著者
谷川 亘 浦本 豪一郎 内山 庄一郎 折中 新 山品 匡史 岡本 桂典 原 忠
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

高知県内各地では、歴史南海地震の被害の様子が文字として刻まれた石碑が建てられている。宝永地震(1707年)から昭和南海地震(1946年)までの南海地震に関連した石碑が多く残されており、現在文献で確認できるだけで約25体ある。特に高知県内の地震津波碑は安政東海地震・安政南海地震(1854年)に関連した石碑が多い。地震津浪碑は供養・慰霊碑としての位置付けだけでなく、歴史資料としての価値も高い。しかし、雨風と植生による風化が進行し、石碑が傷み、解読不能な文字も見受けられる。また、高知県内の石碑は個人や寺社などが所有者であることが多いため、その保全は所有者に委ねられている。そのため、将来発生する南海地震をはじめとした自然災害により地震津浪碑喪失の危惧も否めない。そこで、本プロジェクトでは地震津浪碑から得られる歴史南海地震の情報を後世へと継承し、防災教育の教材として活用を促進するために、三次元デジタルイメージ化による地震碑の保存、および地震津浪碑と地図情報をリンクさせたウェブブラウザ上での情報提供を行う。石碑の研究といえば、これまで主に刻まれている碑文内容の解読に重点が置かれてきた。しかし、石碑の価値はそれだけでなく、石碑の岩石物理化学的な特徴(鉱物組成・色・帯磁率など)と形状も石碑が製作された当時の文化とその背景を示唆する情報を含んでいる可能性が高い。そのため本プロジェクトでは、石碑の三次元デジタル画像の構築および、石碑の岩石物理化学的なデータの測定を行い、これらの情報をウェブ上に掲載することを計画する。三次元デジタル画像の構築は、既存のソフトAgisoft社製Photoscanを使用して行っている。また画像構築に必要な写真撮影はRICOH社製のGRを用いた。3D画像を閲覧する方法として①ウェブでの閲覧、および②ウェブサイトから各々のPCへの転送、を検討している。石碑の三次元デジタル画像は、彫られた文字を明瞭に表示させるためにはメッシュ化した面の数を多くする必要がある。しかし、面数が多くなるとデータ容量が大きくなるためブラウザ表示に負担がかかる。そこで①の方法として、WebGL描写の3Dモデルをブラウザ上で表示・シェアできるプラットフォーム[Sketchfab (https://sketchfab.com/)]を採用している。また②の方法として、転送データ形式は3D-PDFとし、3D-PDF対応のソフトウェアで閲覧する方法を採用している。石碑の色測定は分光測色計(KONICA MINOLTA社製 CM-700d)を用いて、帯磁率測定はTerraplus社製のKT-10 S/Cを用いている。本発表では現在までのプロジェクトの進行状況およびこれまで得られた結果を報告する。
著者
原 忠 國生 剛治 田中 正之 古地 祐規 平賀 有輝 松山 優子 吉野 拓也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
地震工学論文集 (ISSN:1884846X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1123-1127, 2007

1914 (大正3) 年3月15日秋田県中央部の大仙市 (西仙北町) を震源とするマグニチュード7.1の内陸型 (直下型) 地震が発生した. この地震により秋田県内陸部で斜面崩壊が発生し, 布又地区では傾斜勾配が6~7°程度の比較的緩い流れ盤斜面上での地すべりにより, 河道閉塞を引き起こした.<BR>本研究では, 緩傾斜な流れ盤斜面での地すべり発生メカニズムを解明するため, 現地より採取したすべり面近傍の試料を用いて物理試験および一軸圧縮試験を行い, 得られた結果を報告する.
著者
秋田 宏 藤原 忠司 尾坂 芳夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.420, pp.61-69, 1990-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
5 14 28

The distributions of water content within mortar specimens were observed when water moved in one direction under three environmental conditions, namely drying, moisture absorption and water absorption. Numerical results were compared with the experimental data in order to examine whether the diffusion theory with non-linear equation is adequate for description of the behavior of the water movement. From the comparison, it is concluded that the diffusion theory is applicable to the above three conditions when diffusion coefficients and boundary conditions are suitably chosen. The mechanism of water movement within mortar is also discussed.
著者
河村 能人 萩原 幸司 相澤 一也 木村 滋 古原 忠 東田 賢二 乾 晴行 奥田 浩司 中谷 彰宏 君塚 肇 中島 英治 大橋 鉄也
出版者
熊本大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

総括班の役割は、各計画研究と公募研究が緊密に連携して十分な研究成果が出せるように、本領域の組織的かつ効果的な運営と研究支援活動ならびに若手人材育成を図り、本領域の目的達成と次への展開に資することである。運営面での特徴は,①6つの部会と4つの事務局による効率的な運営、②量子線共同利用施設や共通試料提供等による研究支援、③若手人材育成への注力、④国際交流,異分野交流,産学官交流の推進である。総括班としての主な成果は、各種領域内会議による効果的な運営、研究支援による効率的な研究推進、領域内交流による連携推進、国内外シンポジウム等の開催による本領域のプレゼンス向上、若手研究者の活躍等である。
著者
辻井 潤一 米澤 明憲 田浦 健次朗 宮尾 祐介 松崎 拓也 狩野 芳伸 大田 朋子 SAETRE Rune 柴田 剛志 三輪 誠 PYYSALO SAMPO Mikael 金 進東 SAGAE Kenji SAGAE T. Alicia 王 向莉 綱川 隆司 原 忠義
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文解析研究で成功してきた手法、すなわち、巨大な文書集合を使った機械学習技術と記号処理アルゴリズムとを融合する手法を、意味・文脈・知識処理に適用することで、言語処理技術にブレークスルーをもたらすことを目標として研究を遂行した。この結果、(1)言語理論に基づく深い文解析の高速で高耐性なシステムの開発、(2)意味・知識処理のための大規模付記コーパス(GENIAコーパス)の構築と公開、(3)深い文解析の結果を用いた固有名、事象認識などの意味・知識処理手法の開発、(4)大規模なテキスト集合の意味・知識処理を行うためのクラウド処理用ソフトウェアシステムの開発、において世界水準の成果を上げた。(2)で構築されたGENIAコーパスは、生命科学分野でのテキストマイニング研究のための標準データ(Gold Standard)として、国際コンペティション(BioNLP09、BioNLP11)の訓練・テスト用のデータとして、採用された。また、(1)の研究成果と機械学習とを組み合わせた(3)の成果は、これらのコンペティションで高い成績を収めている。また、(1)と(4)の成果により、Medlineの論文抄録データベース(2千万件、2億超の文)からの事象認識と固有名認識を数日で完了できることを実証した。その成果は、意味処理に基づく知的な文献検索システム(MEDIE)として公開されている。
著者
紙川 尚也 阿部 吉剛 宮本 吾郎 船川 義正 古原 忠
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.352-361, 2013 (Released:2013-04-30)
参考文献数
46
被引用文献数
3 6

Tensile behavior and structure-property relationship of ferritic steels with nano-sized carbide dispersion were invesigated using Ti-added steel and Ti,Mo-added low carbon steels. By austenitizing followed by isothermal heat treatment at 700°C, polygonal ferrites containing very fine carbides of TiC and (Ti,Mo) C were obtained in the Ti-added and the Ti,Mo-added steels, respectively. The size of such carbides was finer in the Ti,Mo-added steel than in the Ti-added steel at the same holding period of isothermal heat treatment. The results of tensile tests for these samples showed that the strength is higher as the diameter of the carbides is smaller. The structure-based strength calculation led to a good agreement with the experiments, when it was assumed that the Ashby-Orowan mechanism is dominant for precipitation strengthening of nano-sized alloy carbides. It was also suggested that a relatively large tensile ductility is related to enhanced recovery during the tensile deformation, accompanied with promotion of secondary slips or cross slips in a finer scale due to the nano-sized particles.
著者
井原 忠郷
出版者
日本保育学会
雑誌
日本保育学会大会研究論文集
巻号頁・発行日
no.41, pp."S-3", 1988-05-10
著者
斉藤 奨 大森 康正 松井 繁己 小松原 忠知
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.229-232, 1962

新潟県で採集されたショウジョウバエは2科5属23種であり, そのうち新潟市では2科4属18種が得られた.主な3種, カオジロショウジョウバエ, オオショウジョウバエおよびキハダショウジョウバエの季節的消長をみると, いずれも7月中旬に山を形成したほかオオショウジョウバエは10月下旬に, キハダショウジョウバエは11月上旬に再び山を形成する双峰型の消長を示した.その他の種はほとんど秋季に主として採集された.なおクロショウジョウバエの異常発生が1960年と1961年の2カ年にわたり梅雨明けにみられた.
著者
笠原 忠 横田 恵理子 園田 よし子
出版者
共立薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

アボートシスに至るシグナル伝達機構の解析は細胞生物学の重要な課題であり,我々はこれまで単球と内皮細胞や腫瘍細胞と接着によるアボートシス誘導を見い出し,その関与分子を明らかにしてきた.また,酸化ストレスならびに抗がん剤によるアボートシスの誘導の際,接着斑キナーゼp125FAKがチロシンリン酸化され,この分子が抗アポートシス作用に重要な役割を持つことを示してきた.平成12年度は,(1)FAKの抗アポトシース経路には,Akt/PKB→NF-kB活性化→アポトーシス誘導阻止因子(IAP)ファミリー誘導の経路が関与することをヒト白血病細胞株HL-60,ならびにグリオーマ細胞株T98Gにおいて見い出した.さらに,(2)FAKの抗アボートシスにおける役割を明らかにするために,HL-60でFAK関漣遺伝子の過剰発現系を樹立を試みた.また,T98GではFAK遺伝子の安定導入株を得ると共に,アデノウイルスベクターを構築して,T98G細胞での高発現系を作成した.さらに,平成13年度は,(3)前年度の系を発展させ,FAK高発現系では酸化ストレスや抗がん剤によるアボートシスに高度耐性を示すことがわかり,そのアポトーシス耐性の機序を検討した.一方,Y397F変異FAK遺伝子を導入することにより,逆にアポトーシスを誘導することを見い出し,その機序の解析を行った.(4)酸化ストレスや抗がん剤,放射線によるアボートシス誘導時のカスパーゼファミリー(とくにカスパーゼ-1,3,6,8,9)の関与の解析を行った.このようなアポトーシス耐性機序の解析は,がん化学療法で問題となる薬剤耐性機構を明らかにする上でも極めて重要であると考える.なお,研究の成果の一部は,すでにJBC2000,BBRC2001,ARS2002などに発表または印刷中である.
著者
滝沢 一樹 浴村 正治 中村 泰彦 森脇 紀夫 内村 実 内山 照雄 岡安 大仁 萩原 忠文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-25

59才男主訴は咳臓,喀疾,胞内苦悶感,昭和47年12月末日レ線上異常陰影を発見,生検で扁平上皮癌であった.昭和48年4月19日当科入院,胸レ線上空洞を伴なう異常陰影を認め,肺化膿症の合併を認めた,AB-PC.BLM放射線療法を開始したが入院後72日で死亡,剖検では左肺門部のごく一部に分化した扁平上皮癌を認めほぼ左肺全体を占める化膿性空洞を形成していた.癌自体より,化膿症による変化が主体で,肺癌治療中に合併した肺感染症の治療の重要性を再認識した.
著者
梶原 忠彦 川合 哲夫 赤壁 善彦 松井 健二 藤村 太一郎
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

最近"磯の香り"(マリンノート)はアメニティー機能を有する海洋系複合香として注目されている。例えば、そのタラソテラピー(海洋療法)における機能性芳香剤としての利用、あるいは水産食品への香味香付与によってみずみずしさを増強し、商品価値を高めるなど種々の用途開発がなされようとしている。ここでは高品質のマリンノートを安定供給できる最新の遺伝子組み換え技術と伝統的養殖技術を両輪とし化学合成を組み込んだ、未利用植物材料(沿岸汚染藻類、野菜クズなど)を利用する生産システムの技術開発を目指した研究に於て、次のような研究成果を得た。(1)紅藻ノリより、不飽和脂肪酸に酸素を添加しオキシリピン類(ヒドロペルオキシド)を生成する機能を有する新規のヘムタンパク質をはじめて単離することができ、このものはグリンノート生産に極めて有用であることが分かった。(2)ヤハズ属褐藻の特徴的な香気を有するディクチオプロレン、ディクチオプロレノール及びそのネオ一体の両エナンチオマーを酵素機能と合成技術を併用して、光学的に純粋に得ることに成功し、絶対立体位置と香気特性との関連を明らかにした。また、ネオ-ディクチオプロレノールから生物類似反応により、オーシャンスメルを有する光学活性ディクチオプテレンBに変換することに成功した。(3)緑藻アオサ類には、(2R)-ヒドロペルオキシ-脂肪酸を光学特異的に生成する機能を有することを実証した。また、このものはマイルドな条件下で海藻を想起する香気を有する長鎖アルデヒドに変換できることが分かった。(4)アオサ類に含まれる不飽和アルデヒド類を立体選択的に合成し、熟練したフレーバーリストにより香気評価を行った結果、これらは海洋系香料としての用途が広いことが分かった。