著者
丸山 総一 平賀 慎也 横山 栄二 直井 昌之 鶴岡 祐二 小倉 吉洋 田村 勝利 灘波 信一 亀山 やすひこ 中村 悟 勝部 泰次
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.997-1000, 1998-09
被引用文献数
11 35

1994年5月から1995年6月にかけて, 神奈川県および埼玉県の7ヵ所の動物病院より採取した総計471検体の飼育猫の血清について, B.henselaeとT.gondiiの感染状況を調査した.さらに, これらの中の無作為に抽出した67頭の猫について, 猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体ならびに猫白血病ウイルス(FeLV)抗原の検索を行った.B.henselae抗体価は間接蛍光抗体法で, T.gondii, FIV抗体ならびにFeLV抗原は市販のキットを用いて測定した.調査した猫のうち, 43頭(9.1%)がB.henselaeに対し, 41頭(8.7%)がT.gondiiに対する抗体を保有していた.B.henselaeに対する雄猫の抗体陽性率は12.9%と雌猫の5.2%に比べ有意に高い値を示した(p<0.01).一方、T.gondii抗体陽性率は雄猫の9.1%, 雌猫の8.7%で有意な差は見られなかった.各病院ごとの猫のB.henselae抗体陽性率は0〜19.5%, T.gondii抗体陽性率は4.0〜18.8%であった.B.henselaeおよびT.gondii抗体陽性の猫は1歳以下〜14歳まで見られ, T.gondii抗体陽性率は年齢とともに上昇する傾向が見られた.無作為抽出した67頭の猫血清のうち, 16頭(23.8%)がFIV抗体を6頭(8.9%)がFeLV抗原をそれぞれ保有していたが, これらとB.henselaeの陽性率との間に関連性は認められなかった.
著者
伊倉 久美子 太田 陽子
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.112, no.3, pp.394-405, 2003-06-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
23
被引用文献数
3 3

Well-defined Holocene marine terraces are present continuously along the west coast of the Asahi Mountains. This area faces the Sea of Japan and is located east of the epicenter of the 1964 Niigata earthquake, which caused an uplift with considerable westward tilting of Awashima Island, located west of the epicenter. In contrast, the study area subsided at the time of the destructive 1964 earthquake, although the presence of Holocene and stage 5e or other marine terraces record the long-term uplift during the late Quaternary of this area (Ota, 1971). This paper describes the nature and the age of Holocene terraces, which had not been studied in detail, and discusses the uplift pattern and its tectonic significance.The Holocene marine terrace here is usually wave-cut platform with few beach deposits. At large river mouths, however, there are relatively wide and flat valley bottom plains, burying drowned valleys, and separated by sand dunes from the present beach. Radiocarbon age from the bottom of terrestrial deposits on marine deposits is 6.4 ka or slightly younger, and indicates that the emergence of Holocene terrace took place ca. 6 ka. The former shoreline height of the Holocene terrace ranges from 8 m to 4 m. Thus, the maximum uplift rate reaches 1.3 m/ka, which is larger than the uplift rate deduced from the Ml (stage 5e) terrace. The Holocene terrace is subdivided into two on the southern part of the Budo Mountains, where the uplift rate of Ml terrace is the maximum. The late Quaternary uplift of this area, deduced from marine terraces, is discordant with coseismic subsidence caused by the 1964 Niigata earthquake. This means that the uplift of this study area is not caused by seismogenetic fault for the 1964 earthquake. We cannot find the specific onshore active fault within or at both sides of the Budo Mountains and the Maya Mountains that was responsible for the coastal uplift. To interpret such a long-term uplift of the coastal area, we need to assume that offshore reverse active fault dipping eastward is repeatedly activated. Establishing the exact location, nature, and length of offshore faults is important to interpret the coastal uplift of this area.
著者
村田 伸 中野 英樹 安彦 鉄平 岩瀬 弘明 豊西 孝嘉 松倉 祥子 児島 諒
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.109-113, 2017

<p>本研究は,開発した下肢がむくみ難いパンプス(開発パンプス)を紹介するとともに,そのむくみ抑制効果について検証した。方法は,開発パンプスと一般パンプスを交互に履くクロスオーバーデザインを採用し,かつそれぞれのパンプスが対象者に分からないようブラインド化して効果を検証した。なお,下肢のむくみは下肢容積を水置換法によって計測することで判定した。対象とした女子大学生12名両下肢24肢の登校時と下校時の下肢容積変化量を比較した結果,開発パンプス装着日は-15.4±19.5ml,一般パンプス装着日は41.7±14.0ml であり,有意差(p<0.05)が認められ,開発パンプス装着日の下肢容積の減少が確認された。このことから,開発パンプスの下肢のむくみに対する一定の抑制効果が確認された。</p>
著者
武藤 友和 板倉 直明 水戸 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.52, pp.25-29, 2010-05-14
参考文献数
8

本研究では、三次元動作分析装置と床反力計を使用してハイヒール使用時の階段降段動作への影響について検討した。ハイヒール熟練者は、階段降段時に安定性よりも速度を優先させる。結果として、膝関節・足関節の負担が増大していることが示唆された。
著者
佐々木 健 北村 美穂 倉田 啓一 渡邊 克巳
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

今日,情報システムには少なからずユーザとの音声対話機能が実装化されている.音声エージェントに対するユーザの愛着は,情報システムの利用を求める際に重要な役割を果たすと考えられる.本研究では,会話の丁寧さに着目し,丁寧さの異なる数種類の呼びかけ語が音声エージェントへの愛着形成にどのような影響をもたらすか検討した.実験参加者は,バーチャル運転システムを通して,丁寧な呼びかけ語 (『すみません』)と丁寧でない呼びかけ語 (『あのー』)を話す音声エージェントと会話し,それぞれのエージェントに対する印象を評価した.その結果,丁寧な呼びかけ語の『すみません』は「打ち解け感」と「控えめさ」の評価を高めたが,エージェントへの愛着を直接示す「好ましさ」にはほとんど影響がなかった.しかし一方で,「好ましさ」と「打ち解け感」,「控えめさ」の間に強い相関が見られたことから,呼びかけ語は「打ち解け感」,「控えめさ」を通じてエージェントへの「好ましさ」を変化させる可能性があると考えられる.本結果は,呼びかけ語の丁寧さを適切に選択して使用することによって,ユーザと音声エージェント間の愛着形成が促進される可能性を示唆する.
著者
倉林 しのぶ 芝山 江美子 宮崎 有紀子 李 孟蓉 尾島 喜代美 風間 順子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.76-86, 2014-09-26 (Released:2017-04-27)

本調査では、「虐待」および「虐待」のグレーゾーンともいえる「不適切な行為」の認識に影響を及ぼす因子と、その「気づき」を促すための方策を探ることを目的に介護関連施設職員240名を対象にした自記式無記名による質問紙調査を実施した。その結果、「虐待」として認識率が高いものは、"高齢者への被害が明らかな行為"であり「不適切な行為」としては、"高齢者本人に直接的な侵襲がないと思える行為"があがった。30%以上が「問題ない」と認識した行為はいずれも「安全優先」「施設都合」「家族優先」のいずれかが背景にあった。また、職種別による「虐待」の認識率は「介護福祉士」が最も高く、経験年数別では、「3年以上」が「3年未満」より高率であった。虐待や不適切行為を捉える能力は教育だけで身に付くものではなく、介護の実践経験を積むことで養われる能力の存在も示唆され、人材養成教育や職員教育の充実とともに、実践現場における事例検討等を含めた教育継続が必要である。また、対象者への直接的な侵襲がない行為でも守秘義務や自律尊重に関わる倫理的問題が含まれている場合があり、それらを見極める能力を高めることも必要と思われた。
著者
倉持 利明
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-36, 2000-03

海棲哺乳類研究における寄生虫学の意義について, 寄生虫相研究, 生物指標としての寄生虫研究, 病原生物としての寄生虫という3つの柱に基づきこれまでの研究を概説した。寄生虫相研究は海棲哺乳類の寄生虫研究における基盤であり, 寄生虫を生物指標として利用する上でも重要である。世界各地から膨大な研究が蓄積されているが, 特に日本近海に生息する海棲哺乳類の寄生虫相研究は未だ不十分で, 今後ストランディング調査等を通して解明して行かなくてはならない。寄生虫を生物指標として用いることが, 水棲動物の系群構造解析などに有効なことがあり, 海棲哺乳類においても系群識別や群の棲み分けなどいくつかの研究例がある。寄生虫の生活史は宿主動物により制限されており, そのため宿主動物の生物学的特徴が寄生虫により表現されることがあるからである。しかし一方, 海洋性寄生虫においてはその生活史研究がおおいに遅れているのが現状である。海棲哺乳類のストランディングや自然死亡と寄生虫症との関係は重要である。ハクジラ類の頭蓋道に寄生する二生類などをはじめとした, いくつかの寄生虫の関与が指摘されている。
著者
藤井 隆 小嶋 俊一 大江 透 今西 政仁 木村 玄次郎 唐川 真二 飯田 達能 平田 結喜緒 倉持 衛夫 下村 克朗 伊藤 敬一 尾前 照雄
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.347-353, 1988-04-25 (Released:2011-07-04)
参考文献数
25

The mechanism of polyuria associated with paroxysmal supraventicular tachycardia (SVT) was investigated in 8 patients whose SVT was provoked artificially by esophageal pacing. SVT was sustained for 60 minutes. Blood and urine samples were collected every 30 minutes from one hour before provocation to one hour after termination of SVT. Urine volume increasd in all patients more than two fold (on average 2.5 fold) of the control volume. Urine osmolality decreased from 546±66 (S. E.)mOsm/kg at the control period to 197±32 mOsm/kg at the peak of urine volume. Urinary Na excretion increased significantly (p<0.01) about 1.5 fold for 30 minutes after termination of SVT. Urinary antidiuretic hormone (u-ADH) was suppressed to one third of control period during SVT (from 30±11 pg/min to 8±2 pg/min), then increased significantly (p<0.05) to 74±15 pg/min after termination. Although plasma ADH level did not change during SVT, it tended to increased after termination. Plasma concentration of atrial natriuretic polypeptide (p-ANP) increased to 5 fold on average at termination of SVT and maximally attained value was 400 pg/ml. Urinary prostaglandin E2(u-PGE2) excretion increased after termination of SVT and percent changes of u-PGE2 had a positive correlation with those of urinary Na excretion (r=0.64, p<0.001, n=5). Positive correlation was also found between percent changes of u-PGE2 excretion and those of u-ADH excretion (r=0.72, p<0.001, n=5). The findings suggest the following conclusions: 1) The polyuria during SVT period was attributed mainly to the inhibition of ADH secretion, 2) Natriuresis after SVT period was due to i) the increase of p-ANP and ii) the release of renal PGE2 associated with the increased ADH secretion.
著者
渋谷 俊夫 徳田 綾也子 寺倉 涼子 清水(丸雄) かほり 杉脇 秀美 北宅 善昭 清田 信
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.139-143, 2007-04
被引用文献数
4 13

台木用カボチャ (<i>Cucurbita moschata</i> Duch.) 挿し穂を用いて,低気温貯蔵中におけるボトムヒート処理(BH 処理)温度と処理期間が,貯蔵後の発根および成長に及ぼす影響を調べた.BH 処理温度27–32℃において,挿し木後の発根が最も促進された.挿し木後の根部生体重は,BH 処理期間 0 から24時間までは,処理期間が長くなるにしたがって直線的に大きくなった.BH 処理期間26時間では処理中の挿し穂に発根はみられなかったが,BH 処理期間30時間以上で発根がみられた.挿し木による根への損傷による根の生育遅延を避けるために BH 処理は発根直前で終了することが望ましいと考えられることから,最適 BH 処理時間は26–30時間と判断された.接ぎ木苗生産における BH 処理の実用性を検討するために,BH 処理と無処理のカボチャ台木挿し穂にキュウリ (<i>Cucumis sativus</i> L.) 穂木を接ぎ木し,それらを挿し木して育成した.BH 処理条件は気温 9℃,処理温度30℃,処理時間24時間とした.全生体重および根部生体重は挿し木 6 日後において,BH 処理した挿し穂から得られた接ぎ木植物では,処理しなかったもののそれぞれ1.3倍および4.0倍となった.BH 処理による台木挿し穂の発根促進効果は,接ぎ木後さらに 7 日間低温貯蔵しても維持された.<br>
著者
四倉 達夫 川本 真一 松田 繁樹 中村 哲
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3847-3858, 2008-12-15

声優経験のない参加者が,プロの声優のアフレコした発話アニメーションに近いリップシンク精度で,デジタルアニメキャラクタの発話と同期したアニメーションを体験できる,インタラクティブ発話合成システム<i>iFACe</i>を提案する.iFACeはリップシンクアニメーションを素早く生成するため,参加者から収録した台詞音声のタイミングに合わせてCGキャラクタ発話アニメーションを生成する,プレスコ方式を用いている.本システムは,参加者が選択した台詞情報と台詞に対応した音声を入力とし,雑音環境下でも推定精度の高い音素アラインメントを行い音素と音素継続長を求める.次にさまざまなスタイルのカートゥーンキャラクタにあうキーフレームの作成を行う.出力したキーフレームから,ブレンドシェープアプローチによるGPUを使ったリアルタイム発話アニメーションと音声を同期し出力を行う.本システムは日本科学未来館に5日間のデモンストレーションを行い,主観評価実験から,74%の回答者が,ゲームとして声優体験システムで遊んでみたいと示し,エンタテインメントシステムとしての有効なコンテンツであることが示された.In this paper, we propose a novel interactive lip-sync animation system for entertainment that works with players' voices and transcriptions as input and provides following: Robust speech recognition for a wide range of consumers in noise environments; smoothing lip-sync animation for cartoon characters; and blend-shaped based technique common in CG production real-time lip-sync animation on graphics hardware. We demonstrated and evaluated our system at National Museum of Emerging Science and Innovation (Miraikan) for five days. The evaluated results showed that our system was effective contents for entertainment use.
著者
久次米 真吾 野呂 眞人 中島 香織 板倉 英俊 森山 明義 沼田 綾香 熊谷 賢太 酒井 毅 手塚 尚紀 中江 武志 原 久男 坂田 隆夫 杉 薫
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.97-107, 2005

<BR>【症例】33歳,女性.<BR>【主訴】動悸.<BR>【経過】生後より,全内蔵逆位・右胸心・右室性単心室・肺動脈弁狭窄症・共通房室弁閉鎖不全症と診断され,3歳時にBlalock-Taussig短絡術を,8歳時にWaterston手術を受けている.23歳時に心房内リエントリーを機序とする心房頻拍(AT)に対してカテーテルアブレーション(CA)を行い,以後,動悸は消失した.最近,週に1回程度の動悸を自覚するようになり来院,Holter心電図でQRS幅の狭い持続性頻拍を認めたため入院した.電気生理学的検査の結果,この頻拍は,前回と類似した房室接合部近傍を起源とするATであり,少量のATPで停止した,AT中の最早期興奮部位に通電したところ,通電中にATは停止し,その後は誘発されなくなった.<BR>【まとめ】成人期まで生存し得た右室性単心室症例に合併した,AT再発例に対するCA成功例を経験したので報告する.
著者
城倉 正祥 ナワビ 矢麻 伝田 郁夫 渡辺 玲 小林 和樹 石井 友菜 根本 佑
出版者
早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所
巻号頁・発行日
pp.1-23, 2016-07

早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所 調査研究報告 第1冊
著者
大高 亜生子 簗田 陽子 保倉 明子 松田 賢士 中井 泉
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1011-1022, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
29
被引用文献数
10 11

小麦粉の産地判別を目的として,蛍光X線分析法により小麦粉中の微量元素の高感度定量を試みた.三次元偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用い,測定条件を最適化した結果,小麦粉中の17元素(Na,Mg,Al,P,S,Cl,K,Ca,Mn,Fe,Cu,Zn,Br,Rb,Sr,Mo,Cd)において直線性のよい検量線を作成することができた.本法はサブppmレベルの重元素の定量が可能であった.63試料の小麦粉の定量分析を行ったところ,国産と外国産・混合とで微量元素組成に異なった傾向がみられた.更に,産地の指標となると考えられた特定の元素の定量値を用いた多変量解析から,国産の小麦粉をほぼ正確に判別できる判別式を構築することができた.本研究により,迅速・簡便な蛍光X線分析が産地判別に有用であることを示すことができた.今後は,本法がその他の食品へと応用されるだけでなく,多検体の分析を要する食品の品質検査における実用的な分析法として利用されることが期待される.