著者
佐藤 大作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.134, no.2, pp.213-222, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
5 5

Circulating counterfeit medicines in the market is a public health threat. Counterfeit medicines become common problem, not only in developing countries, but also in industrialised countries, as internet has made them more accessible. In Japan, the recent survey on the medicines purchased through on-line pharmacy (targeting Japanese consumers) showed that the majority of erectile dysfunction (ED) medicines imported by individuals in Japan were counterfeit version. The survey of Japanese consumers, who privately imported medicines through on-line pharmacy, indicated that 16% of these consumers experienced adverse events associated with these products. Not only that it is just fake brand, but fake medicines may even cause health hazard. The counterfeit version of Avastin recently detected in the United States became a serious threat for those who desperately need these medicines for life-threatening disease. The Japanese regulatory authorities have provided risk information of counterfeit medicines to general public, as well as monitored on-line pharmacies and conducted enforcement action where necessary. However, more resources of compliance activity should be allocated to respond to the situation of growing threats of counterfeit medicines. Purchasing medicines from abroad through unauthorised channel is the major source of counterfeit medicines. It is essential to prevent circulation of counterfeit medicines through international collaboration of various regulatory authorities. To address these problems, the World Health Organization (WHO) has launched a new Member States Mechanism (MSM) to build network of the authorities. Also, INTERPOL (ICPO) initiated globally concerted enforcement actions (Operation Pangea) against pharmaceutical crime as well as built partnership with pharmaceutical industry to create Pharmaceutical Crime Programme. It is also necessary to prevent consumers encountering counterfeit medicines and to prevent health hazard. The Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW) has been actively involved in prevention and educational activities such as public awareness campaign. MHLW started anti-counterfeit medicines and new psychoactive substance project from February 2013, which centrally collects information about counterfeit medicines, in particular, and provides the risk information more effectively to the public. Japanese Government will work together with international community and contribute to combating counterfeiting through public and private partnership.
著者
安田 ゆかり 大津 佳子 柴田 雅子 佐藤 真由美 平山 薫 羽持 律子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.25-29, 2006 (Released:2006-07-11)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

発病を機に看護師を退職した患者は,死の言動,家族の希望の優先や元医療者として良い患者を演じるという言動が多く,社会的苦痛が強いために自分の思いを表出できていないと考えていた。しかし患者から手渡された愛用のナースピンをきっかけに,患者の言動がスピリチュアルペインを表出していると考えるようになった。そこで,患者の言動の意味を村田の終末期患者のスピリチュアルペインの3つの構造「時間存在」「関係存在」「自律存在」を通し,考察することで,患者が抱えていたスピリチュアルペインの構造を知ることとした。患者が家族の思いにこたえる,医療者と良好な関係を保つという社会的苦痛と捉えていた言動は,孤独になる不安や恐怖の回避,つまり「関係存在」のスピリチュアルペインであり,また愛用のナースピンを手渡すという行動はこれからも看護師であり続けたいという「時間存在」のスピリチュアルペインが多く混在していることがわかった。
著者
片山 夕香 吉池 信男 政安 静子 平野 孝則 佐藤 明子 稲山 貴代
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.482-491, 2011 (Released:2011-12-13)
参考文献数
12

本研究は、身体障害者施設成人入所者の栄養アセスメントに活用できる、性・年齢階級別のパーセンタイル値を含む身体計測値の基準データを提示することを目的とした。調査時点で正式登録のあった全国の身体障害者入所全施設(470 施設)に対し、年齢階級(30 歳代から50 歳代)、性、原疾患、日常生活自立度、身長、調査時点の体重、1 年前の体重、5 年前の体重のカルテ調査を依頼した。最終的に49 施設から1 , 217 名分の回答が得られ、調査内容に欠損のない1 , 059 名(男性597 名、女性462 名)を解析対象とした。日常生活自立度は、男性、女性ともに生活自立は10% に満たず、準寝たきりが約30%、寝たきりが約60% を占めた。調査時点での身長、体重データから、男性では過体重(BMI≧25 kg/m2)12%、低体重(BMI
著者
林 秀之 山本 克也 水馬 義輝 佐藤 英男 塩田 良子 野村 知未 北 和貴 彦田 星香 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】ダッチオーブンは,厚い鋳鉄製の鍋であり,屋外ではふたの上に炭火を乗せて上下から加熱調理する小型オーブンのような鍋である。屋内では炭火ではなくガスコンロの魚焼きグリルにダッチオーブンを入れることで高温加熱を行うことが可能であり,材料を入れるだけの簡単さからその調理方法への関心が高まっている。しかし,ガスダッチオーブンで調製した料理に関する報告はなく,その嗜好特性等は明らかではない。本研究では,ガスダッチオーブンで調製したいくつかの料理の嗜好特性とうま味成分量について報告する。<br />【方法】ガスコンロの魚焼きグリルを熱源として,ダッチオーブンでアクアパッツァおよびラタトゥイユを調製した。アクアパッツァは11-13分の加熱と10分の余熱調理を,ラタトゥイユは14-18分の加熱と30分の余熱調理を行った。また,フライパン,片手鍋を用いた従来法も比較として行った。食材からのうま味成分の浸出の程度について,煮汁のアミノ酸分析,イノシン酸・グアニル酸分析をHPLCで,ナトリウム分析をICPで行った。官能評価は煮汁の塩分濃度が同じになるよう調整した試料について,女子大学生をパネルとして行った。<br />【結果】ダッチオーブン加熱は従来法と比較して,出来上がり重量,煮汁重量が多く,食材重量が少なかった。また,煮汁に含まれるグルタミン酸,ナトリウム量が多く,官能評価において,味が深く,好ましいとされた。この結果は,ダッチオーブン加熱が,煮汁や食材に由来するうま味成分,ナトリウム量を多く浸出することで,高い嗜好特性と料理に添加する食塩量を減少できることを示したものであり,高温かつ緩慢加熱であるダッチオーブンによる調理が食材の組織変化を促したためと推察された。
著者
加藤 純 伊藤 辰美 工藤 昌子 杉田 暁大 佐藤 義昭 朝倉 健一
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.78, 2005

【はじめに】インフルエンザは冬季感染症のひとつとしてよく知られている。近年、新聞、ニュース、インターネット等で多く報道されており一般市民の関心も高い。当院でもインフルエンザ集計データをホームページで情報公開している。<BR>今回我々は、04/05シーズンに当院で実施したインフルエンザ迅速検査からみた流行状況の報告を行なう。<BR>【対 象】期間:2004年11月1日(45週)から2005年4月3日(14週)、依頼件数:3071件、迅速検査キット:エスプラインインフルエンザA・B-N<BR>【結 果】'05-14週までの集計でインフルエンザ迅速検査結果は、A型(+)281件、B型(+)780件、A+B(+)2件であった。今シーズン最初に検出されたのはA型(53週目)であったが、その後B型の流行が6週目から見られ11週目にピークを迎えた。以後、減少傾向であった。A型の流行はB型流行時の10週目から見られ13週目にピークを迎えた。年齢別は、1-5歳児の陽性率が最も高く(A型:24.4%、B型:26.3%)、また15歳以下の陽性率が全体の過半数を占めた。受診者ワクチン接種率は60歳以上高齢者で54.7%、1-5歳児42.1%であったが、10歳から30歳代は20%以下の低接種率であった。ワクチン接種済みインフルエンザ(+)判定が見られた(A型: 27.8%、B型: 25.4%)が、インフルエンザ(+)のほとんどがワクチン未接種(A型:70.5%、B型:72.3%)であったことからインフルエンザ予防にワクチン接種は有効であると思われた。また、検査時の受診者体温測定結果集計もおこなった。<BR>現在、当地域ではインフルエンザがまだ終息しておらず全て集計できていないためこの詳細は学会当日に発表させていただきます。
著者
山田 明夫 佐藤 基佳 宮原 和郎 広瀬 恒夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.783-787, 1984-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

1981年1月から1982年11月までに, 北海道北部および東部で実施した大動物用X線診療車によって臨床的に一見健康な乳牛2,037頭の集団検診を行いその所見のうち, 第四胃が明視できた1,976頭における第四胃内異物の存在率とその性状について検索した.1) 第四胃内に全属異物が1,976頭中697頭 (35.3%), 砂粒状物が1,907頭 (96.5%), 磁石が9頭 (0.5%), 塊状陰影物が4頭 (0.2%) に認められた. この成績は, 一般酪農家に飼養されている乳牛の多くが, 金属異物や砂粒状物にもとつく胃粘膜への損傷ないし刺激が原因の一つと考えられている第四胃炎や第四胃潰瘍の危険に曝されていることが示唆された. また, 第四胃に金属異物が到達することはあっても, その可能性はきわめてまれであるという従来の見解を否定する成績であった.2) 第四胃内金属異物の存在率は, 第二胃内磁石存在群で25.7%, 第二胃内磁石非存在群で42.2%であり, そのうち5cm以上の金属異物は, 前者で2頭, 後者で43頭に認められた. したがって, 第二胃内の磁石は金属異物, とくに5cm以上の長い金属異物の前胃から第四胃への移動を阻止するのに効果のあることが示唆された.
著者
中村 雅基 金沢 敏彦 佐藤 利典 塩原 肇 島村 英紀 仲西 理子 吉田 康宏 趙 大鵬 吉川 一光 高山 博之 青木 元 黒木 英州 山崎 貴之 笠原 順三
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
気象研究所研究報告 (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-28, 2002
被引用文献数
5

中部日本におけるP波およびS波の3次元速度構造を地震波走時トモグラフィーを用いて求めた。その際、定常観測点で得られる自然地震を対象とした観測値だけでなく、人工地震や海域における臨時観測点等を用いた観測値を積極的に利用した。得られた成果は以下の通りである。沈み込むフィリピン海プレートと思われる高速度域が検出された。フィリピン海プレートは、少し高角度で沈み込み始め、その後なだらかになり、最後は高角に沈み込んでいる。35&deg;N、136.5&deg;E付近では、フィリピン海プレートが分かれている。将来発生が懸念されている東海地震の固着域の北西隣は、プレート間カップリングが弱い。35.6&deg;Nから35.8&deg;N、137.5&deg;E、深さ100kmから200km付近で、非地震性のフィリピン海プレートが検出された。
著者
鈴木 道男 山下 博司 藤田 恭子 佐藤 雪野
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ディアスポラ存続の条件として、構成員によるアイデンティティーの共有がある。しかし、他文化の中に暮らす人々にとって、アイデンティティーの再確認がなくては、「故国」、「民族」は意識から遠のく。それが同化のプロセスの一面であるが、マイノリティにとってその結束の拠所である「故国」、「民族」、「歴史」は彼らが不動のものとして捉えている規範通りのものではない。むしろ、これらのビジョンは常に変容し、それをもとに自らの立場を絶えず確認することで、彼らは継続的に結束を保っている。すなわち、永続的なデイアスポラとして存在するマイノリティには、その個々人の意識の有無は別として、結束の紐帯を再確認させ、たえず強化するする機構が必ず存在する。かかる共通認識の下、ディアスポラの維持・確認、あるいは創出の装置としての文学の諸相をとらえた。山下は、本来ディアスポラたちが形成した国家と目されているシンガポールにおいて、他国に住まうシンガポール人に対して、あらためてシンガポール系ディアスポラというまとまりを付与しようとする政府の政策と文学の位置づけを論じた。佐藤はドイツ語で書くチェコ人女流作家レンカ・レイネロヴァーに焦点を当て、主観性を伴う自伝や語りも、一つの時代を知る重要な資・史料であるとする立場から、ドイツ系チェコ人ディアスポラの激動の20世紀をたどろうとした。藤田は多文化の平和的共生が機能し、ドイツ語をあやつるユダヤ人の桃源郷とされてきたブコヴィナの像を、ユダヤ系女流詩人アウスレンダーの作品から抉り出し、ユダヤ人のアイデンティティ形成におけるその政治的意味を考察した。鈴木は、民族主義の高まりの中で、はじめて自らをマイノリティあるいはドイツ系ディスポラとして意識したトランシルヴァニアのドイツ系住民において、その結束の紐帯とて企図された詩集と、その国家社会主義的意図の意味について考察した。
著者
伊藤 怜子 清水 恵 佐藤 一樹 加藤 雅志 藤澤 大介 内藤 明美 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-146, 2020

<p>厚生労働省の受療行動調査におけるQuality of life (QOL)を評価する項目について,全国から無作為抽出した20〜79歳の一般市民2400名に対して郵送法による自記式質問紙調査を実施することにより,その国民標準値を作成することを目的とした.さらに,SF-8<sup>TM</sup>, Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9), Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status(ECOG-PS), Memorial Symptom Assessment Scale(MSAS)などとの関連も検討した.分析対象は978部(41.1%)で,性年齢階級別人口統計によって重み付けした40歳以上のQOL指標の標準値は,「体の苦痛がある」33%,「痛みがある」33%,「気持ちがつらい」23%,「歩くのが大変」15%,「介助が必要」3%であった.本研究結果は,今後,受療行動調査を用いて全国的かつ継続的に患者の療養生活の質を評価し解釈していくにあたり,重要な基礎データとなる.</p>
著者
三木 千栄 小野部 純 鈴木 誠 武田 涼子 横塚 美恵子 小林 武 藤澤 宏幸 吉田 忠義 梁川 和也 村上 賢一 鈴木 博人 高橋 純平 西山 徹 高橋 一揮 佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0824, 2012

【はじめに、目的】 本学理学療法学専攻の数名の理学療法士と地域包括支援センター(以下、包括センター)と協力して、包括センターの担当地域での一般高齢者への介護予防事業を2008年度から実施し、2011年度からその事業を当専攻で取り組むことした。2010年度から介護予防教室を開催後、参加した高齢者をグループ化し、自主的に活動を行えるよう支援することを始めた。この取り組みは、この地域の社会資源としての当専攻が、高齢者の介護予防にためのシステムを形成していくことであり、これを活動の目的としている。【方法】 包括センターの担当地域は、1つの中学校区で、その中に3つの小学校区がある。包括センターが予防教室を年20回の開催を予定しているため、10回を1クールとする予防教室を小学校区単位での開催を考え、2010年度には2か所、2011年度に残り1か所を予定し、残り10回を小地域単位で開催を計画した。予防教室の目的を転倒予防とし、隔週に1回(2時間)を計10回、そのうち1回目と9回目は体力測定とした。教室の内容は、ストレッチ体操、筋力トレーニング、サイドスッテプ、ラダーエクササイズである。自主活動しやすいようにストレッチ体操と筋力トレーニングのビデオテープ・DVDディスクを当専攻で作製した。グループが自主活動する場合に、ビデオテープあるいはDVDディスク、ラダーを進呈することとした。2010年度はAとBの小学校区でそれぞれ6月と10月から開催した。また、地域で自主グループの転倒予防のための活動ができるように、2011年3月に介護予防サポーター養成講座(以下、養成講座)を、1回2時間計5回の講座を大学内で開催を計画した。2011年度には、C小学校区で教室を、B小学校区で再度、隔週に1回、計4回(うち1回は体力測定)の教室を6月から開催した。当大学の学園祭時に当専攻の催しで「測るんです」という体力測定を毎年実施しており、各教室に参加した高齢者等にそれをチラシビラで周知し、高齢者等が年1回体力を測定する機会として勧めた。A小学校区内のD町内会で老人クラブ加入者のみ参加できる小地域で、体力測定と1回の運動の計2回を、また、別の小地域で3回の運動のみの教室を計画している。また養成講座を企画する予定である。【倫理的配慮、説明と同意】 予防教室と養成講座では、町内会に開催目的・対象者を記載したチラシビラを回覧し、参加者は自らの希望で申し込み、予防教室・養成講座の開催時に参加者に対して目的等を説明し、同意のうえで参加とした。【結果】 A小学校区での転倒予防教室には平均26名の参加者があり、2010年11月から自主グループとして月2回の活動を開始し、現在も継続している。B小学校区では毎回20名程度の参加者があったが、リーダーとなる人材がいなかったため自主活動はできなかった。2011年度に4回コースで再度教室を実施し、平均36名の参加者があった。教室開始前から複数名の参加者に包括センターが声掛けし、自主活動に向けてリーダーとなることを要請し承諾を得て、2011年8月から月2回の活動を始めた。A・B小学校区ともにビデオあるいはDVDを使用して、運動を実施している。C小学校区では2011年6月から教室を開始し、平均14名の参加者であった。教室の最初の3回までは約18名の参加であったが、その後7名から14名の参加で、毎回参加したのは3名だけで自主活動には至らなかった。2010年度3月に予定していた養成講座は、東日本大震災により開催できなかったが、25名の参加希望者があった。A小学校区内の小地域での1回目の予防教室の参加者は16名であった。大学の学園祭での「測るんです」の体力測定には139名の参加者があり、そのうち数名であるが教室の参加者も来場された。【考察】 事例より、予防教室後に参加者が自主活動するには、活動できる人数の参加者がいること、リーダーとなる人材がいること、自主活動の運営に大きな負担がないことなどの要因があった。自主グループの活動やそれを継続には、2011年3月の地震後、高齢者の体力維持・増進が重要という意識の高まりも影響を及ぼしている。C小学校区の事例で、自主活動できなかった要因を考えるうえで、A・B小学校区と異なる地域特性、地域診断を詳細にする必要性があると考える。リーダーを養成することでC小学校区での高齢者が自主活動できるか検討する必要もある。高齢者の身体状況に合わせて、自主活動できる場所を小学校区単位、小地域単位で検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】 介護予防事業を包括センター、予防事業所などだけが取り組む事業ではなく、理学療法士が地域の社会資源としてそのことに取り組み、さらに介護予防、健康増進、障害、介護に関することなどの地域社会にある課題を住民とともに解決するための地域システムを構築していくことは、現在の社会のなかでは必要であると考える。
著者
倉田 勉 小口 敦 本所 泰子 佐藤 陽介 松本 徹 矢内 宏二 笹原 潤 鮫島 康仁 小黒 賢二
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2224, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】アキレス腱断裂後は筋力低下を伴う機能不全が少なからず残るとする報告が多い。ただし運動復帰は多くの症例で可能なため、その詳細について未知の部分がある。また近年、腱断裂後、修復腱のelongationに関する報告があり、筋力や運動能力とelongationの関係については興味深い。我々はアキレス腱断裂後のリハビリテーションにおいて足関節底屈筋のゆるみを感じることがあり、治療経過で変動するものであると考えている。そこで研究目的は術後長期経過したアキレス腱断裂患者における足関節底屈筋の受動伸張性を明らかにし、筋力、可動域、筋腱形態、歩行との関係を検討することとした。【方法】対象は当院にてアキレス腱縫合術を施行した患者30名(平均44.3歳)、術後経過観察期間は平均27ヶ月である。なお術後1年以上経過した患者を対象とした。性別は男性19名、女性11名、受傷側は左足21名、右足9名であった。受傷から手術までの待機期間は平均5.5日、全例1週間のギプス固定後、機能的装具を術後平均8.7週(6-10週)まで装着した。後療法については縫合法により若干異なるが、半年以降のスポーツ復帰を目標としてリハビリを行った。リハ通院期間は平均179.1日である。検査項目は足関節底屈筋の受動伸張性と足関節背屈可動域(膝伸展位/屈曲位)、下腿周径(腓骨頭下5、10cm)、アキレス腱幅(付着部から5cm近位)、足関節最大底屈筋力(等尺性のみ)、片脚踵上げ反復回数と最挙上高、歩行分析である。計測は受動伸張性、腱幅、最大筋力は腹臥位、可動域、周径が仰臥位、踵上げは立位で行った。また腱幅は電子ノギス(シンワ社製)、最大底屈筋力は等速性筋力測定機Con-Trex(CMV-AG社製)を用い、踵上げ最挙上高は床面から踵部足底面までの高さを曲尺定規で計測した。歩行分析は足底圧分布測定(F-scan)にて自由歩行時の前足部ピーク体重比を患健側各3歩分、平均し求めた。受動伸張性計測の詳細はHand held dynamometer(以下HHD;Micro FET)を用い、ベッド上で腹臥位、膝伸展位となり、伸張反射が起きない程度のゆっくりとした速度で、中足頭足底部を自然下垂位から足関節底背屈中間位まで背屈方向に押し込み行った。なお腱幅、踵上げ最挙上高、受動伸張性はいずれも3回測定の平均値を検討に用いた。統計分析には各測定値の患健差を対応のないT検定、また患側受動伸張性と他項目の関係は相関分析を用い検討した。いずれの分析も有意確率は5%とした。なお統計分析にはR version 2.8.1(コマンダー1.4-8)を用いた。【説明と同意】本調査は事前にハガキで参加希望の有無を確認後、対象者に研究の趣旨・内容を説明し、書面にて同意を得てから検査をおこなった。【結果】患/健側の順に、受動伸張性は28.7/42.1N、可動域は膝伸展位23.9/21.6°、膝屈曲位31.1/30.7°、周径は腓骨下5cmで36.2/36.9cm、10cmで35.6/36.5cm、腱幅22.3/13.4mm、最大底屈筋力80.7/97.4Nm、踵上げは反復回数11.5/16.7回、最挙上高9.5/11.2cm、歩行体重比は94.1/96.2%であった。有意な患健差を認めたのは受動抵抗性、最大底屈筋力、片脚踵上げ反復回数・最挙上高、腱幅の5項目であった。相関分析の結果は患側受動伸張性が同側の腱幅、歩行以外の全項目と有意な相関関係を認め、中でも可動域(膝伸展位/屈曲位)とは負の相関、最大底屈筋力、片脚踵上げ反復回数・最挙上高とは正の相関を認めた。【考察】術後長期経過でも、底屈筋力はいずれも患健差が残存したままで、運動復帰可能な症例が大部分(本研究では88.8%が運動復帰可能)であっても、過去の知見と同様に完全な筋力回復に至るのは難しいと考えられた。また受動伸張性と他因子との関係では、先に我々が行った健常者による検討で受動伸張性は最大筋力と強い相関(r=0.81)、背屈可動域、下腿周径と中等度の相関(r=-0.50、0.45)を認めており、アキレス腱患者においても同様の結果を示したと考えている。底屈筋力と受動伸張性の関係については、先行研究にダイナモメーターで計測した受動トルクが筋のタイプや量と関係があると考察した過去の報告がある。本結果からも筋腱複合体の硬さと筋力には密接な関係が窺え、アキレス腱断裂後では筋腱複合体のゆるみと筋力低下の両者は共通する機能不全を表している可能性があると推察する。なお本研究で計測した受動伸張性は、修復腱の特性を含めた筋腱複合体全体の質を表現するものとして捉えるべきである。【理学療法学研究としての意義】アキレス腱断裂後は極めて深刻な筋力低下が起こり、その回復は長期間に及ぶか、回復途上で機能的安定となることも少なくない。今後、受動伸張性計測による個別的、段階的な運動処方の提供、また筋腱複合体のゆるみが運動能力に及ぼす影響を明確にすることがアキレス腱断裂後の機能不全を解決する糸口になると考える。
著者
天野 洋一 佐藤 吉哉
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1466, pp.154-156, 2008-11-17

問 世界的な金融の混乱は日本の消費者心理にも影を落としています。住宅に次ぐ高額商品である自動車の販売にも強い逆風が吹いています。 答 まず原油高による影響。これが最初に来ました。4月にガソリン税などの暫定税率が失効して自動車取得税率が下がり、若干、駆け込み需要が生まれました。しかし、5月に暫定税率が復活しその反動が来ます。
著者
佐藤 洋二郎
出版者
三田文学会
雑誌
三田文学 [第3期]
巻号頁・発行日
vol.84, no.81, pp.263-269, 2005
著者
伊藤 敏幸 佐藤 俊夫 藤沢 有
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1414-1423, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
51
被引用文献数
8

α-位にメチルチオ基を導入したβ-ケトエステル類をパン酵母で還元すると,3-位がS-配置であるヒドロキシエステルがきわめて高い光学純度で得られることを見いだした。また,β-ケトジチオカルボン酸エステルのパン酵母還元では,とくにα-位に置換基を導入する.とβ-位のエナンチオ選択性のみならずα-位とβ-位のジアステレオ選択性も対応するカルボン酸エステルのパン酵母還元の場合にくらべていちじるしく向上することを明らかにした。このようにして得られた光学的に純粋なβ-ヒドロキシエステルは硫黄官能基の反応性の特長を活かして,マツハバチの性フェロモンである(2S,3S,7S)-2-アセトキシ-3,7-ジメチルペンタデカンを簡便な工程で立体選択的に合成することができた。
著者
佐藤 純
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.153-156, 2015
被引用文献数
4

&emsp;慢性痛が天気の崩れで悪化することは以前より知られており, 疼痛治療の臨床において重要な問題である. 筆者は, 気象要素 (気圧, 気温) による慢性痛悪化のメカニズム研究により, 日常体験する程度の軽微な気圧変化あるいは低温への曝露が慢性痛モデル動物の痛み行動を増強し, 慢性痛有訴者の症状を再現することを実証してきた. また, 気圧変化による痛みの増強には内耳の気圧感受メカニズムが関与することを明らかにし, 温度変化による痛みの増強には皮膚の温度受容線維の反応性の変化が原因である可能性を示した. また, 慢性痛有訴者の一部では気圧や気温の変化に対して自律神経系が過剰に反応することがあり, それが症状悪化のもう1つの原因であることを示唆した.
著者
佐藤 理那 鶴 若菜 横田 和彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p>Hyperloop is a next-generation transportation system plan that is currently being developed which is a railroad running in a tube with reduced pressure. In this research, we aim to understand the behavior of the capsule and to investigate the running stability by numerical analysis of the flow field inside the Hyperloop tube. In this study, the tube is moved at high speed in numerical calculation and the internal flow field is examined. Calculation is performed considering compressibility in non-steady computation. In addition, each parameter was calculated from the relational expression of the shock wave whose Mach number was changed and given as a condition. In the process of calculation, we changed the total pressure applied and verified in which condition shock waves occur in the tube. Also, we investigated the effects on the capsule due to the changed Mach number and the change in the speed, and made it a basic research to examine the running stability of the Hyperloop.</p>
著者
岩島 範子 金子 信博 佐藤 邦明 若月 利之 増永 二之
出版者
日本土壌動物研究会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.43-53, 2011
参考文献数
32

キシャヤスデとミドリババヤスデは周期的にかなり大きなバイオマスで出現する大型土壌動物であり,それらが摂食活動を通じて生態系の物質循環に及ぼす影響を調べた.これら2種の成虫のヤスデについて,餌の違い,種の違い,生育密度の違いが,糞の化学性に及ぼす影響について室内の飼育実験により比較した.八ヶ岳土+針葉樹リター+キシャヤスデ(キシャY),三瓶山黒ボク土+落葉広葉樹リター+キシャヤスデ(キシャS),三瓶山黒ボク土+落葉広葉樹リター+ミドリババヤスデ(ミドリS),三瓶山黒ボク土+落葉広葉樹リター+ミドリババヤスデ(高密度)(ミドリS密)の4系で1週間飼育後,糞を採取した.糞,土壌及びリターの全炭素・全窒素,強熱減量を測定し,糞と土壌については培養による二酸化炭素発生量,無機態窒素も測定した.その結果,以下に示すようなことがわかった.1)いずれの成虫も土壌とリターを摂食した.2)キシャヤスデにおいては生息地以外の土壌とリターに変えても土壌とリターの混食を行った.3)キシャヤスデは針葉樹リターも広葉樹リターも摂食し,リターの摂食割合もほぼ同程度であった.4)ミドリババヤスデの方がキシャヤスデよりもリターの摂食割合が多かった.5)ミドリババヤスデは高密度にすると土壌を食べる割合が大きくなった.餌や種,また,密度の変化に伴う糞の化学性及び有機物分解の促進と無機態窒素の放出特性の変化は,1)リターの摂食割合の増加は,糞中の全炭素・全窒素及びCN比を増加させた,2)糞中のリター由来の有機物の増加は,8週間培養における糞の二酸化炭素発生量を促進させた,3)CN比の増加は糞中の無機態窒素の有機化を生じさせ,無機態窒素の放出を遅らせた.