著者
畠山 均 菅原 浩視 佐々木 力
出版者
岩手県農業研究センター
雑誌
岩手県農業研究センター研究報告 (ISSN:13464035)
巻号頁・発行日
no.2, pp.85-98, 2001-12

「ぎんおとめ」は、旧岩手県立農業試験場(現;岩手県農業研究センター)において、早生の酒造好適米品種の開発を育種目標に、1990年、「秋田酒44号」を母に、「東北141号」(後の「こころまち」)を父として交配した組合せの後代から育成選抜した品種である。奨励品種決定調査、醸造適性試験などにおいて、酒造好適米として有望と判断され、2000年に岩手県の奨励品種に採用された。熟期が「美山錦」より早く「たかねみのり」並からやや早く、短稈で草型は偏穂数型である。「美山錦」に比べいもち耐病性が優り、耐倒伏性は並、障害型耐冷性はやや劣り、心白の発現も少ないが大粒で多収である。また「美山錦」に比べ粗タンパク質含有率がやや多いが、70%精白米の吸水率がやや優り、砕米混入率がやや少ない等醸造適性はほぼ「美山錦」並であり、醸造酒の官能評価も「美山錦」並である。「ぎんおとめ」の栽培適地は岩手県内の岩手郡を中心とした地帯であり、最大600haの栽培が見込まれる。
著者
光山 和彦 神原 浩平 鵜澤 史貴 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.13-16, 2010-02-10
被引用文献数
4

800MHz帯FPUの高度化を目指した研究を行っている.これまで伝送容量の増大と回線信頼性の向上を目的として,MIMO-OFDM伝送技術とLDPC符号を用いた誤り訂正技術を組み合わせた伝送装置の開発を行ってきた.今回実際の広島駅伝コースや長野マラソンコースの一部区間において,試作装置を用いた移動伝送実験を行い,MIMO検出器として実装したMMSEウェイトを算出するRLSアルゴリズムやLDPC復号の繰返し回数など受信システムの基本パラメータを最適化した.また,受信アンテナ数をパラメータとしてMIMO-OFDM伝送の回線信頼性をビット誤り率の累積確率分布を用いて比較評価したので報告する.
著者
宮原 浩二郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.46-59,114, 1989

一九七〇年代に注目を浴びた「社会学の社会学」は、社会的世界に関する知の獲得における社会学の役割について深刻な懐疑をもたらすとともに、「イデオロギー」や「知識人」の概念の根本的な見直しを促した。本稿は、「社会学の社会学」を代表した論者であるA・W・グールドナーの知識社会学と知識人論を手がかりとして、ハーバーマスとフーコーに代表されるような「イデオロギー」と「知識人」をめぐる議論の今日的状況に接近してみたい。グールドナーによる社会理論のリフレクシヴィティー (自己回帰性) の研究は、マンハイム流の「存在被拘束性」の理論の徹底化という経路を通って、社会理論におけるイデオロギー性の遍在と知識人の階級性を主題化した。それは、「イデオロギー」概念を、コミュニケーション合理性を鍵概念として再構築する試み (ハーバーマス) と、「真理」概念の実定化を通じて脱構築する試み (フーコー) という、二つの対照的な方向の分水嶺に位置する立場をよく示している。グールドナーの「リフレクシヴ・プロジェクト」を「補助線」として導入することで、「イデオロギー」と「知識人」をめぐる現段階での様々な議論の問題点が浮き彫りになると思われる。
著者
安原 浩
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.12-15, 2012 (Released:2017-06-02)

刑事裁判実務に長年携わった経験からは、取調べの科学化、あるいは高度化がいかに困難かを指摘せざるを得ない。日本では密室の取調べが定着し、裁判所もこれまでその結果を尊重してきたからである。しかし裁判員裁判をきっかけに、これまでのような供述調書依存の刑事裁判が構造的に変化しつつあり、可視化が進展する素地が生まれつつある。
著者
柿澤 亮三 菅原 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.326-339, 1989-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14

Tadorna cristata (Kuroda) is known only from three extant specimens. The first, a female, was taken near Vladivostok in 1877, and preserved in the Copenhagen Museum. The second specimen, also a female, and the third specimen, a male, were taken from near Fusan, Korea in 1916, and 1913 or 1914, and preserved in the Yamashina Institute for Ornithology. The first specimen was described in 1890 by Sclater, and it was then considered to be a hybrid between the Ruddy Shelduck (Tadorna ferruginea) and the Falcated Duck (Anas falcata). In 1917, Dr. Nagamichi Kuroda described the second specimen and gave it the name Pseudotadorna cristata. The inconsistency between Sclater's hybrid view and Kuroda's new species view was solved in favor of the latter, when Kuroda obtained the third, male specimen, and described it, along with the discovery of four sketches of the Crested Shelduck from the Edo period. This species has been extremely rare, and close to extinction evre since its discovery in 1887. Recently three other old sketches of the Crested Shelduck have been reported, two of them by the present authors. In this paper twelve published sketches of the species from the Edo period have been introduced, and all twenty known sketches are arranged in order based on their characteristics and descriptions, and the status of it's occurrence during the Edo period is disccussed. In conclusion, we presumed that a few Crested Shelducks were imported from Kyohou period (1716-1735) and it actually migrated once or twice to Hokkaido (northern Japan), and was captured to be illustrated as a living bird.
著者
南 昌孝 森原 徹 大西 興洋 加太 佑吉 祐成 毅 古川 龍平 木田 圭重 琴浦 義浩 藤原 浩芳 久保 俊一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.541-544, 2017 (Released:2017-09-20)
参考文献数
8

胸郭出口症候群(TOS)は,上肢のしびれや放散痛が生じる疾患である.投球時に同様の症状を訴える野球選手をしばしば経験するが,その疫学や病態は明らかでない.高校野球検診でTOSと診断された選手の疫学と病態を検討した.検診に参加した選手のうち,投球時に上肢のしびれや放散痛を自覚しWright testが陽性の選手をTOSの疑いありとした.そのうち病院を受診した選手の病態を検討した.TOSを疑われた選手は305名中13名であり,5名が病院を受診した.5名の身体所見は,肩甲骨の運動不良3例,胸椎のアライメント不良3例であった.すべての選手に運動療法を行い,2ヵ月以内に症状は消失した.野球選手のTOSは,筋の過緊張やリリース時の牽引などが原因とされている.今回経験した5例では筋の過緊張や肩甲骨下方偏位に加え,胸椎のアライメント異常が影響していると考えた.それらを改善することで症状は消失した.
著者
殷 福星 高森 晋 大澤 嘉昭 佐藤 彰 川原 浩司
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.607-613, 2001 (Released:2008-04-24)
参考文献数
19
被引用文献数
11 17

Control of noise and vibration remains to be solved for the lowering of environmental load in all the industrial fields. It is necessary to take account of the noise and vibration problem when designing machines or structures. Therefore the development of damping materials suitable for structural parts that are easy to process and recycle, is urgently required. Mn-Cu damping alloys show the most satisfactory mechanical properties and damping capacity among the developed damping alloys. The M2052 damping alloy, which has a nominal composition of Mn-20Cu-5Ni-2Fe (at%), shows both a high damping capacity and a high strength. The damping capacity of M2052 alloy increases to a high level below a certain temperature, and the damping level also varies sensitively to the changes in vibration frequency and strain amplitude. By the peak-shift method the thermal activation energy for the {101} twin boundaries responsible for the low-temperature damping peak is calculated to be 4.88×104 J/mol. The tensile strength of the alloy is 500 MPa, accompanied with a superior workability for practical applications. It is confirmed experimentally that M2052 damping alloy is quite effective in damping the intolerable vibrations when used as structural parts.
著者
瀬尾 和寛 伊豆原 浩二 安藤 良輔
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.173-182, 2007

本論文では、日独の代表的な自動車産業都市における比較研究を通じて、企業と地域社会が共生した持続可能な都市とはどのようなものなのか、そのために立地企業は企業市民としてどのような役割が求められるのかについて考察した。わが国の産業都市では、都市化とモータリゼーションが短期間且つ急速に進行したため都市設計における計画的な配慮が追いつかなかった。現在もなお、交通渋滞、危険市街地の存在などの課題が残されているとともに、交通負荷、環境負荷の大きい都市構造といった課題も生じている。このような状況下で、企業は企業市民として地域社会と共生した持続可能な都市建設を目指して、社会に貢献していくことが求められる。
著者
漆原 和子 吉野 徳康 上原 浩
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.527-536, 1998-07
参考文献数
10
被引用文献数
2

福島県あぶくま洞内の小気候調査から,入洞者の影響により生じるCO<sub>2</sub>濃度の変化について考察した.観測は1995年夏季と秋季の2回実施し,気温・CO<sub>2</sub>濃度・風速の測定を移動観測と定点観測によって行った.その結果,閉鎖的な上部洞を中心に高温域とCO<sub>2</sub>濃度の高濃度域が形成されており,その持続時間は長かった.一方,下部洞では,夏季に洞窟内大気の流出,秋季に外気の流入が生じている.それは,洞窟内外の気温差が季節や日変化によって生じるためである.また,上部洞の三山の樹林では,夏季・秋季とも累積入洞者数とCO<sub>2</sub>濃度との関係に高い相関があり,得られた関係式から,約1500人で鍾流乳石の再溶食が生じるとされる2400ppmに達し,約4800人で人体に有害とされる5000ppmに達することが分かった.
著者
久保 久美子 松本 欣弘 桑原 浩一 岡部 修一 谷山 茂人 橘 勝康 村田 昌一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.743-752, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
24
被引用文献数
4

インピーダンス(電気抵抗)を用いて非破壊で鮮魚の脂肪量を推定する機器開発を目指した。周波数には5, 20, 50, 100 kHzを用いた。どの周波数でも死後の経過時間により電気抵抗は変動したが,100 kHzの電気抵抗と脂肪量との相関が高かった。温度変化により電気抵抗の変動を確認し,魚体サイズに応じた電極幅にすることで精度の向上が図られたため,脂肪量推定には魚体温と取上げからの経過時間を統一し,魚体サイズに応じた電極幅にすることで脂肪量を推定できると考えられた。
著者
西原 浩
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.244-248, 1976
著者
佐々原 浩幸 香川 典子 井上 昌子 松尾 奈加子
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.11, pp.68-70, 2011-06

国産原料を用いて腐乳の試作を行い,製造上の基礎的な知見を得た.カビ豆腐製造工程における微生物管理は重要であった.腐乳はカビ付けしたRhizopus属の酵素および麹菌酵素による豆腐組織の部分分解による食感の変化と原材料の分解にて生じる糖やアミノ酸の単純拡散による食味が構成されているものと考えられた.得られた腐乳の官能評価はカビ臭や腐乳表面にはカビの菌糸が残存しており,日本人の食用向きではないと思われた.
著者
神原 浩平 光山 和彦 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.188, pp.157-162, 2008-08-20
被引用文献数
8

800MHz帯FPU (Field Pick-up Unit)システムは,マラソン中継などの移動映像伝送に用いられている.現在,筆者らはより高画質で途切れにくい次世代システムを目指してMIMO伝送技術および誤り訂正技術の研究を行っている.LDPC符号はその高い誤り訂正能力から近年注目されており,中でもLDGM構造のLDPC符号を連接した直列連接LDGM (SCLDGM:Serially-Concatenated Low-Density Generator Manix)符号は,LDPC符号の短所である符号化演算量およびエラーフロアの両方を低減可能なため,大容量伝送で非常に低いビット誤り率が要求される次世代FPUシステムに適用可能である.本稿では,LDGM符号のLDGM部の列重み1の比率を可変する新しいLDGM構造を提案し,このLDGM構造を用いてSCLDGMに適した符号設計を行うことにより,既存のLDGM構造を用いたSCLDGMよりも優れた特性が得られることを示す.