著者
健山智子 小原伸哉 田中泰史 桶川萌 古川顕 金崎周造 若宮誠 韓先花 陳延偉
雑誌
画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2011)論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.255-262, 2011-07-20

統計形状モデルは医用画像データから統計解析に基づいて人体臓器の個体間における大きさ,形状のバリエーションを記述したものであり, 計算解剖学や術前計画など多くの医療分野において幅広く利用されている.一方,統計形状モデルを構築する場合,各症例間における表面点の対応付けを行うためには複雑でかつ膨大な計算を要するだけでなく,統計形状モデル構築の際に用いられる学習用症例数が限られているため,症例数に対し形状特徴ベクトルは膨大な次元を要してしまう.そのため,少数症例からでも汎化能力の高いモデルを構築するためには臓器の形状情報を効率的に取り扱う必要がある.本研究では新たな統計形状モデル作成法として, 人体臓器の3次元形状を球座標により形状間における表面点対応を回転のみで行い,得られた形状表現を球面調和関数に展開することで形状情報ベクトルの次元を抑えることが可能な統計形状モデルの構築法を提案する. 提案法は球面調和関数に展開された係数により3次元形状情報を効率的に扱えることから,サンプル数に依存することなく高い汎化能力を持つ統計形状モデルの構築が行われ,そのモデルは未知のデータに対しても高い再現率で再構成が行えることを示す.
著者
広田 知良 古賀 伸久 岩田 幸良 井上 聡 根本 学 濱嵜 孝弘
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究資料 (ISSN:13478125)
巻号頁・発行日
no.69, pp.1-13, 2011-09

2010年の気象の特徴は,これまでの北海道の夏季冷涼で梅雨がないという気候条件とは異なり,夏季(6~8月)の統計開始以来の記録的高温(全道平均で+2.3℃)と併せて7~8月の多雨,さらに春先の低温が重なった点にあった。平年より2℃以上の記録的な高温は,作物の生育を過度に促進し,収穫までの生育期間を大きく短縮するとともに,多雨による多湿条件が病害を助長した。さらには春先の低温・多雨による播種の遅れや初期生育の不良の影響が重なったため,多くの畑作物(小麦,ばれいしょ,てんさい,大豆を除く豆類)の収量が大きく低下した。北海道において夏季の高温条件による畑作物の不作は,北海道開拓以来はじめてのことである。また水稲も作況指数が98と極端な高温年では初めて平年を下回った。気象庁温暖化予測情報第6巻による温暖化予測シナリオ(SRES-A2)と比較すると 2010年の夏季気温は,2100年頃,またはそれを上回っていた。これからは4年に1度程度で生じる冷害と併せて,4~6年程度毎に生じる高温,および今後の北海道の夏季に梅雨の発生が頻発するかについては, 異常気象が北海道農業に及ぼす影響を考える上で,重要な研究・技術開発課題となると考える。したがって,寒地にある北海道といえども冷害のリスクに備えながらと温暖化に対しても適切に対応するための技術開発が必要である。
著者
武長 徹也 堀内 行雄 伊藤 恵康 古島 弘三 草野 寛 船越 忠直 古賀 龍二 山本 譲 宮本 梓 井上 彰 村山 俊樹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.584-588, 2019

18歳以下の若年で胸郭出口症候群(TOS)に対し手術を要したオーバーヘッドスポーツ選手の特徴を明らかにするため調査を行った.TOSに対して手術を施行したオーバーヘッドスポーツ選手110例119肢を対象とし,手術時年齢で18歳以下群と19歳以上群に分け,術前臨床症状,画像所見,術中所見などを比較した.18歳以下群は82例89肢(平均15.8歳,男性78例,女性4例,野球75例),19歳以上群は28例30肢(平均20.6歳,男性26例,女性2例,野球26例)であった.臨床症状の各項目に有意差は認めず,18歳以下群の特徴として①前中斜角筋間距離が狭い,②肩関節90度外転外旋位で腋窩動脈2nd partの血流が遮断される選手の割合が高い,③挙上位血管造影3DCTによる鎖骨下動脈の圧迫所見陽性率が高いことが明らかとなった.静的,動的に肋鎖間隙が狭い選手ほど,オーバーヘッドスポーツキャリアの早期でTOSを発症し競技継続困難となり手術を要すると考えられた.
著者
齋藤 寛 吉永 馨 塩路 隆治 古川 洋太郎 有川 卓 齋藤 喬雄 永井 謙一 道又 勇一 佐々木 康彦 古山 隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.1371-1383, 1975
被引用文献数
4

明治初年以来高度のカドミウム環境汚染をうけてきた秋田県小坂町細越地域の35才以上の住民137人(男58人,女79人)の健康調査を行なつた.昭和47年1月から昭和49年10月にいたる期間の4回の検尿において尿蛋白,尿糖同時陽性者の検出率は常時13%以上であり,対照地域の同時陽性率2.5%に比し著しい高率であつた.この4回の検尿により尿蛋白・尿糖同時陽性者33例(男18例,女15例)を見出し,かつこのなかから腎機能検査の結果10例(男5例,女5例)の多発性近位尿細管機能異常症(multiple proximal tubular dysfunctions)を診断した.この10例についてその原因疾患を検討した.特発性,遺伝性疾患,ならびに慢性重金属中毒以外の後天性疾患はいずれも否定された.多発性近位尿細管機能異常症を含む尿蛋白・尿糖同時陽性者の大部分が尿中カドミウム排泄の異常高値(10.0~45.0&mu;g/d)を示した.小坂町細越地域の土壌,産米などにはこれまでくりかえし高濃度のカドミウムが検出されており,また同地域住民の多数が尿中カドミウムの異常高濃度(10.0&mu;g/<i>l</i>以上)を示すことが秋田県の調査により明らかにされている.すなわち同地域住民は長年にわたり異常カドミウム曝露をうけてきたことが確実であつた.以上により同地域住民の多数に認めた蛋白尿,糖尿の多発,さらには多発性近位尿細管機能異常症にまでいたる一連の腎障害は長年にわたり,主に食物を介して体内に異常大量摂取されたカドミウムによる慢性カドミウム中毒であると結論した.
著者
三星 健吾 佐藤 伸明 高橋 洋介 前川 慎太郎 田中 敏之 安村 明子 大牧 良平 柳川 智恵 瀧口 耕平 古川 裕之 北河 朗 吉貝 香織 恒藤 慎也 中西 拓也 高見 良知
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】2008年に啓発部事業の一つであったスポーツ啓発事業を,より一層充実した活動を行うために独立した部としてスポーツ活動支援部(以下,スポ活部)が誕生した。今回,当部の活動実績と今後の課題について報告する。【活動報告】現在活動を企画・運営している部員は17名(男性12名 女性5名),サポートスタッフ(以下スタッフ)登録者は124名(男性95名 女性29名)である。サポートを行っている競技は,成長期および育成年代のサッカー,高校柔道,市民マラソンと,障害者スポーツとしてシッティングバレー・車いすテニスの5種目である。部員は,各競技に班長1人と班員3名程度の小グループを作り,年間の活動計画や勉強会の企画を作成する。その企画内容にしたがい,スポ活部全体でサポートする形をとっている。主なサポート内容は,試合中の選手に対するコンディショニングおよび障害予防につなげるためのメディカルチェックや,スタッフに対し各競技の特性や各現場で必要な知識および技術に関する勉強会である。年間の活動日数は5種目すべての,試合前の勉強会,当日のサポート,サポート後の反省会を含めると,年間30日程度となっている。【考察】選手および大会関係者からの我々に対する認知度は,サポートを重ねるごとに向上している。一方でサポートする競技が増えてくるに従い活動時期が重なり,スタッフの確保が困難な場合がある。スタッフの知識および技術の維持・向上を図りながら,現場活動へ継続的に参加するモチベーションをいかに維持していくかが大きな課題である。【結論】今後の方針として,社会貢献事業としての活動の継続と更なる発展はもとより,今までサポートしてきた選手の評価および治療効果をまとめ,各スポーツの特性を把握し発生しやすい外傷や慢性障害を啓発し,予防事業にも力を入れていきたいと考える。
著者
古橋 治義 曽根 定家 志知 営一
出版者
大同特殊鋼株式会社
雑誌
電気製鋼 (ISSN:00118389)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.16-32, 1968

数年前米国に端を発したアーク炉生産性向上の手段としての超大電力(Ultra High Power; UHP)操業がわが国においても最近注目されてきた。この機会にUHPに関して,アークの挙動,アーク炉の電気特性,不平衡回路の取扱い,炉の生産性,フリッカなど,アーク炉全般について,電気的見地から最近の技術的傾向をまとめた。近年アーク現象の解析は高速度カラー映画の導入で急速に進み,いっぽう,アーク炉三相不平衡回路の解析も計算機技術の助けによって大きな進展を約束されている。これらの新しい技術に基づいたアーク炉研究の一端として,アークからの伝熱,不平衡回路の解析,生産性の向上などに関して新しい提案を試みた。また,大電力投入に伴って,ますます表面化するであろう炉壁のホットスポットの問題に対してもいろいろの指針を提起した。さらに,アーク炉フリッカの問題については一船的な説明を述べると共に,UHP時に予想される方向を示唆した。
著者
寺本 あい 大和 裕子 古海 圭菜
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】スチームコンベクションオーブン(以下スチコン)は焼き、スチーム、その複合機能など多機能を持ち合わせている。この機能を適切に活用すれば大量調理において提供できる料理の幅が広がる。そこで、準備から廃油の処理に至るまで作業負担や環境負荷が大きい揚げ物について、スチコンを用いた調理の最適条件を検討することにした。<br />【方法】本研究では、鶏のから揚げを題材とした。衣については粉の種類・配合、粉のまぶし方、油の付加方法、加熱条件については加熱モード、加熱時間について比較を行い、揚げ調理に近い仕上がりになる調理方法を検討した。完成品の評価は、こども園にて給食として実際に提供し、子供達の喫食状況の観察と、職員を対象とした嗜好調査を行った。<br />【結果】数種の粉を配合し、揚げ過程での吸油を下処理段階で油にくぐらせ均一にむらなく付加し、スチコンの複数のモードを組み合わせることで、肉のジューシーさを保ちながら揚げ物のカリッとした食感に近付け、粉っぽい部分が残ることがなく均一な仕上がりとなった。具体的な最適調理条件は、以下のとおりである。粉は薄力粉とコーンスターチ、粉全量の5%の重曹用いた。粉のまぶし方は、鶏肉に薄力粉をまぶした後、重曹を混ぜたコーンスターチを加えまぶした。油の付加は、バットに油を入れ粉の付いた鶏肉をくぐらせて、焼き網の上に並べ余分な油を落とした。加熱条件は、浅型パンの上に鶏肉を並べた焼き網をのせ、熱風モード220℃で8分加熱後コンビモード(スチーム80%)220℃で2分加熱した。また、こども園における完成品の嗜好調査や喫食状況の観察より、鶏の唐揚げとして提供できる品質であると考えられる。
著者
古田 一郎 山本 典生 平海 晴一 坂本 達則 伊藤 壽一
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.131-135, 2013-05-25
参考文献数
9

当科で経験した8例10耳の耳硬化症再手術症例につき検討した。10耳中2耳は再々手術例であった。初回手術から再手術までの平均期間は4年9か月で、再手術のきっかけとなった主訴は9耳が難聴で1耳がめまいであった。術中所見では8耳(80%)でピストンの脱落を認めたが、術前にコルメラの評価を行った側頭骨CTでは、5耳しかピストンの変位を指摘できなかった。術前、術後の聴力評価は気導3分法で行ったが、再手術により難聴を主訴にした9耳のうち7耳で15dB以上の聴力改善を認め、再手術による内耳障害等、重篤な合併症を認めた症例は1耳もなかった。このことより、耳硬化症術後に難聴をきたした場合は、再手術により聴力改善が大きく期待され、原因精査の意味も含め、積極的に再手術を行うべきだと考えた。
著者
前川 篤志 伊藤 毅志 古郡 延治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.218-219, 1997-09-24

近年, 計算機の高速化, 記憶容量の大型化に伴い, 言語現象を経験的, 統計的に捉えようとする傾向にある。特に, 単語の意味的曖昧性の解消においては, 大規模コーパスから抽出した相互情報量, 機械可読の辞書やシソーラスをもとに, その文脈に沿った単語の意味を同定するという手法が主流となっている。しかし, 次々と新出単語や新出概念が現われる今日において, 既存の辞書やシソーラスに載っていない単語や概念が文脈中に現れることは, しばしば起こり得ることである。本研究では, 既存の辞書やシソーラスを使うことなく, コーパスのみから得られる情報をもとに, 文脈に沿った単語の意味を獲得する手法を提案する。例として動詞「開く」を用いて実験を行い, 得られた結果に考察を加えた。
著者
平野 陽子 古俵 孝明 五十嵐 敏明 松嶋 あづさ 川道 美里 小島 慶之 高橋 翠 松井 友里恵 渡瀬 友貴 山下 慎司 宇野 美雪 上谷 幸男 渡辺 享平 矢野 良一 塚本 仁 中村 敏明 岩崎 博道
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.502-508, 2017-09-10 (Released:2018-09-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

In February 2015, we introduced a drug verification and quantity management system using personal digital assistants and medicine barcodes to prevent dispensing errors. We evaluated the effect of this system by comparing the number of dispensing errors and incident cases for one year before and after the introduction. The time required for dispensing was prolonged from about 28.4 seconds to 37.3 seconds per drug, about 1.3 times. The number of dispensing errors for one year before and after system introduction significantly decreased from 33.8 ± 4.7 per month to 5.8 ± 0.8 per month (P < 0.01). In addition, the number of incidents significantly decreased from 6.0 ± 0.9 per month to 3.2 ± 0.5 per month (P = 0.02). The system seems to be useful as a tool of medical safety measures because it significantly lowers the number of dispensing errors and incidents.
著者
佐古 曜一郎 本間 修二
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.57-65, 1996

Numerous examples of oral tales and other forms of ancient literature from various countries have referred to the existence of "Ajfia Chakra", a third eye, suggesting that human beings once had the power of "clairvoyance" the ability to see letters and objects without the use of eyesight. In the 20th century, such scientists as Tomokichi Fukuirai of Japan, J. B. Rhine of the United States, and Chen Shouliang of China conducted serious research into this area. While their studies affirmed the existence of this phenomenon, due to difficulties in repeatability and the possibility of unfair manipulation, these studies continue to be a subject of debate. Some other studies have suggested that clairvoyance, where subjects can perceive letters or objects written on paper that is folded or rolled up and placed in thier hand or ear, does not exist. We have sought to prove that this type of clairvoyance does indeed exist through the results of two test subjects, T. T. and Z. W. In 35 trials, T. T. was correct 97.1% of the time. Subject Z. W. participated in only three double-blind tests, but was able to correctly answer all three times. The probability of correct answers by chance is extremely low (3.7x10^<-8>). We hope that these test results will serve as a first step in putting to rest the continuing debate regarding the existence of clairvoyance.
著者
本山 達男 尾川 貴洋 小川 貴久 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人 田村 裕昭
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.481-484, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
6

膝前十字靭帯(ACL)損傷に伴う骨挫傷は,MRIでのACL損傷診断の補助となる.ACL新鮮例のMRIでの骨挫傷について検討した.対象と方法)対象は2011年7月より2014年7月まで当院でACL損傷にて関節鏡もしくは鏡視下靭帯再建を行った41例,41膝,男性21例,女性20例,平均年齢30歳(13-58)右膝12例,左膝29例であった.MRIにて骨挫傷の有無,部位について,また受傷機転,スポーツ種目について検討した.結果)41膝中39膝(95.1%)に骨挫傷を認め,脛骨外側顆36膝,大腿骨外側顆28膝,脛骨内側顆13膝,大腿骨内側顆6膝であった.また内側コンパートメントの骨挫傷単独例はなく,外側コンパートメントの骨挫傷を合併していた.41例中39例はスポーツが原因で,バレーボール17例,バスケットボール10例,サッカー6例などであった.受傷機転はジャンプし着地時の受傷が21例と多かった.非接触型の受傷は34例(82.9%)を占め,接触型より内側の骨挫傷を多く合併していた.