著者
大塚 浩仁 佐野 成寿 羽生 宏人 山本 高行 伊藤 琢博 岩倉 定雄
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.32-37, 2020-02-05 (Released:2020-02-05)
参考文献数
4

本解説では,超小型衛星打上げ機(SS-520 4,5号機)の機体システム開発の概要を示す.本ロケットの開発意義は,搭載した宇宙用機器に品質の高い民生部品を活用して超小型衛星打上げシステムを作り上げたことと,従来の開発手法に加え新たに取り組んだ民生品の品質保証の考え方を構築してフライト実証したことである.また,既存の観測ロケットに衛星打上げ能力を持たせるためには,いくつかの課題を克服する必要があった.抜本的な構造軽量化,搭載機器の小型軽量化,衛星とロケット一体となった機能の最適配分,誘導制御系の工夫,飛行安全,Test as Flyをベースとした検証試験等々,限られたリソースと開発期間の厳しい制約条件のなかで随所に創意工夫を施した.本解説では,その開発におけるポイントを総括した.
著者
板倉 弘重 高橋 二郎 北村 晃利
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.173-182, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
72
被引用文献数
6 3

アスタキサンチンは,広く天然に存在する赤色のカロテノイドの一種であり,一重項酸素消去および抗脂質過酸化活性などの優れた抗酸化作用を有する.近年さまざまな生理活性が報告されるようになり,健康食品および化粧品素材として普及しつつ,予防医学の領域においても注目されている.本稿では,アスタキサンチンの由来,他のカロテノイドとの比較,化学的特長に触れつつ,抗脂質過酸化活性,抗炎症,血流改善,メタボリックシンドローム改善,眼精疲労改善,ピロリ菌抑制,脂質代謝改善,筋肉疲労改善,美肌効果,男性不妊症改善などの機能性,さらに体内動態および安全性についての細胞,動物試験,および臨床試験などの結果を取り上げ,補完代替医療素材としての可能性を紹介する.
著者
落合-大平 知美 倉島 治 長谷川 寿一 平井 百樹 松沢 哲郎 吉川 泰弘
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第22回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.85, 2006 (Released:2007-02-14)

大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)および旧ナショナルバイオリソースプロジェクト・チンパンジーフィージビリティスタディでは、国内で飼育されている大型類人猿の基本情報を収集および公開するとともに、廃棄される遺体の有効利用など、非侵襲的な方法での研究利用の推進をおこない、飼育動物の生活の質(QOL)の向上などにつながる研究の促進と、その研究成果のフィードバックに取り組んできた。本発表では、大型類人猿を飼育する36施設を実際に訪問しておこなわれたヒアリングと、社団法人日本動物園水族館協会(2004年6月2日現在、国内の91の動物園と69の水族館が加盟)によりまとめられた血統登録書や過去の文献などから、大型類人猿の日本での飼育の歴史についてまとめたので報告する。 日本の大型類人猿の飼育の歴史は、江戸時代である1792年にオランウータン(Pongo pygmaeusもしくはPongo abelii)が長崎の出島に輸入されたのが最初である。1898年には上野動物園でオランウータンが、1927年には天王寺動物園でチンパンジー(Pan troglodytes)が展示されている。ゴリラ(Gorilla gorilla)がやってきたのは、戦後の1954年であり、移動動物園で展示された。1950年以降は日本各地に動物園が設立され、1980年に日本がCITESを批准するまで、ボノボ(Pan paniscus)を含むたくさんの大型類人猿が輸入されている。近年は、チンパンジーが56施設352個体(2005年12月31日現在)、ゴリラが11施設29個体(2005年9月30日現在)、オランウータンが24施設53個体(2004年12月31日現在)飼育されているが、亜種問題や血縁関係の偏りなどが明らかになっており、遺伝的多様性を確保したままの個体数の維持が課題となっている。
著者
中谷 礼仁 倉方 俊輔
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.491, pp.205-211, 1997-01-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
56
被引用文献数
1 1

The "Rasen-Tou (Spiral Tower)" is an unbuilt project, published in "Kenchiku Zasshi" by the Architectural Institute of Japan ("Kenchiku Gakkai") in 1902. The Tower was proposed by Kontarou Abe, was an associate member ("Tun-In") of this institute. We present an outline of the planning method of "Rasen-Tou (Spiral Tower)" and the career of Kontarou Abe, the proposer. The "Rasen-Tou", despite its unusual form, was planned in conformance with the principles of "Kiku-Jutsu", a traditional Japanese method of stereotomy based on wooden construction.
著者
西沢 文吾 倉沢 康大 山崎 彩
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.105-115, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
41

The Common Starling Sturnus vulgaris is a winter visitor to Japan, with more records in the western region. In Hokkaido, this species is known as an accidental visitor, and some reports suggest that the number of observations recorded in the Sapporo region have recently increased. In this study, we first reported our observations of the starling in Oshima Peninsula, southern Hokkaido, where this species had not been previously recorded. We then collected published observation records from 1987, when the first starling was recorded in Hokkaido, until 2018. From these records we examined the distribution of observations of the starling and assessed whether the number of them flying to Hokkaido has increased during this period. The birds were widely observed in Hokkaido, with the number of records occurring more frequently in the Sapporo, Ishikari and Okhotsk regions. The number of observation records was high both in spring (April) and fall (October), suggesting that the birds might visit Hokkaido during their migration. The annual number of observation records showed an increasing trend, which occurred every year from 2004. In addition, the number of birds per observation seemed to increase in recent years, but with high interannual variability. Therefore, careful attention should be paid to the changes in the number of starlings and their distribution throughout Japan, including Hokkaido.
著者
鈴木 敦士 嶋倉 明彦 三木 貴司 清水 雅範 見山 源太郎 斎藤 信 池内 義英
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.104-110, 1990-02-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19

屠殺前の廃鶏に, A. sojaeおよびA. oryzaeの産生する蛋白質分解酵素,パパイン,ならびに細菌性コラゲナーゼを注射して肉質への影響を研究した.その結果,筋原線維Z帯の成分が,パパイン, A. sojaeおよびA. oryzaeの産生する酵素によって分解されやすくなり,筋原線維のfragmentation の増加が認められた.また,筋肉内コラーゲンのサブユニットの分解,コラーゲン線維の開裂や膨潤も認められた. 食肉の軟化剤として広く使われているパパインに加えて,本研究に使用した醤油の生産に使われている麹菌の産生するプロテアーゼも,安全性および価格の面からも,食肉の軟化剤として有効ではないかと考えられる.
著者
赤倉 貴子 東本 崇仁 加藤 浩一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42036, (Released:2018-06-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3

本研究では,法令文を命題論理式で表現することができることに着目して,特許法学習のための問題解決過程モデルを定義した.そしてそのモデルを利用した学習支援システムを開発した.開発した学習支援システムは,法律条文を組み合わせて考えるような問題に対して,問題構造を直接計算可能な命題論理による表現として保持している.学習支援システムを利用する学習者は,同様に命題論理によって解答を組み立てる.学習支援システムは,システムが生成した正答と学習者の入力した解答の差分を計算し,学習者に誤りの箇所を段階的にフィードバックすることができる.システムの評価実験を行った結果,学習者は段階的フィードバックを高評価し,本研究で定義したモデルに基づいて問題を解く意識を強化できる可能性があることが示唆された.
著者
矢嶌 裕義 高梨 知揚 高山 美歩 高倉 伸有
出版者
東京有明医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

当該研究は、術者及び患者をマスクした状態(ダブルブラインド下)で、非特異的腰痛に対する鍼治療の効果を観察することを最大の目的としている。この研究で用いる最も重要なダブルブラインド鍼について現時点では、これまでに開発してきたダブルブラインド鍼を臨床研究に使用しつつ、製品として安定的に供給できるダブルブラインド鍼の開発を目指している。この鍼は、通常の鍼(刺さる鍼)と皮膚に圧迫を与える鍼(刺さらない鍼)、これらの鍼を支える内鍼管、この鍼管内には術者に生じる刺入感覚を相殺する為のシリコン、これら全てを支える台座、及び鍼を叩き入れる際に用いる外鍼管で構成されている。これまでにこれらの各パーツの製作が終了し、臨床研究で使用可能とはなったものの、研究中に何本かの鍼においては、刺入操作時に鍼が進まなくなり刺鍼できなくなってしまう事態に見舞われる事が確認された。しかしながら、現在はこれらパーツを使用しながら臨床研究は進めているものの、こうした欠点が見つかっていることから、シリコンと内鍼管については、スムースな刺入を目指し現在も試作を繰り返している状況である。また平成30年度は、本学においての臨床研究が附属の鍼灸センターでなされるのが初めてであったこと、附属のクリニックとの共同の臨床研究も実施されたことがなかったことなどから、研究に参加していただく患者様に生じる金銭的および時間的なご負担を軽減するための方法についてクリニックや本学事務局と協議し、よりスムースな臨床研究の実施が可能となるルール作りを行った。そのため研究開始の時期が当初の予定よりも遅れたものの、事務局の協力のもと、現在20名の非特異的腰痛患者に対する研究を実施することができた。
著者
倉上 和也 太田 伸男 欠畑 誠治
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
雑誌
耳鼻咽喉科免疫アレルギー (ISSN:09130691)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.9-14, 2012-12-29
参考文献数
55
被引用文献数
1

IgG4関連疾患は,全身の諸臓器にCD4ないしCD8陽性Tリンパ球とIgG4陽性形質細胞が浸潤する全身性疾患であり,IgG4陽性細胞の浸潤は,唾液腺,甲状腺,膵臓,胆管,後腹膜などに認められることが多い。近年,自己免疫性膵炎,硬化性胆管炎,後腹膜線維症など,これまで独立して診断されてきた疾患が,新しい疾患概念であるIgG4関連疾患の一つの表現型である可能性が示唆されている。耳鼻咽喉科領域においては,ミクリッツ病やキュットナー腫瘍などの硬化性唾液腺炎やRiedel甲状腺炎などがIgG4関連疾患であるといわれている。IgG4関連疾患では,自己免疫性膵炎や硬化性胆管炎で発症する例も少なくないが,耳下腺,顎下腺,涙腺の腫脹が自覚症状として認識しやすいため,耳鼻咽喉科や眼科を最初に受診する例が多く存在する。また無痛性であるため,医療機関を受診していない例も相当数存在すると予想される。しかしながら,IgG4関連疾患は単独の病変にとどまらず,経過中に全身諸臓器に病変を生じることが知られており,注意が必要である。当科で経験した症例においても,その約半数に自己免疫性膵炎をはじめとした他臓器合併症を認め,他科との連携治療を行っている。IgG4関連疾患は,たとえ初診時の症状や所見が軽微なものであったとしても,詳細な全身検索と長期間の経過観察,また他科との密接な連携を要する疾患である。<br>
著者
倉島 研 金地美知彦 畑山 俊輝
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.111(2004-MUS-057), pp.125-130, 2004-11-06

被験者は同一の楽曲を様々なテンポで聴取した。被験者はそれぞれについて印象評定を行い、同時にテンポの好みの程度を判断した。印象評定に用いた44形容語について因子分析を行ったところ、「明るさ」「速さ」「くつろぎ」の3因子が抽出された。これらの因子は80bpmから240bpmのすべてのテンポ条件で抽出された。また被験者に最も好まれたテンポは160bpmから180bpmであった。これらのテンポの時、3つの因子の平均評定値は高い順に「明るさ」、「くつろぎ」、「速さ」となった。各因子の平均評定値がこのような順番となる時に好みのテンポという印象が生じると考えられる。
著者
木村 妙子 木村 昭一 角井 敬知 波々伯部 夏美 倉持 利明 藤田 敏彦 小川 晟人 小林 格 自見 直人 岡西 政典 山口 悠 広瀬 雅人 吉川 晟弘 福地 順 下村 通誉 柏尾 翔 上野 大輔 藤原 恭司 成瀬 貫 櫛田 優花 喜瀬 浩輝 前川 陽一 中村 亨 奥村 順哉 田中 香月 Kimura Taeko Kimura Shoichi Kakui Keiichi Hookabe Natsumi Kuramochi Toshiaki Fujita Toshihiko Ogawa Akito Kobayashi Itaru Jimi Naoto Okanishi Masanori Yamaguchi Haruka Hirose Masato Yoshikawa Akihiro Fukuchi Jun Shimomura Michitaka Kashio Sho Uyeno Daisuke Fujiwara Kyoji Naruse Tohru Kushida Yuka Kise Hiroki Maekawa Yoichi Nakamura Toru Okumura Junya Tanaka Kazuki
出版者
三重大学大学院生物資源学研究科
雑誌
三重大学フィールド研究・技術年報 = Annals of Field Research and Technology Mie University (ISSN:13496824)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-29, 2019-11

Preliminary results of the deep-sea faunal survey conducted from the TR/V Seisui-maru of Mie University in April 2019 are presented. A total of 20 taxonomists and ecologists working on a wide variety of animal taxa participated in this survey. Surveyed areas included the Kumano Sea(off Mie Prefecture)and south of the Kii Strait(off Tanabe Bay, Wakayama Prefecture), at depths of 112-775 m. Sampling gears employed were beam trawl and biological dredge. The collection is represented by macrobenthos and meiobenthos from nine animal phyla, including echinoderms, arthropods, molluscans and annelids. The number of phyla occurring in each station varied from seven to eight. The station with most diverse fauna at the phylum level was St. 3B(south of the Kii Strait, 775-661 m depth, mud bottom).Meiofauna includes priapulids, nematodes and small arthropods such as copepods, tanaidaceans, amphipods, isopods and cumaceans. In addition to freeliving species, cnidarians symbiotic on a gastropod and an antipatharian, and crustaceans parasitic on a fi sh and sea urchins were also collected. Preliminary identifi cations are given for Asteroidea, Ophiuroidea, Holothuroidea, Crinoidea, Cyclopoida, Siphonostomatoida, Tanaidacea, Isopoda, Decapoda, Mollusca, polychaetes, Bryozoa, Cnidaria and Nemertea.
著者
山本(前田) 万里 廣澤 孝保 三原 洋一 倉貫 早智 中村 丁次 川本 伸一 大谷 敏郎 田中 俊一 大橋 靖雄
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.23-33, 2017-01-15 (Released:2017-01-24)
参考文献数
26
被引用文献数
3 2

内臓脂肪を減少させメタボリックシンドローム(MetS)を予防する食品は有用であり,MetS改善作用の評価は,農産物単品にとどまってきたため,日常消費される組み合わせ食品としての有用性の検証が必要である.肥満傾向を有する健常な成人の昼食に,機能性農産物を組み合わせた機能性弁当を継続摂取させ,機能性農産物を使用していないプラセボ弁当を摂取した場合と比較して,腹部内臓脂肪の減少効果について検証した.BMIが25以上30未満および内臓脂肪面積が100cm2以上の肥満傾向を有する健常な成人を対象に,ランダム化プラセボ対照試験を行った.被験食品は,機能性農産物を使用した「おかず」,「べにふうき緑茶」および「米飯」(50%大麦ご飯および玄米),プラセボ対照食品は,機能性農産物を使用しない「おかず」,「茶」(麦茶)および「米飯」(白飯)であり,3因子の多因子要因1/2実施デザインを採用して,試験群は機能性の「おかず」「茶」「米飯」それぞれ1要素のみ被験食品とする3群とすべての機能性要素で構成される被験食品1群の計4群とした.平日の昼食時に12週間摂取した.主要評価項目は,内臓脂肪面積,副次評価項目は,ヘモグロビンA1c (HbA1c),グリコアルブミン,1,5-AG(アンヒドログルシトール)などとした.159名が登録され中途脱落はなかった.全期間の80%以上の日で弁当の配布を受けたPPS (Pre Protocol Set)解析対象者は137名であった.試験に入ることによる効果はPPSで-8.98cm2と臨床的にも統計的にも有意であった(p=0.017)).主要評価項目のサブグループ解析の結果,試験開始時の内臓脂肪面積が中央値100∼127cm2の被験者で,被験米飯の効果はPPS で平均-7.9cm2であり,p値は0.053とほぼ有意であった.被験米飯については女性でも有意な(平均値-14.9cm2,p=0.012)減少効果が観察された.副次評価項目では,1,5-AG に関してべにふうき緑茶の飲用で有意差が認められた.また,安全性に関して特筆すべき問題は生じなかった.食生活全体の変化と機能性農産物を使用した機能性弁当の連続摂取により,内臓脂肪面積の低減効果等の可能性が示唆された.
著者
佐藤 圭祐 石倉 隆 末永 正機
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11674, (Released:2019-12-20)
参考文献数
15

【目的】運動失調症状により運動調節が困難となった症例に対し,免荷式歩行器を使用し,能力の向上をみたので報告する。【症例】30 代男性,くも膜下出血および右延髄小脳梗塞を発症し運動失調が出現。【方法】免荷式リフト「POPO®(モリトー社製)」を使用した歩行練習を実施した。POPO の歩行速度はゆっくりとしたスピードで行った。運動失調の評価は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(以下,SARA)を初回と退院時の2 回実施した。【結果】SARA は初回35 点から退院時30 点へと改善し,失調症状の軽減を認めた。Function Independence Measure(以下,FIM)は総合で初回54 点から退院時68 点へ向上した。【結論】免荷式歩行器を用いた理学療法は,オリーブ核を介する運動の誤差修正を必要としない運動が行いやすく,運動失調および運動調整の困難さを軽減させる可能性が示唆された。
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-150, no.16, pp.1-8, 2012-10-25

恋人間の愛着行動(いわゆる「いちゃいちゃ」)は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.恋人達の多くは,常に愛着行動をとりたいと願っている.しかしながら公共空間では,目の前にパートナーがいるにもかかわらず愛着行動を行うことができない.従来の恋愛支援技術の研究は,遠距離恋愛者を対象に研究開発が進められてきたが,近距離恋愛者に対しても支援すべき課題が残されていると考える.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,このメディアの実現に向け,どのような種類の行動を伝え合うことが有効かに関する基礎的検証を行う. : "Acting cozy" is important for lovers to feel happiness and to improve their relationships much better. Many lovers desire to always act cozy. However, it is actually difficult to act cozy in a public space although they are together there. Whereas the ordinary research efforts have attempted to mainly support long-distance lovers, there are also several issues to be solved even for short-distance lovers. Accordingly, we have been studying a medium that allows the short-distance lovers who stay together to convey cozy actions even in the public space without disgusting people around them. This paper investigates what kind of cozy actions should be transmitted between the lovers being together in the public space.
著者
中瀬 泰然 小倉 直子 前田 哲也 山崎 貴史 亀田 知明 佐藤 雄一 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.557-561, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1

目的:視床梗塞において臨床症状と血管支配を含めた解剖学的構築との関連については様々な報告がある.本研究では急性期両側視床梗塞を呈した連続症例を検討し,臨床像および予後規定因子について解析した. 方法:2001年4月∼2005年3月に入院した脳梗塞症例のうち,入院時MRIおよびMRAにて病巣と血管病変を同定し得た両側視床梗塞9例を対象とした.予後は退院時mRSにて判定した. 結果:予後良好例(mRS 0∼2)5例,不良例(mRS 4以上)4例であった.予後良好例で記銘力低下,失見当識,過眠傾向などの精神症状が認められ,予後不良例では四肢麻痺,動眼神経麻痺,球麻痺が認められた.予後不良例の特徴として,脳幹・小脳梗塞の合併,発症時高齢(72.0±15.3歳vs 58.2±11.9歳)と,脳底動脈閉塞が観察された. 結論:高齢発症,脳底動脈閉塞の有無が予後規定因子となりうることが示唆された.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.292-294, 1979

モチ米, ウルチ米の精白米粉末ならびにデンプン試料についてアミログラムによる粘度試験を行いつぎの結果を得た.<BR>1) モチ米, ウルチ米の精白米粉末のアミログラムからは最高粘度はウルチ米が大でモチ米は小となり膨潤しにくく, 崩壊度でもウルチ米は大となるがモチ米は小で崩壊しにくい値を示した.<BR>2) デンプン粒のモチ米, ウルチ米のアミログラムからは最高粘度はモチ米デンプンが大でウルチ米デンプンは小となり, 崩壊度でもモチ米デンプンは大となるがウルチ米デンプンは小で崩壊しにくい値を示し, デンプンレベルではモチ米がウルチ米より高い最高粘度を示し, 精白米のモチ米, ウルチ米の成績と逆の結果が得られた.<BR>米飯の粘着度はモチ米は大で, ウルチ米は小であった.デンプン粒の最高粘度は同様にモチデンプンは大でウルチデンプンは小であった.一方, 精白米粉末の場合はモチ米の最高粘度は小で, ウルチ米は大であった.これはモチ米デンプンに対して脂質あるいはタンパク質がとくに影響を与えているためでないかと考えられる.<BR>3) 種々の濃度 (5, 8, 10%) のモチ米, ウルチ米デンプンのアミログラムの結果, 各濃度においてモチデンプンはウルチデンプンに比較して最高粘度は大であった.