著者
宗廣 孝継 小林 潤一 吉田 満 松岡 順一 上田 芳信 開沼 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.257, pp.53-57, 2013-10-22

通信やレーダ用途において,フェーズドアレー方式のシステムが検討されている.この方式では,指向性の高い電磁波ビームを形成するため,アレー素子の小型化と高出力化,高効率化の要求がある.そこで,これらの要求を同時に満たす増幅器として,フェーズドアレーレーダシステムへの応用を念頭に置いたMPM(マイクロ波増幅モジュール)に適する9〜10GHzの周波数範囲で高周波出力800W以上,総合効率41%,寸法20mm(W)×20mm(H)×213mm(L),質量0.4kgのミニTWT(小型進行波管)を開発したので報告する.
著者
小山 太 清水 邦義 松原 恵理 吉田 絵美 近藤 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.370-376, 2011-11-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

スギ製材工程で大量に発生する樹皮の有効利用を図るため,スギ樹皮のアンモニア吸着能に着目した鶏ふん堆肥化過程の臭気低減効果について検討した。粉砕処理したスギ樹皮を620ppmに調製したバッグ内のアンモニアガスと5分間接触させたところ99.5%のアンモニアが除去された。鶏ふん堆積物の表面をスギオガクズまたはスギ樹皮で被覆し,堆肥化過程で発生するアンモニアの吸着を試みたところ,スギオガクズは1g当たり11mgのアンモニアを吸着したのに対し,スギ樹皮では33mgに達した。堆肥化後,スギ樹皮中の窒素の形態を調査したところ,水溶性窒素が22%,イオン交換性窒素が23%,有機態窒素47%であり,高い陽イオン交換能に伴うイオン結合だけでなく,共有結合による除去も示唆された。スギ樹皮は,アンモニアガス発生源の表面を被覆するだけで発生量を抑制でき,安価で簡便な臭気対策資材としての活用が期待される。
著者
大熊千紗都 岡崎慎一郎 吉田秀典
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

塩害等により鉄筋腐食したコンクリート構造物の腐食速度を非破壊で評価する手法として,分極抵抗法がある。この手法は,鉄筋に微弱な電流を流し,電位変化量から鉄筋の分極抵抗を測定することで,鉄筋の腐食速度を定量的に評価するものである。本測定で得られる測定値は見かけの分極抵抗であり,真の分極抵抗を得るためには被測定面積を乗じなくてはならないが,被測定面積は腐食の不均一性に強く影響され,腐食速度の評価精度が低下する懸念がある。本研究では,不均一に腐食した鉄筋コンクリートを対象に,電気分散性状が被測定面積および真の分極抵抗値の相違に与える影響を検討するものである。
著者
木村 祥子 松田 良信 吉田 こずえ 日吉 理恵 遠野 かおり 岡山 幸子 野間 秀樹 板倉 崇泰
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.194-200, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
29
被引用文献数
2

メサドンはがん疼痛治療薬として本邦でも使用可能となったオピオイドであるが,個人差の大きい薬物動態や重篤な副作用のため使用にあたり細やかな配慮が必要であり,広く使用されるには至っていない.今回,他のオピオイドからメサドンに変更導入を行ったがん疼痛のある44症例を通してその鎮痛効果と副作用の検討を行い,がん疼痛治療におけるオピオイド鎮痛剤の中のメサドンの臨床的意義を考察した.44症例のうち導入に成功したのは37症例(84.1%)であり,成功症例においてメサドン投与前後の疼痛強度(Numerical Rating Scale;NRS)は平均7.5から2.8に低下していた.副作用として強い眠気が6例,嘔気が3例にみられたが,QT延長や呼吸抑制の重篤なものは認めなかった.高用量のオピオイドを必要とする難治性のがん疼痛患者では,メサドンも疼痛治療の選択肢となり得ると考えられた.
著者
金澤 裕太 野地 なつ美 齊藤 隆夫 吉田 茂男 浅見 忠男
出版者
一般社団法人 植物化学調節学会
雑誌
植物化学調節学会 研究発表記録集 (ISSN:09191887)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.90, 2004-10-13 (Released:2018-02-15)

Pyrroloquinoline quinone(PQQ; 1) was discovered as a novel co-factor in various bacterial alcohol dehydrogenases in 1979. In 2003, it was reported that PQQ is nutritionally important as a vitamin in mammals. Various analytical methods have been reported for the quantification of free PQQ, but their reports have not established a detailed procedure for the assay of PQQ in crude biological samples. In this study, we have synthesized ^<13>C-labeled PQQ to use this chemical as an internal standard. We synthesized the labeled PQQ from 5-amino-2-methoxyformanilide(2) by applying Corey's method in a key step.
著者
吉田 英樹 永田 順也 傳法谷 敏光
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.F0189, 2008

【目的】本研究の目的は、星状神経節(SG)近傍への経皮的キセノン光照射(Xe照射)が四肢末梢皮膚温に与える影響について検討することであった。<BR>【方法】同意の得られた健常例30名に対して、以下の二つの実験を実施した。実験1:15分間の安静仰臥位での順化後に、安静仰臥位のまま両側のSG近傍へのXe照射(SG-Xe照射)を10分間実施した。実験2:前述の順化後に、Xe照射を伴わない安静仰臥位を10分間保持した(コントロール)。測定項目として、四肢末梢皮膚温は、測定部位を上下肢ともに第3指遠位指節間関節腹側中央とし、放射温度計を用いて順化中は3分毎、SG-Xe照射中及びコントロール中は1分毎に測定した。また、心拍数は、R-R間隔測定が可能な心拍計を用いて、実験開始から終了まで連続測定した。四肢末梢皮膚温の解析では、各実験における対象者の順化中の上下肢ごとの末梢皮膚温平均値を基準値として、SG-Xe照射中及びコントロール中の1分毎の上下肢末梢皮膚温について基準値からの変化量を算出した。心拍数の解析では、R-R間隔の周波数解析を実施し、低周波成分(LF)と高周波成分(HF)のパワースペクトルを求め、HFを副交感神経活動、LF/HFを交感神経活動の指標として用いた。<BR>【結果】心拍数の解析では、実験1では順化終了時と比較してSG-Xe照射終了時のHFの有意な増加及びLF/HFの有意な減少を認めたが、実験2では順化終了時とコントロール終了時との間でHF及びLF/HFの明らかな変化を認めなかった。上肢末梢皮膚温の解析では、SG-Xe照射中を通して上肢末梢皮膚温が基準値を下回らない傾向を示したが、コントロール中は開始5分以降に上肢末梢皮膚温が基準値を下回る傾向を示した。上肢末梢皮膚温の基準値からの変化量については、SG-Xe照射及びコントロール開始7~10分後での各条件間の変化量に有意差を認め、全体としてSG-Xe照射中の後半の上肢末梢皮膚温がコントロール中の後半のそれを上回る傾向を示した。下肢末梢皮膚温の解析では、SG-Xe照射中は開始1分以降、コントロール中は開始4分以降に下肢末梢皮膚温が基準値を下回る傾向を示した。下肢末梢皮膚温の基準値からの変化量については、SG-Xe照射及びコントロール開始7~9分後を除く全ての測定点で各条件間の変化量に有意差を認め、全体としてSG-Xe照射中の下肢末梢皮膚温がコントロール中のそれを下回る傾向を示した。<BR>【考察】R-R間隔の周波数解析結果は、SG-Xe照射が交感神経活動を抑制することを示唆している。さらに、星状神経節を発する節後ニューロンの分布を考慮すると、コントロール中と比較したSG-Xe照射中の上肢末梢皮膚温の上昇傾向は、SG-Xe照射による上肢末梢血管拡張に伴う上肢循環血液量増加が基盤にあると考えられる。一方、コントロール中と比較したSG-Xe照射中の下肢末梢皮膚温の低下傾向は、SG-Xe照射による上肢循環血液量増加に伴う下肢循環血液量の相対的な減少に基づくのではないかと推察される。
著者
渡辺 浩一 來山 政明 太田 一 松村 敏博 徳永 将人 新 直也 川岡 耕平 松村 さとみ 吉田 弘司 谷川 宮次
出版者
比治山大学
雑誌
比治山大学紀要
巻号頁・発行日
no.24, pp.173-179, 2018

The Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology has urged each universityto promote efforts of cooperative work between academic staff and non-academic staff. The IR(Institutional Research) committee of our university is an organization with the cooperative work,and each member carries out activities and cooperative work making full use of their expertise. At the end of FY2016, we conducted mutual evaluation on IR with a university in the Tohoku region and made evaluations including staff expertise. In addition, as for the activity in FY2017, each staff is carrying out analyses and other activities making full use of the expertise of their department, as well as the previous year, and we are promoting further approach including the policy proposals.
著者
岩田 雅弘 吉田 俊久
出版者
SOCIETY OF COMPUTER CHEMISTRY, JAPAN
雑誌
Journal of Chemical Software (ISSN:09180761)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.35-48, 1994-04-01 (Released:2009-08-13)
参考文献数
11

文書組版処理ソフトTEX上で、化学構造式や実験装置などの図表を簡単に出力するためのマクロコマンドの開発を行った。開発したマクロコマンドは、化合物の構造式、実験器具図、その他 (周期表、ボーアモデルによる電子配置の模式図、防災ラベル) を出力するコマンドである。作成している文書中に、マクロコマンドを記述するだけで構造式などの図を出力できた。
著者
吉田 由美 安齋 ひとみ 糸井 志津乃 林 美奈子 風間 眞理 刀根 洋子 堤 千鶴子 奈良 雅之 鈴木 祐子 川田 智惠子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.277-287, 2018 (Released:2018-06-29)
参考文献数
36

目的 本研究では,医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援と必要としている支援について明らかにすることを目的とする。方法 対象は,がん患者会団体からがんピアサポーター活動中の研究参加候補者の紹介を受け,研究参加への同意が得られたがんピアサポーター10人である。質的記述的研究方法により,インタビューガイドを用いたインタビューを2014年7月から10月に実施した。逐語録よりコードを抽出し,サブカテゴリー化,カテゴリー化した。得られた結果を研究参加者に確認し内容の確実性を高めた。本研究は目白大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。結果 研究参加者は40歳代から70歳代の男性2人,女性8人の計10人であり,医療機関でがん患者や家族の個別相談,電話相談,がんサロン活動を行っているがんピアサポーターであった。医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへ行われている支援として,4つのカテゴリー【がんピアサポーター同士での学び合いと支え合い】【利用者から得る学びと元気】【がんピアサポーターの自己研鑚】【病院と行政からの協力】が生成された。がんピアサポーターが必要としている支援として,7つのカテゴリー【がんピアサポーター同士の学びと支えの環境】【がんピアサポートに関する学習】【確かで最新の情報】【社会のがんに関する理解と協力】【活動や患者会団体に対する経済的支援】【がんピアサポート活動のしくみの改善】【がんピアサポ—ター養成講座の質保証】が生成された。結論 がんピアサポーターへ行われている支援として,がんピアサポーター同士が相互に支援し合い,利用者から学びと元気を獲得し,自己研鑽し,周囲からの協力を得ていた。必要な支援として,がんピアサポーター同士がさらに向上していくための学びの場と支える環境,活動を支える確かで最新の情報を求めていた。また,相談等の場面で対処困難な場合もあり,病院など周囲からの助言や情緒的な支援を必要としていた。社会のがんに関する理解と協力,活動や患者団体に対する経済的支援,病院におけるがんピアサポーター配置の制度化やがんピアサポーター養成講座の質保証など多面的な支援が望まれていた。医療機関を活動の場とするがんピアサポーターへの支援はまだ十分ではなく,上述のような,さらなる支援の必要性が明らかになった。
著者
吉田 聡美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.28_2, 2016

<p> パラリンピック選手への心理サポートは、2002~2003年のニーズ調査を機に2004年からスタートした。夏期、冬季のパラリンピック大会を重ねるごとに心理サポートの重要性が高まり2012ロンドンパラリンピックでは、試合期での心理的コンディション維持と、これまでの継続的なサポートから選手村にて日本選手団255名を対象に487名に心理サポートを実施した。</p><p> 主なサポート内容は、自律神経のバランスを分析する加速度脈波測定器、パルスアナライザープラスビューTAS9VIEW(株式会社YKC社製)を用い、自律神経のバランス・肉体的疲労度を測定し、心理的コンディションを客観的・主観的に確認。その後、選手の訴えに応じて試合に向けての心の準備や振り返り、気持ちの切り替えや次の試合に向けて目標設定、リラクセーション等の心理的スキルを提供した。生理的指標や面談により、主観的な感覚と生理指標が一致し安心に繋がった、試合に伴う精神的ストレスが緩和した等の意見が選手・スタッフから得られた。他の国際試合でも同様に心理的コンディショニングの重要性が認識されている。</p>
著者
吉田 充
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.55-58, 2015
被引用文献数
1

Acrylamide, a probable human carcinogen, is found in a wide range of high-temperature processed and/or cooked foods. Acrylamide is formed mainly from asparagine in Maillard reaction in the presence of reducing sugar such as fructose and glucose. While this compound can be metabolized to glutathione conjugates, it is also oxidized to glycidamide, a genotoxic compound. Glycidamide forms DNA adducts. Acrylamide is also known to have genotoxicity, neurotoxicity, and reproductive and developmental toxicity. The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) evaluated health risk of acrylamide in food. The major contributing foods to total intake of acrylamide were found to be French fries, potato chips, coffee, pastry and sweet biscuits, and bread and rolls/toasts. The committee concluded based on national estimates that an intake of 1μg/kg bw per day of acrylamide could be taken to represent the average for the general population. The Committee selected 0.18mg/kg body weight per day as the most sensitive carcinogenicity estimate from animal study data. The margin of exposure (MOE) for the general population was thus calculated to be ca. 200, which is low for carcinogen and indicates human health concern. The Code of Practice for the Reduction of Acrylamide in Foods was published by Codex Alimentarius Commission in 2009 based on scientific analytical data obtained worldwide. Although acrylamide level in foods is decreasing owing to mitigation measures taken by food industry, the MOE is considered to be still staying less than 1000.
著者
長田 泰公 吉田 拓正
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.599-604, 1997-08-01
参考文献数
19
被引用文献数
2

航空機騒音のアノイヤンスの構造をパス解析によって検討した研究はS. M. Taylor(1984)のもの以外には見当たらない。そこで本報では, 成田空港周辺で行われた住民アンケート調査結果(1989)を用い, 騒音のアノイヤンス(全体的迷惑感)を目的変数とし, 居住地の騒音量(WECPNL)を含む回答者の属性と生活妨害や情緒影響などを説明変数としたモデルを作り, パス解析によってアノイヤンスに対する各説明変数の効果を検討した。アノイヤンスに対する騒音量の効果は最も大きかったが, それは直接効果に加えて会話妨害, 情緒的影響などを介する間接効果が大きいためである。直接効果そのものは会話妨害, 情緒影響よりも小さい。そこで騒音によるアノイヤンスは, 騒音の直接影響に加えて具体的な個々の影響が総合された結果であると結論された。この結果は, S. M. Taylorの航空機騒音, K. Izumiらの道路騒音についての報告と一致した。
著者
吉田 貞夫 軸屋 智昭 平松 祐司 島田 知則 榊原 謙 厚美 直孝 三井 利夫 堀 原一
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.433-436, 1993-09-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
16

高位腹部大動脈閉塞症は陰萎, 間歇性跛行などの慢性虚血症状を呈する場合が多いとされる疾患である. 今回著者らは, 急速に増悪した両下肢および骨盤内臓器の虚血症状を主訴とした高位腹部大動脈閉塞症例を経験したので報告する. 患者は57歳, 女性. 軽度の間歇性跛行を自覚していたが, 突然両下肢および骨盤内臓器の重症虚血症状が出現し, 血管造影で高位腹部大動脈閉塞症と診断された. 腎動脈上遮断, 血栓摘除, 腎動脈下遮断でY型人工血管置換術を行った. 術中 Laser Doppler 血流計測でS状結腸の重篤な虚血を証明しえた. また, 術前から認められていた右腎動脈狭窄の急速な進行を認め, 術後に経皮経管動脈形成術を必要とした. 高位腹部大動脈閉塞症の急性増悪は主側副血行路の閉塞が原因と考えられた. また, 腎動脈病変を伴う場合, たとえそれが軽症でも同時血行再建等の適応があるものと考えられた.