著者
田中 宏毅 井上 三四郎 有田 卓史 古川 寛 大角 崇史 内田 泰輔 岩崎 元気 菊池 直士 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.861-863, 2020-09-25 (Released:2020-11-12)
参考文献数
8

51歳女性.左腰痛,両下腿痛,血尿のため体動困難となり,救急搬送された.両下腿と腰部に高度な浮腫と腫脹,激しい疼痛,水泡形成,著明な筋逸脱酵素の上昇,高カリウム血症を認め,左腰部,両下腿の急性コンパートメント症候群と診断した.緊急で腰部と両下腿に減張切開術を施行し,ICUで全身管理を行った.全身状態安定とともに四肢の浮腫は改善した.初診時に血圧低下,血液濃縮,低タンパク血症,心拍出量低下を認め,その他の多発コンパートメント症候群をきたし得る全身疾患が除外されたことより,原疾患として全身性毛細血管漏出症候群(SCLS)と診断した.SCLSは非常にまれな疾患であり,多発急性コンパートメント症候群を認めた場合,鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要がある.
著者
古郡 憲洋 岸本 圭子 本間 航介
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.I_165-I_177, 2020 (Released:2020-06-12)
参考文献数
43

里山の景観構成要素の接合部では, 生物の移動等を介して双方の景観要素が持つ物質循環機能が維持されてきたとされる.本研究では, 里山の森林と水田畦畔の接続性に着目し, これが生物群集や物質循環機能に与える影響を評価した.調査は, 新潟県佐渡市の伝統的な畦畔管理がなされた地域と基盤整備が施された圃場で現代的な畦畔管理がなされた地域で行い, 森林と水田畦畔の接続性が異なる環境間で微少環境要因, 土壌動物群集, 有機物分解率を比較した.その結果, 林縁構造が存在する接合部ではリター量が増加し, 林縁付近の有機物分解率が増大した.また, 林縁部が分断された畦畔では, 捕食者の個体数密度の低下, デコンポーザーとシュレッダーの個体数密度の増加, 有機物分解率の増大がみられた.森林と農地が隣接する場合でも, その接続性の違いにより林縁部の物質循環機能が異なることが示唆された.

1 0 0 0 OA 帝国実業名鑑

著者
古荘仁太郎 編
出版者
帝国実業名鑑編輯部
巻号頁・発行日
vol.第3号(岡山県之部), 1896
著者
脇坂 俊幸 松嶋 徹 古賀 久雄 奥村 浩幸 桑原 伸夫 福本 幸弘
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. A (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.140, no.12, pp.557-564, 2020

<p>In this paper, the influence to electromagnetic environment was evaluated on the outside of buildings where power line communication (PLC) systems were installed to a three-wire three-phase power distribution line. The electric field strength was measured at 140 points in five factories, in two office buildings, and in one stadium. Since many radio waves existed in the environment, the electric field strength when PLC system was operated and was not operated was measured. The influence was evaluated by the cumulated occurrence probability because the frequency characteristics of the electric filed strength changed by the measurement points. The results showed that the occurrence probability was not changed when the PLC system was operated and was not operated. The electric field strength was calculated by the common mode current obtained from the test result, and this indicated that the occurrence probability was lower than the measured occurrence probability of electric field strength.</p>
著者
藤本 潔 羽佐田 紘大 谷口 真吾 古川 恵太 小野 賢二 渡辺 信
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br>マングローブ林は、一般に潮間帯上部という極めて限られた環境下にのみ成立することから、温暖化に伴う海面上昇は、その生態系へ多大な影響を及ぼすであろうことが予想される。西表島に隣接する石垣島の海面水位は、1968年以降、全球平均とほぼ同一の年平均2.3mmの速度で上昇しつつある(沖縄気象台 2018)。すなわち、ここ50年間で11.5cm上昇した計算となる。近年の上昇速度が年10mmを超えるミクロネシア連邦ポンペイ島では、マングローブ泥炭堆積域で、その生産を担うヤエヤマヒルギ属の立木密度が低下した林分では大規模な表層侵食が進行しつつあることが明らかになって来た(藤本ほか 2016)。本発表は、本年2月および8月に西表島のマングローブ林を対象に実施した現地調査で見出された海面上昇の影響と考えられる現象について報告する。<br><br>2.研究方法<br><br>筆者らは、西表島ではこれまで船浦湾のヤエヤマヒルギ林とオヒルギ林に固定プロットを設置し、植生構造と立地環境の観測研究を行ってきた。今回は、由布島対岸に位置するマヤプシキ林に新たに固定プロット(幅5m、奥行70m)を設置し、地盤高測量と毎木調査を行った。プロットは海側林縁部から海岸線とほぼ直行する形で設置した。地盤高測量は水準器付きポケットコンパスを用い、cmオーダーで微地形を表記できるよう多点で測量し、ArcGIS 3D analystを用いて等高線図を作成した。標高は、測量時の海面高度を基準に、石垣港の潮位表を用いて算出した。毎木調査は、胸高(1.3m)以上の全立木に番号を付し、樹種名、位置(XY座標)、直径(ヤエヤマヒルギは最上部の支柱根上30cm、それ以外の樹種は胸高)、樹高を記載した。<br><br>3.結果<br><br> 海側10mはマヤプシキのほぼ純林、10~33mの間はマヤプシキとヤエヤマヒルギの混交林、33~50mの間はヤエヤマヒルギとオヒルギの混交林、50mより内陸側はほぼオヒルギの純林となっていた。70m地点には立ち枯れしたシマシラキが確認された。立ち枯れしたシマシラキは、プロット外にも多数確認された。<br><br> マヤプシキは直径5㎝未満の小径木が46%、5~10cmが37%を占める。20m地点までは直径10cm未満のものがほとんどを占めるが、20~33mの間は直径10cmを超えるものが過半数を占めるようになる。最大直径は23.3cm、最大樹高は5.7mであった。ヤエヤマヒルギはほとんどが直径10cm未満で、直径5cm未満の小径木が74%を占める。最大直径は47m付近の13.8cm、最大樹高は5.7mであった。オヒルギは直径5cm未満の小径木は少なく、50~70mの間では直径10cm以上、樹高6m以上のものがほぼ半数を占める。最大直径は19.9cm、最大樹高は11.1mに達する。<br><br>地盤高は、海側林縁部が標高+28cmで、内陸側に向かい徐々に高くなり、45m付近で+50cm程になる。45mより内陸側にはアナジャコの塚であったと思われる比高10~20cm程の微高地が見られるが、一般的なアナジャコの塚に比べると起伏は小さい。この林の最も内陸側には、起伏の大きな現成のアナジャコの塚が存在し、そこではシマシラキの生木が確認された。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚であったと思われる起伏の小さな微高地上に分布していた。<br><br>4.考察<br><br> シマシラキはバックマングローブの一種で、通常はほとんど潮位の届かない地盤高に生育している。立ち枯れしたシマシラキはアナジャコの塚上に生育していたが、近年の海面上昇に伴いアナジャコの塚が侵食され地盤高を減じたため、冠水頻度が増し枯死した可能性がある。船浦湾に面する浜堤の海側前縁部にはヒルギモドキの小群落が見られるが、近年海岸侵食が進み、そのケーブル根が露出していることも確認された。このように、全球平均とほぼ同様な速度で進みつつある海面上昇に対しても、一部の樹種では目に見える形での影響が現れ始めていることが明らかになった。<br><br>参考文献<br>沖縄気象台 2018. 沖縄の気候変動監視レポート2018. 藤本潔 2016. 日本地理学会発表要旨集 90: 101.
著者
古谷 由紀子
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2016

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第1項【論文審査委員主査】横山 彰(中央大学総合政策学部教授)【論文審査委員副査】花枝 英樹(中央大学総合政策学部教授),平野 晋(中央大学総合政策学部教授),木立 真直(中央大学商学部教授)
著者
古浜 庄一
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.721-731, 1977-09-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1

For the energy source of automobiles, more than 30 years ahead, fuel cell or hydrogen will be of greatest promise. In respect of transportability, liquid hydrogen is more advantageous. For good thermal efficiency, low NOx emission and suppression of abnormal combustion, the maximum output power of hydrogen fueled engine should be increased as much as possible and then, in the most past of practical operation, the engine should be operated in lean mixture. For this purpose, there are two methods; one is cooling intake air by liquid hydrogen, the other is hydrogen fuel injection during compression stroke, which also has to use liquid hydrogen to minimize the compression work.And this paper also describes in detail the characteristics of hydrogen gas, liquid hydrogen and metal hydride for an automobile fuel, and a phenomenon and some control methods of backfire.
著者
松島 美穂 岡田 志保 下川 光代 古林 恵 尾田 睦美 細井 希恵
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.22-26, 2008-03-01

平成18年8月上旬~12月中旬に現行の1日1回電極交換を実施した患者33名(対照群)2日に1回の電極交換を実施した患者38名(実験群)を対象に,調査用紙を作成,実験群・対照群それぞれ各項目について調査を行った.電極交換日数と皮膚の状態においては,紅斑と掻痒感出現は電極毎日交換に多い傾向がみられた.また,対照群,実験群をあわせた全対象者71名中,電極かぶれが発生したのは46名の64.7であった.電極かぶれが出現する要因を明らかにするために電極かぶれの有無で比較分析を行ったところ,電極交換を毎日実施と固定方法の2点に有意差があった.電極交換を毎日実施したほうが電極かぶれが発生しやすい傾向がみられ,固定方法においては,送信機を体幹に固定している方法に比べてベッドサイドモニターのように電極コードが本体に取り付けられているものや,送信機を身につけず,ベッド上に置いてある方が有意に電極かぶれが多い結果となった.
著者
古城 隆雄 尾島 俊之 中俣 和幸 家保 英隆 田中 剛 牧野 伸子 鈴木 孝太 平山 朋 山本 光昭 鶴田 憲一
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.385-392, 2021-06-15 (Released:2021-06-25)

目的 公衆衛生の進歩発展および向上のためには,科学的な根拠に基づく政策の展開が求められ,学術と行政の連携が重要である。そこで,日本公衆衛生学会を活用しながら,学術と行政のさらなる連携の推進方策を検討することを目的に,日本公衆衛生学会学術行政連携検討委員会(委員長:鶴田憲一)の活動を行った。方法 学術行政連携検討委員会を2018年度~2019年度の2年間に3回開催し,さらにメールによる意見交換を行った。また,2019年10月24日に第78回日本公衆衛生学会総会において「根拠に基づく公衆衛生政策(EBPM)の具体的事例とノウハウ(学術行政連携検討委員会)」と題したシンポジウムを開催し,学術と行政の両者から,これまでの連携の具体的事例とノウハウについて発表し,参加者との質疑を通じて今後の課題についても議論した。活動報告 学術行政連携検討委員会の検討では,日本公衆衛生学会の運営における連携,行政業務データの精度に関する共通認識,行政におけるデータ活用の推進,人材確保と育成による連携の重要性があげられた。シンポジウムでは,委員長から学術行政連携検討委員会の設立経緯と趣旨を説明した後,データの活用に関する行政と学術のギャップについて,目的,研究の位置づけ,データ形式,人材,データ提供への課題の5点について整理した。続いて,行政の観点から,都道府県行政と公衆衛生学会の連携,地方行政職員の演題発表の変化,災害対応における学術への期待について,学術から,大学による行政の調査研究の支援,行政と連携したエビデンスづくりについての報告と質疑が行われた。結論 学術と行政の連携により,行政にとっては,根拠に基づく政策形成の深化とそのための人材育成が推進できる。また,日本公衆衛生学会総会開催は,公衆衛生従事者の資質の向上と経済効果につながる。学術にとっては,求められる研究内容の把握やデータ活用が推進できる。
著者
馬場 博康 宗近 宏次 古賀 靖 岩崎 統 高橋 久男
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.339-340, 1978

The typical radiological picture of ascariasis in the small intestine was demonstrated incidentally in a patient who came with abdominal tenderness.<BR>The small bowel follow through study after upper GI series is emphasized to be worth while on occassion.
著者
上野 直樹 古沢 剛 松村 飛志 澤田 浩二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.C16, 2007

グラフィティとは、ビルの壁や地下鉄へ不法に描かれた壁画もしくは文字のことである。日本では最近、渋谷地区で合法なグラフィティを支援する活動がNPO 法人Kompositionによって行われ始めている。Kompositionの活動は、ビルや公園の壁にグラフィティを描かせてもらうために渋谷区役所やビルオーナーと交渉を行うといったことである。今回私たちはKompositionの活動を支援するためにGoogle Maps APIを利用して渋谷グラフィティマップをデザインした。渋谷グラフィティマップはKompositionの人々とグラフィティ文化のファンたちを繋ぎ、渋谷地区に描かれたグラフィティへのアクセスを容易にするツールとして見なすことができるだろう。
著者
溝口 弘泰 長谷川 勝男 古川 秀雄 宇野 秀敏 大貫 伸
出版者
水産総合研究センター
雑誌
水産技術 (ISSN:18832253)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-36, 2010-09
被引用文献数
1

日本の海岸に漂着する大量のゴミは年間約15万トンであり,美観を損ねるだけでなく生態系まで破壊する問題となっている。漂着ゴミ発砲スチロールを回収し油化することによって得られるスチレン油を,軽油と混合し漁船エンジン等で使用することができれば,新しい循環サイクルを構築することができる。本研究では,漂着ゴミ (発砲スチロール) から抽出されたスチレン油を軽油と混合し (5wt%,10wt%,15wt%,20wt%),エンジン試験を行い,燃焼特性,排気特性ならびに耐久性について比較検討した。スチレン油の動粘度が小さいため,混合率20wt%が使用限度となる。それぞれの混合油の燃費率,排気温度ならびにCO2濃度は軽油と比較して,特段の変化は見られなかった。混合油のNOx濃度とスモークは,軽油と比較して混合率が高くなるに従い増加傾向となった。混合油 (10wt%) 使用での32時間耐久試験を行い,エンジンヘッドを開放し燃焼室の汚れ具合を軽油使用後と比較した結果,カーボンの付着具合ならびに吸排気弁裏側の汚れについては同等であった。以上のことより,漂着ゴミ発砲スチロールを油化して生成されるスチレン油は,軽油と20wt%までの混合であればディーゼル機関の燃料として使用できる可能性があることが示唆された。