著者
加藤 伸子 奥野 智江 狩野 均 西原 清一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.1104-1112, 2000-04-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文では仮想都市生成の第1段階である道路網生成をL-systemで行う手法を提案する.ここ?linebreakでは実際の道路網が自己相似性を持つことから,自己相似図形の表現に適したL-systemを用いて道路網を生成する.すなわち,道路網の交差点の形状をL-systemの書き換え規則で表現し,確率L-systemを適用する.この際,その特徴の違いから,幹線道路網では枝分かれ型L-systemを,区画道路網では領域分割型L-systemを用いる.ここでは,道路網の生成手法と実際に道路網を生成した例について述べ,自動的に多様な道路網が生成できること,幹線道路網,区画道路網の2つの生成手法により,自然発生的で不規則なパターンの道路網と計画的で規則的なパターンの道路網が各々生成できることを示す.This paper proposes a novel method that enables automatic modeling of road networks that provides the basic structure of the virtual cities. We show a set of rewriting rules of an L-system works very well to produce realistic road networks including road shapes, block shapes, and graphical topology. The road networks are composed of two types of roads -- arterial roads which are generated by using the Tree L-system and access roads which are generated by using the Map L-system. The fundamental structure of real road networks and generation procedures for road networks are described. Examples of road networks verify following: various type of road networks can be generated, and both of the irregular pattern and regular pattern of the road networks are generated successfully by using Tree L-system and Map L-system respectively.
著者
大和 浩 加藤 尊秋 姜 英 清水 大地 朝長 諒 藤本 俊樹 山本 希望
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.335-338, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Secondhand smoke (SHS) caused by smoking on apartment verandas is a severe social problem in Japan. If someone smokes on a veranda, SHS drifts into other residents’ rooms through their windows. Most non-smoking residents are annoyed by this, but they do not confront the person responsible. To study this situation, we burned cigarettes and measured the spread of SHS in terms of fine particle (PM2.5) concentrations. Cigarette smoke generated on a lower veranda spread to upper and horizontal neighboring verandas and into rooms through windows, reaching a maximum concentration of 139 μg/m3. The Health Promotion Act that was revised in 2018 and enacted in 2019–2020 requires all smokers to avoid producing SHS, even outdoors and at home. It is expected that combining the measurement of SHS from verandas to other verandas and rooms with the revised Health Promotion Act could create a national consensus on “no smoking on apartment verandas.”
著者
保坂 純男 細木 茂行 高田 啓二 原田 達男 加藤 恵三
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.1885-1890, 1988 (Released:2009-10-08)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

A prototype scanning tunneling microscope (STM) was developed to apply the STM technology for practical micro surface observation. The features of the instrument are : (1) A 3-dimensional piezo inchworm mechanism to approach and select observation area, (2) a conversion technology of tunneling current fractuation to gap fractuation and (3) an automatic approach system of electrochemically etched probe tip to tunneling effect region. Various STM images were obtained both with atomic scale and μm scale. Among them are (7 × 7) reconstructed Si (111) surface, groove shape of soft X-ray gratings and groove shape of an optical disc, which were compared with SEM and TEM images. The STM is found to be practical to evaluate an extremely fine surface structure formed with recent ultra precision technology.
著者
平野 明日香 加藤 正樹 藤村 健太 早川 美和子 加賀谷 斉 向野 雅彦 才藤 栄一
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.255-262, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

【目的】急性期病院では高齢障害者が増加し,リハビリテーションの重要性が高まっている。当院急性期病棟に理学療法士を病棟配置した効果を検討した。【方法】疾患別リハビリテーション実施者を対象とし,病棟配置前の44例を対照群,病棟に専任配置後の79例を専任群,専従配置(ADL維持向上等体制加算算定)後の83 例を専従群とし,当院患者データベースより後方視的に調査した。【結果】専従群は他2 群よりリハビリテーション実施割合が有意に増加,リハビリテーション開始までの日数,在院日数は有意に短縮した。アンケート調査より,病棟医師・看護師は情報共有がしやすい,リハビリテーション専門職は病棟とのパイプ役として期待との回答が多かった。【結論】理学療法士の専従配置は病棟医師・看護師と情報共有を密に行え,治療の効率化が図れると示唆された。
著者
宇野 重規 宮本 雅也 犬塚 元 加藤 晋 野原 慎司 網谷 壮介 高見 典和 井上 彰 馬路 智仁 田畑 真一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

1971年に公刊された『正義論』に端を発するジョン・ロールズの正義論は、いまなお自由、平等、そして民主主義をめぐる多様な研究の重要な基軸である一方、刊行から半世紀近くを経て、それ自身が一つの歴史になりつつある。本研究は、ロールズの正義論について、現代政治哲学における最先端の研究と、政治思想史や経済思想(史)からの歴史的な再定位を結びつけることで、「平等かつ自由な社会とは何か」というロールズの最も根源的な問いに答えることを目指す。この作業を通じて、政治哲学と政治思想史、さらに経済思想(史)研究の研究者のプラットフォームを作り、21世紀のリベラルな民主的社会のあり方を考察する。
著者
加藤 慎 曽根 卓朗 塚田 学 江崎 浩
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2215論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1373-1380, 2020-06-17

著者らが所属する SDM (Software Defined Media) コンソーシアムでは,2016 年より三次元映像音声メディアを管理するためのプラットフォームとして SDM Ontology の提案を進めてきた.SDM Ontology は,メディアデータとともに様々な種類・粒度,かつ,膨大な量のメタデータを階層構造に整理して管理可能とする.従来の提案は,収録段階についての記述に焦点を当てた設計となっており,収録されたメディアデータの編集段階まで考慮していなかったため,編集作業に用いられるソフトウェアやミキサーなどのメディアプロセッサの情報を記述するための構造がなかった.また,メディア収録の情報は静的である一方で,メディアの編集作業は収録されたデータや編集されたデータをもとに繰り返しおこなわれることも多く,一般に動的といえるため従来設計では対応しきれない.このような問題を踏まえ,本稿では SDM Ontology の構造について整理し直し,修正を加えるとともに,動的構造を表現するために再帰的記述を導入し,メディアの収録・編集について記述可能な SDM Ontology Version 2.0 を提案する.
著者
矢野 絵美 北野 有亮 末吉 恵美 篠原 勲 ピンヤポンシニーナット 加藤俊一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.46-54, 2003-06-15
参考文献数
7
被引用文献数
8

現状のレコメンデーションシステムでは,購入履歴をレコメンドの基準として利用しているため,消費者は満足のいく情報を受け取ることができない.我々は商品の物理的特徴に基づいて各消費者の主観的な商品の評価基準をモデル化する.そして,各消費者の評価基準に合う商品情報を提供するレコメンデーションシステムを,(1)イメージ語ネット,(2)感性レコメンデーションシステム,(3)匿名感性データベースという構成で構築する.Consumer cannot receive suitable recommendations by the present system because the system uses purchased logs as the criteria. Our research is aiming at modeling each consumer's evaluation process on the specific features of the items. And we have developed the matchmaking and recommendation system of items whose feature matches with the criteria of each consumer's. For this purpose the system is composed of following functions; (i) the taxonomy of impression words, (ii) matchmaking and recommendation systems, (iii) anonymous Kansei database.
著者
加藤 典洋
出版者
慶應義塾大学アート・センター
雑誌
Booklet (ISSN:13420607)
巻号頁・発行日
no.20, pp.8-32, 2012

はじめに1 一対性2 ミッシング・リンク3 3.11原発災害の示唆するもの4 アトムはなぜ『明るい』のか5 "事後の目"の消し取り効果6 被爆者はどういう状況を生きてきたか7 「ポスト・モダン」から「第二の近代」へ8 終りにGodzilla and Astro Boy 1図版削除
著者
加藤 宏一 比嘉 隆 中野 紘 野村 俊介 中川 将徳 門山 茂 氏家 弘 寺本 明
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.185-189, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
17

出血発症の椎骨動脈解離(vertebral artery dissection: VAD)において,前脊髄動脈(anterior spinal artery: ASA)が解離側VA から2 本分岐しY 字型にfusion している症例を経験したので報告する.症例は43 歳男性.くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)で発症した破裂VAD で,解離部から1本,解離部より末梢の正常部位から1 本ASA が分岐し,fusion 後に下行していた.マイクロカテーテルを3 本使用しASA を温存しVAD のinternal trapping を行った.片側VA から2 本のASA が分岐しfusion するタイプの血管走行は今まで報告がなく本症例が初めてである.ASA の起始部にはvariationがあり,VA union 近くの塞栓術では脳幹への穿通枝とともにASA 分岐の詳細な観察が必要である.
著者
小磯 知之 阿部 洋丈 池嶋 俊 石川 宗寿 リチャードポッター 加藤 和彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.13-26, 2007-02-15
被引用文献数
4

本論文では,大規模障害を含めた様々な障害を自律的に乗り越えて持続可能な(サステーナブルな)サービスを実現するための基盤ツールキットの設計について述べる.本方式は,多数の計算機を連合させ,それらにサービスの実行とサーバ機能の状態保存を自律的に分担させることでサービスのサステーナブル化を実現する.また,本提案方式は,仮想計算機を用いることで,既存のサービスを容易にサステーナブルにすることを可能にしている.In this paper, we describe our design of an infrastructure toolkit for realizing sustainable services, which can surmount various kinds of failures, including catastrophe. Our system consists of many federating computers. It enables the service to be sustained by making some of the computers run server functions, and the others share storing states of the service. And also our method is designed to be applicable for existing services by using virtual machines.
著者
原田 博文 池田 宏之 近藤 毅 白石 君男 加藤 寿彦
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.193-199, 1998-06-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

自衛官の急性音響性感音難聴20例24耳について, その回復過程を純音聴力検査にて観察した。症例は18歳から48歳までの男性であった。聴力が正常範囲まで回復した治癒群が5耳, 正常範囲までではないが回復の認められた回復群が13耳, 不変群が6耳であった。音響曝露から受診までの日数が長い症例は不変例が多かった。個々の周波数ごとの回復過程を観察すると, 4000Hzの回復が最も不良であり, 次いで8000Hz, 2000Hzの順であった。急性音響性感音難聴の予後は, 4000Hzの聴力レベルに着目し, それが徐々に回復していけば, 正常範囲まで回復する可能性が高く, 早期にプラトーに達し動かなくなると, 部分的回復にとどまると推測された。
著者
加藤 内藏進 松本 健吾 大谷 和男
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.はじめに<br> 東アジアの暖候期には,グローバルな規模を持つアジアモンスーンの影響を受けて,梅雨等の顕著な雨季が現れる。しかし,日本列島付近は,ユーラシア大陸の高緯度域,南アジア域,北西太平洋の熱帯・亜熱帯域,北太平洋高緯度域のようなかなり異なるアジアモンスーンサブシステム間の接点にあたり,僅か1000km程度の東西の違いで,梅雨降水の特徴等も大きく異なる(Ninomiya and Mizuno 1987,等)。例えば,西日本の梅雨前線では組織化された積乱雲の集団に伴う集中豪雨の頻出で梅雨期の総降水量は東日本に比べてかなり多い。但し,東日本側でも,西日本側に比べると大雨日(以下,50mm/day以上の日をさすことにする)の頻度は少ないものの,東日本の大雨日には,10mm/hを下回るような「普通の雨」による総降水量への寄与が大きいタイプが半数程度を占めていた(松本他 2013, 2014,それぞれ,岡山大学地球科学研究報告,Vol. 20,21。本グループの松本他による1971~2010年の解析に基づくポスターも参照)。<br> 但し,種々の広域システムの接点にあたる日本付近では,日々の変動,季節内変動,季節変化,年々変動も大きく,しかも低緯度と中高緯度のシステムの関わり方の違いにより,降水量だけでなく「降水特性」の多様性も大きい。そこで本グループは,本大会の松本他の研究を踏み台に,梅雨期から盛夏期を中心とする降水について,降水量だけでなく降水特性の多様性や,西日本と東日本との違いの詳細についても注目して,1950年以前も含めた長期解析(日本の気象官署の日降水量や天気図などに基づき)にも着手した。長期的な気候変化・気候変動だけでなく,種々の現象を把握して気候学的平均像を長期的なパラメータレンジで把握することも狙う。その際に,限られた過去の地上データや天気図等から,どの程度,日々の現象の傾向を記述する気候学に迫れるかの検討も行う。<br> なお,気象庁が日原簿をスキャンしたPDFファイルも一部の気象官署に関しては古い時期のものも気象業務支援センターを通して入手出来たので,そこに記載された1時間降水量のデータも活用法を検討したい。<br> 2.日降水量データに基づく梅雨最盛期と盛夏期の降水量や降水特性の長期解析(長崎と東京との比較を例に)<br> 本研究ではまず,西日本(特に九州)の例として長崎,東日本の例として東京における長期間の日降水量データを中心に,比較解析した。1901年~2010年における梅雨最盛期(ここでは6月15日~7月15日とした),盛夏期(8月1日~31日)について,総降水量やそれに対する50mm/day以上の日(大雨日)の降水の寄与などの解析を行なった。<br> 従来知られているように,梅雨最盛期には長崎の方が東京よりも大雨日の寄与が大きく総降水量も大きかったが,110年間でみた年々の総降水量の変動も,長崎では大雨日の寄与の変動を大きく反映していた。しかし,東京では,基本的には大雨日で積算した降水量と総降水量の増減の対応も一応みられたが,大雨日の寄与は殆ど無いのに,総降水量は110年間の平均値を上回るような年もしばしば出現する等,降水特性の変動も大きいようであった。また,総降水量に対する大雨日の降水量の寄与の割合も(以下,寄与率と呼ぶ),長崎では11年移動平均ではあまり年々の違いはなかったが,東京では数10年周期で比較的大きな変動がみられる等,降水特性の平均ばかりでなく年々の変動にも東西の違いが見られた。<br> 更に,東京の大雨日の日降水量に対する1時間降水量の寄与も,110年間で集計した(図略)。東京では,110年間でみても,梅雨最盛期の大雨日に比べて盛夏期の大雨日の方が,1時間降水量でみた強雨の寄与が大きい等の季節進行もみられた。発表では,1950年以前の特徴的な状況における1時間降水量や天気図等による事例の吟味も行なう予定である。
著者
青木 香織 水田 啓介 山田 南星 青木 光広 伊藤 八次 加藤 博基
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.199-203, 2009 (Released:2010-07-01)
参考文献数
10
被引用文献数
6

耳下腺腫瘍では術前に良悪の鑑別や, 悪性の場合には悪性度が問題となる.今回, 我々は耳下腺腫瘍症例の病理検査とMRI画像所見, および見かけの拡散係数 (ADC) 値との関連を検討し, 耳下腺腫瘍の術前診断への有用性を検討した.耳下腺腫瘍81症例を対象として, 病理組織, MRI, 拡散強調画像におけるADC値を検討した.ADC値は, ワルチン腫瘍と癌のADC値は, 多形腺腫のADC値の平均値と比較し, 有意差を認めた. 癌を悪性度に分けてみると, ADC値が1.0未満の低値の症例は, 高悪性度では4例中3例で, 多形腺腫では18例中1例であった. 多形腺腫と高悪性度群の癌との術前の鑑別には有用であると思われた.