著者
亀井 昌代 佐藤 宏昭 上澤 梨紗 米本 清 小田島 葉子
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.308-314, 2021-08-30 (Released:2021-09-22)
参考文献数
14

要旨: 補聴器が音声を実質的にどれだけ増幅しているか測定する方法として2015年に JIS より「音声に近い試験信号による補聴器の信号処理特性の測定方法」が発行された。我々は, 4機種の補聴器に国際音声試験信号 (以下 ISTS) を提示したときの長時間平均音声スペクトル (以下 LTASS) やパーセンタイル音圧レベルを測定算出し, 種々の機能を on や off の条件で比較検討した。また, 難聴症例50例を対象として装用している補聴器の LTASS やパーセンタイル音圧レベルを測定しその結果と, 補聴器適合検査結果と比較検討した。一般的に補聴器の特性は機能を on と off の条件で同じであることが望ましいが, 本研究の結果では補聴器メーカによっては差がみられることがわかった。また難聴症例の中には, 補聴器適合検査結果と ISTS の測定結果との間に乖離のある症例もみられた。しかし, この測定方法 (分析方法) は補聴器を装用している条件で分析でき, その特性に会話音域が十分含まれているかの判断材料となると考えられた。
著者
坪山 幸王 佐藤 信治
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.511, pp.107-114, 1998-09-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

A tour-tracing study of aquarium visitors was conducted to explore the relationship between the exhibition tanks (including the exhibits themselves) placed in the observation room of aquariums and the act of observing them. The objective was to obtain some basic information regarding aspects of observation room design such as arrangement and number of exhibition tanks. Specifically: ・We believe that in order to maximize the number of people who can stop to observe in the aquarium, the optimal number of tanks should be limited to is about 30. If the number of tanks exceeds 40, the number of visitors who can stop to observe a tank the individual tanks decreases. ・Although some visitors viewed a single tank for as long as 1 minute, the viewing time for one tank is most commonly 2 to 5 seconds. ・In alcove-type observation rooms, the flow of visitors becomes disorganized and they take shortcuts, particularly when total observation time is short or when the room becomes crowed. And so on.
著者
増山 泰智 佐藤 考一
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.61, pp.1257-1262, 2019-10-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
33

This paper is a study on the imports of building materials and components in Japan. The followings are shown by analyzing both domestic statistics and Trade statistics: firstly, changes in the import quantity and rate of eighteen building materials and components from 1971 to 2016 are classified into four types. Second, the import rate of seven materials are higher than 10% nowadays. Third, the increase of the import rate has been basically caused by the globalization from the early 1990s, although the resource nationalism and the growth of Korean industry increased the import rate of same materials in 1980s.
著者
中川原 育子 谷口 陽子 佐藤 一郎 中村 俊夫 NAKAGAWARA Ikuko TANIGUCHI Yoko SATO Ichiro NAKAMURA Toshio
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.23, pp.127-137, 2012-03

The Kizil Grottoes, the largest Buddhist monastery complex in the Xinjian region of China, is decorated with wall paintings - the chronological dates of which are still under debate. This study aims to give some clarification regarding the chronological dates using AMS-14C dating of chaff tempers taken from the earthen renders of the wall paintings. l4C studies previously carried out by Chinese and German researchers had resulted in divergent dates often extending back hundreds of years earlier than hypothesized within the chronology of art history, which has created confusion. Six samples from six wall painting fragments (Caves 8 [III8425], 38 [III8700], 171 [III8793, III8891], 207[III9148b(d)], and 224[III8865(a)]) held in collections at the Museum für Asiatische Kunst in Berlin were taken and analysed with 14C-AMS at the Center of Chronological Research at Nagoya University in Japan. As reference, nine dating results analysed between 1995 and 1998 at Nagoya University were also shown in the list. Dates were obtained for only three out of the six samples: cal AD 128-216 [Cave 8], cal AD 255-306 and cal AD 312-34 [Cave 171], and 90-70 cal BC [Cave 224]; most of these extended back earlier than reference 14C data from the Chinese and German studies and far earlier than dates suggested by the timeline of art history. Even the Chinese and German reference dates derived in the past from 14C analysis often show varied dates occurring earlier than those represented in art history. This may indicate that old chaff was used in renders for the Kizil wall paintings probably as a form of re-use of old mud bricks, or that the chronology of art history must be drastically reconsidered, both of which would require further AMS-14C dating studies with careful and comprehensive sampling from well-documented contexts.名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
齋藤 健治 佐藤 菜穂子 井上 伸一
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集. 医学・健康科学・スポーツ科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:21875162)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-30, 2018

本研究の目的は,野球の打撃において投球コースに対応してバットがどのように動くか,バットスイングの軌跡を曲線の観点から分析することであった。実験参加者8名に,腰の高さに設定したティー台を目標にして,センター,イン,アウトの三つのコースに対応したスイングを行わせた。バット,ティー台,参加者身体等に貼付した反射マーカーの座標を,三次元動作解析装置を用いて計測した。得られた三次元座標値を補間,平滑化した後,バットトップとグリップエンドについて接線,主法線,従法線の三つのベクトル(動標構)を,さらに曲率,曲率半径,捩率,縮閉線を求めた。バットトップとグリップエンドの軌跡曲線の動標構から,スイングの特徴を観察することができた。また,曲率・曲率半径や捩率も振り出しからインパクトまでのバットの動きを分析する上で有用であった。曲率中心の軌跡,すなわち縮閉線は,同様にコースに対応したスイングの違いを示していたが,曲線形状が複雑でその特徴がつかみにくいため,今後のさらなる検討が必要であった。
著者
佐藤 園 平田 美智子 河原 浩子
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.138, no.1, pp.19-32, 2008-06-25

本報は,第7報で明らかにした岡山南高等学校「家庭総合」で試みられた"保育学習のまとめとして,学校のみで1日間実施された自分の誕生時の体重とは無関係なFBP"の課題(① FBPの位置づけ,② FBの体重,⑨質問項目,④ディスカッションのテーマと進め方,⑤ FBPによる人間関係理解の意味)を検討することを目的とした。そのため,課題②③④を第 7報と先行研究の結果から設定し直し,同校の商業科「家庭総合」で FBP実践を行った。その結果,①自分の誕生時の体重の FBを用いた方が,生徒の獲得認識,特に「自己認識」が高くなった。また,今回用いた⑨質問項目と④ディスカッションのテーマと進め方により,前回よりも,カテゴリー別の生徒の獲得認識が高くなり,最終的に生徒は「これから家族や保育についてもっと学ぶ必要がある」ことを認識していたことから,① FBPは保育学習の導入として位置づける方が適切であることが示唆された。しかし,課題⑤に関しては,心理学的手法を用いて FBPによる生徒の獲得認識を更に検討していかなければならないことが,今後の課題として把握された。
著者
佐藤 優也 前原 孝亮 上野 歩 中村 亮太 上林 憲行
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.937-938, 2015-03-17

近年,動画共有サイトにおいてユーザーが商品等を紹介する商品レビュー動画が人気を呼んでいる.本研究ではプレゼンターの訴求力を向上させることが可能な台本作成支援ツールを開発するために,商品レビューやビブリオバトル等のプレゼンテーション動画から適切な時間配分とポジティブ・ネガティブな発言の頻度について分析を行った.アンケート調査の結果,プレゼンターはツールを用いた方が台本を作成しやすいと回答した.また,本ツールを用いた場合と用いていない場合のプレゼンテーションを比較した結果,用いた場合の方が視聴者の満足度が高かった.以上のことから,プレゼンターの訴求力向上に貢献したと示唆された.
著者
白崎 将瑛 山田 雅輝 佐藤 力郎 柳沼 薫 熊倉 正昭 玉木 佳男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.240-245, 1979
被引用文献数
1 7

A series of field trapping of males of the peach fruit moths was conducted with synthetic pheromonal compounds, (<i>Z</i>)-7-eicosen-11-one (compound A) and (<i>Z</i>)-7-nonadecen-11-one (compound B), in apple and peach orchards in Aomori and Fukushima Prefectures. Polyethylene capsule and polyethylene cap were better than two different rubber septa as dispensers of synthetic pheromonal compounds A and B (20: 1 ratio) at the level of 0.1 to 0.3mg per dispenser, though no difference was observed at the level of 1.0 to 3.0mg per dispenser. Trap catch of male moths increased as the amount increases from 0.1 to 3.0mg per dispenser. Synergistic effect of compound B on trap catch was not observed, and compound A alone was enough as a bait for male peach fruit moths. Additions of (<i>E</i>)-isomers of compounds A and B, and (<i>Z</i>)-and (<i>E</i>)-7-alken-11-ones of carbon number 17, 18, 21, and 23 at the level upto 10% of 20: 1 mixture of compounds A and B showed no effect on the attractiveness.
著者
中村 吉治 佐藤 和彦
出版者
校倉書房
雑誌
歴史評論 (ISSN:03868907)
巻号頁・発行日
no.410, pp.p83-101, 1984-06
著者
佐藤 幸也
出版者
関東学院大学工学部教養学会
雑誌
科学/人間 (ISSN:02885387)
巻号頁・発行日
no.44, pp.85-114, 2015-03

21世紀に引き継ぐ日本の教育課題のひとつは、日本国憲法前文に示された「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という民主主義の成熟と国際平和の実現である。文部省が日本国憲法公布後の昭和22年8月に全国の中学生向け教科書用に発行した『あたらしい憲法の話』でも、この民主主義と国際平和の精神は高らかに謳われている。そのため、社会科教育が創設され、学習指導要領においても繰り返しその重要性が語られてきた。また、国民も相応の努力を重ねてきたと言っていいだろう。しかるに、冷戦の終結とパックス・アメリカーナを基本とするグローバリゼーションへの対応、中国の台頭などの国際情勢の変化と国内の産業構造の激変、具体的にはバブル崩壊後に顕著となった労働環境の劣悪化(ワーキング・プアなど)や世界トップクラスの格差拡大などによって、教育政策が一層国家主義的になってきた。これがいわゆる「近隣条項」を無視した歴史教科書の問題であり、それに関連する教科書採択の問題と道徳の教科化推進及強化につながっている。道徳教育の重要性は否定しない。ただし、アジアの人々は、道徳と歴史教育、歴史認識が不可分になっていることと、そこからどのような日本人像が浮上してくるのか、軍事、外交政策が展開されようとしているのかを危惧している。さらに、歴史修正主義とマスコミの自主規制というイデオロギーコントロールが加わっている。この結果、国内の国民生活と政治意識が萎縮し始めている。この一つの側面が国政選挙による無投票(主権行使の放棄)やヘイトスピーチである。なお、このヘイトスピーチは、国連「人種差別撤廃条約 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の第4条によると、「締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する」とされていることからも、近年日本国内で活発化しているヘイトスピーチは無視できないものであることが理解されよう。こうした社会的状況は、ともすれば「いつかきた道」に誘導されかねない危険性を持つ。そのことによって、災禍に遭遇しないとも限らないのである。経済成長神話がすでに崩壊しており、世界は次なる資本主義システムを模索している。ドイツのメルケル首相が脱原発、自然エネルギー産業のフロンティアに舵を切り、イスラム世界は産みの苦しみにあえいでいる。日本は、その勤勉さと控えめではあるが高い共感能力と誠実さを持ち、国際社会からも評価されてきた。それが、歴史修正主義や国家主義的教育が再燃していくことになれば、これまで積み上げてきた努力が水泡に帰しかねない。現在は、そうした岐路に立っている、と言えよう。本研究では、近現代日本の教育構造や教育課程編成原理とその社会的背景を捉え直し、国民統治、教化手段としての教育行政の継続が、国際理解と平和友好促進とは逆ベクトルの歴史認識と関係しており、ネオナショナリズムの危険性が拡大していることの問題性を考察した。
著者
鯉渕 幸生 小野澤 恵一 中村 格之 原本 英二 片山 浩之 古米 弘明 佐藤 愼司 岡安 章夫 磯部 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
no.52, pp.886-890, 2005
被引用文献数
4

お台場海浜公園周辺において, 栄養塩類, 大腸菌, アデノウイルスなど雨天時越流水起源物質の時空間変動過程を詳細に観測した. 微生物の変動傾向は, 栄養塩類のそれとは異なり, 大腸菌については数mmの降雨でも, 降雨後数日間にわたって遊泳には不適切な糞便汚染を疑わせるレベルとなった. これらの微生物は下水管路内の堆積物に存在していると考えられ, 降雨量よりも先行晴天日数により濃度が大きく変動する. 現在では, 糞便性大腸菌群数により感染リスクを評価しているが, 細菌類とウイルスの変動過程は異なるため, 今後はアデノウイルス等の観測結果を蓄積することが, 都市沿岸域での感染リスクを正しく評価するために望ましいと考えらえる.