著者
亀沢 誠 小原 和子 橘 芳純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.1, pp.138-140, 1985
被引用文献数
2

It has previously been reported that 7, 7'-dihydroxy-4, 4'-dimethyl-3, 4-dihydro-4, 6'-bicoumarin C 4 J was obtained from the reaction of resorcinol [1] J with methyl acetoacetate [2]. The reaction of [5], diacetate of [4] with aluminum chloride has no w been studied.<BR>The products were found to be 2, 4-diacetylresorcinol [6], 4, 6-diacetylresorcinol [7], 2, 4, 6-triacetylresorcinol [8] and 4, 6-dimethyl-2 H, 8 H-benzo [1, 2-b : 5, 4-b'] dipyran-2, 8-dione mainly on the spectroscopic evidence. Expected Fries reaction products of [5] [9] were not obtained.<BR>The plausible mechanism for the formation of [6]&sim;[9] is discussed briefly (Scheme 3).
著者
田尻 尚士 松本 能市 原 和子
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.6, pp.87-91, 1973-03

[Author abstract]Ethylene gas treatment of early ripening green mandarin oranges (Miyagawa variety), which were havested early or middle of October, resulted in rapid coloration. This method, however, was not successful when the oranges were treated in non-aerated place such as polyvinyl (vinyl chloride) bag. It may be that insufficinet aeration suppresses respiration of the oranges, thus hindering their ripening. On the other hand, the treatment performed in well aerated place, for instance in cartone bag, gave a satisfactory result. The acility of the fruit thus treated was lowered with concomitant increase, through slight of sugar content. This treatment rendered the fruit skin tight and caused no fruit soffening, as the result, giving attractive appearance. Therefore they were expected to be very suitable for commercial shipment at early season. Suitable coloration can be achieved within 9 days by performing the treatment at 25℃ in a room provided with appropriate aeration system with constant supply of ethylene gas. This treatment may be practiced in a large for early shipment of well colored mandrain oranges.[著者抄録]宮川早生温州をやや早めに、すなわち、未だ果皮が黄変せぬ前に(9月上、中旬)採取し、エチレンガス処理を行なえば、着色は促進され、また、品質も改善される。しかし通気性のほとんどない包装材、すなわち、塩化ビニール袋中で処理すると、果実の呼吸などの生理的現象がさまたげられるためか、ほとんど効果は認めがたい。他方、通気性のかなりあるダンボール箱のような、包装材中での処理効果は著しく、熟成が促進され、酸味が減少し、糖分の蓄積増加などが見られ、果実の浮皮化、軟化現象などもなく外観は、きわめて美麗なオレンヂ色となり、早期出荷などの経済的観点からも大きな期待がもたれる。処理中、および、その後の貯蔵温度は25℃位が良い。もし、包装せず、恒温で通気性のある室内にエチレンガスを一定量噴霧させ、かなり大規模に熟成促進に利用することが可能であるように思われる。特に、25℃の貯蔵温度で9日目位で充分酸味が減少、甘味も増加し、着色効果もあり、極めて良質のみかんとなることが明白となった。
著者
木原 和子 中田 郁子 松本 亜紀 渡邊 元雄 米田 一志
出版者
大阪府済生会中津病院
雑誌
大阪府済生会中津病院年報 (ISSN:09185771)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.213-217, 2016-03-31

離人症状を主訴として来院した解離性障害の症例の治療経過を報告する。本症例の離人症状は,養育者から安全感を得られず,継続的なストレスにさらされたことによって生じた解離の防衛機制であり,愛着障害の観点からの治療が必要と考えられた。生育史を理解しその理解を伝え続けることで,治療場面が「安全な場所」として機能し,心の整理が進み他者への信頼感が育っていった。症状の理解が進み対人関係が広がる中で,症状はほぼ消失し,現実の生活において「安心していられる場所」を求めていった。解離性障害の治療においては,苦痛に満ちた患者の歴史に注目することが大切とされる。本症例においてもそのことが確認された。離人症状を主訴として来院した解離性障害の症例の治療経過を報告する。本症例の離人症状は,養育者から安全感を得られず,継続的なストレスにさらされたことによって生じた解離の防衛機制であり,愛着障害の観点からの治療が必要と考えられた。生育史を理解しその理解を伝え続けることで,治療場面が「安全な場所」として機能し,心の整理が進み他者への信頼感が育っていった。症状の理解が進み対人関係が広がる中で,症状はほぼ消失し,現実の生活において「安心していられる場所」を求めていった。解離性障害の治療においては,苦痛に満ちた患者の歴史に注目することが大切とされる。本症例においてもそのことが確認された。
著者
金村 誠哲 橋本 典夫 藤原 和子 原武 麻里 岩井 真里絵 小島 一晃 岸本 寛史
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.317-320, 2017 (Released:2017-12-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

鎮静は症状緩和の方法として広く行われているが,一般病棟での鎮静の実態を多職種による話し合いの施行率を含め包括的に調査した報告は少ない.本研究の目的は当院一般病棟で緩和ケアチーム(palliative care team: PCT)が介入した患者の鎮静の実態を後方視的に調査することである.2012年8月〜2015年10月まで当院においてPCTが介入を開始した一般病棟入院中の終末期がん患者938例のうち2015年11月末時点で,246名が一般病棟で死亡し終末期に鎮静が行われたのは28名(11.4%)で,鎮静開始から死亡までの期間は4.1±3.1日,原疾患は肺がん,対象となった症状は呼吸困難が最も多く,用いられた薬剤は全例ミダゾラムであった.平日はPCTが毎日患者を回診し,多職種による鎮静の話し合いも全例行い鎮静を行うことができていた.
著者
漆原 和子 鹿島 愛彦 榎本 浩之 庫本 正 フランツ ディーター ミオトケ 仲程 正 比嘉 正弘
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.45-58, 1999
参考文献数
38
被引用文献数
2 3

Observations of the solution rate of limestone tablets from 1993 to 1997 have been utilized to clarify the degree of karstification from northern to southern Japan.<BR>Limestone tablets were placed at seven observation points stretching from northern to southern Japan : Toma, Abukuma, Chichibu, Akiyoshidai, Shikoku Onogahara, Ryugado, and Minamidaito. Three groups of four limestone tablets from Slovenia, Guilin (China), Chichibu, and the fourth tablet from limestone indigenous to the obsevation point, were arranged on three levels at each observation point : 1.5m above the ground, the A3 horizon, and the B<SUB>2</SUB> horizon. Measurements were taken of the solution rates of the tablets at each observation point from 1993 to 1997. Thornthwaite's method was used for calculating water balance to ascertain the relation between solution rate and water balance factors. The solution rates of limestone tablets placed 1.5m above the ground show a high correlation coefficient between (water surplus (WS) minus water deficit (WD)). On the other hand, limestone tablets planted in the soil had a solution rate from two to three times higher than those suspended in the air. The solution rates of limestone tablets located in the A<SUB>3</SUB> and B<SUB>2</SUB> horizons exhibited the highest annual precipitation correlation coefficient. The high CO<SUB>2</SUB>values under warm, humid conditions may account for the higher solution rates of the tablets planted in the soil.<BR>The solution rate tendency curve achieved its greatest range during the five years in direct proportion to the WS-WD ratio in 1993, when a cool, humid summer prevailed throughout most of Japan. The solution rate tendency curve marked its smallest range during the five years in proportion to the WS-WD ratio at all locations for limestone tablets suspended in air in 1994, under conditions of an extremely hot and dry summer, such as occurs only once in a hundred years. In general, however, the solution rates of the limestone tablets were high when the WS-WD ratio ranged between 1, 000 to 1, 600mm. Within this range, the solution rates at each observation point decreased slightly as the WS-WD ratio decreased.
著者
漆原 和子
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
no.66, pp.31-39, 2012

バスク地方は,ヒツジの移牧の発生の地であるといわれている。このバスク地方のうち,フランスのバスク地方におけるヒツジの移牧の現状を知り,ルーマニア・南カルパチア山脈におけるヒツジの移牧の現状と比較することを目的として調査した。現在のバスク地方は,バスク語を用いる人々によって,ヒツジの正移牧が維持されている。EU 加盟後も,伝統的な移牧を維持しつづけてきた牧童たちは,将来も維持しつづけられると考えている。その理由は,良質のヒツジのチーズをつくり,"Ossau-Iraty"(オッソー・イラティー)のブランド名を付け,人気を博していることにある。チーズの質を維持できるのは,ヒツジに対しても,製品に対しても,殺虫,殺菌をすることをせず,草地もすべて自然にこだわっている。冬の飼料も自然の干草か,有機栽培によるトウモロコシ,大豆に限定していることにある。チーズの質を求めるならば,移牧の形式は必要である。牧童たちはこの方法を維持する限り,将来も十分に消費者の需要があると考えている。筆者も本調査の結果から,その考えを支持する。In the Basque area of the Pyrenees Mts., France, the transhumance of sheep used to be conductedin the form of intermediate-stationed transhumance prior to World War I. Today, the style oftranshumance has changed to ascending transhumance. In this study, a questionnaire survey ofshepherds was conducted in Ossau valley. This valley was formed by glacial activity during the lastglacial period. Sheep stay at the bottom of the glacial cirque around the altitude of 1700-1800 m a.s.l.where sheep, cattle and horses graze on 1,400ha as their summer range. The local breed of sheep isthe "BASCO-BEARNAISE". From July 1st to the middle September, the shepherds milk the ewestwo times a day. They use the milk to make "Ossau-Iraty" cheese. They sell the cheese throughthe market or directly to private visitors. The summer huts are used by the shepherds alone orwith their families. The living facilities are completely modernized with solar batteries, mobilephones, tap water and computers. The quality of cheese is the best in Europe. To achieve this qualityof cheese, a supply of clean cold water, soft natural grass and a cool climate are required. Theseconditions are needed to maintain the quality of both the cheese and the meat. Thus, the transhumanceof sheep in this area, meets conditions for sustainability in the future also.
著者
宇野 良子 小林 史幸 篠原 和子 小竹 佐知子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本研究は、米菓の食感認知を、オノマトペに着目した認知言語学的分析により解明する。特に、実際に米菓を食べる場合と想い浮かべるだけの場合(記憶)とで食感表現がずれる可能性とその原因を探る。実験では、実際に米菓を食べるときより、食べる経験を思い浮かべるときの方が同じ米菓がより硬く表現される観察を得た。ここから、食体験と食文化の記憶における拮抗を言葉から解明する手法を提案する。
著者
光石 一太 藤原 和子
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.695-700, 2012-11-20 (Released:2013-04-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

炭粉末の利用拡大の観点から,炭粉末と天然バインダー(ロジン)を用いて圧縮成形することにより,炭成形体の作製を実施した.様々な温度,天然バインダー/炭粉末の混合比を設定し成形体作製条件の検討を行うとともに,曲げ特性,ホルムアルデヒド吸着性,水蒸気吸着性についてデータの蓄積を行った.
著者
田村 俊和 氷見山 幸夫 田辺 裕 漆原 和子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.179, 2003 (Released:2004-04-01)

地理学の特性としてしばしば語られる4つのキイワード(学際性,環境,地域,空間)を手がかりに,最近の日本の地理学研究の動向を,地理学の内外および国の内外から点検して,地理学はこれからどのようにしていくのがよいか,参加者とともに考えてみたい. 地理学の研究はほんとうに学際的か? たとえば変動地形の研究からジェンダーの地理学まで並べてみれば,その対象はきわめて多岐にわたり,個々の研究にとっての隣接分野は,全体としてはきわめて広い.しかし,本来多面的な地理学の個々の研究対象を,地理学(内の各分野)の研究において真に多面的視点から分析しているかというと,かなり心もとない.たとえば都市の緑地の配置やその評価・活用について,都市地理学,植生地理学,気候学等の研究者が共同で,あるいはその誰かが他方から知見や方法の教示を得て研究するよりも,都市計画や造園学などの研究者が,大胆に結論を出し,方策を提示している例が目につく.これら応用的とされる学問分野では,社会の要請する問題の構造を敏感に感じ取り,ときに自らの蓄積の少なさや手法の不十分さをも省みず,その要請に応える(かの)ような答を用意しようとしている.一方,地理学内部の個別の研究は,地理学が全体としては何とか保持している多面的視点をうまく活用できず,むしろ自らの視野を狭めているようにみえる. 地理学では環境の問題を正面から扱っているか? 環境への関心は,大小の波を経ながらも,1970年ころからは,社会において,したがって科学研究においても,高まってきた.古来,自然環境と人間活動との関係を重要な研究対象としてきたはずの地理学は,全体としてはこの波に乗れなかった.自然地理学のいくつかの分野では,個別の人為的環境悪化の発端となる現象のメカニズム研究で成果を上げたが,それを,問題発生の抑制に向けた人間(社会,企業,etc.)活動の規制にまで発展させて議論することは少なかった.人文地理学者の多くは,環境決定論批判の後遺症に陥っていて,人間-環境関係の研究に的確に取り組むすべを失っていたようにみえる.70年代後半ころから,大学その他で環境という語を冠した研究組織に地理学的発想をもった研究者が多少とも進出し,あるいはそのような組織の結成に積極的に関与して,関連する教育にも携わる例が増えてはきたが,一方で「地理学でも環境をやるのですか」という素朴な疑問が隣接分野から聞こえる状況は変わっていない.その原因の一つは,大学の教育体制にあると考えられる. 地理学では地域を深く認識しているか? 「環境」の場合と同様,「地域の科学」を自称することの多い地理学を置き去りにして,地理学の外の多くの分野で「地域(の)研究」が盛行している.しかしその中には,空間性を捨象した人間関係だけで地域をとらえているようなものもみられ,地理学が強みをもって地域の研究に(再)参入し,成果を上げる余地は,まだあるように思われる. 地理学は空間を扱う手法を発展させたか? いわゆる計量地理学の後で登場したGISは,地理学も学んだ地理学外の研究者・技術者により主として考案されたが,ある段階からは地理学出身者の寄与も小さくない.そして地理学研究・教育の強力な手法として,今までは概念的にしか論じられなかった空間現象を,具体的なデータに基づいて図示し,解析することが可能になってきている.地理学が伝統的に蓄積してきた空間解析の手法と知見を生かしつつ,この新しい手法の活用法や適用範囲の拡大を図り,新たな概念の展開にもつなげる可能性が,今までの実践の外にある. これからどのような方向をめざすのがよいか? たとえば,そろそろ時限の来るIGBPのような環境研究計画は,広範囲の学問分野を結集して初めてその推進が可能になるものではあるが,その一部を分担しつつ,各分野での成果をその都度結びつけ(できれば統合し)て全体像を示し,それが人間生活においてもつ意味を多面的に考え続け,公表していくということは,地理学諸分野の共通の目標になり得る.これにより,地理学内の少なくともいくつかの分野での研究は進展し,その他の分野にとっても波及効果があり,地理学全体として活性化し,その特性を外に向かってアピールできる.このような次の大きな研究課題を地理学から提案し,中心的に推進して行けないであろうか.
著者
阪本 ゆり 浅井 睦代 杉原 和子 織田 知明 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-309, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

47歳男性で神経ベーチェット病と考えられた1例を報告した。既往に10年間口腔内アフタと陰部潰瘍を繰り返していた。発熱, 右眼の複視, 口腔内アフタ, 陰部潰瘍を主訴に当科に入院し, 精査を行なった。神経学的には右外転神経麻痺による複視, 髄液検査で細胞数の増加がみられた。脳MRl所見で橋部においてT1強調画像の低信号域, T2強調画像の高信号域, 造影剤の増強効果が認められ, 橋部の炎症所見が示唆された。プレドニン内服によって皮膚症状と神経症状は著明に改善し, またMRI所見も改善が認められた。重篤な後遺症も認めなかった。自験例では脳MRI所見が神経症状の早期診断と治療効果の判定に有用であった。
著者
北原 和子
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.123-136, 2012-06-30

名古屋市の保育園が乳児保育・長時間保育を制度化するにあたって、どのような保育運動が行われたのかを、名古屋の女性運動や地域住民をまきこんだ市民運動の視点を交えて考察した。1955(昭和30)年、日雇い労働の母親たちが立ち上げた簡易保育所に始まり、国鉄、郵政、法務局に勤務する女性労働者達が職場内保育所を作った。1959(昭和34)年、伊勢湾台風後に始められたヤジエセツルメント保育所の活動が、名古屋市における保育運動の始まりであった。働き続けたい母親労働者と研究者,女性運動家達が共同保育所を設立すると、保育運動を継続させるために愛知保育所づくり連絡会が発足した。さらに団地に住む母親労働者達が保育所設立のための市民運動を行った。市民をまきこんだ保育所建設の要求が名古屋市を動かし、生後6ヵ月からの乳児保育、8時から18時までの長時間保育を実現させた。
著者
宮原 英種 宮原 和子
出版者
福岡医療福祉大学
雑誌
第一福祉大学紀要 (ISSN:13490613)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.145-156, 2004
著者
石原 和子 鷹居 樹八子 半澤 節子 永田 耕司 黒岩 かおる
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医学部保健学科紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.85-92, 2001-12
被引用文献数
1

看護学科の「カウンセリング特論」授業において,模擬患者(Simulated Patient:SP)を導入し看護面接場面を3場面設定しロールプレイ演習を行った.演習の評価を,半構成的質問紙調査により把握した結果,次のように要約された. 1.SPとのロールプレイ演習において,「傾聴と共感」,「チューニング」,「アンカリング」,「ポジティブ・メッセージ」といったコミュニケーション技法が効果的に使用された. 2.SPからのフィードバックは,演習に参加した学生にとってプラスの動機付けとなった. 3.自由記載欄をKJ法により内容分析を行った結果,「看護方法の学び」,「参加した感想」,「これからの授業に対する要望」の3分野と8つの内容に分類された.8つの内容は,「看護者からの質問の仕方」,「患者の奥にあるものに触れること」,「意欲や希望への働きかけ」,「大丈夫,頑張ってという励ましの働きかけ」,「具体策を考えるということ」,「看護者の基本的態度」,「沈黙をどう考えるか」,「SPの気持ちから」であった. 4.参加した感想では,「客観的に看護面接場面を評価できたので良かった」,「客観的に場面を観てどうすれば良いかを考える機会になった」,「これから看護職として仕事をする上で大変参考になった」等の効果があった. 5.SPを授業に取り入れることや看護面接演習を臨地実習の前に要望していた.