著者
佐藤 忠夫 堀米 毅 上田 幹人
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 = The Journal of the Surface Finishing Society of Japan (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.640-645, 2000-06-01
被引用文献数
1

TiB<sub>2</sub> and TiN films were coated by chemical vapor deposition on SKD 61 steel to improve the corrosion resistivity of a diecasting machine in a melted aluminum alloy. The protectivity of the film in the melted aluminum alloy was examined by an immersion test at 900°C and a thermal cycle test between room temperature and 900°C. TiN film, which serves as a binder, greatly improves the adhesion of TiB<sub>2</sub> film on the steel substrate. The thermal cycle test indicated that the optimum thickness of TiB<sub>2</sub> and TiN layers is at 4 and 6μm, respectively. Compared to ion-nitrized steel, steel coated by TiB<sub>2</sub>/TiN exhibits significantly higher degree of corrosion resistivity.
著者
佐藤 公治
出版者
北海道大学大学院教育学研究科附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-37, 2007-03-30

人間精神の活動を支え、それと深く関わっているものとして身体と情動が位置づいていることが再認 識され始めている。しかし、人間精神と人間発達の根幹に位置する身体に根ざした経験や活動が記号化 社会の加速化の中で縮小が進んでいる。本論では、今日のIT 社会のなかで改めて発達の根源にあるもの は何であるかをメルロ=ポンティ、ヴィゴツキーなどの発達の基礎理論から再検討することの必要性を 論じた。
著者
佐藤 仁樹 佐藤 雅子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.271, pp.47-52, 2013-10-21

高次元非線形最適化問題に対する複数のスパースな近似解を,遺伝的アルゴリズムを用いて導出した.まず,状態変数の番号を遺伝子とした染色体を定義する.次に,高次元非線形最適化問題を染色体で与えられた状態変数のみを変数とする問題に縮小する.縮小された非線形最適化問題の評価関数を染色体の適応度として遺伝的アルゴリズムにより染色体を改良し,縮小された非線形最適化問題を解くことにより,高次元非線形最適化問題に対するスパースな近似解を導出する.この解法を食材及び食材配合量の最適化問題に適用し,食材及び食材配合量を栄養素バランスの目標値に対して最適化した.
著者
角田 出 佐藤 利夫 川口 明廣
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.51-57, 1997

(1) ラクトフェリン (LF) をブリ, マダイ, ヒラメ, メバミル, マハゼの稚魚に経口投与し (0.2mg, 2mg, 20mg, 200mg/kg体重/日), 12日間の体表粘液分泌活性 (単位体表面積当たりい分泌されるタンパク質量) の変化を調べた. 実験水温は20℃であった。<BR>(2) LF投与区, 特に1日当たり2mg~200mg/kg体重のLFを投与した区では, 各魚種とも, 対照区に比べて飼育期間中の死亡魚数は減少する傾向を示した.<BR>(3) 試験開始時の単位体表面積当たりに分泌されるタンパク質量は, プリで1.47±0.25μg/mm<SUP>2</SUP>,マダイで1.73±0.24μg/mm<SUP>2</SUP>,ヒラメで1.54±0.27μg/mm<SUP>2</SUP>,メバルで1.69±0.34μg/mm<SUP>2</SUP>,マハゼでは1.45±0.31μg/mm<SUP>2</SUP>であり, 各魚種とも, 試験期間を通じて対照区の体表粘液分泌活性に有意な変化は認められなかった.<BR>(4) 海産魚の体表粘液分泌活性を有意に上昇させるのに必要なLFの投与量は, マダイのようなLFに対する感受性の高い魚 (0.2mg/kg体重/日のLF投与でも粘液分泌活性は上昇する) を除くと, 養殖魚・天然魚の区別無く, 2mg/kg体重/日以上であった.<BR>(2) 20mgまたは200mg/kg体重/日のLFの経口投与により5魚種の体表粘液分泌活性は3日から6日で有意に上昇した.<BR>(6) LFの投与によって上昇した体表粘液の最大分泌活性値は, マダイでは通常分泌活性値の約2倍, 他の4魚種では1.4~1.7倍程度であった.<BR>(7) LFの投与による体表粘液分泌の亢進効果は, 調査した5魚種中ではマダイで最も高く, 次いでヒラメ, マハゼ, ブリ, メバミルの順に低くなった。
著者
佐藤 正志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.65-88, 2014 (Released:2014-11-29)
参考文献数
48
被引用文献数
2

本稿では,「企業立地促進法」の基本計画策定過程の検討を通じて,地方分権下の地域産業政策形成において,政府間関係が果たす役割と課題を考察した.全国的な企業立地促進法の計画策定状況と四日市市,北上市の計画形成過程を検討した結果,都道府県が依然として主導的な役割を果たしていたことが明らかになった.一方で市町村は,過去に地域産業政策の策定に携わった経験を持つ自治体は独自に計画を策定していた反面,水平的関係を通じた政策情報の交換はみられず,他の市町村は補完的な役割にとどまり計画内容には大きな影響を及ぼしていなかった.
著者
佐藤 達郎
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.199-212, 2004-03-06

今回は、揚雄に続いて後漢の崔[エン]・胡広の官箴を主に扱う。それら後漢の官箴は、揚雄の創始したスタイルを基本的に踏襲しながら、内容・表現の上でいくつかの変化が見られる。晦渋な揚雄官箴に比べ、後漢の官箴は比較的平明で、具体的史実をふまえた表現の多いことが特徴としてまず挙げられる。中でも、漢代の事跡・制度が引き合いに出されることが多いのは、時代の上で当然としても興味深い点である。さらに漢代の制度を取り上げつつ、それを周制になぞらえようとする志向の間々見られることにも注意される。また典故について見れば、今文から古文への転換の見られつつあること、讖緯の影響の見られることなどが、やはり後漢の学術・思想界の動向を反映した点として、指摘できるであろう。これらの点は改めて論考篇で考察することとし、本訳注はこれを以て終了する。
著者
竹尾 直子 大石 正樹 佐藤 俊宏 馬場 真澄 関川 紀子 三浦 芳子
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.15-18, 2005-02-01

症例は26歳,女性。第1子出産前より両腋窩に皮疹を生じ徐々に悪化したため,出産から1ヵ月後の1998年7月に当科を受診した。初診時,両腋窩に鱗屑を有す米粒大暗赤色丘疹が環状に配列し,前腕屈側にも粟粒大暗赤色丘疹が多発していた。その後,皮疹は粟粒大の膿疱を伴うようになり,病理組織検査では規則的な表皮突起の延長を伴う表皮肥厚及び角層下膿疱を認め,当初我々は汎発性膿疱性乾癬と診断した。皮疹はさらに多発したためプレドニゾロン25mg/日の内服,PUVA療法を開始したが効果に乏しくプレドニゾロンは漸減した。1999年6月歯周囲炎に罹患し歯科治療後,皮疹の新生は止まり,2000年5月プレドニゾロンの内服を中止した。2001年8月躯幹,上肢に皮疹が再燃。2002年8月第2子妊娠後より皮疹は膿疱を伴うようになった。治療はステロイドの外用のみを行い,皮疹は軽減した。患者は2003年5月に低出生体重児を出産し,3ヵ月後には皮疹は完全に消退した。このため我々は本患者を疱疹状膿痂疹と最終診断した。低出生体重児を出産した原因として第2子妊娠時では妊娠初期から本症を発症しており罹患期間が長期に及んだためと考えられた。
著者
齋藤 瞳 佐藤 豪
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.774-785, 2014-08-01

交流分析理論に基づき,大学生における自我状態・透過性調整力および基本的構えと精神身体症状の関連について明らかにすることを目的とした.大学生169名(男性143名,女性26名)を分析対象とし,自我状態および透過性調整力を測定するPCエゴグラム,基本的構えを測定するOKグラム,精神身体症状を測定するHopkins Symptom Checklist(HSCL)を施行した.その結果,自我状態に関しては特に批判的な親の自我状態である"Critical Parent(CP)"と自由な子どもの自我状態である"Free Child(FC)"が精神身体症状に正の影響,自我状態を切り替える力とされる透過性調整力"Permeability Control Power(PC)"と基本的構えの"自己肯定の構え"と"他者肯定の構え"は精神身体症状に負の影響があることが示唆された.またFCは,特に大人の自我状態であるAdult(A)が低い場合に精神身体症状と関連があることが示された.以上より,大学生においては,透過性調整力や自己肯定の構え・他者肯定の構えはストレスコントロールを高める働きをするのに対し,CPの自我状態,およびAの自我状態が機能しない場合のFCの自我状態が,ストレスを症状化する方向へ働く可能性が考えられた.
著者
古屋 宏二 川中 正憲 山野 公明 佐藤 直樹 本間 寛
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.320-326, 2004
被引用文献数
4

北海道の多包性エキノコックス症患者血清材料を用いて, 市販エキノコックス症血清診断キット"<I>Echinococcus</I> Western Blot IgG" (以下FIA (French immunoblot assay) と略; Ldbio Diagnostics, Lyon, France) の臨床検査的評価を行った. 使用した80血清のうち64検体は術前多包性エキノコックス症患者血清, 9検体は術後患者血清, 7検体は北海道の一次検診でELISA (enzyme-linked immunosorbent assay) 陽性となり感染が疑われた住民の血清であった.<BR>1987年から1993年の間に北海道立衛生研究所で実施したウエスタンブロット血清検査法 (Hokkaido Western blot method, 以下HWBと略) による試験では, 64例の術前多包性エキノコックス症患者血清のうち53例が陽性, 6例が疑陽性であっ た (陽性例+疑陽性例の割合: 92.2%). 53陽性例のうち43例が多バンド形成の完全型, 10例が寡バンド形成の不完全型と判定された.<BR>一方, FIAによる試験では, 64例の術前多包性エキノコックス症患者血清のうち60例 (93.8%) が陽性, 4例が陰性であった. 60例の陽性例のうち, 47例 (78.3%) がP3, 5例 (8.3%) がP4, 8例 (13.3%) がP5パターンを示した. HWBで完全型と判定された血清のすべてはFIAでP3パターンとなり, 高力価抗体血清を示唆する結果となった.<BR>反対に, HWBで不完全型あるいは疑陽性と判定された血清のほとんどはP4あるいはP5のような他のパターンとなり, 低力価抗体血清を示唆する結果となった.<BR>極端に低力価の抗体を示す症例の病理学的解釈はさておき, FIAの使用はHWBで判定が苦慮される疑陽性例について血清学的に判定を容易にするなど, FIAは高感度で有用な試験法であると考えられた.
著者
永沢 勝雄 佐藤 三郎 石渡 英夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.17-24, 1954-09-30

桃果実の保護の目的をもつて実施されている袋掛が果実の着色,硬度,果皮の厚さ,果実の成分などにいかなる影響を及ぼしているかを明らかにし,無袋果実が有袋果実にくらべ,実用的価値においてすぐれている点の多いことを知つた.各特性について比較して得た結果の大要は次のようである.1.果実の紅色色素の発達程度は品種によつて差があるが,有袋・無袋両区間の差異も品種によつてちがつた状況を示す.着色程度のちがいによつて次の4群に類別した.a)有袋・無袋両区の間に着色程度に差があり,有袋果では色つきが悪いが,無袋ではどす黒い程度の濃紅色を示すもの……伝十郎,白鳳,土用,橘早生などb)有袋・無袋両区の間に着色に差があるが,有袋果は色つきが悪く,無袋果でもそれほどひどい濃紅色を示さないもの……離核,岡山500号など c)有袋・無袋両区の間に着色の差がひどくなく,有袋でもある程度の着色を示し,無袋果でも相当程度の着色を示すもの……旭,スイカ桃,天津,昭和,大久保など d)有袋・無袋両区の間に着色の差がひどくなく,有袋でもある程度の着色を示すが,無袋でもあまり着色せず,商品価値を損ずるほどでないもの……早生玲紅,佐五平,日月などしたがつて,無袋果でも外観がひどく劣変しない品種としては,旭,早生玲紅,佐五平,日月,昭和,大久保,スイカ桃,天津などがあげられる.2.果実の硬さは有袋・無袋によつてそれほど大きな差異を示さないが,がいして無袋果の硬度が減少する傾向を示している.3.果皮の厚さは無袋果の方が有袋果より厚くなつている.4.糖分含有量は無袋果の方が有袋果より10%内外多くなつている.5.果実内の酸の含量は無袋果が有袋果よりいく分少いようであるが,その差はあまり大きくない.6.果実内ビタミンC含量は無袋果の方が有袋果より10%内外増加している.7.果実の硬度,果実内成分含量,ペクチン含量,着色の変化などから綜合的に判定して,無袋果の成熟期は有袋果よりいく分促進されるようである.

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著者
武田 洋幸 五所 恵実子 鹿野 悠 曇 由紀子 久保 健雄 横山 広美 蓮尾 一郎 佐藤 薫
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.3-7, 2013-05

第12回理学系研究科諮問会/第6回理学部学生選抜国際派遣プログラム/プログラムに参加して/留学生・外国人研究員・理学部教職員の懇談会/祝2012年度学修奨励賞・研究奨励賞・総長賞受賞/高校生のための春休み講座2013/第23回理学部公開講演会開催される/理学部・理学系研究科女子学生の声
著者
佐藤 廉也
出版者
九州大学大学院地球社会統合科学府
雑誌
地球社会統合科学 : 九州大学大学院地球社会統合科学府紀要 : bulletin of the Graduate School of Integrated Sciences for Global Society, Kyushu University (ISSN:13411659)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-28, 2014

エチオピア南西部の森林地帯に棲み、焼畑・蜂蜜採集・狩猟を主生業とするマジャンギルと植物との関係について、植物の利用と認知の両面から記述し、考察をおこなった。マジャンギル居住域および生業活動領域に生育する植物(栽培種38種、野生種269種)を採集し、野生種については標本を前にした聞き取りによって植物の方名、分類、生育地、利用(食料・飲料、建材・囲い、衣料・装飾、儀礼、薬、楽器・遊具、燃料、生業・生活道具、蜜源、間接的利用)に関する情報を得た。マジャンギルは方名を持つ野生種の65.4%を有用植物として認知していた。植物が生育する森林タイプ別に見ると、成熟林、長期休閑林、短期休閑林の順に有用と認識する植物の比率は高く、彼らの森における生業と植物の利用・認知との深い関わりが示唆された。In this paper, I described plant uses and related knowledge among the Majangir, who live in the forest located in Southwestern Ethiopia and have been engaged in swidden agriculture, honey collecting and hunting, to discuss on human-plant relationships in the densely forested habitat. I collected 38 domesticated plant species and 269 wild species found in their habitat and asked people about local names, classification, vegetation in which they are found and utility of wild species in front of specimens. As a result, I showed they recognize 65.4% of wild species as useful plants. They regard 87.5% of wild species found in primary forest, 86.8% in long-fallow forest, and 76.6% in short-fallow vegetation as useful. This may show that the depth of their knowledge on plants is related to the extent of importance of its habitat in terms of their subsistence activities.
著者
塚田 亨 徳永 千穂 酒井 光昭 南 優子 佐藤 幸夫 榊原 謙
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.743-747, 2014 (Released:2014-04-29)
参考文献数
7

要旨:肺動脈原発腫瘍は極めて稀な疾患であり,未治療の場合は予後1.5 カ月ともいわれる悪性の疾患である.症例は62 歳女性.咳嗽と血痰を主訴に受診.造影CT で肺動脈肉腫と診断,左右肺動脈はほぼ腫瘤に占拠され突然死の可能性が高いと判断し手術適応とした.麻酔導入後に心停止となり,緊急開胸し人工心肺を開始,主肺動脈から右肺動脈に嵌頓した腫瘍を摘出,肺動脈は馬心膜で再建した.左肺気管支の断端の確保も可能であり人工心肺離脱後に左肺全摘を施行し腫瘍を完全に摘出した.病理組織より左肺動脈内膜肉腫と診断,腫瘍断端は陰性であった.術後補助化学療法については明確なプロトコールがないことより選択しなかった.現在術後36 カ月が経過しているが,再発を認めず外来で経過観察中である.左肺動脈原発血管内膜肉腫に対して,肺動脈再建・左肺全摘術を行い術後36 カ月の生存期間を得た.肺動脈原発血管内膜肉腫の予後改善のためには,完全切除をめざした積極的な手術が有効と考えられた.
著者
大平 哲也 磯 博康 谷川 武 今野 弘規 北村 明彦 佐藤 眞一 内藤 義彦 嶋本 喬
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.335-341, 2004-05-01
被引用文献数
1

うつ症状が脳卒中や心筋梗塞の発症と関連することや,不安,怒りが高血圧発症と関連することは欧米を中心に報告されているが,わが国における前向き研究はほとんどない本研究は,不安,怒り,うつ症状とその後の循環器系疾患発症との関連について前向き研究で明らかにすることを目的とした地域住民男女901名にZungの抑うつスケール(SDS)を実施し,その後103年間の追跡調査を行った結果,SDSの得点が高い人は低い人に比べて全脳卒中発症の相対危険度が約2倍,脳梗塞発症の相対危険度が約3倍,虚血性心疾患の相対危険度が約7倍であったまた,4地域(秋田,茨城,大阪,高知)住民のうち,正常血圧者4,970名を対象として不安,怒りの表現方法を質問紙にて調査し,その後4年間の追跡調査を行った結果,男性では怒りを内にためることが高血圧発症と関連していたが,女性では関連がみられなかった不安と高血圧との関連は男女ともにみられなかった