著者
堀野 敬 木村 正美 西村 卓祐 松下 弘雄 井上 光弘 鶴田 豊 川田 康誠 廣松 賢治
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.186-191, 2007-02-01
被引用文献数
4

症例は53歳の男性で,右季肋部痛を主訴に近医を受診した.血液検査で肝機能障害を認めたため精査加療目的で当科紹介となった.腹部CTおよびMRIで膵頭部に約3cmの腫瘤と腹腔動脈根部リンパ節の腫大を認めた.腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)は陰性であったが,magnetic resonance cholangiopancreatographyで膵内の総胆管に狭窄を認め膵頭部癌が強く疑われたため幽門輪温存膵十二指腸切除術を施行した.経過は良好で術後第38日に退院となった.切除標本の病理組織学的検査所見では悪性所見はなく,好酸球性肉芽腫であったことから寄生虫症が疑われ,アニサキス特異的抗体を利用した血清免疫学的検査が陽性であったため膵アニサキス症が強く疑われた.消化管外アニサキス症はまれであり剖検例などで偶然発見される場合が多く,特に膵アニサキス症はほとんど報告されていない.自験例に若干の文献的考察を加え報告する.
著者
堀江 康子
出版者
中央公論社
雑誌
中央公論経営問題 (ISSN:03857379)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.p226-233, 1977-09
著者
山肩 洋子 今堀 慎治 森 信介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は,Webにある膨大な数のレシピの集合が本質的にどの程度の多様性を持っているのか,足りないのか十分なのか,何が足りないのかを明らかにすることである.そこで本研究では,(i)自然言語処理技術によりレシピ記述から手順構造を抽出し,(ii)手順と記述の観点からレシピ間の関係を解析するとともに,(iii)全体の知識を使って補完可能な欠損を補完することで,レシピ集合が持つ本質的な多様性を解析する機構を構築する.今年度は以下の2点を行った.(1) 国際化に向けた英語対応:Webレシピの急増は日本だけでなく世界で起こっている現象である.米国最大手のAllrecipesの月間ページビューは推定2,000万件で,クックパッドの実に3倍以上である.さらに料理レシピが世界の情報処理の研究対象として国際的に認知されつつある.そこで,平成28年度,英文係り受け解析器RASPの開発で著名なJohn Carroll氏の協力を得て,英文レシピのフローグラフコーパスを開発した.今年度はこれを我々が開発した手法で実装することで,固有表現認識精度が84.8%,固有表現が正しく認識されているときの依存関係推定精度74.1%を達成した.また,和文と英文のレシピの構造的な相違を統計分析により明らかにした.(2) レシピテキストの記述粒度の自動変換:肉じゃがやハンバーグのような代表的な和食は数千からときに数万のレシピが見つかる.同じ料理名をもつレシピのうち,その主たる調理方法が似通っているとき,それらは似た調理手順を説明した異なる記述であると考える.ここで,片方のレシピがもち,もう片方のレシピが持っていない説明は,その手順の詳細説明であると考えられることから,この関係を用いて詳細記述を生成した.また,双方が持つノードはその手法の主幹であることから,それらを取り出したフローを簡略な表現と位置付けた.
著者
堀 俊明
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.88-97, 1981-09-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

福井県高浜町内浦湾奥にある関西電力高浜原子力発電所からの温排水が, 養殖ワカメの生長と成熟にどのように影響するかについて, 試験・調査を行った。その結果は次のように要約できる。1) 稼動時における同一水深のSt.1およびSt.2とSt.3との平均水温との差は, 水深0.5m層では, St.1とSt.3では3~4℃, St.2とSt.3では1.5~3℃, 2.0, 3.0m層ではSt.1およびSt.2とSt.3とでは1~2℃であった。2) 稼動時における水温の日較差は, St.1, 2で3~4℃, St.3で2~3℃に達する日がみられた。3) 着生密度は, 水深1.0m以浅ではSt.1, 2, 3の順で, 1.0~3.5m層ではSt.2, 1, 3の順で低かった。4) 葉体の生長は, 水深2.0m以浅ではSt.1, 2, 3の順で悪く, それを越えるとSt.1とSt.2とに差がなくSt.3に比べてともに悪かった。5) 葉体の成熟は, 水深2.0m以浅ではSt.1, 2, 3の順で良く, それ以深ではSt.1とSt.2とに差がなくSt.3に比べてともに良かった。6) 佐渡, 五島, および有明海でのワカメ養殖場と今回の温排水試験域との水温の比較から, 調査水域の平均水温は養殖適水温とみなされる。7) 温排水によってワカメの着生密度, 生長, および成熟が受ける影響は, 平均水温の上昇だけではなく, 温度ショックによるものも考えられる。8) 養殖ワカメは, 温排水の生物に与える影響を調べる良い指標生物といえる。終りに, 今回の調査期間中終始御指導いただいた福井県水産試験場主任研究員安田徹博士に深謝の意を表します。また, 調査に協力していただいた同場前技師宮内幾雄氏と同場技師小松久雄氏に感謝します。
著者
坂井 真一郎 佐渡 秀夫 堀 洋一
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.120, no.7, pp.761-768, 2000-06-01
被引用文献数
11 7

Novel algorithm of the dynamic driving/braking force distribution is proposed for electric vehicle (EV) with four in-wheel motors. In such EV, the vehicle lateral motion can be controlled by yaw moment, generated with torque difference between wheels. This method is known as DYC (Direct Yaw moment Control) in normal engine vehicle engineering, however, the torque difference can be generated more directly with in-wheel motors. One problem of DYC is its instability on the slippery road, such as wet or snowy asphalt. To achieve high stability, the loads of wheels are preferable to be equal. The load of each wheel can be evaluated with root sum square of driving/braking force and side force. Therefore, the driving/braking forces, or motor torques, should be distributed depending on the side forces of wheels, to minimize the load imbalance between the wheels. The proposed algorithm can solve this optimization problem approximately with a few calculation cost, thus this method can be applied for real-time calculation within a control period. The approximate solutions with proposed method are evaluated by comparison with numerical solutions that require long calculation time. Difference between these solutions is negligible one, and this indicates the effectiveness of proposed method.
著者
堀 正士 太刀川 弘和
出版者
筑波大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

研究目体に同意が得られ、音声採取を行った統合失調症患者は12名(男性9名、女性3名)であった。採取時年齢平均44.8歳、平均発症年齢23.5歳、平均罹病期間21.3歳であり、全例が慢性期にある患者であった。全例が抗精神病薬を投与中であり、12例中9例が主に非定型抗精神病薬を投与されており、全例でパーキンソニズムやアカシジア、アキネジアなどの錐体外路症状は認められなかった。これらを我々の主観に基づきプレコックス感あり(以下「あり」と略)とプレコックス感なし(以下「なし」と略)の二群にわけて相違点を検討した。二群間で平均発症年齢、平均罹病期間、採取時平均年齢を見たが相違は認められなかった。しかし、「あり」では5例中2例が解体型であったのに対して「なし」では7例中わずか1例が解体型であり、病型に差違が認められた。また二群間でPANSS得点を比較すると、陽性症状尺度、陰性症状尺度、総合精神病理評価尺度いずれにおいても、「あり」が「なし」に比較して高得点である傾向が見られた。さらに二群間で音声解析結果を比較すると、以下のような傾向が見られた。発声指示から実際の発声までの時間(発声潜時)は怒り、喜び、悲しみのいずれの感情を込めて発声する場合も、「あり」が「なし」よりも短時間であった。なかでも、「なし」では悲しみの感情を込めた発声で他の2つの感情よりも潜時が長くなる傾向があるのに対して、「あり」ではいずれの感情を込めた場合もほぼ同じ潜時であった。また、実際の発声時間においては、怒りと悲しみの感情において「あり」の発声時間が「なし」よりも短時間である傾向が認められた。音声の周波数特性に関しては、二群間ではスペクトログラフィの目視上では明らかな違いが認められなかった。以上まとめると、プレコックス感の認められた症例では解体型が多く、音声採取時点で精神症状がより活発な傾向が認められた。また同群では感情をどのように発声に反映させるかという試行錯誤の時間がプレコックス感なしの群に比較して短く、感情移入の障害があると推察された。
著者
堀 智彰 木下 奏 小林 映里奈 村尾 真由子 渡邉 朋子 兼松 泰文 辻 慶太 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.189-196, 2014-05-24 (Released:2014-12-01)
参考文献数
4
被引用文献数
2

「知の探検法」は文献の調べ方を中心とした情報リテラシーの授業である。平成24年度から文献探索に対する理解・目的意識の向上を目的として「文献探索ゲーム」を実施している。文献探索ゲームはゲーム形式で文献探索を行うことで文献探索に目的意識を持たせ、基本手順について学ぶことを目的としている。本稿では平成25年度に実施した文献探索ゲームの評価実験について報告する。評価実験では学生の文献探索に関する知識構造の変化を計るため、コンセプトマップを用いた。分析の結果、文献探索ゲームの前後で学生の知識構造が変化しており、文献探索に対する理解が深まっていることが明らかになった。
著者
藏澄 美仁 土川 忠浩 近藤 恵美 石井 仁 深川 健太 大和 義昭 飛田 国人 安藤 由佳 松原 斎樹 堀越 哲美
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.115-127, 2012-11
参考文献数
55
被引用文献数
1

本研究の目的は、屋外環境における至適温熱環境の範囲を提案することである。実験は、夏季と冬季の屋外温熱環境における人体の生理的・心理的反応を求める実測を被験者38名を用いておこなった。延べ実測数は906であった。ETFeと人体の生理的・心理的反応との関係を明確にした。得られた知見を以下に示す。暑くもなく寒くもない温熱的に中立な温冷感申告をすると考えられる夏季のETFeは31.6℃、冬季のETFeは36.0℃を得た。季節により温冷感申告の評価に違いが示され、夏季の場合と比較して冬季の場合の方がETFeに対する傾きが大きくなり、暑さに対する反応よりも寒さに対する反応が強くなる傾向を明らかにした。快でもなく不快でもない快適感申告をする寒い側の温冷感申告値は44.7、暑い側の温冷感申告値は55.1を得た。この条件を快適温熱環境範囲としてETFeと温冷感申告値との関係から快適なETFeの範囲を求めると、ETFeが31.6〜38.5℃を得た。
著者
堀 和孝
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.30, pp.153-169, 2013

研究ノートはじめに一 『日本経済史』の成立事情と竹越の略歴二 『日本経済史』の内容おわりに
著者
小堀 大智 丸山 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.112, no.70, pp.1-6, 2012-05-22

画像セグメンテーションは画像処理において重要なステップの1つであり,グラフカットはその効果的な手法である.グラフカットを行うために,最大流計算が広く使われているが,リアルタイムで行うには計算量が非常に多い.そのため,リアルタイムでグラフカットを行うためには,ハードウェアによる最大流計算の高速化が必要である.本報告では,FPGAでの画像セグメンテーションのための最大流計算の実装手法を提案する.本システムでは,FPGA上で高性能を達成するためにpush-relabel法とgap relabelingを用いた.ベンチマークにおいて,20〜30fpsの性能を達成した.