著者
加藤 直人 鈴木 弘治 田中 淳一 利野 靖 今田 敏夫 天野 富薫 高梨 吉則
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1525-1528, 2000 (Released:2011-06-08)
参考文献数
21
被引用文献数
5 9

症例は48歳の男性. 発熱, 腹痛を主訴に来院, 腹部全体に反跳痛, 筋性防御が認められ, 汎発性腹膜炎の診断にて開腹した. 手術所見では漿液性腹水少量, 小腸間膜の肥厚, 発赤を認めるのみであった. 腸間膜脂肪織炎を疑い一部生検を施行し, 閉腹した. 術後39℃の発熱が8日目まで持続したが, γ-globulin投与したところ平熱化し, 炎症は鎮静化した. 病理組織所見では, 変性脂肪細胞, 炎症細胞浸潤, 微小膿瘍が認められ, 脂肪織炎と診断した. 腹水細菌培養は陰性であった.腸間膜脂肪織炎は原因不明の比較的稀な疾患であり, その臨床像は多彩なため診断は困難で確立した治療法はない. 今回, 我々はγ-globulin投与が奏効したと思われる1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
著者
加藤 直三
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

エスキモーロールのなかのショートロールの運動機構の解明を行なうために、まずプールにおいて、被験者の左右の関節部(手首、肘、肩、額)にマーカーを取り付け、運動を水中2台、空中2台のCCDカメラにて撮影を行なった。またカヤックには傾斜計を取り付け、ロール角を計測した。この実験解析から、ショートロールはロングロールに比べ、起き上がる時間が約倍速いことや三次元的なパドルの動きと体の姿勢の変化との関係を明らかにした。次に、エスキモーロールのヒューマン・ダイナミックスの解析を行なった。腰、肩、手の部分にジョイントを設け、その間を直線上のリンクで置き換え、また手から先のパドルをリンクとした。またリンクの先端(エンドエフェクター)にはブレードを置いた。これらのジョイントとエンドエフェクターの位置変化からそれらの速度、角速度を求めた。エスキモーロールの理論解析では、運動系を浮遊物体とリンク機構で置き換えることで、浮遊状態のマニピュレータ付き水中ロボットの運動と等価になる。ロングロールはほぼ2次元平面内での運動と見なされるので、二次元の運動方程式を扱う。逆運動力学および逆運動学を同時に扱い、作業腕の先端の位置の加速度を与えて、各関節の運動を求めた。また、パドラーの腰から肩までを一つのリンクと考え、質量をパドラーの全質量の半分と考え、中性浮力とした。その付加質量は円柱近似で求める。パドルは円柱、ブレードは平板として付加質量を求めた。リンク機構に加わる流体力は各リンクの移動速度から得られる円柱または平板の流体力で近似した。数値シミュレーションはMATLABを用いて0.01sec.毎に行った。数値計算では1.2秒でほぼカヤックは起きあがることがわかる。さらにマニピュレータを模型カヤックに搭載してその復原の制御が可能かどうか試みた。実験で用いた模型カヤックは観察で用いたリバーカヤックの約1/3の大きさである。マニピュレータは3つのリンクとジョイントからなり、ジョイント部には-5.00(V)〜+5.00(V)の電圧により-90°〜+90°まで回転するサーボモーターとポテンショメーターの内蔵されている。重量は電源コードを含み空中重量約1.5kgf(水中では約1/3)。実験では各リンク部に発泡スチロールをつめて水中で中性浮力になるように行った。模型カヌーの時々刻々の角度を調べるためにポケンションメーターを模型カヌーの先端に取り付けた。カヤックモデルとマニピュレータの系について、マニピュレータ先端の加速度および角加速度を与えて、それによって得られる各ジョイントの角度を求め、それらを設定値とした。フィードバック制御則にはPD制御を用いた。マニピュレータの運動を制御することによって、カヤックを転覆状態から復原させることがわかった。
著者
韋 保耀 原 昌弘 山内 亮 上野 良光 加藤 宏治
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.133-138, 1991-12-25

キクイモおよびヤーコンの塊茎からオリゴ糖を80%エタノール溶液で抽出し,Bio-gel P-2 カラムクロマトグラフィーを用いてオリゴ糖の重合度分布を検討した。抽出物のオリゴ糖組成は,キクイモではフラクトオリゴ糖のみであったのに対して,ヤーコンでは,フラクトオリゴ糖とともにフルクトースとダルコースが検出された。塊茎を数ヵ月保存すると,キクイモでは重合度の高いオリゴ糖が減少し,低重合度のオリゴ糖が増加した。一方,ヤーコンでは,すべてのオリゴ糖が減少し,フルクトースとグルコースが増加していた。これらの抽出物中には,いずれの場合にもイヌロオリゴ糖は全く検出されず,このことより,両塊茎中に存在するイフリン加水分解酵素はエキソ型であり,キクイモに比べてヤーコンの酵素は低重合度のオリゴ糖に対して高い親和性を有するものと推定した。本研究結果は,ヤーコン塊茎に比べてキクイモ塊茎が,フラクトオリゴ糖の工業生産原料に適することを示している。
著者
加藤由花 南波 幸雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.626-636, 2009-02-15

近年,情報システム構築における上流工程教育の重要性が高まり,上流工程の設計を的確に行える人材の育成が急務となっている.我々はこれまで,主に社会人学生を対象とした専門職大学院において,上流工程教育のための教育プログラムの開発を行ってきた.本稿では,我々が開発した教育プログラムの内容を示すとともに,大学院の演習科目として,開発したプログラムを実施した結果について述べる.ここでは,概念データモデリング教育にPBL(Project Based Learning)型教育を採用することにより,時間数などの制約条件が多い中で,効果の高い上流工程教育が行えることを示す.
著者
加藤 正平
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.96-98, 2000 (Released:2010-02-25)
被引用文献数
1
著者
山口 晃弘 蜂須賀 喜多男 堀 明洋 廣瀬 省吾 深田 伸二 宮地 正彦 碓氷 章彦 渡辺 英世 石橋 宏之 加藤 純爾 神田 裕 松下 昌裕
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.455-463, 1985-04-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1 36

過去14年間に手術を行った消化管原発の悪性腫瘍は2,721例で,その内訳は胃癌1,904例,小腸悪性腫瘍34例,大腸癌783例で,このうち穿孔をきたした症例の頻度は胃癌18例(0.95%),小腸悪性腫瘍3例(8.8%),大腸癌36例(4.5%)であった. 胃癌穿孔例はすべて進行癌であり,組織学的には中分化型管状腺癌が多く, ps(+),脈管侵襲も高度な症例が多数を占めた.切除率は100%であったが治癒切除は4例(22.2%)にすぎなかった.手術直接死亡率は22.2%,累積5年生存率0%, 4年生存率6.7%であった. 小腸穿孔は3例にみられ組織学的にはすべて悪性リンパ腫であった. 3例のうち1例は手術死亡し,他の2例も8カ月以内に全身の悪性リンパ腫に進展し死亡した.小腸悪性リンパ腫の穿孔は予後が極めて不良と考えられた. 大腸癌には遊離穿孔と被覆穿孔がみられ,遊離穿孔は左側結腸癌,直腸癌に多く,被覆穿孔は右側結腸癌に多い傾向があった.癌の口側穿孔例が7例(19.4%)にみられ,すべて遊離穿孔であり,主病巣はS字状結腸より肛門側にみられた.大腸癌穿孔例は組織学的には高分化ないし中分化腺癌が大半を占め,深達度ssの症例が半数であった.治癒切除は穿孔例の50%に可能であったが,手術直接死亡率は16.7%ですべて細菌性ショックによるものであった.治癒切除例の累積5年生存率は59.6%であり,胃癌穿孔,小腸悪性リンパ腫穿孔例とくらべはるかに良好な成績が得られた.大腸癌穿孔例では全身状態を考慮し,より積極的に根治手術を行うことが望ましいと考えられた.
著者
山本 富久 中曽根 英雄 黒田 久雄 加藤 亮
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.561-564, 2006 (Released:2010-01-09)
参考文献数
31
被引用文献数
1

We surveyed the water quality of irrigation reservoirs in a tea field catchment. The study area was located in Shizuoka Prefecture, Japan. Water in some of the reservoirs showed alkalinity because of the photosynthesis of aquatic plants. On the other hand, water in one irrigation reservoir showed acidity because of nitrogen fertilizer. The NO3-N concentration increased how many times owing to large runoff from a watershed when rainfall was strong and heavy accumulation. The Changes in NO3-N concentration were small throughout the season when was light rainfall. The average of NO3-N concentration in the irrigation reservoirs was about 5 mg·l-1.
著者
宮町 宏樹 泊 知里 八木原 寛 井口 正人 為栗 健 山本 圭吾 大倉 敬宏 安藤 隆志 尾西 恭亮 清水 洋 山下 裕亮 中道 治久 山脇 輝夫 及川 純 植木 貞人 筒井 智樹 森 済 西田 誠 平松 秀行 小枝 智幸 増田 与志郎 加藤 幸司 畠山 謙吾 小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.227-237, 2013-03-29

2008年に実施された屈折法地震探査によって得られたP波初動走時により,姶良カルデラおよび桜島火山の深さ3kmまでの速度構造を推定した.本研究地域の基盤層である四万十層群は4.6-5.0km/sのP波速度を持ち,姶良カルデラの中央部に向け傾斜している.姶良カルデラの中央部には,4.2-4.4km/sの低速度域が深さ1.5-3kmに存在している.そして,この低速度域はカルデラ下に存在する深部マグマ溜まりからのマグマ供給系が活発であることを示唆している.また,基盤層は鹿児島地溝帯の北西域の境界に沿って深さ1kmから2.5kmに急激に落ち込んでいることがわかった.桜島火山の速度構造は3.6-3.7km/sの領域が存在することで特徴づけられる.桜島火山の山頂直下で発生している火山性地震の震源域と速度構造の比較から,地下構造が種々の火山性地震の震源域の広がりに強い影響を与えていることを示した.
著者
田村 瑞枝 山本 貴嗣 石井 太郎 萩原 徹 斎藤 正樹 服部 研吾 久山 泰 宮本 博文 小田中 佳子 加藤 洋司 新谷 和夫 松井 浩 杉下 靖郎 小田 福美
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.249-253, 2001-11-30 (Released:2012-08-27)
参考文献数
13

無症状の人間ドック受診者242人を対象に,尿中抗Helicobacter pylori抗体(ウリネリザ)を測定し血中抗体法と比較したところ,良好な一致率であった。内視鏡的検査を基準とした場合,ウリネリザの診断能は血中抗体法とほぼ同等であった。またウリネリザ陽性群では陰性群と比較して,上部消化管の有所見率が高い傾向が認められ,上部消化管のスクリーニングの一法として有用である可能性が示唆された。
著者
加藤 通明 生方 俊典
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.133-134, 1996-03-06
被引用文献数
2

クロスワードパズル(以下CWPと略記する)を自動的に作成する手法について考察する。CWP作成手法には大別して2種類考えられる。本講演は、その中の1つである埋込み型手法において、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm;GA)の応用を試みた結果について発表する。
著者
内藤 芳篤 加藤 克知 六反田 篤 中谷 昭二 分部 哲秋 松下 孝幸
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1.研究方法および資料九州から出土した縄文人骨について、マルチンの方法により人類学的計測および観察を行い、時代差とともに、同じ時代でも遺跡の立地条件による差異について比較検討した。資料は、長崎大学に保管されている人骨の他に、九州大学,久留米大学,鹿児島大学および京都大学所蔵の人骨で、縄文時代早期21体,前期56体,後期71体,晩期3体,合計151体である。2.人骨の形質(1)脳頭蓋では、洞穴出土の早期人は長頭(頭長幅示数74.74),前期人は中頭(77.29),後期人は短頭(82.24)であるが、貝塚出土の人骨は、いずれも中頭(76.82)に属し、全般に長頭に傾いていた。(2)顔面頭蓋では、洞穴出土の前期人(上顔示数59.13),後期人(59.83)ともに低顔性が強く、貝塚出土の前期人(64.00),後期人(63.38)はやや高顔であった。すなわち顔面については、時代差よりも山間部の洞穴人と海岸部の貝塚人との差が認められた。(3)四肢骨については、早期・前期人は後期・晩期人に比して、細くて,周径や長厚示数が小さく、また洞穴人は貝塚人に比して時代差と同じように細く、きゃしゃであった。しかし長径については、必ずしも周径にみられたような傾向は認め得なかった。(4)推定身長をピアソンの方法式で算出すると、洞穴人は、早期(男性167.22cm),前期(162.82cm),後期(157.95cm),貝塚人は前期(162.48cm),後期(161.17cm)で、縄文人としてはやや高身長であった。3.今後の研究方針九州縄文人骨の収集につとめ、時代差,洞穴人と貝塚人との差の他に、地域差の有無について検討したい。
著者
加藤 百一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.285-291, 1968

本号より5回にわたリアイヌの酒の貴重な資料を著者にお願いしました。著者は北海道大学卒, 前札幌国税局鑑定官室長として北海道の実情にくわしいことはよく知られていますが, 本稿の資料の集成には多大の御苦心があったことと思います。