著者
藤間 詩央里 原 恵子 田端 梓 笹野 哲郎 稲次 基希 赤座 実穂 前原 健寿 松浦 雅人 角 勇樹
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.10-22, 2016-06-30 (Released:2016-06-29)
参考文献数
27

てんかんへの偏見は、患者の社会参加やQOLに大きな影響を与え、重要な検討課題である。無意識的な態度の測定方法に潜在的連合テスト(Implicit Association Test:IAT)がある。本研究は、一般健常者と医療系学生を対象にIATを行い、潜在的偏見とその要因を明らかにすることを目的とした。一般健常者21名、医療系学生42名を対象とした。IATでは「てんかん」と「糖尿病」について、「良い」と「悪い」に関係する言葉との結びつきを調べた。加えて質問紙で、各疾患のイメージ(偏見の要因となり得る未知度、外集団、脅威度)と経験、知識度を調査した。一般健常者は医療系学生に比べ、IATで「てんかん」と「悪い」との結びつきが強く潜在的偏見が強かった。またてんかんに対する未知度、外集団、脅威度も高く、てんかんの知識度は低かった。知識度が高いほど脅威度は低下し、脅威度が高いほどIATで「てんかん」と「悪い」の結びつきが強かった。正しい知識を享受することがてんかんに対する潜在的偏見の改善につながると考えられた。
著者
藤田 あゆみ 荒武 憲司 皆川 雄郷 西田 武司 田中 仁 友尻 茂樹 原 健二
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.9, pp.811-816, 2010-09-15

近年精神科領域では,定型抗精神病薬に代わって錐体外路系副作用の少ない非定型抗精神病薬の使用が目立つようになってきた。これに伴い自殺企図目的で非定型抗精神病薬を含む薬物の過剰摂取により救急搬送される症例が増加してきている。我々は非定型抗精神病薬であるQuetiapineによる急性医薬品中毒を経験した。症例は精神科通院中の40代の女性で,来院時,循環動態不安定で全身性強直性痙攣を伴う意識障害を呈していた。持参された薬剤の空シートからQuetiapine 8,700mgを大量摂取していた可能性が示唆された。Quetiapine単独服用と考えられ,各種の中毒症状を呈していた。服用量は中毒量を超えるものと推測され,初療にて胃洗浄および活性炭投与を行った。輸液療法を施行するとともに集中治療室にて呼吸・循環管理を行い,第3病日に意識レベルおよび全身状態の改善を認めたため退院となった。我々は,来院時の血清,尿などの生体試料を凍結保存し,レトロスペクティブに分析を行うことができた。一般病院の臨床の現場では,通常簡易な尿中薬物スクリーニング検査キットおよび服用歴から急性中毒を疑うが,Quetiapineは簡易キットでは検出不可能である。Quetiapineは2001年に発売された新規薬剤であり,国内外で死亡例の報告も散見されるようになってきている。分析にてQuetiapine同定を行うことで確定診断に至ることができ,また迅速な確定診断が治療方針の決定に有用であることが示唆された。
著者
山形 伸二 菅原 ますみ 酒井 厚 眞榮城 和美 松浦 素子 木島 伸彦 菅原 健介 詫摩 武俊 天羽 幸子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.103-119, 2006-08-30
被引用文献数
6

本研究は,人間行動遺伝学と双生児研究の方法,とりわけ多変量遺伝分析について紹介し,その適用例として4-6歳児の気質と問題行動の関連性を検討した。双生児の母親142名に対し質問紙調査を行い,子どものエフォートフル・コントロール(EC)および外在化問題,内在化問題についての評定を得た。表現型の相関を検討した結果,外在化問題と内在化問題は中程度の正の相関を示し(r=.55),またECは外在化(r=-.42),内在化(r=-.18)のいずれの問題行動とも負の相関を示した。多変量遺伝分析の結果,ECを低めるような遺伝的影響は同時に両方の問題行動のリスクを高めるような働きをすることがわかり,ECの低さが両問題行動の共通の遺伝的素因である可能性が示唆された。また,外在化問題と内在化問題の相関関係には遺伝(22.8%),共有環境(53.4%),非共有環境(23.8%)のいずれもが寄与していた。問題行動間の相関関係への遺伝要因の寄与は相対的に小さかったが,これはECに関わる遺伝要因が両問題行動を正に相関させるように働くのに対し,ECとは関連しない遺伝要因が両問題行動を負に相関させるように働くため,互いに相殺しあった結果である可能性が示唆された。
著者
村松 成司 藤原 健太郎 伊藤 幹 藤原 健太郎 フジワラ ケンタロウ Fujiwara Kentaro 伊藤 幹 イトウ モトキ Ito Motoki 藤田 幸雄 フジタ ユキオ Fujita Yukio 服部 祐兒 ハットリ ユウジ Hattori Yuji
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.351-358, 2010-03

特徴的なトレーニングゆえに活性酸素・フリーラジカルによる酸化ストレスに強くさらされていると考えられる長距離ランナーの生体酸化ストレス及び呼吸機能・代謝に及ぼす活性水素水の影響について検討した。活性水素水摂取は安静時好中球分画及び絶対数の増加を抑えることから,トレーニングに伴う血中好中球の活性化を抑制または活性化した血中好中球を速やかに正常化する可能性が示された。安静時の血清過酸化脂質の変化より,活性水素水摂取がトレーニング由来の生体酸化ストレス障害を抑え,生体機能の維持に寄与する可能性が示された。酸素摂取量・呼吸商・心拍数の変化から,循環器系及び代謝が向上した可能性が示された。安静時の測定結果より活性水素摂取が生体の抗酸化に寄与する可能性を示す結果が示され,また,運動時の代謝及び呼吸循環機能を向上させ,パフォーマンス向上をもたらす可能性が推察された。This experiment was undertaken to investigate the effect of active hydrogen water ingestion on oxidative stress and respiratory function of university long-distance runners, presumably exposed to active oxygen and freeradical materials induced by their particular training. Seven healthy university students trained for 20 days with 2 liters of active hydrogen water (AHW) per day. We compared blood samples and respiratory function at pre and post experiment. The results obtained suggest the possibility that ingesting AHW may inhibit the activation of neutrophilic leukocytes that occur with exercise training. Further, it is suggested that ingesting AHW appears to normalize an activated blood neutrophilic leukocyte response, because the increases in the ratio and quantity of neutrophilic leukocytes at rest was reduced. The changes in serum lipid peroxide seemed to suggest the possibility that AHW could decrease oxidative stress resulting from exercise and contribute to the maintenance of homeostatic physiological function. Oxygen uptake, respiratory quotient and heart rate results seemed to suggest that respiratory and circulatory functions were improved by ingesting AHW. Results suggest the possibility that AHW ingestion contributed to antioxidant effects during training. Furthermore, AHW ingestion may improve exercise performance through its effects on respiratory, circulatory and metabolic systems.
著者
刑部 義美 高橋 愛樹 成原 健太郎 兼坂 茂 葛目 正央 佐々木 純 金子 有子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.642-648, 2000-10-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17

二酸化窒素吸入による中毒は防火作業, 溶接業, メッキ業などに従事する人に発症しやすいが, 本邦では余り知られていない.今回, 我々はメッキ業を営む64歳の男で硝酸と硫酸の混合液にニッケルメッキを賦したアルミ棒を挿入し, メッキ抽出作業中に二酸化窒素を吸入し, その後, 激しい呼吸困難と胸部圧迫感が出現, 近医にて急性肺水腫と診断され集中治療目的で本院救命センターに搬送後, 二酸化窒素による急性呼吸窮迫症候群 (acute respiratory distress syndrome・ARDS) と診断した症例を経験した.治療は人工呼吸管理を中心に最高気道内圧 (peak inspiratory pressure・PIP) , 肺胞の虚脱や無気肺の改善を目的として人工肺サーフアクタント, 更に各種ケミカルメデイエーター遊出阻止の目的でメチルプレドニゾロンの使用にて, 14日目には一般病棟に転出できた.本疾患は治療に比し予防が重要で, 作業所の改善や防護体制の整備, 更に疾患の存在を一般に認識させることが大切であると思われた.
著者
桐原 健
出版者
信濃史学会
雑誌
信濃 [第3次] (ISSN:02886987)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.881-885, 2015-11
著者
梶原 健吾 鳥海 不二夫 稲葉 通将
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

近年,チェスや将棋等の完全情報ゲームでは人工知能が人間のプロを相手に勝利するようになった.一方で不完全情報ゲームについての研究は少ない.そこでコミュニケーションゲーム“人狼”における人工知能の設計を試みる. 本研究では人狼における発言内容や能力者の行動等の戦略をQ学習により学習させる.また,異なる学習結果を持つ複数のエージェントを混合してQ学習を行い,より高度な戦略を取るエージェントを設計する.
著者
藤原 健志 村上 達也 西村 多久磨 濱口 佳和 櫻井 茂男
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.187-196, 2014 (Released:2015-03-27)
参考文献数
38
被引用文献数
4 4

本研究の目的は, 小学生を対象とした対人的感謝尺度を開発し, その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生から6年生までの1,068名を対象とし, 対人的感謝, ポジティブ感情, ネガティブ感情, 共感性, 自己価値, 友人関係認知, 攻撃性を含む質問紙調査を実施した。主成分分析と確認的因子分析の結果, 1因子8項目から成る対人的感謝尺度が構成された。対人的感謝尺度は高いα係数を示し, 十分な内的一貫性が認められた。また, 対人的感謝尺度は当初の想定通り, ポジティブ感情や共感性, 友人関係の良好さと正の関連を, 攻撃性と負の関連を有していた。以上より, 対人的感謝尺度の併存的妥当性が確認された。さらに, 尺度得点については, 男女差が認められ, 女子の得点が男子の得点よりも有意に高かった。最後に, 本尺度の利用可能性について考察されるとともに, 今後の感謝研究に関して議論された。
著者
植原 健人 増田 税
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1)国内のジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはHeroA遺伝子を保持することが明らかとなった。2)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性トマトはタバコシストセンチュウ抵抗性である。3)F1抵抗性品種の分離試験を行った。接種試験で抵抗性と感受性の分離比は3:1と考えられる。すなわち単一優勢遺伝子により支配される。4)マイクロアレイ解析を行った。抵抗性品種にタバコシストを接種して3日目と7日目のアレイ解析で、PR1が誘導されており、典型的なサリチル酸系の誘導抵抗性と考えられた。5)抵抗性品種による線虫密度低減試験を行った。抵抗性品種で土壌中のタバコシストの密度が減少した。
著者
沈 振江 川上 光彦 杉原 健一 黄 光偉 馬 妍 鈴木 克徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、2007 年から国土主体機能区計画における中国の環境問題の取り込みを明らかにした上、2009 年5 月から国家戦略として発足した海西経済区を取り上げ、発展計画の段階にCO2の排出量削減を計画し、地域開発の事業地区のエネルギ評価指標を事業評価にしていることを明らかにした。低炭素都市づくりの実現には、持続可能な開発モデル地区として選ばれた平タン実験区、アモイ市では、地域開発のフレームワークの検討には、国の21Agendaによって作成された持続可能な開発の評価指標を適用していること、都市空間戦略レベルでは、新材料、グリーン建築、公共交通などの面で計画基準を設けていることを明らかにした。