著者
佐藤 典子 原 笙子 角野 猛
出版者
東都大学
雑誌
東都医療大学紀要 = Tohto University bulletin (ISSN:21861919)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-40, 2019-03

「埼玉青ナス」は、巾着型で果皮は鮮やかな緑色をした深谷市の伝統野菜である。明治時代に奈良漬の材料として導入された品種で、「中山道ナス」とも言われ、市内では、うどんや煮ぼうとうの具、あぶらみその味噌炒めとして食されてきた。近年は、生産農家の減少に伴い、直売所等に少量出荷される程度である。そこで、「埼玉青ナス」のPRに取り組む第一歩として、栽培過程の観察、食べ頃の「埼玉青ナス」の一般成分及び遊離アミノ酸の分析を行い、次の2点についての結果を得た。1.エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム、食塩相当量、水分及び灰分量の平均値は、それぞれ、25.3kcal/100g、1.0g/100g、0.1g/100g、5.1g/100g、1.0mg/100g、0.0g/100g、93.4g/100g及び0.5g/100gであった。2.遊離アミノ酸総量は平均244mg/100gであった。いずれの検体ともグルタミンが平均68.7mg/100gで最も多く、次いで機能性成分であるγ-アミノ酪酸(GABA)は、平均42.3mg/100gであった。近年、GABAは、代謝系や神経系、更にはストレス軽減への効果が報告されており、今後は調理や保存時の含有量の変動等を明らかにしたい。(著者抄録)
著者
佐藤 宏祐 杉本 敏樹
出版者
公益社団法人 日本表面真空学会
雑誌
表面と真空 (ISSN:24335835)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.476-481, 2020-09-10 (Released:2020-09-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Photocatalytic steam-methane reforming is an attractive chemical technology for hydrogen production from abundant resources of methane and water. In the case of photocatalytic reaction, photo-generated electron plays key roles in hydrogen production. However, the dynamics of photogenerated electrons under reaction condition have been unclear. To uncover the behavior of reactive photo-excited electrons, we conducted operando FT-IR spectroscopy of metal loaded Ga2O3 photocatalysts under irradiation of intensity modulated UV light. We succeeded in observing a correlation between the reaction activity and a broad mid-infrared absorption band derived from the photo-generated electrons shallowly trapped at the photocatalyst surfaces.
著者
佐藤 武志 眞河 一裕 小田 知矢
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.184, 2011

【はじめに】<BR>岡崎市民病院では2004年より理学療法士が糖尿病の運動療法に関わっている。2011年6月現在、2名の理学療法士が糖尿病療養指導士の資格を取得し、1名の受験希望者がいる。糖尿病の治療に運動療法は重要であるが、理学療法士が糖尿病の運動療法に積極的にかかわっている施設は少ない。そこで今回、これまでの運動療法への取り組みの内容を振り返り、糖尿病療養指導士養成に向けての取り組みについて報告する。<BR>【背景】<BR>理学療法士は糖尿病の運動療法に関して、多彩な症例に即応できる専門性を発揮することができる職種である。しかし、理学療法士が積極的に糖尿病の運動療法に関わるためには1)業務量のバランス、保険点数、糖尿病治療の利益の確保などの病院の経営面に対する課題、2)同僚や上司に対する職場での理解、病院内の他職種に対するアピールなど、理解者を得るための課題、3)糖尿病患者への効果的な指導や知識の向上などの個々のスキルアップに対する課題、4)モチベーションに対する問題など乗り越えなければならない様々な課題がある。<BR>【経過】<BR>当院では2004年に内分泌・糖尿病内科から糖尿病教育入院参加の依頼があり、8職種(医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、社会福祉士、歯科衛生士)による糖尿病療養支援組織が設立された。糖尿病療養支援委員会の組織の一員として職場内での理解、院内での理解を深めながら運動指導業務に関わっていった。1)2004年には教育入院患者に対する糖尿病教室への参画と個別運動療法が開始された。2)2005年からは外来患者向けの勉強会である「糖尿病を学ぶつどい」へ参画した。3)2007年には生活習慣記録機(ライフコーダ)を使用しての運動指導を開始した。4)2008年には2名の理学療法士が糖尿病療養指導士の資格を取得した。また外来糖尿病指導室の開設に伴い、外来患者に対する運動指導を開始した。5)2009年には世界糖尿病デーの企画として自転車エルゴメーターの体験やベンチプレスの体験を行った。6)2010年には個別運動療法患者に対して高負荷なレジスタンストレーニングであるベンチプレスを用いた運動療法、屋外歩行を開始した。<BR>【現状】<BR>現在当院リハビリテーション室では糖尿病療養指導士の資格を取得した理学療法士2名と、受験希望者1名で糖尿病運動指導を行っている。数多くの糖尿病運動療法に対する取り組みが行えたのは、自職のみではなく、糖尿病療養支援委員会という院内の組織の一員として活動したことで、職場内の理解を深めるとともに、病院内における活動を通じてさらに認知されたことがあるのではないかと考える。2011年内分泌・糖尿病内科により「糖尿病療養指導士資格取得への手引き」と「糖尿病療養指導士養成プログラム」が作成され、配布された。これには糖尿病療養指導士資格取得希望者が経験を積みやすいような具体的な到達目標が掲げられ、他部局での療養指導も十分に経験できるような内容が盛り込まれている。「糖尿病療養指導士養成プログラム」が構築されたことでより実践に近い糖尿病療養指導の方法を希望者は学ぶことができる。<BR>【今後に向けて】<BR>糖尿病患者はますます増加し、糖尿病運動療法の重要性は高まると考えられる。その一方で業務量の増大も見込まれる。理学療法の業務は多岐にわたり各分野を経験することは重要で、他の疾患とのバランスも考慮する必要がある。多忙な環境の中で業務を行うには情熱も必要であるが、そのモチベーションを維持していくにはやはりマンパワーも必要である。その為にも運動指導の達成感や充実感を後進に伝え、糖尿病の運動指導が行える理学療法士を養成していきたいと考えている。
著者
松本 忠彦 白川 康太郎 横山 勝 福田 寛文 サルカ アナマリア ダニエラ 小藪 助直 山崎 寛章 数馬 安浩 松井 宏行 丸山 亙 永田 佳代子 田邊 史子 小林 正行 新堂 啓祐 森下 了 佐藤 裕徳 髙折 晃史
出版者
Springer Science and Business Media LLC
雑誌
Scientific Reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
no.9, 2019-06-05

がんに遺伝子変異を導入する酵素の分子スイッチを発見 --リン酸化によるDNAシトシン脱アミノ化酵素の活性制御機構--. 京都大学プレスリリース. 2019-06-07.
著者
大田 裕之 川村 和郎 福留 秀暢 田島 貢 岡部 堅一 池田 圭司 保坂 公彦 籾山 陽一 佐藤 成生 杉井 寿博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.140, pp.115-119, 2008-07-10
参考文献数
9

本論文では新しい歪み技術である不純物閉じ込め層(DCL)をNMOSに、2層のNiフルシリサイド(Ni-FUSI)をPMOSにそれぞれ用いたハイブリッドゲート構造について報告する。DCL技術はIEDM2007において我々が報告した歪印加効果が大きいストレス・メモリー(SMT)に属する手法である。2層Ni-FUISIはFLA(フラッシュ・ランプ・アニール)を用いてPMOSゲートのみに選択的に形成した。結果として、PMOSの実効酸化膜換算膜厚の薄膜化による飽和電流の向上、仕事関数差によるしきい値変動からRoll-off特性の向上が得られた。またNMOSに関してもFLAによる不純物の活性化、実効酸化膜換算膜厚の多少の薄膜化による飽和電流の向上、ハローの不活性化抑制によるRoll-off特性の向上が得られた。性能としては|V_d|=1.0VにおいてnMOSFET、pMOSFETで1255/759μA/μmが得られた。
著者
佐藤 泉
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.35-44, 2007-11-10 (Released:2017-08-01)

一九五〇年代末、九州の炭鉱地帯で展開された「サークル村」の文化運動は、それ以前の自然発生的な民衆文化運動を自覚的に思想化した点で重要である。本稿は、この運動をリードした詩人・谷川雁のサークル論をとりあげて、共同体としてのサークルと集団的な創作主体がどのように論理化されたかを考察する。日本の戦後思想の布置において、「村」「共同体」は個人の自由を拘束する悪しき結束であり、克服すべき前近代のシンボルとして語られてきた。しかし、五〇年代後半になって、個人の確立を掲げる戦後思想の有効性は薄れていた。経済および社会の構造再編が進むなかで、社会運動と労働運動が急速に力を失っていったためである。個人の確立に変えて、共同体の再構築が必要だと判断した谷川は、新たな連帯の思想を実践する場として文化サークルの運動に注目していた。民衆は潜在的なエネルギーを秘めている。しかし革新政党や労働組合は、民衆の力や欲望を適切に代表していない。そのため、しばしば民衆の力は、ファシズム的な表象によって奪われる。民衆の力を誰がどのように表象するかが重要な問題である。そこで、谷川は、民衆が自らを表象し、それによって自己を再想像する場として文化運動を活性化する必要があると考えた。谷川は、文化運動の場を「村」と呼び、創作の主体を個人ではなく集団としたが、そのためには戦後思想としての近代主義、個人主義の言説と対決する必要があった。この時期の谷川の言語活動によって語り変えられた「共同体」は、伝統的な共同体の権威主義、閉鎖性を克服することに成功しており、そのため、コミュニティの再構築が課題となった現在、多くの手がかりを与えるものとなっている。
著者
佐藤 公明 原 寛道(MD)
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第28回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.67, 2006 (Released:2007-05-01)

【はじめに】現在筋緊張緩和の方法には幾つかの方法があり、当園ではストレッチブロック法(以下SBM)を継続的に行っている(第19回九州PT・OT合同学会にて発表)。今回SBMにより下肢の筋緊張が緩和され、作業の効率が上がった症例を経験したので、考察を加え報告する。【対象】男性38歳、診断名は脳性麻痺(痙直型四肢麻痺)。ADLは全て自立されている。移動は、電動車椅子を使用している。仕事内容は椅子に座っての品物の袋詰め作業で仕事の頻度は週に5日、計16時間である。SBM施行後の効果の持続は約4日間である。【方法】ストレッチブロック前後に袋詰め動作を行ってもらった。(方法1)ふりかけ3袋を封筒に入れる作業を行ってもらう→1つ作るのにかかる時間を計測した。(方法2)ふりかけ3袋を封筒にいれる作業を5分間行ってもらう→5分間作業の持続性を調べた。その動作の粗大運動をデジタルビデオカメラで撮影し評価した。仕事に関する内容については症例より情報収集した。【結果】方法1について以前はSBM前では49秒、SBM後は25秒と大幅に短縮した。現在はSBM前で26秒、SBM後は13秒とさらに短縮した.方法2はSBM前では10袋出来たのに対して、SBM後では15袋出来るようになった。袋詰め作業に関してSBM前では、左手の手背部で封筒を押さえており、押さえる位置は、封筒の口近くを押さえている。SBM後では、指先で押さえられるようになっており、押さえる位置は、封筒の中央部近くを押さえている。Popliteal Angle(以下PoA)はSBM前後で右のPoAは50度から30度へ、左のPoAは55度から35度へ変化した。手指の動きについて左母指以外の4指同時の伸展動作では、SBM後は完全伸展が可能になった。【考察】SBMを施行することでハムストリングスの筋緊張が緩和した。このことが骨盤を起こしやすくなるなど座位の安定につながった。また体幹や上肢に見られていた過剰な筋活動が無くなり、本来症例が持っている体幹機能を発揮しやすくなった。その事が封筒の中央部を指尖で押さえるなど、両上肢の操作性に繋がった。結果として、袋詰め作業時間の大幅な短縮が見られた。そのことが作業効率の向上に繋がったのではないかと思われる。さらに筋緊張緩和が継続することで、作業時間の短縮も見られた。症例の実際の仕事においても筋緊張の緩和によって、1時間に50個ほどしかできなかったのが、100個作れるなど実際の場面においても向上している結果ともなった。筋緊張緩和によって楽に作業が出来るようになった事で、仕事のモチベーションが向上し、現在も仕事を継続されている。【まとめ】今回、実際に症例が筋緊張の高い中で、努力的に仕事をしていたのか知る機会となった。また筋緊張が緩和する事が症例にとっていかに楽に仕事ができ、高い満足度を得る結果ともなった。今後もこの結果を継続させていき、日々仕事が充実して行えるような支援をしていきたいと思っている。
著者
成田 雅 鵜沼 菜穂子 伊藤 文人 佐藤 憲行 星野 智祥 井上 実 山本 正悟 安藤 秀二 藤田 博己
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.164-167, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

タテツツガムシによるつつが虫病の臨床像は多彩で見逃されることが多い.病歴(好発時期と好発地域,野外活動歴),バイタルサインと身体所見(発熱,比較的徐脈,発疹,刺し口)から積極的に疑い,疑わしければ直ちにテトラサイクリン系抗菌薬にて治療を開始すべきである.血清学的にはKawasaki型あるいはKuroki型のOrietia tsutsugamushi抗原に対する抗体価の上昇が特異的であるが,これらは一般的な外注検査での抗体価測定には含まれないことに注意する.痂皮の遺伝子学的検査も特異性が高く有用である.
著者
黒田 知宏 佐藤 純三 矢崎 晴俊 竹村 匡正 長瀬 啓介 加藤 康之 吉原 博幸
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.157-164, 2010

電子カルテ上で定型データの入力を行う際のツールとして,テンプレート機能が広く利用されている.テンプレート上で入力された情報をカラムに切り分けしてデータベースに蓄積すれば,電子カルテ利用の向上と臨床研究の効率改善に寄与することが期待される.<br/> 京都大学病院では,電子カルテ導入時に,電子カルテ上にテンプレートを用いて入力された情報をデータベース化する仕組みの導入を行った.導入の結果,がん登録や臨床研究データ入力などに加え,医事会計算定のための情報検索など広くテンプレートが利用され,多くの情報が蓄積された.一方,臨床研究などのための出力作業は,人手による情報出力サービスを提供していることなどもあり,広く利用されるには至らなかった.今後,利用を拡大するためには,各研究者が有する既存のデータベースとの相互接続性を高めたり,アクセスを容易にしたりするなどの工夫が必要であることが示唆された.
著者
後藤 光亀 平田 強 牛尼 修央 佐藤 敦久
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
no.31, pp.181-188, 1994

The cross flow type ultrafiltration was carried out to evaluate the relation between flux and coagulation state using the results of zeta potential, flux reduction ratio, volumetric sedimentation ratio, the turbidity reduction ratio in Jar test. The concentration of kaolin suspension used in this study was 1000 mg/l. The ion concentration of the raw water was controlled by changing mixing ratio of distilled water and tap water, or with adding NaCl and CaCl<SUB>2</SUB> solution. As the dispersion state of kaolin suspension was good, the flux of ultrafiltration hardly decreased because of the large negative charge of suspended solid and shearing force under cross flow. If the dispersion state of kaolin suspension was not good, the flux of ultrafiltration was getting small by destabilization of dispersion state. This small change of coagulation state gives large influence on the flux. On the other hand, the cation or coagulant dosage makes coagulated flocs and the resulted large floc and shearing force under cross flow obstructs the cake formation on membrane.
著者
伊藤 綾子 五十嵐 清治 倉重 多栄 佐藤 夕紀 藤本 正幸 西平 守昭 松下 標 青山 有子 平 博彦 丹下 貴司
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.591-597, 2006

含歯性嚢胞は歯原性嚢胞では歯根嚢胞に次いで多く見られる。一般的には未萌出または埋伏永久歯の歯冠に由来して発生するが,原因埋伏歯は正常歯胚であることがほとんどで,過剰歯に由来する含歯性嚢胞は比較的少ない。今回,我々は全身的問題から抜去を行わず経過観察していた上顎正中部の逆性埋伏過剰歯が嚢胞化し,定期検診の中断期間に急速に増大し,顔貌の腫脹まで来した含歯性嚢胞の症例を経験したので報告する。<BR>症例は13歳の男児で,既往歴として生後間もなくWilson-Mikity症候群の診断にて入院加療を受け,その後にてんかん,脳性麻痺,および精神発達遅滞と診断された。患児の埋伏過剰歯は当科で10歳時に発見されたが,全身状態が不良のため抜去を行わず経過観察を行っていた。その後,定期検診受診が途絶え1年3か月後に,過去数か月間で徐々に上顎右側前歯唇側歯槽部が腫脹してきたことを主訴に再来初診となった。口腔内診査では上顎左側前歯部歯槽部に青紫色の腫脹を認め羊皮紙様感を触知した。エックス線診査では上顎前歯部に1本の逆性埋伏過剰歯を含む単房性の境界明瞭な透過像を認めた。局所麻酔下に嚢胞と埋伏過剰歯の摘出術を施行したが,術後17日目に術部感染を来したため抗菌薬投与と局部の洗浄を継続し消炎・治癒に至った。術後2か月の経過は良好である。<BR>本例のように何らかの理由により埋伏過剰歯抜去が困難な場合は,その変化を早期に発見するために定期的,かつ確実な画像診断を含む精査が必須であると考えられた。
著者
佐藤 伸之
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.126-138, 2017-07-06 (Released:2018-04-16)
参考文献数
35

早期再分極症候群の発作誘発因子については,いまだ十分に明らかにされていない.低K+血症がBrugada症候群の発作誘発因子になりうることは知られていたが,電解質異常と早期再分極症候群,J波との関連性についての報告はほとんどなされていなかった.われわれは,低K+血症が心室細動(VF)発作の誘因と考えられた早期再分極の1症例を,続いてステロイド治療がVFの誘発因子と考えられた早期再分極症候群の3症例を報告した.それらのなかには,抗アルドステロン薬を長期投与したことにより,再発が抑制されたと推察される症例も存在した.また,われわれはJ波症候群において心電図上の再分極指標と血清K+, Ca2+, Mg+濃度との関連を検討した.その結果,VF発作を呈したJ波症候群では血清Mg+とQT dispersionの間に負の相関が認められ,Tpeak-Tend dispersion,activation recovery interval dispersionと血清Mg+の間にも負の相関傾向が認められた.以上から,早期再分極症候群のVF発作誘発因子として電解質異常が一部関与する可能性が示唆された.
著者
佐藤 邦彦
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.104, pp.33-42, 2007-12-31 (Released:2009-07-31)
参考文献数
7

(1)室内試験において,高湿度条件(相対湿度100%)および湛水条件下におけるクワシロ卵のふ化状況を調査した。高湿度および湛水条件下で7日間保持したクワシロ卵のふ化率は,それぞれ20%と7%に低下し,湛水条件を10日間維持すると卵はふ化しなかった。(2)茶園において,雌介殻内のクワシロ卵を高湿度に保つ方法について,スプリンクラーを用いて試験した。チャの枝が常に濡れた状態になるように,日中断続的に散水(1日1haあたり120~150t)することで,クワシロの卵は雌介殻内で褐変し死亡した。茶園においては,クワシロ卵のふ化開始以降,スプリンクラーを用いて16日間高湿度状態にすることで,クワシロ卵のふ化を効果的に抑制することが可能である。
著者
中田 行重 佐藤 春奈 白崎 愛里 須藤 亜弥子 中西 達也
出版者
関西大学臨床心理専門職大学院 心理臨床センター
雑誌
関西大学心理臨床センター紀要
巻号頁・発行日
vol.6, pp.59-67, 2015-03-15

本稿は、体験的療法Experiential Psychotherapy 学派の論客であるLietaer, G. のUnconditionalPositive Regard: A Controversial Basic Attitude in Client-Centered Therapy(1984)を要訳し、彼の見解が古典派に与えた影響と今後のPCT の展望について考察するものである。Lietaer は、無条件の肯定的配慮を、肯定的配慮、非指示性、無条件性の3 因子に分けて論述している。中でも無条件性の重要性について論じており、この態度を、Rogers の価値の条件づけに言及しつつ、セラピーの中での「バランス拮抗力」「逆条件付け」と定義している。また、Th 自身へ開かれていること(openness)が自己一致であり、Cl へと開かれていることが無条件の受容であるとして両者の密接な関係について述べている。さらに、CCT の文脈における直面化に触れ、承認できないCl の行動についてはTh 自身の限界をフィードバックし直面化させること、直面化は、Th の受容を支えとしてCl が自己に直面するよう促す過程であることを論じ、無条件性と直面化は矛盾しない概念であると主張している。
著者
佐藤 弘明
出版者
浜松医科大学
雑誌
浜松医科大学紀要. 一般教育 (ISSN:09140174)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.35-55, 1998-03-30

This paper addresses the structure of traditional medical belief and knowledge with special reference to etiology among the Baka hunter-gatherers living in the tropical rainforest from northwestern Congo to southeastern Cameroon. A group of the Baka in northwestern Congo have 89 folk illness terms. The illnesses are classified into three groups according to the type of cause. The first group consists of 8 illnesses which develop exclusively due to some specific causes such as contacts with various pathogenic substances, violation or sorcery, the second group consists of 55 illnesses which develop due to some specific causes or spontaneously, and the third group consists of 26 illnesses which can develop only spontaneously. In the Baka folk etiology, the naturalistic notion that some natural entities are responsible for the occurrence of illnesses is more predominant than the personalistic notion that some agents, such as sorcerers, evil spirits, and ghosts, cause illnesses. Among various pathogenic substances, animals are major pathogens. Forest animals, whose bodily shapes or behavior look strange or unusual to human beings, seem to provide good materials to the Baka who wish to explain and understand what causes illnesses, an abnormal state in body and mind, without warning. The Baka people think that almost all of their folk illnesses can develop spontaneously too. Their search for pathogenic substances of their illnesses seems neither for the purpose of removing it nor cutting off contacts with it, but for the purpose of seeking specific remedies.