著者
戸倉 新樹
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.17-21, 1995-04-15

ニューキノロン剤は光線過敏症を起こしやすいことが知られており,新薬の出現のたびに副作用としての光線過敏性皮膚炎が話題となる.ニューキノロンは一重項酸素を主とする活性酸素を介して光毒性物質としての性格,すなわちDNA切断活性などを示すが,活性の強さは各ニューキノロン間で異なる.同剤は光毒性の一つの特徴である蛋白との光結合能も有するため,マウス表皮細胞をニューキノロン溶液に浮遊させた後,長波長紫外線(UVA)を照射することにより,ニューキノロン光修飾表皮細胞を作製することができる.この光修飾細胞を同系マウスに皮下投与することにより過敏症反応を誘導し得る.すなわちニューキノロンは光ハプテンとしての性格を持ち,このため光アレルギー反応を起こすと考えられる.さらにニューキノロンはT細胞に対してサイトカイン産生増強作用を示し,免疫反応修飾物質としての側面も持っている.こうした光毒性物質,光ハプテン,免疫反応修飾剤という特質を併せ持っているからこそ同剤は光線過敏性皮膚炎を起こしやすいと考えられる.
著者
佐倉 由泰
出版者
中世文学会
雑誌
中世文学 (ISSN:05782376)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.94-103, 2007 (Released:2018-02-09)
著者
河原 常郎 土居 健次朗 大森 茂樹 倉林 準
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0320, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】変形性膝関節症や半月板損傷による歩行は,膝関節の疼痛を訴えるケースが多い。このような症例に対して,歩隔を大きくした歩行(以下,WB歩行)は,膝関節における疼痛の軽減につながることが多くあった。本研究は,WB歩行を運動学的に解析し,その有用性を検討することを目的とした。【方法】対象は整形外科的,神経学的疾患の無い健常成人男性11名(年齢25.6±2.8歳)とした。使用機器は,VICON MXシステム(Vicon Motion System:カメラ7台,200Hz),床反力計(AMTI2枚,1,000Hz),使用ソフトはVICON NEXUS 1.7.1とした。運動課題は歩行動作とし,両踵骨間の距離を,①N:規定なし,②W:左右上前腸骨棘間距離,③WH:②の1.5倍の3パターンとした。マーカは,15体節(頭部,体幹,骨盤,左右の上腕,前腕,手部,大腿,下腿,足部)の剛体リンクモデルを用い,35点を貼付した。解析項目は,歩隔,足角,歩幅,歩行速度,ケイデンス,下肢(股関節,膝関節,足関節)関節角度,関節モーメント,身体重心(COG)位置とした。計測は右脚立脚期に行った。計測時間は,自然3次スプライン補間を用いて,各データのサンプル系列から,全データのサンプル数が同じ長さになるようにデータを正規化した。統計処理は,一元配置の分散分析後,有意差を認めたものに対して多重比較Bonferroni法にて検証した。【結果】1)歩隔:歩隔は,N:93.7±31.0mm,W:288.5±33.3mm,WH:429.0±47.1mmであり,各歩行パターン間に有意差を認めた。2)歩行速度:歩行速度は,N:72.1±5.3m/min,W:70.1±6.4m/min,WH:72.6±7.2m/minであり,各歩行パターンに有意差を認めなかった。3)歩幅,足角,ケイデンス:歩幅は,N:596.0±36.1mm,W:575.4±49.9mm,WH:644.0±31.3mm,足角は,N:5.8±5.1°, W:4.0±2.9°, WH:10.1±3.0°であった。WHはN,Wに対して有意に大きい値を示した。ケイデンスはN:121.1±7.4steps/min,W:122.0±6.2steps/min,WH:112.5±8.2steps/minであった。WHはN,Wに対して有意に小さい値を示した。4)関節角度,モーメント:股関節における関節角度は,立脚期を通して,歩隔の増大に伴い,外転角度増大,外旋角度減少を示した。関節モーメントは,立脚期を通して,歩隔の増大に伴い,股関節内転モーメント(N:760.5±17.9Nmm,W:563.2±53.9Nmm,WH:342.1±84.2Nmm)・膝関節内反モーメント(N:668.3±61.1Nmm,W:599.5±54.2Nmm,WH:555.1±119.2Nmm)減少,足関節内反モーメント(N:34.6±8.5Nmm,W:108.8±22.1Nmm,WH:211.4±16.1Nmm)増大を示した。歩行周期において,WHは,初期接地から荷重応答期にN,Wと比較して股関節内転・内旋モーメント,膝関節内反モーメント減少を示した。その他の関節角度,関節モーメントは,各歩行パターン間において有意差を認めなかった。またWHは,立脚終期に,N,Wと比較して足関節背屈角度減少,股関節内転・外旋モーメント・膝関節内反・外旋モーメント・足関節外転モーメント減少を示した。5)COG:COGの側方変位量は,N:29.9±11.4mm,W:34.6±10.2mm,WH:76.0±11.0mmとなり,歩隔の拡大に伴い増加を示した。重心側方変位の増加量は,歩隔の増加量と比較して減少した。COGの鉛直変位量は,N:37.9±7.2mm,W:38.1±6.0mm,WH:39.0±7.4mmとなり,各歩行パターン間に有意差を認めなかった。【考察】WB歩行による歩隔の拡大は,膝関節内反・外旋モーメントを小さくした。その量は,軽く足を開く程度のWにて約1割,さらに足を開くWHにて約3割のモーメントの減少が可能であった。WB歩行は,変形性膝関節症(内側型),内側半月板損傷などの有痛性膝関節疾患のケースにおいてストレスとなる関節運動の制御が「安全」かつ「容易」に可能であるという点で有効であるという事が示唆された。ただし本研究は,対象を健常成人としており,WHは,N,Wと比較してケイデンス減少を示したものの,歩行速度が変わらず,歩幅は増大を示した。また,WB歩行はCOGの側方変位過多や足関節内反モーメント増大など,デメリットの要素も残しており,完全な安定した歩行戦略であるとは言い切れないことがわかった。【理学療法学研究としての意義】今回,我々はWB歩行の解析を行い,その運動学的な特徴を示した。その中でWB歩行は,歩行時の膝関節のストレスが軽減することを明らかにした。このことは変形性膝関節症における疼痛回避の一手段となりうる可能性が示唆された。
著者
難波 光義 岩倉 敏夫 西村 理明 赤澤 宏平 松久 宗英 渥美 義仁 佐藤 譲 山内 敏正 日本糖尿病学会―糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会―
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.826-842, 2017-12-30 (Released:2017-12-30)
参考文献数
34
被引用文献数
6

糖尿病に対する薬物治療の進歩の一方で,患者の高齢化などを背景とした低血糖リスクの増大が憂慮されている.このため,わが国の糖尿病実臨床における治療に関連した重症低血糖の調査を行った.日本糖尿病学会学術調査研究等倫理審査委員会の承認のもと,2015年7月に同学会認定教育施設631施設の研修責任者に対して調査への参加を依頼した.参加意思を表明した施設には,倫理審査の必要書類を送付し,各施設の倫理審査委員会での承認後,Web登録システム(症例データは匿名・非連結)を利用してデータ登録を依頼した.本調査研究は,同学会学術調査研究委員会の予算で行った.施設実態調査(施設データ)および,個々の症例から同意取得後に症例調査(症例データ)を実施した.重症低血糖の定義は,『自己のみでは対処できない低血糖症状があり,発症・発見・受診時の静脈血漿血糖値が60 mg/dL未満(毛細管全血50 mg/dL未満)が明らかにされていることが望ましい』とし,調査期間は2014年4月1日から2015年3月31日としたが,施設データは193施設から,症例データはそのうち113施設から総数798症例の登録があった.回答を得た193施設中,149施設(77.2 %)に救急部が併設されており,1施設あたりの同部への年間総救急搬送件数(中央値)は4962件,このうち重症低血糖は17.0件(0.34 %)をしめた.回答施設における重症低血糖による年間受診総数は2237人であり,1施設あたり6.5人であった.重症低血糖による年間入院総数は1171人で,1施設あたり4.0人であり,重症低血糖による年間受診数の52.3 %を占めていた.798例の症例データをまとめると,病型は1型240人,2型480人,その他78人,年齢は1型54.0(41.0-67.0)歳,2型77.0(68.0-83.0)歳であり,2型が有意に高齢で(P < 0.001),BMIは1型では21.3(18.9-24.0)kg/m2,2型では22.0(19.5-24.8)kg/m2で,2型の方が高値であった(P = 0.003).推算糸球体濾過量(eGFR)は1型73.3(53.5-91.1)mL/min/1.73 m2,2型50.6(31.8-71.1)mL/min/1.73 m2となり,2型の方が低値であった(P < 0.001).重症低血糖発生時点のHbA1cは全体で7.0(6.3-8.1)%,1型7.5(6.9-8.6)%,2型6.8(6.1-7.6)%であり2型で低値であった(P < 0.001).重症低血糖の前駆症状の有無に関しては全体で有35.5 %,無35.6 %,不明28.9 %,前駆症状の発現率は1型で41.0 %,2型で56.9 %となり,1型の方が前駆症状の発現率は低かった(P < 0.001).2型の治療薬はインスリン使用群(SU薬併用29人含む)292人(60.8 %),SU薬群(インスリン未使用)159人(33.1 %),インスリン・SU薬未使用群29人(6.0 %)であった.調査対象798例のうち296例(37.2 %)は,過去にも重症低血糖で救急受診した既往を有していた.以上のようにわが国の糖尿病治療に関連する重症低血糖の実態が初めて明らかになった.今後は重症低血糖の高リスク者や既往者に対し,低血糖の教育と治療の適正化による発症予防対策が急務であることが明確となった.
著者
大関 純平 深堀 辰彦 藤野 洋佑 倉富 慎介 杉山 進 小野 英規 中尾 一久 山田 道廣
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.27-32, 2012 (Released:2013-03-08)
参考文献数
21
被引用文献数
1

〔目的〕FineWire 電極を使用し,股関節屈曲(以下,下肢動作)を行うことで,下肢動作に伴う体幹深層筋の筋活動性を検討する。〔方法〕整形外科学的疾患を有さない健常男性一名を対象とし,FineWire 電極を右腹横筋・右内腹斜筋に刺入した。測定課題は,両股関節屈曲位の背臥位での下肢動作,端座位での下肢動作,バルーン上の端座位での下肢動作,端坐位での風船膨らましとした。下肢動作は左右行い,自動運動と抵抗運動を行った。〔結果〕下肢動作に抵抗を加えると体幹深層筋の筋活動が高値を示した。体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受ける。また,腹横筋には同側への体幹側屈作用を有している可能性を認めた。〔結論〕体幹深層筋は,下肢動作に伴う姿勢変化に活動形態を変化させ,下肢動作を行う際の土台として関与している可能性がある。しかし,体幹深層筋の体幹安定化への貢献度は肢位や重力の影響を受けることが推察された。
著者
長嶺 邦彦 冨岡 聡 政倉 祐子 田村 徹 植田 充紀 新福 吉秀
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.1012-1015, 2010-07-01 (Released:2010-10-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

As the mura of a large LED backlight are caused by various factors such as the strength and wavelength of the light emission, light distribution of the individual LED and its structure design, both complicated mura shapes and the affect of hue need to be considered in order to evaluate the white uniformity of an LED backlight. There are no quantitative results showing the relations between human perception and uneven colored characteristic. To quantify the human perception of white uniformity, we used a 40-inch LED backlight to subjectively evaluate white uniformity and found the relation between human perception and physical characteristics from the measurements.
著者
倉嶋 厚
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.103-113, 1972-10
著者
倉嶋 厚
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.87, pp.103-113, 1972 (Released:2011-03-04)
著者
小倉 慈子 矢澤 久史
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.80-86, 2014-04-25 (Released:2014-04-15)
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

This study investigated the hypothesis that narcissistic personality traits would affect risk-taking behaviors through self-monitoring. The Narcissistic Personality Inventory Short Version (NPI-S), the Self-monitoring Scale (SM), and the Risk-taking Behavior Scale for Undergraduates (RIBS-U) were administered to 192 university and graduate students. There were three NPI-S factors (“sense of superiority and competence”, “need for attention and praise”, and “self-assertion”), two SM factors (“extraversion” and “other-directedness”), and the single risk-taking factor of the RIBS-U. Covariance structure analysis was then conducted to test whether narcissistic personality traits would affect risk-taking behaviors through self-monitoring. Analysis showed that the factors of “sense of superiority and competence” and “need for attention and praise” affected risk-taking behavior through the “other-directedness” factor. However, the “self-assertion” factor was found to have a direct effect on risk-taking behavior.
著者
久保田 一雄 町田 泉 田村 耕成 倉林 均 白倉 卓夫
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.40-45, 1997-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
2

平成2年6月からの5年間に46例のアトピー性皮膚炎患者(男性31例,女性15例,25±11歳)に対して,草津温泉療法(40~42℃,1回10分,1日1~2回)を3~28週行った.その泉質は酸性(pH2.0)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉である.32例(70%)で皮膚症状が改善し,さらにそのうち18例で掻痒も改善した.皮膚症状の改善は血清LDHの有意な低下でも裏付けられた.皮膚症状改善例のうち,温泉療法前に皮膚表面に多数の黄色ぶどう球菌が検出された15例では,温泉療法後に13例で消失,2例で減少した.この草津温泉療法による皮膚症状の改善機序として,皮膚病変の増悪因子である黄色ぶどう球菌に対する酸性温泉水の殺菌作用が推定される.
著者
川島 栄一 朝倉 五郎
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
造船協會論文集 (ISSN:18842062)
巻号頁・発行日
vol.1954, no.95, pp.81-88, 1954 (Released:2007-05-28)

Now defunct Japanese Navy prescribed, at its designing of war crafts, in consideration of their stability capacity, the permissible lowest values of GM, OG, Stability range, etc. separately, in accordance with the class of vessels and their sizes.Later on, however, due to the development of stability theory, it became possible to determine the stability capacity, by applying the organic relation of these values mentioned above and obtaining a value that is the combination of these values.In this thesis the authors, basing upon the“Theory of Safety Criterion of a Ship”established by Prof. Watanabe, have calculated the Safety Criterion c Value, studying the actual instances of 15 vessels, including destroyers and torpedo boats of the defunct Japanese Navy, and about 90 of their different conditions and analysed them from various angle, such as the transition of the history, and the statistic distributional state.This study of the authors has led to the possibility to determine the permissible lowest value of safety criterion of naval small crafts.
著者
倉田 徹
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、「一国二制度」方式で統治されている香港が、中国の政治・社会の変容に対してどのような影響を与えているかを分析した。当初、香港のキリスト教団体を中心に、中国大陸および香港での調査を行い、香港の市民社会が中国の変容に対して果たしている役割について、具体的な事例研究を行うことができた。研究期間中の2014年には、中国政府が提案した民主化案に反対する学生・市民によって、香港で「雨傘運動」と呼ばれる大規模民主化運動が発生し、この運動をめぐる政治動向の分析に焦点を当て、関係者へのインタビューなどを行った。研究成果はすでに書籍や論文の形式で多数発表されている。

2 0 0 0 OA 16 裁判化学

著者
星野 乙松 石倉 俊治
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.11, no.13, pp.136R-142R, 1962-12-05 (Released:2010-05-25)
参考文献数
263

裁判化学は司法裁判に関係ある事件の解決に応用される分析化学の一分野であって,鑑識化学ともいわれ,分析の対象,目的はきわめて多岐にわたっているが,その中で最も重要でしばしば扱うのは,生体試料中の薬毒物の分析である.今回は1957年までを記載した前回の総説に引き続き,1958~61年の間に発表された裁判化学関係の文献のうちから薬毒物の分析法に重点をおいて最近の進歩をふりかえってみることにする.なお,薬品分析,農薬分析,機器分析などの関連項目と重複する報告は特に重要と思われるもの以外は集録しなかったので,それらの項目も参照されたい.