著者
藤井 義晴 古河 衛 早川 嘉彦 菅原 和夫 渋谷 知子
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-42, 1991
被引用文献数
9

薬用植物, および香料植物の一部から, 他感作用候補植物を, レタスに対する発芽・生育試験とフザリウムに対する抗菌性試験 (胞子発芽と菌糸伸長試験) から検索した。その結果, 作物や一般雑草よりも高い頻度で, 活性の強い他感作用候補植物が得られた。<br>植物発芽・生育阻害活性も抗菌性もともに最も強かったのは, キンポウゲ科のオキナグサとセンニンソウであった。これらは著名な毒草としてすでに知られており, とくにセンニンソウは牧草地に侵入する有害雑草として良く知られている。<br>これに次ぐものとして, オオグルマ, フレンチタイム, アンミビスナーガ, ゲッケイジュがあった。ユリ科のニラとニンニクは, 水抽出液の抗菌性が, カンゾウとクスリウコンはメタノール抽出液の抗菌性が強かったが, 植物生育阻害作用は小さかった。逆にヨウシュヤマゴボウ, ニッケイ, ペパーミントは, 抗菌性は小さかったが, 植物の発芽・生育阻害が強かった。
著者
古山 桂子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.18-22, 1994-07-31 (Released:2011-01-31)
参考文献数
2
著者
神山 夏実 古屋 光一
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.5-8, 2020

<p>本研究では,第5学年の内容「天気の変化」の学習を終えた小学校高学年(5・6年生)19名に対して雲を見分けるための授業を開発し,実践を行い,授業で扱った雲を見分けることができるようになったのか実験をした.今回授業で扱った雲は4種類(すじ雲・うろこ雲・かみなり雲・あま雲)とした.この4種類を選んだ理由として,それぞれ雲の形や大きさが異なる雲であるため学習後に簡単に見分けることができると考えたからである.1単位時間(45分)の授業で小学校高学年(5・6年生)19名が雲を見分けることができるようにするために,分かりやすいような授業構成や内容を工夫し,効果的な学習ができるようにした.その結果,授業の前後で比較を行うと,対象児童19人中18人が4種類の雲を見分けることができるようになった.また4段階の確信度調査を同時に行うと授業後では,19人全員が4(とても自信がある)や3(自信がある)と回答した.このことから授業によって自信をもって雲を見分けられるようになったことが明らかになった.</p>
著者
今井 則夫 河部 真弓 土井 悠子 中島 弘尚 小川 三由紀 古川 文夫 白井 智之
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.330, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】現在,あるいは将来,携帯電話などから発生する電波により,人が多世代にわたってばく露されることは明らかである。しかし 電波の多世代のばく露試験はこれまでに報告がされていない。そこで,携帯電話で用いられている2GHz帯電波を妊娠期から授乳期, 離乳後のラットに多世代にわたって全身ばく露し,脳の発達及び機能への影響について検討した。【方法】ばく露箱内の照射用ケージに ラットを入れ,ばく露箱内上部に直交させたダイポールアンテナで,周波数2.14GHz,W-CDMA方式の電波をばく露した。ばく露は 1日20時間を妊娠動物の妊娠7日目から分娩21日目まで,さらに児動物が6週齢に至るまで行い,これを3世代にわたって実施した。照 射レベルとしては全身平均SAR(Specific absorption rate)が0 W/kg(対照群),0.08 W/kg(低ばく露群)及び0.4 W/kg(高ばく露群) の3段階を設けた。児動物は,ばく露終了後に脳への影響を確認するために行動機能(オープンフィールド検査)及び学習・記憶テスト (モーリス水迷路検査)を実施した。その他の検査項目として,体重,摂餌量,妊娠期間,着床痕数,産児数,出産児数,死亡児数,反 応性検査(痛覚反応,平面正向反射,背地走性,空中正向反射,耳介反射,聴覚反射,瞳孔反射,角膜反射),生殖能(性周期,交尾所 要日数,交尾率,受胎率),器官重量及び脳の病理組織学的検査についても実施した。【結果】ばく露期間中,あるいはその後の検査期 間中を通して,体重,摂餌量に電波ばく露の影響はみられず,生殖器能,反応性検査,オープンフィールド検査,モーリス水迷路検査, 器官重量及び脳の病理組織学的検査のいずれに対しても,電波ばく露による影響はみられなかった。【結論】SD系雄ラットに2GHz帯電 波を3世代にわたって,妊娠期から授乳期,離乳後のラットに全身ばく露させた結果,電波ばく露の影響と考えられる変化はみられなかっ たことから,電波ばく露による脳の発達及び機能への影響はないと判断した。(なおこの研究は生体電磁環境研究推進委員会(総務省) の支援によって,また藤原修(名工大),王建青(名工大),渡辺聡一(情報通信機構),和氣加奈子(情報通信機構)との共同研究で実施した。)
著者
葉山 泰三 谷口 義昭 薮 哲郎 古川 大和 佐竹 靖 市橋 由彬
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.253-258, 2016-03-31

これからの時代を担う子どもたちが生きていくために身に付けなければならないリテラシーは、自ら進んで課題を見つけ、探求し、解決する能力である。奈良教育大学附属中学校科学部は、この能力をロボット学習主体のクラブ活動を通して獲得することを目的として活動している。本報告は、2015年度に取り組んできた活動の中からロボットコンテストに焦点を当てて、その活動過程と成果を示す。本年度のロボットコンテストWorld Robot Olympiad(以下WROと略す)地方大会において、本附属中学校科学部は、レギュラーカテゴリーでは優勝し、全国大会でも準優勝を果たした。また、オープンカテゴリーでは、全国大会で優秀賞を獲得した。この2つの部門で世界大会(於:カタール)に出場した。世界大会に向けては、正確に、短時間にミッションを遂行するロボットの製作、人の指の動きを再現するロボットシステムの構築、奈良教育大学学生の指導による英語プレゼンテーション力の向上に努力した。世界大会では上位入賞を果たすことが出来なかったが、生徒は努力し続けることの意義、独創的なロボット開発の重要性、また大学生は生徒と一体となって目標に向かって活動する達成感を得ることが出来た。
著者
古田 公男
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.60-63, 1998-11

グループ企業でトップクラスの好業績を維持する中京コカ・コーラボトリング。昨年3月に三菱商事から社長に就任した古田公男氏は,わずか1年半で情報化を全社に広めた。 情報技術を活用した組織のフラット化に自ら率先して取り組み,「直行直帰体制」の導入で中高年社員の自立を促す。情報化を経営の大きな柱に掲げられていますが,その目的は何ですか。
著者
千葉 淳 古郡 貴志 呉 文昌
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.735-738, 1994-07-01 (Released:2009-10-30)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

Ultrasound power was supplied with hone type at 20kHz, 400W. Process parameters studied were closed steady-state temperature, concentration, pH, sonication time and flow rate. The decomposition of dichloromethane (methylene chloride) was not affected between 300∼340K and pH 3∼9. Dilute methylene chloride in water was rapidly decomposed by ultrasonic irradiation into carbon monoxide and/or carbon dioxide, hydrochloric acid, free chlorine and water at ambient pressure. Decomposition efficiency was about 30% after 2min of sonication and about 50% after 10min of sonication at 25∼100ppm.
著者
清野 純史 三輪 滋 古川 愛子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.412-419, 2007

地震時の墓石の転倒現象については, 実験と解析の両面から多くの研究が行われているが, 耐震補強された墓石の地震時挙動や補強効果について検証を行った研究は見当たらない. 本研究では, 墓石の代表的な耐震補強工法の効果を検証することを目的として, 墓石の実寸大模型を用いた振動台実験を実施した. 現在多く採用されている耐震補強工法の中から, 連結工法と免震工法に着目した. 連結工法の中からダボ工法と長ボルト工法, 免震工法の中から免震金具工法, 免震ゴム工法, エアーダンパー工法を採用した. デジタルカメラで撮影された画像と墓石試験体の加速度記録から, 各補強工法の効果と問題点について検討・考察を行った. 連結工法である長ボルト工法と免震工法である免震金具工法の効果が確認できた.
著者
古舘 周 国枝 正典
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.1180-1184, 2001-07-05 (Released:2009-04-10)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

This paper describes the development of a new dry wire electrical discharge machining (dry-WEDM) method which is conducted in a gas atmosphere without using dielectric liquid in order to improve the accuracy of finish cutting. In dry-WEDM, since the process reaction force is negligibly small, the vibration of the wire electrode is minute. The gap distance in dry-WEDM is narrower than that in conventional WEDM using dielectric liquid, enabling dry-WEDM to realize high accuracy in finish cutting. Moreover, since there is no need to use water as dielectric liquid, there is no corrosion of the workpiece, making dry-WEDM advantageous for the manufacturing of high-precision dies and molds.
著者
古賀 達也 コガ タツヤ Tatsuya KOGA
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2006-09-29

本研究では量子力学的な分子動力学法を用いて, グラファイト材料の水素原子吸<br />着による化学スパッタリング過程の機構を明らかにした. その経緯と概要を以下に<br />述べる.<br /> 今日, 経済発展に伴う化石資源の枯渇と環境破壊が大きな問題となっており,<br />これらに対して新しいエネルギー資源の早期開発が必要である. 実用化されてい<br />る, または実現可能と考えられる多くの代替エネルギーの中で究極のエネルギー<br />源が核融合である. しかし, その実現において最も重要である核融合炉壁材料に<br />ついては, 耐熱・耐放射線性のふさわしい材料が未だ見つからず, またプラズマと<br />壁との間の相互作用も十分に明らかにされていない. この問題を克服すべく, こ<br />れまで数多くのプラズマと固体壁に関する理論的・実験的研究が行われてきた.<br />その中でも固体壁表面の損傷については, 原子衝突により壁面の構成原子が外に<br />飛び出す物理過程だけでなく化学反応によっても表面が損傷されることが明らか<br />になってきた. そして, この後者が核融合炉壁材料に大きな影響を与える可能性<br />がこれまでの研究結果により認識されている.<br /> 化学スパッタリングは, 核融合炉材料のひとつである炭素壁とプラズマ起源の水<br />素との間で顕著に現れる. それらの相互作用は原子・分子という非常にミクロなス<br />ケールの反応であり, この詳細な過程を実験で知ることは現在の技術水準では容易<br />ではない. 一方, 固体や分子のミクロな現象の研究には計算機シミュレーションが<br />多用されている. 本研究の分野では以前から物理スパッタリングの計算機シミュレ<br />ーションによる研究が行われており, 実験結果を十分説明できる研究成果が挙げら<br />れている. しかし, 化学スパッタリングは物理スパッタリングと異なり, 原子間力<br />のみを取り扱う古典力学的な方法は不十分であり, 原子間結合の切断・結合を扱う<br />電子状態を考慮した量子力学的な取り扱いが必要である. ところが, 波動(シュレ<br />デインガー)方程式が数値的にも計算できるのは水素様の原子と10原子程度の系<br />である. そこで本研究の計算機シミュレーションでは, 電子の密度汎関数理論に基<br />づくKohn-Sham 方程式を用いている. この方法により電子の量子多体系が扱える<br />ようになるが, 古典力学と比べてはるかに多くの計算量を必要とする. このため,<br />計算機を並列に接続して分散処理を行う並列計算機(PC クラスター)を用いた.<br />以前のシミュレーション研究では, 損傷を受けていない平坦なグラファイト表面<br />上ではCH<sub>2</sub> よりさきの炭化水素が生じないことが確かめられているが, 実験ではグ<br />ラファイト内に取り込まれ同一グラファイト層上に付着した水素原子数がグラフ<br />ァイトを構成する炭素原子数に対して約50%になったとき, 化学スパッタリング<br />由来の炭化水素が観測される. このことから, 水素吸蔵と化学スパッタリングに因<br />果関係が存在すると考え本研究を行った.<br /> 計算体系としては, グラファイトを模擬材とし, そこに水素原子を順次付着させ,<br />その際に起きる構造の変化を, まず構造最適化(エネルギー最小化)の方法により<br />求めた. その結果, 吸着された水素原子密度が上昇するにつれ, グラファイトが<br />徐々に変形して構造が不安定となり, グラファイト一層あたりの水素原子付着率が<br />約50%に達したとき, 炭素原子間の共有結合が切断されCH<sub>2</sub> が発生, その後CH<sub>3</sub><br />からメタンの生成を起こして崩壊することが第一原理分子動力学シミュレーショ<br />ンにより明らかにされた. すなわち, 水素吸蔵により化学スパッタリングが容易に<br />発生して, 壁材料が大きく損傷することを示した.<br /> 一方, 実験では900K の高温域で材料表面上で炭化水素の発生量増加が確かめら<br />れている. そこで本研究では次に, この温度域での化学スパッタリングの発生過程<br />について調べる為, 原子の運動をVerlet+Nose-thermostat 法で追跡して調べた. そ<br />の結果, グラファイトの熱振動に伴いグラファイト表面に付着している水素原子が<br />表面上から離脱しやすくなり, 損傷を受けていないグラファイト表面上では化学ス<br />パッタリングが起きにくいことを確認した. 一方で, 構造最適化計算で得られたす<br />でに表面上にCH<sub>3</sub> が発生した初期状態を用いた計算では, CH<sub>3</sub> のグラファイトから<br />の離脱が確認できた. このことより, 化学スパッタリングは主に低温で起きる現象<br />であり, 高温では低温で発生した炭化水素が激しい熱振動により離脱することがわ<br />かった. また, CH<sub>3</sub> 離脱後のグラファイト表面上には大きなホールが形成されるが,<br />このホールが他のグラファイト層の破壊を容易にし, 結果としてグラファイト全体<br />へと影響を及ぼすと考えられる. 以上, 本研究は化学スパッタリング現象の基礎過<br />程を量子力学に基づき理論的に明らかにしたといえる.<br /> 本研究結果からの炉壁材料開発への提言として, 水素を吸蔵させないグラファイ<br />ト材料の開発が必要である. また, 高温域では化学スパッタリングが起き難いこと<br />から壁材料を1000K程度の高温に保持することも有効な解決方法と考えられる. 一<br />方, 本研究で用いられた密度汎関数法は実験データや他の経験則を必要とせず, 解<br />析理論, 装置実験と並ぶ数値シミュレーションという新たな研究手法である. 今後,<br />計算機性能の向上により取り扱う計算体系がより実現象に近づき, 計算機シミュレ<br />ーション法が物質現象を理解する上でさらに重要な地位を占めると考えられる.
著者
古本 奈奈代 正満 敏雄 大松 繁 岡久 俊郎
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.80-82, 1992-02-15
参考文献数
5
被引用文献数
1

生活環境政策を計画立案するときは, 住民のニーズを反映させるため, アンケートを行うことがよくある.アンケート項目間の内容は, 物理データと違って複雑に関連し合っているが, それを具体的にどのように扱うかについては充分な検討がなされていない面があった.そのため, ここではまず, デマーテル手法を適用して専門家などの意見を参考に, 項目間の階層的な繋がりや関連度を調べてその構造を分析し, つぎに, それらをもとに, 実質的なニーズを求めることを考えた。これによって, 環境政策をたてる際の無駄な投資は避けられるのではないかという見通しをたてた.また, ここで提案した手法は, 計画立案に当り, コンピュータとの対話型支援システムとして役立てることができると思われる.
著者
西河 美希 市山 高志 林 隆 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.15-19, 1998-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
9

山口県下の小中学校, 養護学校の養護教諭391名を対象とし, てんかん児の水泳を中心とした学校生活の対応について, アンケート調査を行った.対象人数391名中, 回答人数278名で, 回収率71%だった.82.7%の養護教諭がてんかん児を経験していたが, 学校行事の中で水泳を制限するという回答が全体の24.5%にみられた.また, 医師から制限不要の指示がでた場合でも, 20%以上の養護教諭が何らかの制限をするという回答だった.これらの結果より学校現場の中で医学的知識に詳しいと予測される養護教諭でも, てんかんに対する知識で不適切と思われる考え方が根強く残っていることがわかった.今後, 養護教諭に対するてんかんの正しい知識の普及が望まれる.
著者
古賀 正則 W.F Menski 金子 勝 山本 一美 山本 由美子 浜口 恒夫 佐藤 毅 中村 平次 山崎 利男 松井 透
出版者
一橋大学
雑誌
海外学術研究
巻号頁・発行日
1985

本年度の研究計画の目的は, 昨年度イギリスにおいて実施した調査によりえられたデータ,とりわけ面接調査票のデータを整理し, 一定の解析をおこなうことによって,今後の調査,研究に役立てることにあった. したがって, 本年度の研究成果はあくまでも中間的総括の域を出ないものであることを,まずことわっておきたい.1.研究成果の概要データの整理,解析によってえられた新たな知見,成果の要点は次の通りである.(1)第二次大戦後,イギリス植民地体制の崩壊にともなって,英領植民地各地に展開していたインド人移民社会は大きな変動を豪り,植民地本国イギリスへの大量の移動をひきおこすとともに,インド亜大陸からイギリスへの移住もまた激増した. こうしたインド人移民の大きな二つの流れに応じて,イギリスにおけるインド人社会の間にさまざまな面で大きな差異がみられることが明らかとなった.(2)イギリスにおけるインド人移民社会の形成,発展の歴史,およびインド人移民社会の構造,インド人移民の組織,政治,経済,社会,宗教活動などを,ある程度解明しえた. 殊にインド人移民のカースト,宗教組織の果す役割の重要性が注目される.(3)インド人移民社会の形成,発展は,イギリスの社会に大きなインパクトを与えつつあるが,他方インド人移民社会は,イギリス社会の影響を蒙り,一定の変容を受けながら,移民社会独自のアイデンティティを形成しつつある. そこにみられるのは,移民社会の受入れ国社会に対する一方的な同化の過程ではなく,多文化社会という新らしい社会の形成にむけての,共存的発展の過程であると考えられる.2.今後の研究の展望これまでの研究によってえられた新たな知見の一つは,インド人移民にとって必らずしもイギリスが最終的な移民先ではなく,かなりのインド人移民がイギリスを経由して,さらに他の英連邦諸国,とりわけカナダ,オーストラリア,あるいはアメリカ合衆国へ再移住しているという事実であった. われわれは今後の研究において,こうした再移住の過程を明らかにするとともに,インド人移民社会それ自体の変容と,受入れ国の社会にあたえるインパクトの解明を試みるつもりである. また,移民の主な送り出し地域の一つであるインドのグジャラート地方の調査を実施することによって,移民送出のメカニズム,海外移民の存在によって,この地方の蒙るインパクトを解明したいと考えている.
著者
佐藤 郁 渡邉 英一 古田 均
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-10, 2004-10-26 (Released:2011-12-20)
参考文献数
3

IPsec-VPNを用いたインターネットVPNの導入により、作業所間のブロードバンド接続が実現したが、海外、出向者、小規模現場、JV構成メンバーなど固定接続が困難な社員はブロードバンド化から取り残された。出向者やJV構成メンバーなどの相手先企業のネットワークや自宅やホテル、空港などインターネット接続より、ファイアウォールやNATなどの環境内でも安全に接続する手法としてSSL-VPNを導入した。また、不特定の場所から社内へ接続許可を与えるにあたり本人を特定する必要があるため、指紋を用いた生体認証とSSL-VPNを連携させる方法を開発した。初の商用サービス化を実現し、通信費だけで従来の約35%へのコストダウンを実現した。