著者
長谷川 哲也 内田 良
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF EDUCATIONAL SOCIOLOGY
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.259-280, 2014

本研究の目的は,大学図書館の図書資料費に関して,大学間の格差の実態とその推移を明らかにすることである。資料の電子化という地殻変動のなかで,大学間の格差はどう変容してきたのか。図書館研究と高等教育研究はいずれもこの問題を等閑視してきただけに,格差の全体像を丁寧に検証することが求められる。 とくに高等教育の資源格差は,各大学の機能の相異として是認されうるため,本研究では4つの視点──大学間の不均等度,大学階層間の開き,時間軸上の変化(縦断的視点),大学本体との比較(横断的視点)──を用いて多角的に分析をおこなう。分析には『日本の図書館』の個票データを用いた。国立大学法人化以降(2004-2011年度)の図書費,雑誌費,電子ジャーナル費に関して,「大学間格差」(個別大学間の不均等度)を算出し,さらに「大学階層間格差」(群間の開き)を明らかにした。<BR> 主な知見は次のとおりである。第一に,電子ジャーナル費では大学間の不均等度は縮小しているものの,階層間格差はむしろ拡がっている。これまで電子ジャーナルの購読では階層間格差は小さくなると考えられてきただけに,重要な知見である。第二に,雑誌費では大学間の不均等度が高くなり,さらに階層間格差が拡大するという,深刻な事態が生じている。「電子化」の背後で進むこれら図書資料費の「格差化」にいかに向き合うかが,大学図書館の今後の課題である。
著者
内田 良
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.95-103, 2011-03-31
被引用文献数
2

死亡事故を防ぐには、まずもって死亡事故の研究が不可欠である。本研究の目的は、学校管理下における柔道の死亡事故に関して、その実態を明らかにし、事故防止の留意点を引き出すことである。事故実態の分析からは、主に次の知見が得られた。第一に、柔道は死亡件数が多いだけでなく、死亡確率も高い。第二に、死亡事例の多くは初心者で発生している。第三に、柔道固有の動作から死に至るケースが多く、とくに頭部外傷による死亡が目立つ。2010年は、柔道事故防止の元年となった。しかし学校現場においては、柔道事故に対する危機意識はほとんど共有されていないのが現状である。中学校での武道必修化が目前に迫っているだけに、頭部外傷に関する医学的知見をはじめとして、事故防止の知識や方法が早急に学校現場に伝えられなければならない。
著者
内田 勝也
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.197-200, 2015 (Released:2015-07-31)

自治体が持つ住民の基本4情報の「氏名」、「住所」、「性別」、「生年月日」の一部の漏えいは、多くの自治体にとって、深刻な問題との認識は必ずしも大きな問題ではなかった。しかしながら、今回発生したストーカー殺人事件では、被害者の夫になりすました調査会社の経営者の電話での依頼を自治体職員が回答したため、被害者の住所がストーカーに渡り、殺人事件に発展した。個人情報の一部が漏れ、それが殺人に発展した事例は世界的にも稀有な事例と思われ、事件の分析とその対策を考えてみた。
著者
内田 遼 矢向 正人
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.12, pp.1-6, 2011-12-04

中世からルネッサンスまでの協和・不協和に関する西洋音楽理論は,声楽曲を念頭においている.この事実をふまえ,亀岡・厨川,小畑,Sethares による協和性理論を再検討し,歌声の協和性の分析を試みる.Western music theories from medieval times to the renaissance on the relationship between consonance and dissonance intervals were made bearing vocal music in mind. Based on this fact, the consonance theories by Kameoka and Kuriyagawa, Kobata, and Sethares are reexamined, and the degrees of consonance and dissonance for singing voice are analyzed.
著者
御子柴 裕子 多賀谷 昭 中畑 千夏子 宮越 幸代 内田 雅代
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.80-81, 2011-08

A市立の全小学校に在籍する5・6年生の児童を対象に,定期発育測定に合わせて腹囲,臀囲,血圧,腹壁皮下脂肪厚(Smin),腹膜前脂肪厚(Pmax)を測定した.その結果,腹壁皮下脂肪厚および腹膜前脂肪厚と血圧との間に有意な関連が認められたが,血中脂質との関連は認められず,児童の肥満は内臓脂肪型ではなく皮下脂肪型である可能性が高いことが示唆された.
著者
内田 梨沙
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.172-199, 2015

本稿では,大学院での3期にわたる日本語教育実習を振り返り,クラス内での学習者の発話量を増やすために筆者が取り組んだアクション・リサーチについて報告する。秋実習および冬実習を振り返り,筆者の問題点が学習者とのインターアクションおよび訂正フィードバックの方法にあり,それにより学習者の発話の機会を奪ってしまっていたことがわかった。また,冬実習では学習者間の発話量の偏りも生じてしまっていた。その反省から春実習の課題として,学習者の発話機会を増やすために筆者のインターアクションおよび訂正フィードバックの改善を試みた。分析の結果,インターアクション,訂正フィードバックに関して一定の改善は見られたものの,学習者間の発話量の偏りをなくすことはできなかった。また新たに,レベル差のあるクラスで,レベルの低い学習者や消極的な学習者にどのように発話の機会を与えるかという課題も見つかった。今後は各学習者の能力、性格などにも配慮して指名するなどの改善が必要であるとわかった。
著者
内田 昌功
出版者
東北史学会
雑誌
歴史 (ISSN:03869172)
巻号頁・発行日
vol.124, pp.86-94, 2015-04
著者
三井 一平 内田 誠 白山晋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.2, pp.17-24, 2006-01-12
被引用文献数
4

多くのネットワークモデルが提唱されているが,ほとんどが人同士の繋がりのみをモデル化したものである.しかし,社会的ネットワークは,人同士の繋がりだけでなく,人と社会的コミュニティとの関係によっても規定される.例えば,SNSにおいては,コミュニティと呼ばれるグループが存在し,ネットワーク形成に重要な役割を果たしている.また,近年,いくつかのネットワークにおいて明らかにされつつある潜在的なコミュニティ構造にも影響しているものと考えられる.本研究では,SNSのコミュニティを陽なコミュニティ構造と考え,これを有するネットワークに対して,局所的・全体的な相互作用を考慮した,ネットワーク成長モデルを提案する.In the fleld of complex network research, many network models have been proposed, but most of them focused on modeling of link structure among each individual. On the contrary, social networks are composed not only of such individual links but also of social communities. For example, one of the main functions on SNS is the Community, which is like SIG (Special Interest Group) and also is explicit community. It is considered that the community in SNS will play an important role in formation of the network. Besides, this community may affect inherent community structure that has been found in some networks. In this paper, we focus on this community, and propose an evolving network model in an explicit community.
著者
内田 樹
出版者
神戸女学院大学
雑誌
女性学評論 (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.153-177, 1999-03

Dans notre derniere analyse,nous avons interprete la Saga-Alien: Alien (1979),Aliens (1986) et Alien 3(1992) a partir de I'hypothese de Harold Schecter. Il a ecrit qu'une des sources du fantasme qui hante laSaga-Alien est la legende classique : serpent dans le ventre. Mais en meme temps,cette legende est nourrie abondamment d'un ressentiment contemporain contre les feministes americains des annees 70-90.Aux Etats-Unis,une des censures les plus severes sur les films est imposee par les feministes. Pour esquiver l'accusation feministe portee au nom de "la correction politique (politically correctness)",la Saga-Alien a employe la strategie de l'entrisme: jouer les feministes tout en les flattant excessivement. Au niveau narratif,les films de la Saga-Alien etaient absolument innocents: I'heroine (Ellen Ripley,astronaute) a gagne toutes les batailles sanglantes sur l' Alien, signe du desir sexuel masculin. Mais au niveau iconographique,la schema est completement renversee. L'heroine est convoquee au milieu de l'ecran seulement pour etre persecutee et punie au centre de tous les regards des spectateurs masculins.