著者
大平 雅之 髙尾 昌樹 佐野 輝典 瀬川 和彦 富田 吉敏 佐藤 和貴郎 水澤 英洋
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.85, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
13

【要旨】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)では、さまざまな精神・神経症状が急性期症状の回復後、長期に持続し、新たに出現することが知られるようになり、神経症候についてはCOVID-19 後神経症候群(PCNS)と呼ばれることもある。国立精神・神経医療研究センターでは 2021 年6 月より後遺症外来を開設し、このような PCNS あるいは COVID-19 後遺症の患者さんを積極的に受け入れている。当院でも嗅覚障害、記憶障害、不安、うつ状態、疲労など多彩な症候がみられ、その治療は容易ではない。今後は神経内科医を含む複数の専門科が横断的に COVID-19 の長期症状の診療にかかわることが望ましい。
著者
槇 誠司 佐藤 和紀 板垣 翔大 齋藤 玲 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.045-048, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
7

情報化社会に向かう今日において,統計的リテラシーを身につけることがより重視されている.本研究では,グラフの傾向を読み取り,考察し,それを根拠にして示された事象について批判する能力(以下,グラフ解釈能力と呼ぶ)を短時間で児童に身につけさせるための学習を授業時間内で実施した.この学習は,児童がグラフ解釈を行った結果を100字以内でまとめ,それらの内容を隣同士で互いに話し合い,最後に全体に向けて発表するまでを10分間でおこなう学習活動である.グラフ解釈に関する短時間学習を14回実施した場合,クラス全体のグラフ解釈能力は7回目頃から向上する傾向にあることが示唆された.さらに,グラフ解釈に関する短時間学習を経験した児童は,これを経験しない児童と比較して,グラフ解釈に関するテストの得点が高いことが明らかとなり,本学習の効果が示唆された.
著者
佐藤 和夫 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 汐見 稔幸 宮本 みち子 折出 健二 杉田 聡 片岡 洋子 山田 綾 小玉 亮子 重松 克也
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

男女共同参画社会を形成するにあたって不可欠な課題と言うべき男性の社会化と暴力性の問題を、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国の研究と施策について、比較研究調査した上で、日本における男性の暴力予防のために必要な研究を行い、その可能性を学校教育から社会教育にまで広めて調査した。その上で、先進諸国における男性の暴力性の関する原理的問題を解明した。
著者
佐藤 和紀 三井 一希 手塚 和佳奈 若月 陸央 高橋 純 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.353-364, 2021-12-20 (Released:2022-03-18)
参考文献数
24
被引用文献数
2

GIGA スクール構想の標準仕様にしたがってICT 環境が整備され,1人1台の端末を活用している学級へのICT 活用に関する児童と教師への調査から,導入初期の児童によるICT 活用と教師の指導の特徴を検討した.その結果,児童は1人1台の情報端末を日々の活動の中で,さまざまなアプリケーションを組み合わせて活用しながらクラウド上でコミュニケーションを取っていたこと,教師は学校内の情報端末の活用については指導できるが,家庭学習については自治体のルールや情報モラルの観点から指導できていないことが特徴として挙げられた.
著者
荒川 詠美 三井 一希 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45066, (Released:2021-11-15)
参考文献数
10

本研究は,小学校高学年を対象に,複数の情報の読み取りが必要な調査問題を作成し,(1)正答率(2)問題や資料等を読む順序(3)新聞やフィクションを含む読書頻度について調査を行い,正答率と読む順序の関係性と,正答率と読書頻度の関係性の検討を行なった.その結果,(1)正答率と手順の比較では,正答の児童と誤答の児童の読む手順に大きな差はみられないこと,(2)出題した3問全てで正答の児童の方がフィクションを月に数回程度読んでおり,誤答の児童よりも読書頻度が有意に高かったことが示唆された.正誤による読む順序に大きな違いはないがフィクションの読書頻度が異なり,読み方に特徴があると示唆された.
著者
柴田 隆史 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.212-221, 2019-10-15 (Released:2020-12-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

教育の情報化に伴い,学校の教室でタブレット端末を利用する機会が増えている.教室でのタブレット端末の利用は,明るい室内環境の中で決められた自分の座席で用いるなどと日常生活での利用とは異なるため,学校での児童の利用について人間工学的視点により検討することは重要である.そこで本研究では,小学校でのタブレット端末利用における,児童が抱えるユーザビリティの問題と身体疲労に着目した検討を行った.本研究の目的は,児童のタブレット端末利用の実態を明らかにすることであり,そのために,小学校でタブレット端末を1年以上使用した小学1年から6年までの児童830名を対象として,タブレット端末の使いやすさと児童の身体的側面への影響に関するアンケート調査を実施した.その結果,児童の約57%がタブレット端末の画面に蛍光灯が映りこんで見にくいと感じていることや,3人に1人の児童が眼や首,肩などに身体疲労を感じていることが明らかになった.それにより,ICTを活用した学習環境の構築のためには,児童がタブレット端末を無理なく使える対策を講じる必要性が示唆された.
著者
佐藤 和代
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.556-559, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
参考文献数
3
著者
中川 哲 齋藤 玲 板垣 翔大 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.141-156, 2023-01-20 (Released:2023-02-01)
参考文献数
27

本研究では,テスト採点支援システムの利用経験を持つ初等中等教育の教員に対して,テスト採点業務の意識や実態に関するアンケート調査を行った.調査の結果,手採点との比較で,小学校,中学校・高等学校のいずれの学校種における教員においても,今後,採用したい採点手法としてシステム採点が選好された.調査結果の分析から,システム採点の作業面で,採点時間の削減と作業負担の軽減,採点全体の正確さの特性が明らかになった.また,学習指導面では,クラス全体の理解状況の把握についての特性が明らかになった.中学校・高等学校においては,教員自身の指導の振返りについての特性も見られた.一方,学習指導面において,システム採点を行った場合,学習者一人ひとりの理解状況の把握が難しくなるという課題が一部でみられた.この課題については,システム採点において,印刷後の紙の解答用紙を確認するなどの紙とデジタルを併用する解決策がみられた.
著者
伊藤 真紀 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.208-213, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究は,小学校4学年の児童が反転授業の予習に取り組む際に,情報端末を介した外的リソースを,選択・活用しているかの実態,および,活用することによる児童の授業への参加意識の実態を調査した.その結果,①教師がいない環境である家庭においても,自ら外的リソースを選択して予習に取り組む児童がいること,②他者参照や教師のコメントという外的リソースの活用が,児童の予習への取り組みに対して成果の向上や意欲の高まりにつながる可能性があること,③情報端末を介した外的リソースを活用して予習に取り組むことで,93.0%の児童が授業への参加意識に関して肯定的に捉えていることが示唆された.
著者
南條 優 金松 萌々花 若月 陸央 吉田 康祐 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.2, pp.214-221, 2023-07-21 (Released:2023-07-21)

本研究では,学習方法や学習形態を選択しながら学習している様子をイメージすることができるマルチアングル授業映像を,日常的に1人1台の情報端末を活用し学習の個性化に取り組もうとしている児童が視聴した際に,「学習の個性化」をイメージすることが可能であるかを,質問紙調査で評価を行い検討した.その結果,26名中23名の児童が「学習の個性化」をイメージできたと回答した.具体的には,自由記述で31件と最も多くみられた「学習方法」に関する気づきから,児童の情報収集の方法の違いなどをマルチアングルで確認することで,「学習の個性化」をイメージできた可能性が考えられた.
著者
佐藤 和喜
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.62-74, 1987-05-10 (Released:2017-08-01)

万葉から古今への変容において重要なのは、繰り返し表現が論理的な表現に改められていくことであり、これによって律調も五七調から七五調に転換していくと見ることができる。歌経標式はこの和歌史の変容に自覚的であったようであり、万葉的な五七調の歌に基づいて比喩論を展開するとともに、音韻論において、繰り返しを主な方法とする五七調の歌を否定的に捉え、論理的な表現をしている七五調の歌を称揚している。これは歌経標式が歌を記載されたものとして分析・鑑賞しているからであると言うことができる。
著者
荒浪 利昌 佐藤 和貴郎 山村 隆
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.13, 2009 (Released:2009-10-21)

熱ショック蛋白(HSP)は、温熱のみならず、生体に対する様々なストレスの際に誘導され、ストレス蛋白とも呼ばれる。その役割はストレスにより障害された蛋白を修復し、蛋白、細胞の恒常性を保つことにある。多発性硬化症(MS)は原因不明の中枢神経系慢性炎症性疾患であるが、Th1やTh17細胞が病態成立に重要な役割を果たす自己免疫疾患であると考えられている。近年MS病巣のマイクロアレイ解析において最も高発現する遺伝子としてaB-crystallin (CRYAB)が報告された。CRYABは、HSPファミリー蛋白であるが、通常は中枢神経系に発現は認められず、MS、アルツハイマー病、パーキンソン病などでその発現が誘導されると報告されていたが、詳細な機能は不明であった。今回我々はMS患者末梢血に認められるCD28陰性T細胞がCRYAB反応性T細胞を多く含むことを見出した。HSPの中にはToll-like receptors (TLR)に結合し、抗原提示細胞(APC)を活性化させる機能を有するものが報告されていたが、CRYABもAPCを刺激し、IL-6、TNF-a、IL-10、IL-12といった種々のサイトカイン産生を、MYD88非依存性に誘導することが判明した。CRYABはまた、T細胞からのIFN-γ産生を増加させた。CRYABによるIFN-γ産生促進機能に関与するサイトカインを解析したところ、IL-12ではなく、IL-27であることが判明した。IL-27はTh17細胞反応や過剰な慢性炎症を抑制する働きが報告されている。しかし、CD28陰性T細胞がCRYAB反応性にIFN-γを産生した場合、CRYABの免疫修飾作用が障害され、慢性炎症に繋がる可能性が考えられる。このようなCRYABの免疫修飾作用とCRYAB自己免疫が、MS病態形成に重要な役割を果たしていると考えられる。
著者
小倉 光明 佐藤 和紀 森下 孟 村松 浩幸
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46043, (Released:2022-10-17)
参考文献数
6

GIGA スクールプロジェクトに基づく情報端末の運用および活用に対する課題意識(以下,GIGAスクールP における課題意識)について,初期・中期・後期段階の質的変遷を把握した.その結果,小・中学校では初期,中期で運用と活用に関する課題意識が5割程度であり,後期から活用に関する課題意識が6〜7割程度に高まっていた.教育委員会では,中期から活用に関する課題意識が7割程度に高まっていた.運用に関する課題はネットワーク環境やセキュリティに関する内容も多く,教員での解決は難しい.このような内容を踏まえて,主体的・対話的で深い学びの実現に向けてGIGA スクールP における課題意識に合わせた支援が必要であると考えられる.
著者
佐藤 和夫
出版者
錦正社
雑誌
軍事史学 (ISSN:03868877)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.4-22, 2003-03
著者
中根 俊成 池田 徳典 佐藤 伸一 田村 直人 樋口 理 鈴木 隆二 坪井 洋人 伊原 栄吉 宋 文杰 川上 純 佐藤 和貴郎
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

自己免疫性自律神経節障害は自律神経系が免疫異常の標的となる比較的新しい疾患概念である.本症では抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体は病原性自己抗体として病態の鍵となる役割を果たす.自己免疫性自律神経節障害は自律神経系外の症候や膠原病などの併存,小児症例が存在する.こういった「多様性」が本症の診断しにくさ,難治化につながっている.本研究では1)自己抗体の病原性検証,2)病態モデル開発,3)小児症例,膠原病症例における臨床的特徴の解析,を遂行する.「複雑な病態と臨床像=多様性」への多角的アプローチが自己免疫性自律神経節障害の診断基準作成,治療ストラテジーの確立に貢献すると考えられる.