著者
岩瀬 英仁 姫野 龍太郎 加藤 陽子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.428-434, 2006 (Released:2008-05-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The numerical simulation system of hemodynamics has been developed for the purpose of advanced medicine. The simulation system we have developed realizes a highly efficient simulation process by adopting the voxel model of blood vessels obtained by medical images and a newly developed scheme based on VOF-FVM corresponding to voxel models. The new simulation system does not require mesh generation because of the use of rectangular coordinates. The voxel model of a blood vessel can be constructed very quickly using the voxel model builder we developed. Furthermore, we developed an input system for boundary conditions, which makes it possible for the user to input boundary conditions easily and quickly through a user-friendly interface. To certify the numerical results rapidly, software for animating the blood flow has been developed. We examined the preciseness of the hemodynamics simulation system in the case of a linear tube and a U-shaped tube. The results were in agreement with experimental results and theoretical solutions. As an example of hemodynamics simulation, we examined the blood flow of an internal carotid artery. The simulation system attained high performance compared with the result obtained using the authors' previous method. It especially improves the efficiency of modeling and mesh generation.
著者
加藤 博 岩崎 えり奈
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.255-269, 2014 (Released:2015-09-30)
参考文献数
6

エジプトでは, 2011年の「1月25日革命」 (エジプト革命) 以来, 政局は混迷を深め, 逆転に次ぐ逆転, 逆説的展開が繰り返されている. その中で浮き上がってきたのは, 政治の正当性をめぐる街頭での抗議行動 (街頭政治) と選挙での投票行動 (選挙政治) との対立である. 本稿は, この対立に注目し, それぞれの政治行動の担い手を分析することによって, エジプト革命の行方に見通しをつけるために執筆された.依拠するデータは, 2008年から12年までの革命前後において著者たちが独自に実施した4回の意識調査, とりわけ12年における第4回目の意識調査のデータである. このデータを使って, 街頭政治と選挙政治の担い手を分析した結果, 革命後の「民主化」過程で実施された一連の選挙の中で都市住民を中心に「新たな選挙参加者」が形成されたこと, そして, 彼らの投票行動における流動的な性格がイスラム政党の躍進と革命の変質をもたらしたことが明らかとなった.また, この「新たな選挙参加者」の流動的な性格は, 一時的貧困を特徴とするエジプトにおける貧困の構造的な脆弱性に根差していた. つまり, エジプトでは慢性的な貧困層と一時的な貧困層が併存するが, 前者は農村部, とりわけ上エジプト地方に滞留し, 後者は都市部にみられる. そこから, 同じく経済のグローバル化に直面しながらも, 地方住民が投票行動においてブレなかったのに対して, 都市住民はその時々の情勢でブレやすい政治行動パターンを取ることになった.
著者
浅井 史敏 加藤 行男 仲野 和彦 仲野 道代
出版者
麻布大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

我々は犬歯周病の人獣共通感染症としての可能性ならびに全身疾患との関連性を明らかにすることを本研究の目的とした。家庭内で飼育されている犬から口腔スワブサンプルを採取し、PCR法により10種の人歯周病菌および1種の犬歯周病菌の存在の有無を解析した。P. gulaeは解析した100頭以上の犬のほとんどで検出された。P. gulaeについて線毛遺伝子(fimA)の配列を解析したところ、3タイプに分かれ、これらをA, B, C型と命名した。C型の毒性はA型およびB型よりも強力であった。P. gulaeのC型とある種の循環器疾患との相関が見出された。

1 0 0 0 古事記参究

著者
加藤義成著
出版者
素行会
巻号頁・発行日
1986
著者
加藤 千枝
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-60, 2014

GC(ゲーテッド・コミュニティ)とは居住境界線を明確に示すコミュニティの形態である(Blakely & Snyder,1997=2004)。本研究ではSNS上のGCの分類を行い,非GCとの比較・検討をすることで,オンライン上のGCの可能性と限界を整理し,考察することが目的である。先行研究を踏まえ,SNS上の151のGCを分析した結果,「知人同士のやりとり」「見知らぬ者同士のやりとり」「個人利用」「完全非公開」の4点に分類することができた。さらに,限定的ではあるが青少年99名の自由記述から,SNS上のGC・非GC共に他者とやりとりすることでカタルシス効果が得られた。しかし,非GCでは相手に打ち明けることで関係が変容・崩壊してしまう恐れのある話題についても,打ち明けることが可能なので,そのような点がGCとの差異として見出されたと考える。
著者
加藤 明彦 深山 牧子 稲松 孝思
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.830-834, 1988
被引用文献数
1

肝胆道系由来の<I>K. pneumoniae</I>による転移性全眼球炎2例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. (症例1) 69歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 右季肋部不快感にて発症. 第5病日には右眼窩痛, 視力低下が出現した. 眼窩蜂窩織炎にて眼窩内容摘出術を施行. また右季肋部不快感, 軽度のアルカリフォスファターゼ上昇, 画像診断より胆嚢炎と診断し, 胆嚢摘出術を施行した. 眼窩内容, 術中胆汁より<I>K. pneumoniae</I>が検出された. (症例2) 77歳, 女性. 39℃ 台の発熱, 嘔気にて発症.第3病日より左眼痛, 視力低下が出現し, 全眼球炎にて眼窩内ドレナージが施行された.入院後, 画像診断より肝膿瘍と診断し, ドレナージを施行した. 硝子体液, 肝膿瘍より<I>K. pneumoniae</I>が検出された. いずれも血液培養は施行されていないが, 肝胆道系感染に伴う菌血症に続発した全眼球炎であったと思われた. <I>K. pneumoniae</I>による転移性全眼球炎は, 今まで自験例を含め20例報告されている. 感染原発巣としては肝胆道系が15例 (75%) と最も多い. 視力に対する予後は悪く, 16例 (80%) は失明し, 残る4例も視力の著しい低下を残していた. 従って, 原発巣の検索も含め, 早期からの対応が必要と思われた.
著者
池松 弘朗 依田 雄介 大瀬良 省三 今城 眞臣 門田 智裕 加藤 知爾 森本 浩之 小田柿 智之 大野 康寛 矢野 友規 金子 和弘
出版者
医学書院
雑誌
胃と腸 (ISSN:05362180)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.1051-1053, 2014-06-25

はじめに 早期大腸癌の治療方針について,pTis(M)癌はリンパ節転移の報告がないことから,内視鏡的摘除の絶対適応病変とされている.しかし,その一方で,pT1(SM)癌は約10%の割合でリンパ節転移があることが報告1)されており,海外の多くの国ではリンパ節郭清を伴う外科手術が施行されている.また,過去の手術検体を対象にした,pT1癌のリンパ節転移のrisk factorに関する報告も多く認められる2). 本邦では,それらの報告を根拠に,リンパ節転移のriskの少ない病変を内視鏡的摘除の適応病変としている.「大腸癌治療ガイドライン2014年版」3)では,内視鏡的摘除後のpT1癌の経過観察条件として,垂直断端陰性例において,(1) 乳頭腺癌,管状腺癌,(2) 浸潤度<1,000μm,(3) 脈管侵襲陰性,(4) 簇出G1のすべてを満たすものとし,それ以外の病変は郭清を伴う追加腸切除を考慮すると記載されている. 内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)に代表されるような内視鏡治療技術の進歩に伴い,多くの早期大腸癌を内視鏡的に完全摘除することが可能になった4)5).その一方で,内視鏡的に脈管侵襲,簇出を診断することは困難であるため,完全摘除生検としての内視鏡的摘除を先行し,病理所見を確認した後でpT1癌の治療方針を決定したらどうかという意見も存在する.また,さらなる内視鏡的摘除の適応拡大が学会・研究会などで議論されており,今後ますます完全摘除生検としての内視鏡的摘除が議論の的になることが予想される. 本稿では,いくつかの側面から大腸pT1癌に対する内視鏡的完全摘除生検の必要性と問題点を概説し,現時点での筆者らの意見を述べたい.
著者
合田 泰弘 加藤 内藏進 塚本 修
出版者
岡山大学理学部地球科学教室
雑誌
Okayama University Earth Science Report (ISSN:13407414)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.39-50, 2012-12-26

A case study on persistent appearance of the ensemble of precipitation bands in the warm sector of the Baiu front inKyushu District, the western part of Japan around 19 June 2001 was performed based on the operational observationaldata. Around 00UTC (09JST) 19 June when the Baiu front on the surface weather map was still located about a few100kms to the north of Kyushu, the number and the total area of the meso-β or γ-scale line-shaped precipitationbands increased around Kyushu rapidly. These precipitation bands had been sustained there and gradually gatheredeach other to change into the Baiu frontal precipitation zone extending from the northern Kyushu to Seto-Naikai (SetoInland Sea) around 09UTC (18JST) 19 June (the intense rainfall zone was still located in the warm sector of the Baiufront).Until ~09UTC (18JST) 19 June, the moist air flow with the latently unstable stratification had been sustainedaround Kyushu corresponding to the low-level southerly wind toward the surface Baiu front to the north of Kyushu.This large-scale situation would contribute greatly to the maintenance of the ensemble of the line-shaped precipitationbands in the warm sector of the Baiu front.
著者
加藤 克知
雑誌
保健学研究 (ISSN:18814441)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.1-17, 2009-03

南米古代アンデス社会におけるヒト頭部の変工または加工に関係する風習的事象,「人工頭蓋変形」,「生体頭蓋穿孔(開頭術)」および「首狩りと首級」という3つのテーマについて,筆者のデータを交え形質人類学の観点から解説した.それぞれは古代アンデス社会に深く浸透し,おおむねアンデス文明成立当初からインカ帝国滅亡の日まで,社会の中で連綿と生き続けた.ペルーの考古学の父であるJulio C. Telloは,古代アンデス社会においては,頭部は宗教的シンボル,権力のシンボルであり,最も高貴な神格をもったものであった,と述べた.つまり,これらの頭部関連風習の原点は,古代アンデス社会における頭部崇拝の宇宙観にあったと考えられる.
著者
渡辺 雄貴 加藤 浩 西原 明法
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.19-27, 2014

通勤・通学時に電車のような環境で学習する際には,学習以外に様々な情報を処理する必要がある.そこで本研究では,そのような環境下における情報の介入を想定し,動画コンテンツによる学習を行った際,どのような影響があるかをパフォーマンステストおよび質問紙調査により定量的,定性的に調査を行った.その結果,パフォーマンステストでは,内容理解を必要とする問題において,介入の有無により効果の差異があることが明らかになった.また,質問紙調査により,多くの被験者は視覚に対する介入と比較して,聴覚に対する介入を煩わしく思う傾向があることが明らかになった.