著者
堀川 英則 大橋 博子 石川 博司 内田 祐太 伊藤 涼太郎 森 敬子 武山 桂子 永井 裕史 影山 舞子 山口 千明 大野 徹
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.195-202, 2019-10-31 (Released:2021-03-22)
参考文献数
23

愛知県豊橋市では,モモせん孔細菌病の防除のために春型枝病斑の早期切除技術(以下,早期切除)が篤農家により開発され,実践されているが,防除効果と実施基準は明確ではない.そこで,早期切除箇所周辺(早期切除区)と早期切除を行わず生育不良枝が残った箇所周辺(切除不実施区)の葉の発病状況を調査したところ,2017年は発病が少なく差は認められなかったが,2018年では切除不実施区で発病葉率が高く,早期切除区で低い傾向が見られた.これにより早期切除は葉の発病を抑制する可能性が示唆された.また,早期切除の指標化に向けて,2016年から2018年にかけ,早期切除の該当・非該当の1年枝の生育状況を画像解析により調査した.その結果,早期切除に該当する枝は該当しない枝と比較して,発芽や展葉が不良であった.そして,ロジスティック回帰分析から早期切除の判断には,枝の変色及び枯れ込みがあること,葉痕部の褐変した凹みがあることは重要な因子であった.
著者
内田 好治 舟橋 弘晃 澤井 和彦 間野 義之
出版者
Japan Society of Sports Industry
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_195-2_206, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
27

Opposing clubs involve not only sports competitors but also economic partners that are likely to influence fan behavior. Therefore, it is important to understand rivalry in team sports to ensure the financial viability of the leagues and teams. However, much of the study on rivalry in sports has focused either on professional or high-level men’s collegiate team sports in the US. The research in this study explored the perceptual rivalry of a Japanese professional sport club’s supporters against other clubs and the reasons for the rivalry. Data were collected via an email survey of the official fan club members of Alvark Tokyo, a Japanese professional basketball team in the B.League (N=377). Respondents were asked to rank up to five of the biggest rival clubs in the B.League first division and assess their subjective intensity of rivalry on a 100-point direct rating scale (RP). Next, they were asked to answer the reasons for their rivalry perception, based on 17 rivalry element items. The intensity of the rivalry against each club was calculated as the average value of the RP. A Kruskal-Wallis test was used to assess the differences in the reasons why each club was recognized as the biggest rival. The Chiba Jets was selected as the biggest rival team (RP=84.0), followed by the Tochigi Brex (RP=82.1), the Ryukyu Golden Kings (RP=61.2), the Kawasaki Brave Thunders (RP=56.0), the Seahorses Mikawa (RP=27.4), and the Sunrockers Shibuya (RP=16.9). The Kruskal-Wallis test indicated that the reasons for supporters’ perception of rivalry differed significantly across the six clubs. The empirical results suggested that the rivalry against other clubs may be amplified by the overlapping of conditions such as comparable competitiveness, geographical proximity, and historical relationships. Some practical implications are provided.
著者
金子 圭子 内田 啓一 大木 絵美 髙谷 達夫 森 啓 藤井 健男 富田 美穂子 吉成 伸夫 石原 裕一 田口 明
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.212-215, 2017-06-20 (Released:2017-06-24)
参考文献数
6

An external dental fistula involves formation of a fistula or granulation as an excretion pathway in the jaws or face, due to chronic purulent odontogenic inflammation. We describe a case involving a 30-year-old male patient who had an external dental fistula-like scar in the right buccal region. A diagnosis of an external dental fistula, caused by an infected right mandibular first molar, was made; endodontic therapy was performed without symptomatic improvement, and the patient was referred to our university. Tenderness in the masseter region and scarring in the right buccal region were found upon examination. Diagnostic imaging revealed a cylindrical structure suggestive of an external dental fistula in the soft tissues. Removal of the external dental fistula was performed under general anesthesia and the course was good. Patients with an external dental fistula may show symptoms for a prolonged period before a definitive diagnosis is made; however, diagnosis can be facilitated by early, accurate imaging examination.
著者
内田 司
出版者
札幌学院大学
雑誌
札幌学院大学人文学会紀要 (ISSN:09163166)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.1-19, 2007-03-07

現代社会における私たちの生活様式の諸特質の一つは,理性と感情が対立させられ,理性だけが重視され,感情(生活)の重要性が等閑視されてきたということである。というのも,私たちが生活している現代の市場経済社会では,私たちは,最小費用による最大の利潤追求,そのことを可能にする最適化と効率化,そして計算可能性という,近代合理性の経済化された生活原理が至上原理となった社会生活に,否応なしに適応しなければならなかったからである。こうした市場経済社会における経済様式化された社会生活の中では,私たちは否応なく自分以外の外的世界と,自己の私的(経済的)利益を実現するために,損得感情(勘定)にもとづいて,手段的・道具的にかかわらざるをえない。その中では,理性=知性とされ,私的目的実現の手段として重視されるが,感情はそうした合理的な活動を攪乱する非合理的なやっかいものとして従属的な地位に押し込められてきた。しかし,こうした感情生活を抑圧する社会生活は,諸個人の精神生活だけでなく,対人関係,対社会的関係行為にもさまざまな問題を引き起こしている。連載からなる本稿は,かかる現代社会における諸個人の感情生活の非合理的な存在様式によって引き起こされている,諸個人の精神生活,人間関係,社会との関係にかかわる諸問題を,感情コミュニケーションの視点から分析することを目的としている。本稿の課題は,私たちの日常生活における社会的相互行為のあり方に影響を与えている,現代社会の社会形成原理・生活原理の下で展開されている,人々の感情コミュニケーションの基礎的な型について検討することである。ただし,本号では,共感にもとつくコミュニケーション,損得感情(勘定)のコミュニケーション,そして疑心暗鬼のコミュニケーションについて検討し,傲漫とルサンチマンのコミュニケーションについては,次号で検討することになろう。
著者
内田 立身 西村 拓史 瀧本 宏美 佐藤 美津子 西尾 由美子 福家 洋子 野崎 正範
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血学会雑誌 (ISSN:05461448)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.33-34, 1998-02-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
6

We evaluated the effect of repeated apheresis on storage iron status in 82 males and 138 females. Storage iron was calculated according to the formula proposed by the National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES) as previously described. Calculated storage iron after repeated apheresis was 362±282mg in male donors and 128±176mg in females. These values were significantly lower than those in normal subjects and 400-ml repeated whole blood donors. A total of 12.2% of males and 45.7% of females were in negative iron balance before donation. The high prevalence of storage iron deficiencfy may be due to residual blood in the circuit or other factors.
著者
内田 育恵 杉浦 彩子 中島 務 安藤 富士子 下方 浩史
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.222-227, 2012 (Released:2012-12-26)
参考文献数
21
被引用文献数
23

目的:我が国における高齢難聴者の現況を推計することを目的として,「国立長寿医療研究センター―老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」データを検討した.方法:NILS-LSA第6次調査(2008~2010年実施)より男性1,118名,女性1,076名の計2,194名を対象として,地域住民の粗率に近似すると考えられる5歳階級別難聴有病率を算出した(算定A).また,聴力に有害な作用をもたらす耳疾患と騒音職場就労を除外した算出も行った(算定B).総務省発表人口推計を用いて全国難聴有病者数を推計した.次に第1次調査(1997~2000年実施)時点で,除外項目と難聴定義に該当せず,かつ第6次調査にも参加した男性212名,女性253名の計465名を対象として,10年後の難聴発症率を解析した.結果:難聴有病率は65歳以上で急増していた.算定Aでは,男性の65~69歳,70~74歳,75~79歳,80歳以上の年齢群順に43.7%,51.1%,71.4%,84.3%で,女性では27.7%,41.8%,67.3%,73.3%といずれも高い有病率を示した.算定Bでは,同様の年齢群順に男性で37.9%,51.4%,64.3%,86.8%で,女性では26.5%,35.6%,61.4%,72.6%であった.全国の65歳以上の高齢難聴者の数は,算定Aでは1,655万3千人,算定Bでも1,569万9千人に上った.10年後の難聴発症率は,調査開始時年齢60~64歳群では32.5%,70~74歳群では62.5%と,年齢上昇に伴い高くなったが,依然聴力を良好に維持する高齢者が存在した.結論:高齢者の難聴有病率は高く,全国難聴有病者数推計から,加齢性難聴が日本の国民的課題であることが再確認された.また年を経ても聴力を良好に維持することが可能であると示唆された.
著者
内田 彬浩 林 高樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.209-222, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1

日本の購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」のデータを用いた実証分析を行い、米国の「Kickstarter」を対象とした研究と比較した結果、以下の3 点が明らかになった。第一に、日米ともに目標金額と募集日数の増加により資金調達の成功率が下がり、積極的なPR により成功率が上がる。第二に、動画の使用が成功率向上に有効とした米国での研究結果に対し、日本では動画が成功率に影響を与えるとは言えない。第三に、日本では首都圏に所在する資金調達者が実施したプロジェクトの成功率が高い。これらは、今後の日本のクラウドファンディングの発展過程の理解に資すると考えられる。
著者
前多 敬一郎 大倉 永也 内田 恵美 束村 博子 横山 昭
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.153-158, 1988 (Released:2008-05-15)
参考文献数
17

乳子による吸乳刺激の代用としての乳腺神経の電気刺激の有用性を検討するため泌乳あるいは発情周期中の雌ラットの乳腺神経をウレタンあるいはチオペンタール麻酔下で電気刺激し,それぞれオキシトシン(OT)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌に及ぼす影響を調べた。泌乳ラットにおける乳腺神経の電気刺激はOTの分泌を促進した。しかし,この電気刺激は発情周期中にあるラットにおいてもそのOTの分泌を増加させた。さらに,伏在ならびに正中神経の電気刺激も泌乳及び正常発情周期中のラットにおいて血中OT濃度を増加させた。これらの神経の電気刺激による血中OT濃度の変化はすべて類似していた。しかし,乳子による吸乳時にみられるような変化とは異なっていた。泌乳ラットにおけるチオペンタール麻酔下における乳腺神経の電気刺激は伏在神経の電気刺激に比較して平均血中LH濃度およびLHパルスの頻度並びに振幅を抑制した。以上の結果から,乳腺神経あるいは他の神経の電気刺激が非特異的に働いてオキシトシン分泌を促進したと考えられる。しかし,LH分泌に関しては伏在神経刺激対照群に比較して乳腺神経の電気刺激により強く抑制されたことから,乳腺神経刺激が吸乳刺激に変わる刺激として用いられる可能性は残されていると考えた。
著者
内田 明彦 川上 泰 加藤 茂 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-119, 1999-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

1995~1997年に神奈川および静岡県内の河川に生息, あるいは養殖されるアユ, アマゴ, イワナ, ニジマスなどについて横川吸虫メタセルカリアの感染状況を調査した. 神奈川県内の河川から採取したアユの感染率は73.7~87.1%で, 1匹当たりのメタセルカリア数は12~348個体であった. 早川, 酒勾川で採取されたウグイは濃厚に感染 (87.0~100%) し, 1匹当たりのメタセルカリア数は27~1, 247個体であった. 早川, 藤木川産ニジマスには感染がみられなかった. 静岡県内 (狩野川本流とその支流) ではアユ (感染率80%, 寄生数25~428), ウグイ (93.8~100%, 36~1, 257), オイカワ (46.6~56.7%, 16~269), カワムツ (76.3%, 24~198) およびタカハヤ (100%, 49~165) の5種に感染がみられたが, ニゴイ, イワナ, ニジマス, アマゴからは検出されなかった. 井戸水飼育の養殖アユ212匹中3匹 (1.4%), 河川水利用の養殖アユでは223匹中142匹 (63.7%) からメタセルカリアが検出され, 感染率および1匹当たりのメタセルカリア数は晩秋に向けて増加した. しかし, 養殖ニジマス, イワナ, アマゴからはメタセルカリアは検出されなかった. 各種魚類から得られたメタセルカリアを猫に感染して得た成虫は, 形態変異がみられたが, すべて横川吸虫と同定された.
著者
橋本 隆雄 内田 秀明 宗川 清
出版者
国士舘大学理工学部
雑誌
国士舘大学理工学部紀要 = TRANSACTIONS OF THE KOKUSHIKAN UNIVERSITY SCHOOL OF SCIENCE AND ENGINEERING (ISSN:18824013)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.87-98, 2021-03-31

In the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake, a slope with a strength of 7 collapsed in Atsuma Town. On the other hand, in Sapporo City, where the epicenter distance exceeds 50 km, earthquakes with a seismic intensity of 5 or higher were observed. In the Omagari district of Kitahiroshima City, a seismic intensity of less than 5 was observed, and 28 residential land facing the Omagari River collapsed. In Kitahiroshima City, typhoon No. 21 caused heavy rain before the earthquake. Therefore, in this paper, we analyzed the slope of the building in the Omagari area of Kitahiroshima City and the damage to the retaining wall. As a result, it was found that the main causes of the slope of the building and the damage of the retaining wall were the rise of the groundwater level of the loose embankment of the valley in addition to the earthquake.
著者
内田 信之 岡山 健次 半田 祐一 崎村 恭也 倉根 理一 小久江 浅二 横田 修 山根 清美 小林 逸郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.48-53, 1985-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1

アルコール性肝硬変症の41才,男性に,突然両下肢の著明な筋力低下と筋痛が出現した. Creatine phosphokinase(CPK)はじめ血清酵素値の高度の上昇と,筋生検にて著明な筋細胞の壊死が認められ,本症例を横紋筋崩壊壊死(rhabdomyolysis)を伴う急性型アルコール性筋症と診断した.アルコール性筋症の臨床病型は,急性型,慢性型および潜在型に分類されており, rhabdomyolysisを伴う急性型は,最も重症で比較的稀とされている.本症例では, CPKの異常高値や独歩可能となるまでに10週以上を要したことより,これまでの報告例に比し, rhabdomyolysisが高度であつた希な症例と考えられた.また今回この症例に阻血試験(ischemicexercise test)を施行し,本症の発生機序に解糖系酵素の活性低下が関与している可能性を推察し,文献的考察を加えた.
著者
内田 昌希 浦山 玲菜 一色 恭徳 八巻 努 前野 拓也 上田 秀雄 近藤 誠一 夏目 秀視
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.109-116, 2014-02-10 (Released:2015-02-10)
参考文献数
19

In the present study, 0.5% povidone-iodine solution was prepared aseptically using various commercial products of 10% povidone-iodine solution, and the stability of 0.5% povidone-iodine solution after storage under various conditions was evaluated. Furthermore, a comparison between various commercial products was also performed. As a result, the stability of available iodine in 0.5% povidone-iodine solution was found to be affected by light, temperature and the sealability of the container. Of the storage methods investigated in the present study, the method of keeping the highest available iodine concentration was to store the povidone-iodine solution in a closed container under a light-shielded state at 4°C. The term of validity was 3 or 4 weeks in Hisiiode disinfectant solution or other products (Isodine® solution, Popiyodon solution, Negmin® solution, Popyral disinfectant solution and Iodine M disinfectant solution), respectively in storage in a closed container under a light-unshielded state at room temperature, which was the usual method of a disinfectant, from the results of a stability test of available iodine in 0.5% povidone-iodine solution. It was confirmed that bactericidal activity was maintained until at least 4 weeks after preparation in every commercial product from the results of a bactericidal activity test on the solution in the usual storage method (Staphylococcus aureus, Bacillus subtilis, Escherichia coli, Pseudomonas aeruginosa, Aspergillus niger, Candida albicans). Of the 0.5% povidone-iodine solution investigated in the present study, Popiyodon solution and Negmin® solution kept the available iodine comparatively stable under each storage condition.
著者
田辺 昇 内田 俊樹 大西 一功 藤原 義久 田中 正夫 堀田 知光
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.115-120, 1992-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
12

MDSの治療としてビタミンD3投与は分化誘導療法の一つとして確立しているが, 今回我々はビタミンD3投与による血小板減少をきたしたMDSの症例を経験した. 患者は78歳男性, 汎血球減少のため他院より紹介入院, 入院時現症では, 肝脾腫, リンパ節腫脹も認めず, 検査所見ではWBC 8100/μl, Hb 10.49/dl, Plt 6.6×104/μlで末梢血に3%の芽球を認めた. 骨髄所見と多彩な染色体異常よりRefractory Anemia (RA)と診断しビタミンD3を0.75μg/日より投与開始し3μg/日まで増量したが汎血球減少, ことに血小板の減少が進行した. 末梢血, 骨髄とも細胞成分に質的変化は見られなかった. D3を中止したところ1週間以内に血小板増加が見られ治療前値に回復した. provoking testによる汎血球減少の再現が見られたが, ビタミンD3投与前後においてGおよびGMコロニーの生成はともにみられなかった. ビタミンD3のMDSにおける作用機序を解明する上で重要な症例と考えられた.
著者
内田 和宏 今村 裕行 宮本 徳子 城田 知子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.129-134, 1999-06-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
24

本研究では, 各被験者の月経周期の時期を統一し, 運動強度が女性のEPOCの量と持続時間に及ぼす影響について検討した。飲酒・喫煙習慣を有さない女性7名を対象とし, 2周期にわたりVO2maxの40%, 50%, 70%の強度で各30分間の運動と, 運動を行わない非運動実験の計4回の実験を行った。VO2, RER, HRは運動後4時間にわたって測定した。EPOCは運動後17.7±11.1分 (40% VO2max), 23.7±8.1分 (50% VO2max), 41.3±22.6分 (70% VO2max) にみられ, それぞれ1,336±838mL (40% VO2max), 2,011±646mL (50% VO2max), 3,564±1,627mL (70% VO2max) で, 運動強度が高くなるにつれてEPOCの量・持続時間およびEPOCに由来する消費エネルギー量は有意に増加した。また70% VO2maxでは運動後30分までRERの有意な低下がみられたことから, この強度での運動後の脂質代謝の亢進が示唆された。
著者
内田 立身 国分 啓二 酒井 一吉 五十嵐 忠行 鈴木 照夫 樋口 利行 木村 秀夫 松田 信 刈米 重夫
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.146-153, 1984-06-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
24

慢性関節リウマチの鉄代謝異常を,血清鉄,総鉄結合能,血清フェリチン,フェロキネティクス,網内系細胞内鉄代謝の面から検討した.対象42例中57.1%に貧血があり,そのうち63%が正色性, 24%が低色性, 13%が高色性であった.血清鉄は66%が低値をとり総鉄結合能は82%が正常または低値,血清フェリチン値は83%が正常または高値を示し,鉄欠乏性貧血のそれと異なっていた. 15例のフェロキネティクスでは, PID T〓の短縮, PIT, RITの低値があり,これらは血清鉄低値,骨髄赤芽球系細胞の低形成の所見に見合うものであつた.59Fe標識コンドロイチン硫酸鉄を用いた網内系細胞の鉄動態の検索では,投与4, 6時間目に網内系細胞より動員される鉄量が正常に比し少なく,網内系細胞よりの鉄の動員の障害,いわゆるRE iron blockがあることが示唆された.この動員の障害により,血清鉄低値をきたし,骨髄への鉄供給不足,これに伴う無効造血の存在が病態として観察された.他方,骨髄では,造血幹細胞レベル,赤芽球細胞レベルでの低形成があり,これがPIT, RITの低値と関係していると思われ,貧血の主たる成因であることが類推された.