著者
倉林 義正
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.3-14, 2008

小論は,かつて筆者が国連本部統計局(UNSO)に在勤し,1993SNA の初期段階における作成作業に携わった経験に基づいて,その作成作業の経過を,当時のSNA をめぐる各国の研究状況に照らして考察した回想の記録である.筆者とSNA の関わりを述べる導入(第1節)に続いて,第2節では,1993SNA を作成するためのさまざまな準備作業とその問題点が,また第3節では,具体的な作成作業の展開とそれに伴う問題点が考察される.結びの第4節では,今後の改定作業との関連で発生すると予想される未解決の問題を指摘する.この小論は,図らずも去る10月18日に急逝した(以下の考察でしばしば登場する)Michael Ward 氏との30年に余る交友の思い出と追悼のために捧げられる.
著者
上倉 安代 大川 一郎 井手 正和 和田 真
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.19216, (Released:2020-07-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1

In cognitive science, self-disturbance in schizophrenia is regarded as an unusual sense of body ownership. This study examined the possibility of discriminating self-disturbance between patients with schizophrenia and healthy individuals using the rubber hand illusion (RHI). We evaluated RHI in inpatients with schizophrenia with mainly negative symptoms (n = 26) and normal control subjects (n = 10). The group with schizophrenia had a significantly higher score than the control group on only the following item: “It seemed as if I might have an extra left hand,” suggesting that patients with schizophrenia have strong self-disturbance. This indicates that it is difficult for them to have an appropriate sense of body ownership and normal reality testing. The RHI evaluation might be useful as an assessment tool for schizophrenia since it is easy to use for evaluating self-disturbance, even when not recognized by patients with schizophrenia themselves. This study supports the usefulness of the RHI evaluation as a tool for assessing self-disturbance in patients with schizophrenia.
著者
新倉 貴仁
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.583-599, 2008-12-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
41
被引用文献数
2 1 3

本稿は,ナショナリズム研究において提起されている構築主義的アプローチの批判的検討を通じ,その射程を描き出すことをめざすものである.近年,ナショナリズム研究において,従来の近代主義と歴史主義の相克を乗り越える為に,構築主義的アプローチが提起されている.これは,国民国家批判に代表されるような政治的構築主義としてではなく,方法論的構築主義の立場から再検討される必要がある.この企図のため,本稿はベネディクト・アンダーソンのナショナリズム論を再構成していく.アンダーソンは,「想像の共同体」という語に示されるように,ナショナリズムに対する構築主義的説明を行っている.だが,他方で彼は,「なぜ人はネーションのために死ぬのか」という問題をナショナリズムの中心的な問いに位置づける.すなわち,構築をめぐる知の問題系と,構築主義に突きつけられる死の問題系が,アンダーソンの議論には共存している.この理論的意義を検討することを通じ,以下の3点を示す.第1に,アンダーソンの議論は,その主張以上に,観察可能な言説を対象とする点で方法論的構築主義に位置している.第2に,ナショナリズムは,構築の外部を排除しつつも内部へと包含するような構造を有している.そして,第3に,ナショナリズムにおける構築主義の理論的賭け金は,構築の外部を補足することの失敗自体を記述していくことにある.
著者
佐々木 万丈 渋倉 崇行 今薗 由望
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.23-34, 2015-03-31 (Released:2015-08-02)
参考文献数
32
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate cognitive appraisal of menstruation and menstrual symptoms (MMS) by female athletes in the competitive sports context, and to examine the relationships among the women’s cognitive appraisal of MMS, their interpersonal stress experiences in that environment, and their sports competitive trait anxiety. Female college athletes (n=188) aged 18 to 23 years (m=19.81, sd=1.32) completed three questionnaires: one consisting of cognitive appraisal questions created for this study; another made up of interpersonal stressor questions which they were asked to answer while competing during MMS; and a third relating to the trait anxiety scale for sports (Hashimoto et al., 1986). Factor analysis revealed two cognitive appraisal themes, “threat” and “controllability”, related to both menstruation and menstrual symptoms. Analysis of covariance (ANCOVA) revealed that the athletes experienced social stress in the competitive environment during MMS, strongly recognized “threat”, and felt it was difficult to handle MMS. Multiple regression analysis revealed that the athletes who showed high levels of cognitive anxiety about losing tended to recognize MMS as a threat to their performance. The results suggest that cognitive appraisal of MMS by female athletes is associated with interpersonal stress and is influenced by sports competitive trait anxiety.
著者
朝倉 俊成 清野 弘明 野崎 征支郎 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.423-427, 2001-05-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1

糖尿病患者が外食時にインスリン自己注射を行うことに関して, 飲食店はどのように捕らえているのかを調べるために太田西ノ内病院から半径約5km以内に位置する飲食店150店舗を対象にアンケート調査を実施した. 回収は89件 (59. 3%) であった. その結果, 料理の提供時間は最短で7. 1±9. 5分 (M±SD), 最長は20. 1±15. 0分であった. インスリン注射を患者自身が行なっていることは68. 5%が知っており, 店内でインスリン注射を見たことがあるとの回答は15.7%であった. 料理の量や提供時間などの客からの要望に対しては80%以上が対応できると答えた. また75. 0%がインスリン注射についての情報を知りたいと答えていた. インスリン療法に関する情報提供などを通じ, 患者のインスリン注射の環境改善に薬剤師が貢献できると考えた
著者
倉橋 愛
出版者
日本南アジア学会
雑誌
南アジア研究 (ISSN:09155643)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.30, pp.36-52, 2020-03-31 (Released:2020-09-14)
参考文献数
14

インドで統治業務に就く文官の質を高めるべく、1800年にウェルズリー総督(Richard Colley Wellesley, 1760-1842)によって、カルカッタ(現コルカタ)にフォート・ウイリアム・カレッジが設立された。本稿においては、同カレッジにおいて実施された試験と、ディベート大会である公開討論会について取り上げている。試験の実施頻度については、先行研究において、様々な記述がなされてきた。試験の結果を基に、学生のクラス分けが行われ、賞金やメダルを授与する制度も存在していた。1830年代から授業が不開講となり、その代わりに口述と筆記の試験が隔週で実施されることとなったが、このことについては先行研究において殆ど言及されてこなかった。公開討論会は、インド統治に関連した議題について、インド現地語で実施された。この討論会の大きな目的として、イギリスによるインド統治の正当性を示すことが挙げられる。そうした点において、この討論会はディベート大会以上の重要な意味を持つ行事であったと言える。
著者
中村 元信 戸倉 新樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Suppl.19, pp.31-35, 2012 (Released:2013-07-06)
参考文献数
7

ロキシスロマイシンは14員環マクロライドの1つであり,抗生物質としての作用以外にサイトカイン産生抑制,抗酸化,好中球機能抑制などさまざまな作用が知られている。組織にマスト細胞の浸潤が認められた好酸球性膿疱性毛包炎にロキシスロマイシンを投与したところ,効果が見られた1例を経験し,ロキシスロマイシンによるマウス骨髄由来マスト細胞の IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC 産生調節について検討を行った。ロキシスロマイシンは IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC いずれの産生も抑制した。今後,マスト細胞が関与した皮膚疾患にロキシスロマイシンの効果が期待される。(皮膚の科学,増19: 31-35, 2012)
著者
浅野 安信 中倉 敬
出版者
日本比較内分泌学会
雑誌
比較内分泌学 (ISSN:18826636)
巻号頁・発行日
vol.42, no.159, pp.87-89, 2016 (Released:2016-10-15)
参考文献数
6
著者
古川 忠延 阿部 修也 安藤 剛寿 岩倉 友哉 志賀 聡子 高橋 哲朗 井形 伸之
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011-DD-82, no.3, pp.1-6, 2011-10-01

本研究では,センサーや統計等を通じては獲得できない社会的事象の抽出と活用の可能性調査を目的として,犯罪情報を対象に Twitter 投稿の分析をおこなった.分析を通じ,(1) Twitter 上の犯罪関連投稿には,投稿者自身の犯罪の目撃や被害に関する投稿,公共・公的機関が発表した情報等を引用した投稿,ニュース記事の引用という3種類が存在すること,(2) それらの間で記述されている犯罪種別傾向の違いから,Twitter からのみ抽出できる犯罪情報が存在していること,が分かった.また,犯罪関連投稿を自動抽出する実験結果についても報告する.
著者
倉石 泰
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.139, no.4, pp.160-164, 2012 (Released:2012-04-10)
参考文献数
69
被引用文献数
2

痒みは,皮膚表層の生体防御感覚であり,マスト細胞,ケラチノサイト,T細胞,一次感覚ニューロンなどが産生・放出するアミン,ペプチド,サイトカイン,プロテアーゼ,脂質メディエーターなど多種多様な因子が起痒因子となる.痒みの受容にTRPV1チャネルを発現する一次感覚ニューロンが重要な役割を果たす.すなわち,TRPV1チャネルは起痒因子による一次感覚ニューロンの発火に関与する.一次感覚ニューロンのガストリン放出ペプチドは脊髄後角における痒み信号の伝達に関わり,BB2ボンベシン受容体を発現する後角ニューロンは多様な痒み信号の入力を受ける.脊髄後角では下行性ノルアドレナリン作動神経がα-アドレナリン受容体を介して痒み信号の伝達を抑制する.脳および脊髄のμ-およびκ-オピオイド受容体も痒み信号の調節に関わる.
著者
水野 統太 芳賀 瑞穂 水戸 和幸 板倉 直明
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.137, no.4, pp.639-644, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
18

A diet is possible by various methods now. Recently, the system which enables a partial thin figure by using ultrasonic wave and laser is developed. However, these methods are at risk of a burn or the internal hemorrhage. Therefore, the establishment of the safe method not to destroy a fat tissue is expected. In this study, warm and cold stimulus and vibration stimulus were given in the thigh posterior surface, we examined subcutaneous fat changes over time. We aimed at the establishment of the possible method of the simple and safe diet and fat movement using these external stimulus.
著者
笹倉 秀夫
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, pp.323-384, 2020-07-30
著者
藤倉 善郎
出版者
新潮社
雑誌
週刊新潮 (ISSN:04887484)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.50-53, 2010-01-14
著者
葛西響子 山本景子 倉本到 辻野嘉宏
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2014-UBI-44, no.8, pp.1-8, 2014-10-07

人前で話をする場面において,不安や緊張が生じてしまい,話し手の頭が真っ白になり,思った通りに話せなくなる場合がある.本稿では,この人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和することを目的とし,聴衆に肯定的な反応を重畳することによって不安や緊張を和らげる手法を提案する.この提案手法に基づき,聴衆ににこにこしてうなずくカボチャの画像を重畳するシステム 「コウテイカボチャ」 を実装した.そして,コウテイカボチャが,実際に人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和できるか,および,人やカボチャの表情が人前で話をするときに生じる不安や緊張にどのような影響を与えるかを評価する実験を行った.その結果,人やカボチャが睨んでいる場合は人前で話をするときに生じる不安や緊張が大きくなり,人やカボチャが笑顔である場合は人前で話をするときに生じる不安や緊張が小さくなることがわかった.つまり,コウテイカボチャは,睨んでいる人が見えるときよりも人前で話をするときに生じる不安や緊張を緩和できることがわかった.さらに,緊張しやすい性格の話し手に満足感を与える効果は,笑顔のカボチャよりも笑顔の人の方が大きく,緊張しやすい性格の話し手の緊張感を緩和する効果は,笑顔の人よりも笑顔のカボチャの方が大きいことがわかった.
著者
朝倉 希一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.51, no.352, pp.20-23, 1948-01-25