著者
金 池潤 金 栽滸 永島 佑樹 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.251-256, 2018

<p>2017 年11 月15 日発生した浦項地震(M5.4)は,韓国内で初めて地震避難所を運営した地震である.本研究では,韓国の防災対策の今後の方向性を示すために,浦項地震での避難所運営の実態に重点を置いて調査を実施した.</p><p>調査の結果,避難所として教会などの民間施設に最大約40% の避難者を受容しており,建築士会等の民間市民団体が緊急安全点検を実施し,企業からの物資支援が行われるなど,浦項地震では官民協力による対応が多く見られた.2016 年の慶州地震と比較して政府の災害対応は改善されたが,地震避難所運営マニュアルが存在しない点などの課題も抱えている.</p>
著者
デビ マリア ベルナデット カリナ 加藤 孝明
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.247-250, 2018-07-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
19

本論文では,既存の災害復興理論および復興評価と,コミュニティレベルにおける実際の復興事例との比較について述べる.災害復興評価に関する既往研究は,住宅やインフラなどの定量的な指標に焦点を当てている.しかし,実際の復興事例を通じた観察と包括的な観点を含めた復興評価が必要である.コミュニティの見解と既往研究との違いに基づいて,理想的な復興評価は利害関係者を含めた復興の過程と物理・社会・環境などのすべての側面における復興結果に関して,より質的な視点を考慮すべきである.
著者
バタチャリヤ ヤスミン 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.327-331, 2015-07-01 (Released:2015-07-31)
参考文献数
7

災害復興の動態は複雑である.被災前の社会状況・被災状況・復興政策 など多数のパラメーターが重なり合った結果であるが,その根幹は個人の意思決定の積み重ねである.復興政策は全ての災害において通用しないと言われているが,地域特性に合った復興政策を推進するためには,災害復興の動態の理解が必要である.同時に政策パラメータとの相互作用の理解も不可欠である.本研究は,復興動態を解明するためにマルチエージェントモデルによる地域復興モデルの構築を行うことを目的とする.
著者
加藤 孝久 崔 〓豪 田浦 裕生 田中 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ナノスケールの有機分子膜はナノインプリント、MEMS,磁気ディスクドライブなどのマイクロ・ナノシステムにおいて、摩擦摩耗特性、耐食性、離型性などを改善するために用いられている.有機分子保護膜を用いてマイクロ・ナノシステムを長寿命化するためには、有機分子と固体表面とで強い吸着性が必要である.有機分子と固体表面との吸着特性は、固体表面における吸着サイトの面密度に依存しており、固体表面の制御が重要因子である。一方、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、高硬度、低摩擦、耐摩耗性、耐薬品性を有する材料であり、磁気ディスクドライブの保護膜、工具や金型の表面処理等に実用化されている。本研究では、固体保護膜としてDLC膜上に有機分子を高密度かつ強く吸着させることで、高耐久性ナノスケール保護膜システムを開発することを目標にする。固体表面は以下の二つの観点で制御した。ひとつは、表面改質から潤滑膜固定まで連続したナノ表面処理システムを開発することでDLC表面を清潔に保った状態で有機分子を固定する方法である。真空中一環プロセスでDLC膜の作成と有機分子の吸着を行うことで、空気中の有機汚染物により、DLC表面の吸着サイトがターミネートされることがなくなり、より_0多くの分子がDLC表面に吸着できる。もうひとつは、DLC膜の組成を制御することでDLC膜表面上における吸着サイトの面密度を上げる方法である。DLC膜は作成時、炭化水素ガスを原料として用いるが、原料ガス中に窒素、シリコンなどを含むガスを混合することで様々な組成を有するDLC膜の作成が可能である。DLC膜中に種々の元素を添加することで、その表面組成も変化し、吸着サイトの面密度を制御することが可能になる。本研究では、表面改質から潤滑膜固定まで連続したナノ表面処理システムを開発することで潤滑分子の高い吸着性を実現した。また、様々な組成を有するDLC膜の表面に有機分子を吸着させることで、DLC膜の組成の違いによる潤滑分子の吸着特性を明らかにした。
著者
加藤 孝久 堀 幸夫
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.53, no.495, pp.2380-2386, 1987-11-25
被引用文献数
1

This paper presents a new method for solving the Reynolds equation with a matrix form, in which the Reynolds equation is reduced analytically without approximation to infinite dimensional linear equations with unknowns related to eigen values of operator R=▽・[(h^3/6η)▽]. The paper also presents applications of the method to journal bearing problems under two boundary conditions : one is the half Sommerfeld condition and the other is the quasi Reynolds condition which assures 'continuity of the bulk flow' across the boundary. It will be shown that the present method requires much less computational time than FDM for obtaining accurate predictions.
著者
信岡 沙希重 樋口 貴俊 中田 大貴 小川 哲也 加藤 孝基 中川 剣人 土江 寛裕 礒 繁雄 彼末 一之
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.497-510, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
36
被引用文献数
5 4

The aim of this study was to clarify the relationship between maximal running speed, step frequency, step frequency index, step length, step length index, foot contact time, and aerial time during sprinting in elementary school children. The participants were 335 girls and 352 boys (age: 6 to 12 years) who ran a 50-m sprint race as part of their school fitness test in 2013. Their maximal running speed, step frequency, and step length were calculated from images captured by video cameras (60 frames/second) located at the sides of the lanes. Contact time and aerial time over the distance from 20 m to 30 m were calculated from images captured by high-speed video cameras (300 frames/second) located at the side of the 25-m mark for the lanes. Two-way ANOVA with the Games-Howell procedure was used to test differences among all grades. Two-way ANCOVA was used to test interaction and the main effect of gender and grade on maximal running speed. The Pearson product-moment correlation coefficient (r) and partial correlation coefficient (pr) were calculated to analyze the relationship between maximal running speed, step frequency, stride length, foot contact time, and aerial time. Step length (which was strongly correlated with maximal running speed) showed a strong partial correlation (controlled for age) with maximal running speed. Therefore, it is suggested that step length contributes to not only the increase in running speed with growth, but also individual differences in running speed among the children at the same age. There were slight tendencies for step frequency and foot contact time to increase with growth. However, these factors showed a significant partial correlation (controlled for age) with running speed. Therefore, it was suggested that these factors contribute to individual differences in running speed. The absence of a negative impact of a shorter foot contact time on stride length suggests that the running performance of school children could be improved by decreasing their foot contact time. In order to establish effective methods for augmenting the development of running ability in children, it will be necessary to consider foot contact time and aerial time in addition to step frequency and step length.
著者
山田 拓実 大津山 堅介 廣井 悠 加藤 孝明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1110-1117, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
32

都市計画と河川整備が連携した流域治水の観点より、本稿では河川整備の効果と将来の世帯増減の変化を踏まえ、即地的かつ流域全体を見据えた都市側の治水対策を検討することを通じて都市計画分野において生じる課題を抽出することを目的とする。河川整備前後の浸水リスクの比較から流域自治体により河川整備の効果が異なることが明らかになった。将来の世帯増減と合わせて検討したところ、長期的な都市の状況を考慮する必要性や周辺区域の治水対策・自治体が主導する都市計画制度との整合性が求められることが明らかとなった。
著者
伊藤 晃 吉川 大弘 古橋 武 池田 龍二 加藤 孝浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第26回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.157, 2010 (Released:2010-11-05)

アンケートは,企業が市場の動向を調査するための重要な手段の一つであり,アンケートデータを解析し,得られた知見をもとにマーケティング戦略の立案を行うことがしばしば行われている.アンケートデータの解析には様々な手法が用いられているが,その一つにアソシエーション分析がある.アソシエーション分析とは,データに潜むルール(規則性)を,ルールに対する評価指標に基づいて抽出する手法であり,データからの知識獲得において有用な方法である.しかし,アソシエーション分析では一般的に,抽出されるルール数が膨大になり,ルール間の関係性や解析者にとって興味深いルールの把握が困難となる.そこで本稿では,階層グラフ構造を用いてルール間の関係性を可視化する手法を提案する.実際のアンケートデータに提案手法を適用し,解析者とって興味深いルールの探索を行うことが可能となることを示す.
著者
望月 亮 福島 竜也 岩渕 浩昭 山田 良男 加藤 孝男
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.43-48, 2009
参考文献数
2
被引用文献数
1

Ku帯電力増幅FETとして世界最高出力となる50W級窒化ガリウム系高電子移動度トランジスタ(GaN HEMT)を電力増幅部に用いた、固体化電力増幅器(SSPA)を開発したので報告する。GaN FETは、増幅特性が非線形領域となる範囲が広く、3次相互変調積(IM3)の改善が欠かせないが、本装置では、バイアス条件の最適化によって、14.0〜14.5GHzの広帯域における送信出力50dBm(100W)のIM3が-25dBc以下となる性能を、-10〜45℃の周囲温度環境で達成している。また、多段のFETをカスケード接続したことによって生ずる温度利得変動を、補償する機能を具備している。
著者
福田 茂紀 野呂 智哉 加藤 孝史 浅井 達哉 岩下 洋哲 藤重 雄大 福田 貴三郎 大堀 耕太郎
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.202011, pp.97-100, 2021

<p>各地域で実施されるCOVID-19の感染抑制施策は、非常に多くの要因によって成否が左右される。したがって、施策の効果を推定するには、それらの大量の要因を組み合わせて分析する必要がある。そこで、データ項目の組み合わせを網羅的かつ高速に探索し、重要な組み合わせを発見可能なWide Learningを活用し、2020年8月までの各地域における施策の成否を分析する。さらに、この結果に基づき、各地域・各時点においてそれぞれの施策が実施された場合の効果をWhat-If分析により推定する。</p>
著者
吉田 由起子 柳瀬 隆史 加藤 孝史 小柳 佑介 浅井 達哉 大堀 耕太郎
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.70-73, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

選挙候補者の当落を根拠付きで高精度に判定することを目指して、富士通研究所が開発したAI技術「Wide Learning」による選挙当落判定フレームワークを構築した。従来の選挙予測は分析者のスキルや情報源に強く依存する。一方、本研究では AIの入力データとして候補者の公認政党・趣味・主張、選挙区の特性等の公開情報と、有権者からの支持率等の一般的に用いられる調査データを使用することにより、一定の普遍性を有する選挙予測を可能としている。また、高精度の当落予測のみならず当落要因の知識発見も実現している。2016年参院選データで学習したモデルによる 2019年参院選選挙区の候補者の当落判定結果を評価しモデルの有用性について考察する。
著者
金 池潤 金 栽滸 加藤 孝明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.829-835, 2019

<p>本研究は,韓国史上最大の被害規模を記録した浦項地震における応急仮設住宅の供給について振り返り,日本と韓国での事例を比較して,今後の改善の方向性を模索することを目的としている.浦項地震における応急仮設住宅の特徴は,被災者の所有地で設置する自己敷地仮設住宅・仮設店舗併用住宅・一戸当たり屋外空間の一定規模が確保できる団地型仮設住宅・団地内管理事務所の設置などがある.日本と韓国における応急仮設住宅の事例を供給思想・供給類型・提供までの期間,建設コストなどの観点から比較分析を行った.</p>
著者
加藤 孝澄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.822-827, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

筋弛緩薬の開発の歴史は, 脱分極性筋弛緩薬スキサメトニウム並みの速い作用発現を実現できる副作用の少ない非脱分極性筋弛緩薬の開発の歴史である. 近年, 本邦でも臨床使用が可能になったロクロニウムは, 投与の工夫でスキサメトニウムに迫る速い作用発現が得られるアミノステロイド構造をもつ非脱分極性筋弛緩薬である. 作用持続時間はスキサメトニウムほど短くないが, 同じ非脱分極性筋弛緩薬ベクロニウムと同程度で, ベクロニウムに慣れている麻酔科医にも違和感なく使用できる薬物である. さらに中間代謝産物が筋弛緩作用を有さず持続静注にも適している点でベクロニウムより優れている.
著者
武藤 久枝 加藤 孝正
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 = Journal of College of Contemporary Education (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-21, 2017-03

本研究の目的は、幼児期の動的学校画(Kinetic School Drawings、 KSD)の人物像の特徴に関する実証的知見を得ることである。保育所年中児298名に対して集団でKSDを実施した。そのうち、本人、友達、先生の3者が描かれた80名のKSDを分析対象として、1)人物像の人数(友達の数、先生の数) 2)描画順位 3)活動内容 4)シンボル(花、木・草、家、蝶、ハート、魚、印) 5)スタイル(包囲、鳥瞰図、透視画、区分化、エッジング) 6)自己像の位置 7)一番大きい人物像 8)高い位置の人物像 9)自己像に最も近い人物像 10)描画水準 11)基底線と太陽について性別の出現を検討した。その結果、性差が認められたのは活動内容、シンボル、スタイルであった。女児がシンボルを描く割合は男児よりも有意に高く、その種類も多かった。また、女児の活動内容における「ブランコ・鉄棒」の出現、およびスタイルにおける透視画の出現はそれぞれ男児よりも有意に高かった。