著者
石橋 佳明 吉田 典正
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.109(2008-CG-133), pp.37-42, 2008-10-31

海にいる魚の群れは数十万体以上の個体から成る場合がある.また,ディスプレイの高解像度化からも,スクリーン上に大規模な群iれを表示することが望まれる.しかしながら,群れを形成するのに用いられる Boid アルゴリズムではリアルタイムにシミュレーションできる数は,我点の実装では数千体程度である.本研究では,動作生成処理を高速化し,従来の Boid アルゴリズムよりも効率的にアニメーション可能な階層的 Boid アルゴリズムを提案する.また数万体程の群れの動作生成がリアルタイムで計算可能なことを示す.
著者
鳥居 久展 貴志 真也 吉川 則人 和田 哲宏 吉田 隆紀 小川 成敏 北村 有己子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0325, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】夏季のスポーツ活動における熱中症の問題は以前より指摘されている。なかでも熱痙攣は発生頻度が高く、一般的にも「筋肉がつる」といった表現で知られている。われわれは1998年から和歌山県高校野球連盟からの要請により全国高校野球選手権和歌山大会のメディカルサポートを和歌山県理学療法士協会協力のもと実施してきたが、試合中の熱痙攣の対処には苦難する場面が多いのが現状である。今回、過去のサポート中における熱痙攣の発生状況について調査し、現場での高校球児の熱痙攣の特徴や要因、今後の課題についての知見を得たので報告する。【方法】全国高校野球選手権和歌山大会における熱痙攣の発生率、発生時期、発生部位、ポジション別発生状況、試合復帰状況を過去5年間(2000~2004年)のサポートカルテより調査した。【結果】熱痙攣の発生率は、サポート総処置件数335件中24件と全体の7%であった。しかしその割合は増加傾向にあり2004年では全体の18%と高くなった。発生時期としては21件(88%)が試合後半の6回以降に発生しており、守備中11件、投球中7件、走塁中6件の順に多かった。発生部位は下腿13件(両側4、片側9)、両下肢全体4件、ハムストリングス3件(両側2、片側1)、片側下腿+ハムストリングス2件、全身性2件であった。ポジション別にみると投手8例、捕手1例、内野手8例、外野手7例で全員先発メンバーであった。投手は8例中7例が投球中に軸足側の下腿に発生しておりポジション特性がみられた。処置後、試合復帰可能だった例は16例(うち2例が試合中再発、1例が続行不可能)で、8例が試合復帰不可能となった。処置としては水分補給、アイシング、ストレッチ等の応急処置の他、イニング毎に状況確認を行い必要な処置を実施した。【考察】高校球児にとって夏の地方大会は甲子園に直結する重要な大会であり、その独特の緊張感と暑熱環境下での開催の為、選手の身体的・精神的疲労は大きいと考えられる。2004年度に発生率が高くなったのは大会中の最高気温が平均33°Cを超えるなど(2003年は同29°C)、環境要因が大きいと考える。ポジション別では投手の割合が高く、発生時期が試合後半、部位は下肢に集中しており、運動量、疲労との関係が大きいと考える。復帰状況では3人に1人が復帰不可能となっており、両下肢や全身性の痙攣を起こしていた為、回復に時間を要したことが原因である。試合中は自由飲水させているチームが多いが、自由飲水の場合必要量の60~70%程度しか摂取できていないともいわれ、今後はチームレベルでイニング毎の水分補給やミネラル分の補給を促す必要がある。それには各選手、チームの熱中症に対する知識を高めるとともに大会レベルでの取り組みが必要となるため、今後一層サポート側からの啓発活動を行っていく予定である。
著者
吉田 公平 三浦 秀一
出版者
東洋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

中国近世期の宋代に朱子によって集大成された朱子学(性理学)はその後の思想界に大きな影響を与えた。科挙の基本教学になったことの為に、単に学術思想界ばかりではなく、広く中国の指導者階層の思考様式を方向づけることになった。李氏朝鮮朝では朱子学一尊体制のもとに科挙制度を採用したので中国以上に朱子学が信奉された。日本では科挙制度は実施されなかったものの、性善説を基本とする社会哲学として熱心に読まれた。近世期以降の東アジア漢字文化圏で大きな影響力を持った朱子学を学ぶ際に基本教典として学習されたのが『四書集注』である。朱子が『四書集注』の構想を持つのは四十代の事であるが陸象山との論争を経て『大学章句』『中庸章句』の序文を書き上げてひとまずの完成を見る。しかし、『四書集注』が刊行されて広く普及するのは朱子の没後である。元代にも『四書集注』の末疏が出版されたが、科挙制度が本格的に実施された明代以降にこそ受験用テキストとして数多く出版された。他方、臨床倫理学のテキストとして『四書集注』を読むものの中から朱子学に批判的な解釈を披瀝するものが登場する。その代表者が王陽明である。日本においては江戸時代初期に朱子学が本格的に学ばれるが中国輸入本朝鮮渡り本だけでは読者の需要に応えることができないために、木版印刷の波に乗って『四書集注』が刊行された。特に江戸時代後半には雄藩のみならず地方の小藩が『四書集注』を刊行している。読書する人が武士階層以外に大量に誕生して読者人口が増えたことが出版を促した要因である。中国・台湾・日本における『四書集注』の書誌・研究史をほぼ掌握できたことは大きな収穫であった。何故にこれほどまでに印刷され読まれたのか。文教政策という視点だけではなく、『四書集注』そのものの内容を解析することにより、『四書集注』を促したもものを明らかにした。ロングセラーを可能にした要因は『四書集注』の世界が、性善説を人間観の基本にした自力主義・自力救済論・自己実現論であること、それを基軸にして、人と共に幸福に暮らせる社会を建設することを目指した社会哲学であったことが、読者を魅了したのである。江戸時代は戦乱の時代が終わり明日をいかに生きるかを真剣に問いだした。そのために朱子学が着目されたのである。武官でありながら文官を兼ねた武士階層ばかりではなく、新しい読者層となった庶民階層も応分の社会的責任を担いながら、人間らしく生きることを求めたときに、『四書集注』が熱読されたのである。
著者
吉田 みつ子 遠藤 公久 守田 美奈子 朝倉 隆司 奥原 秀盛 福井 里美 竹中 文良
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.133-140, 2004-02-01

本研究は,がん患者のサポートグループの効果について,疾患部位や満期を混在した男性/疾患混合群(男性群),女性/疾患混合群(女性群),男女混合/疾患混合群(男女群)の3群を比較検討した.プログラムは,ミニレクチャー,グループ,自律訓練法で,週1回14O分の5回連続ヤッションとした.28名を分析対象とし,抑うつ症状(OES-D),前向き姿勢,がんへの心理的適応感(MAO),グループの雰囲気・参加度等を分析したところ,男性群は統計的に有意な変化はなかつたが,女性群,男女群はグループヘの参加によつて絶望感づ減少し,がんへの適応感づ増加した.以上より,心ずしも同一疾患のグループ編成でなくてもグループの効果が認められることが示唆された.
著者
出分 菜々衣 濱嵜 朋子 邵 仁浩 吉田 明弘 粟野 秀慈 安細 敏弘
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.278-283, 2014

本研究では,要介護高齢者を対象として,低栄養を予防する要因を探るため,Sense of Coherence(前向き姿勢:SOC)と簡易栄養状態評価(MNA)との関連,さらに,SOCと身体自立度(ADL),生活習慣および口腔関連因子との関連について調べた.対象は北九州市内および近隣市に居住し,高齢者施設を利用する要介護在宅高齢者66名のうち,認知症・うつなど精神的問題がないと判断された63名(男性20名,女性43名,平均年齢81.1±7.0歳)について,面接聞き取り法によるSOC評価,MNAによる栄養状態の評価,また口腔の健康評価として,口腔内診査,嚥下機能検査を行った.生活習慣については面接聞き取りによる質問紙調査を行った.<br> その結果,SOCスコアは運動習慣,MNA,食欲,現在歯数との間に有意な関連性がみられた.さらに重回帰分析を行ったところ,交絡因子による調整後もSOCスコアとMNAとの間の有意性は保たれた.<br> したがって,高齢者の栄養状態の維持には前向きな姿勢が関与していることが示唆された.
著者
吉田 稔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.168-181, 1998-06-30 (Released:2008-05-30)
参考文献数
82
被引用文献数
3 4

Mercury exists as elemental mercury (liquid mercury or mercury vapor), inorganic mercury salts (mercurous or mercuric), and organic mercury compounds (aryl- or alkylmercury). Due to the different chemical and physiological properties of all forms of mercury the effects of mercury on humans shows quite different clinical pictures. In this paper, mercury vapor and inorganic mercury poisoning are mainly reviewed. Liquid mercury, since it is poorly absorbed from the gastrointestinal tract, is nontoxic. Mercury vapor (Hg0) is absorbed rapidly from the alveolar membrane by inhalation and is accumulated mainly in the brain and kidney. In acute exposure to high concentrations of mercury vapor, the symptoms of respiratory, such as chest pain, cough, hemoptysis, and interstitial pneumonitis occur shortly after inhalation. In chronic exposure to relatively low concentrations of mercury vapor, neurological changes are prominent. The signs and symptoms of mercury vapor poisoning is characterized by gingivitis, intentional tremor and erethism, and in addition, weakness, fatigue, loss of weight, and disturbance of gastrointestinal functions appear unspecifically. Effects of inorganic mercury toxicity manifest in the gastrointestinal tract and kidney after ingestion. Early signs and symptoms appear as pharyngitis, dysphagia, abdominal pain, nausea and vomiting, and bloody diarrhea. Afterward renal failure due to necrosis of the proximal tubular epithelium occurs and develops into anuria and uremia. The occurrences of mercury vapor poisoning due to occupational or accidental exposures and inorganic mercury poisoning due to accidental or suicidal ingestion are reducing today in Japan.
著者
岩佐 一 吉田 祐子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.356-363, 2018-07-15 (Released:2018-07-31)
参考文献数
31

目的 本研究は,日本全国に居住する中高年者を対象とした標本調査を行い,「ビッグファイブ理論」(神経症傾向,外向性,開放性,協調性,勤勉性)に基づく簡易性格検査である「日本語版Ten-Item Personality Inventory」(TIPI-J)の中高年者における粗集計表の作成,標準値の報告,性差・年齢差の検討を行った。方法 日本全国に在住する中高年者(60~84歳)1,200人を無作為抽出して郵送調査を行い,849人から回答を得た(参加割合70.8%)。このうち,TIPI-Jに欠損のない者776人(男性368人,女性408人)を分析の対象とした。TIPI-J(10項目,7件法)のほか,居住形態(独居),教育歴(義務教育),経済状態自己評価,有償労働,健康度自己評価,主観的幸福感(WHO-5-J;5項目,6件法),高次生活機能(老研式活動能力指標;13項目,2件法)生活習慣病(脳卒中,心臓病,糖尿病,がん),総合移動能力,飲酒,喫煙の習慣を測定した。TIPI-Jの,①粗集計表の作成,②標準値(平均値,99%信頼区間,標準偏差)の報告,③性差ならびに年齢差の検討を行った。結果 TIPI-Jにおけるいずれの因子も概ね正規分布に近い形状を示した。神経症傾向では女性の方が男性よりも平均値が大きかった。開放性では男性の方が女性よりも平均値が大きかった。いずれの因子にも年齢差は認められなかった。結論 本研究は,一定程度の代表性が担保されたデータを用いて,TIPI-Jにおける,粗集計表の作成,標準値の報告,性差・年齢差の検討を行った。今後は,健康アウトカムを外的基準としてTIPI-Jの関連要因,予測妥当性の検証を行い,地域疫学調査等での有用性を確認することが課題である。
著者
田崎 陽介 吉田 郁政 秋元 宏仁 末政 直晃
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.190-195, 2018-02-15 (Released:2018-02-20)
参考文献数
18

Maintenance problem for infrastructures such as bridge, road, airport, etc., attracts keen interest in modern Japan. We have to cope with repair and maintenance for infrastructures with limited financial resources. In airport pavements, repair works are restricted by daily flight operation, so that efficient maintenance planning is required. In this paper, we try to model deterioration of an existing airport runway, which is composed of 100 units. PRI (Pavement Rehabilitation Index) for each unit is obtained by 3 to 8 times of inspection during around 28 years. PRI is an index to provide an objective evaluation of pavement surface condition, with criteria determined for judging the need for rehabilitation work on runway, taxiway, and apron pavements. Many researches and practitioners use PRI for airport pavement maintenance in Japan. The spatial distribution of deterioration in airfield pavement is not discussed in many previous studies. This study discusses deterioration curve for each unit and feature of spatial distribution. The distribution of deterioration based on PRI and the probability of exceedance of each PRI criteria in future are estimated by the proposed method.
著者
西尾 宣俊 稲葉 真一 吉田 雄太 佐藤 暁拓 田向 剛 高木 哲郎 飯田 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.18-00042, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
15

In case of analyzing the wind turbine design conditions and power productions accurately, the wind data at hub height is generally ideated for simulation. Recently, due to the increase in the size of the wind turbine, it is difficult to measure wind data of hub height by the cylindrical observation tower. Therefore, lattice tower mast is adopted and there are cases where high altitude measurement is performed instead of cylindrical tower mast. However, even in case of measuring wind data using lattice tower mast, there are some uncertainty of flow distortions by tower shadowing. This paper shows a study on wind speed correction method of lattice tower mast using CFD simulations (Fluent). As a result of performing the wind speed correction using the inflow wind speed ratio by CFD calculation, the uncertainty of corrected wind speed fell by less than 1 % which is recommended by IEC 61400-12-1.
著者
吉田 昭仁 田村 幸雄 久田 嘉章
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.113-118, 2010

構造物の風応答計測を行う際には共振成分だけでなく,静的成分や準静的成分の計測が必要となるが,従来用いられている加速度計や速度計では静的成分,準静的成分の計測が不可能であった。その問題を解決するため,筆者らはRTK-GPSによる構造物の変位応答計測の可能性を検討し,高さ108mの試験タワーにGPSアンテナを取り付け,台風接近時の試験タワーの応答計測を行い,加速度計で得られた加速度記録とGPSにより得られた変位記録について様々な検討を行ってきた。本研究では都市部でのGPSによる計測において問題となる基準点に関して仮想基準点を導入することを提案し,仮想基準点を用いた場合の計測精度について検討を行った。また,都市建物群の変位応答計測を行うために,東京都心部の3棟の超高層建築物にGPSアンテナを取り付け,変位応答記録を一括モニタリングか可能な応答観測網を構築した。
著者
小西 良昌 吉田 精作
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.375-380, 1987

有機リン農薬のマラチオンとフェニトロチオンの1日摂取量について; 30歳代の女性6名の1週間の全食事陰膳法により採取し測定した。マラチオンの検出率は26.2%, 1日摂取量は最大値7.72μg, 平均値0.88μgであった。フェニトロチオンの検出率は21.4%, 1日摂取量は最大値3.89μg, 平均値0.47μgであった。<BR>小学校給食からのマラチオンとフェニトロチオンの摂取量を23日間にわたって測定した。マラチオンの検出率は73.9%, 摂取量は最大値3.58μg, 平均値1.11μgであった。フェニトロチオンの検出率は47.8%, 摂取量は最大値2.92μg, 平均値0.51μgであった。<BR>マラチオンとフェニトロチオンの汚染源は, 小麦粉であり, 陰膳においてマラチオン, フェニトロチオン摂取量の多い日には, お好み焼き, うどん, マカロニグラタン, フライ, 天ぶら等小麦粉を多く喫食していた。小学校給食において, パン食の日からはつねにマラチオン, フェニトロチオンが検出されたのに対し, 米飯食8回のうち6回はどちらも検出されなかった。また, マラチオン, フェニトロチオンの高かった日にはパンの他にも小麦製品を喫食していた。<BR>玄小麦, 小麦粉, 小麦製品について実態調査を行ったところ, 輸入 (アフリカ産) 玄小麦4検体からは, マラチオンとフェニトロチオンの両方が検出された。小麦粉をはじめ, 麺類, ビスケット等の小麦製品にも汚染がおよんでいることがわかった。