非常にシンプルな手法ながら,この合議アルゴリズムによって,思考エンジンの性能改善が報告されている.本研究では,各クライアントの指し手に加えて,局面の優劣評価の値も利用する新しい合議法について報告する.正規乱数を用いて局面評価値を修正し生成された複数クライアントから,最大の評価値を付けたクライアントの意見を採用する楽観的合議法を提案し,その有効性と仕組みについて議論する.
著者
伊藤 毅彦 藤田 朝彦 細谷 和海
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.105-109, 2008-11-05 (Released:2012-11-05)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Samples of crucian carp with unusual morphology, collected from the Yufutsu Moor, Hokkaido, Japan, were identified as Carassius sp.on the basis of having uniserial pharyngeal teeth and barbels absent. Although the population differed from other Japanese congeners by having a larger head and shallower caudal peduncle, it also displayed some characters attributable to C. carassius, including a strong black cross bar on the caudal peduncle in young individuals, subterminal mouth and five dorsal unbranched rays, such characters corresponding to C. carassius morpha humilis sensu Breg (1964). All individuals were female triploids, but were clearly different from “Ginbuna”, the well-known Japanese triploid Carassius group, in morphological characters and body color. Although C. carassius has not yet been recorded from Hokkaido, it seems likely to have been one of the parental species resulting in this unique population.
著者
伊藤 毅志 保木 邦仁 西野 哲朗 棟方 渚 片寄 晴弘 池田 心
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ゲームにおける人間のミスに着目し、人間らしいミスを犯すゲームAIの構築を目指し、以下の研究成果を得た。1)ゲームにおける人間の犯すミスの原因に着目した分類。2)人間の生物学的成約を考慮したモデルを持ったゲームAIの構築。3)ゲームにおける技量を自動的に調整して良い勝負を演出できるゲームAIの提案と評価。4)人間の思考の特徴である「流れ」を持たせ、人間らしいプレイを実現するゲームAIの提案。これらの研究の成果は、人間と対戦するゲームAIに「強さ」という方向性以外の新しい評価基準をもたらし、多様なゲームAIの指針となると考えられる。