著者
今林 修 堀 正広 田畑 智司 高口 圭轉 島 美由紀 舩田 佐央子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、チャールズ・ディケンズの言語と文体の本質的な特徴を解明ための共同研究プロジェクトで、18世紀から19世紀にいたる主要な小説家の全作品を網羅する大規模な電子コーパスを構築し、それとディケンズの全作品、手紙、演説からなる電子コーパスから最新のコンピュータ技術を駆使したデータ分析とフィロロジーに立脚した伝統的で精緻なテクストの読みとを融合させた研究である。
著者
堀内 正昭
出版者
昭和女子大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、2004年に発見された仮議事堂(初代国会議事堂:竣工1890年)の図面をきっかけに、関連文献の収集と分析を通じて仮議事堂を建築史的に復元考察しようとするものであり、研究期間中に日本建築学会を中心に計6件の論文を発表した。まず、今回発見された図面は仮議事堂の実施原図であること、工事中に設計変更がなされて竣工したことを明らかにした。また、当初の煉瓦造から木造に変更かつ縮小されたが、原案を設計したパウル・ケーラーのプランニングが継承されていたことを明らかにした。次に、わずかに遺された写真や明治期の錦絵をはじめとする絵画資料ならびに類例建築から、仮議事堂の小屋組は、当時わが国で「ドイツ小屋」と呼ばれていた技法を用いて、それをタイ・バーで補強した混合構造で造られていたと考えられること、その構法は、同時代のドイツに建てられた祝典会場のそれに酷似していたこと、それは第1回帝国議会開催に間に合わせるという工期の問題があったからに他ならず、双方とも仮設建築であったことに起因することを明らかにした。さらに、仮議事堂の屋根葺き材についてはこれまでスレート葺きと推察されてきたが、本研究では、当時のドイツでこの種の仮設建築にアスファルト・ルーフィングを用いた例が複数あり、わが国では時期的にルーフィング仕様が可能であったことから、工事の最終段階で変更がなされた可能性の高いことを考察した。こうした研究成果を通じて、期間中にとくに貴族院議場とその周辺の50分の1の模型を製作した。唯一遺された仮議事堂の外観写真を参考に、この模型を使ってとくに複雑な起伏を見せる議場周りの屋根伏せを復元的に考察するとともに、建物全体の屋根形状を明らかにした。
著者
堀越 桃子 高本 偉碩
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2型糖尿病の主要な原因遺伝子の1つとして同定されているTCF7L2遺伝子のin vivoにおける糖代謝との関連に注目した検討をTcf7l2の機能を膵β細胞で低下させたモデル動物とヒトにおいて解析した。TCF7L2の機能低下型マウスでは野生型に比べて,糖負荷試験におけるインスリン分泌の低下と高血糖を示された。またヒトにおいては糖尿病リスクアリルをホモに持つヒトで、90分血糖値が有意に上昇、120分インスリン値が有意に低下しており、膵β細胞におけるTCF7L2の機能低下はインスリン分泌低下による耐糖能異常を惹起したことが示された。
著者
青木 輝夫 本山 秀明 竹内 望 的場 澄人 堀 雅裕 八久保 晶弘 山口 悟 田中 泰宙 岩田 幸良 杉浦 幸之助 兒玉 裕二 藤田 耕史 朽木 勝幸 庭野 匡思 保坂 征宏 橋本 明弘 谷川 朋範 田中 泰宙 植竹 淳 永塚 尚子 杉山 慎 本吉 弘岐 下田 星児 本谷 研
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

グリーンランド氷床上での現地観測から、涵養域ではアルベド低下に対するブラックカーボン(BC)等積雪不純物の寄与は小さく、積雪粒径増加効果の方が大きいことが分かった。また2012年7月の顕著な表面融解には下層雲からの長波放射が効いていた。消耗域では表面の不純物中に微生物が大量に含まれ、アルベド低下へ大きく寄与していた。衛星観測から2000年以降の氷床表面アルベドの低下原因を解析した結果、涵養域では積雪粒径の経年増加が主要因で、消耗域では裸氷域と微生物を含む暗色域の拡大が原因であった。内陸域で深さ223mの氷床コアを掘削し、その解析からBC濃度は1920-30年に現在の数倍程度高いことが分かった。
著者
長堀 哲 荒川 豊 田頭 茂明 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MBL, [モバイルコンピューティングとユビキタス通信研究会研究報告] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-8, 2011-05-26

携帯電話の普及に伴い,その利用マナーに関して敏感な社会になっている.例えば,電車に乗車中では携帯電話の電源を切ることが推奨されている.また,映画館や会議中はマナーモードにしておくべきである.一方で,家や歩行中,鞄の中に携帯電話がある場合は音を鳴らすモードにして携帯電話からの通知を聞き逃すことを防ぎたい.そこで,こうした端末の設定を自動的かつ適切に切り換える手法が求められている.本研究では,周囲の端末で協調を行うことにより,自動的なモード切り換え手法を提案する.提案システムでは,端末の位置情報から周囲の端末を認知してそれらの端末間でモード情報を共有し,マナーモードの割合から自身のモードを判定する.本論文では,この提案手法のシステム設計を行い,協調によるモード切り換えの簡単なプロトタイプを作成し,評価実験と考察を行った.
著者
堀切 善次郎
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1930-03
著者
奈良 真美 押本 浩一 堀内 克彦 豊田 満夫 片貝 堅志 増田 淳 松本 純一 荒井 泰道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.114-115, 2005-11-25 (Released:2013-11-21)
参考文献数
2
被引用文献数
3

症例は58歳,女性。発熱にて近医受診し,A型インフルエンザと診断。リン酸オセルタミビルを処方され,内服後に腹痛,下痢,血便となり当院受診。緊急大腸内視鏡検査で左側結腸に縦走潰瘍を認め入院。内視鏡所見,病理所見,便培養陰性などから,下痢が誘起となった虚血性腸炎と考えられた。リン酸オセルタミビルが原因の出血例は稀であり,使用頻度の高い薬剤でもあることから注意が必要であると思われた。
著者
亘理 靖展 堀尾 一生 入江 英嗣 五島 正裕 坂井 修一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.79, pp.7-12, 2007-08-01

本研究室で提案しているツインテール・アーキテクチャでは,発行幅を増やさずにスーパスカラ・プロセッサに演算器を追加することで実質的に発行幅が増えたような効果が得られる.ツインテール・アーキテクチャでは並列にメモリ・アクセス可能なロード命令が増えることで大きな性能向上が得られる.しかし,プロセッサ内のロード命令の数を増やすためにはロードストア・キューのサイズを大きくする必要があり,配線遅延の増大を招く可能性がある.本論文では,ロードストア・キューからアクセス・オーダ・バイオレーションの検出機構を分離し,アクセス・オーダ・バイオレーションの検出をするバッファを別途設けることで,ツインテール・アーキテクチャにおいて,配線遅延の増大を招くことなく,同時にメモリ・アクセスできるロード命令を増加させるモデルを提案する.シミュレーションによる提案モデルの評価では,ツインテール・アーキテクチャにおいてアクセス・オーダ・バイオレーション検出時の再実行方法を理想的にしたモデルとほぼ同等のIPCの向上が得られた.We propose Twintail Architecture, an architecture which gives effect similar to widening issue width but does not lead to greater latency. Twintail Architecture contributes to superscalar processor's throughput by enabling paralell memory access. However, it seems to provoke wiring delay with enlarging the size of load/store queue for the purpose of increasing in-flight load instructions. In this paper, we propose an reasonable model which increases the number of in-flight load instructions, by decoupling the function of access order violation detection from the load/store queue and enlarging a buffer which detects access order violation. Evaluation showed proposed model improves IPC as well as ideal re-execution model.
著者
高橋 敏行 冨永 悌二 横堀 寿光 吉本 高志
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-6, 2001
被引用文献数
1 2

Cervical interbody fusion cages (CIFC) are currently used for anterior cervical fusion. There are few reports documenting their biomechanical property in the cervical spine. The purpose of the present study is to investigate biomechanical stability of the caprine cervical spine implanted with a CIFC device. Thirty-two spinal units (C3-4 and C5-6) were harvested from 16 fresh-frozen caprine cervical spines. Each spinal unit underwent discectomy and transection of the posterior longitudinal ligament, and then was implanted with single CIFCs, double CIFCs, autograft, or autograft and anterior cervical plate. An iliac crest tricortical bone was used as an autograft. The degrees of displacement of the cervical spine specimens by multidirectional moments in flexion, extension, lateral bending and axial rotation were evaluated using a video-recording. The stiffness against the multidirectional loads was calculated from load-displacement curves. There were no statistical differences in stiffness between the single-cage and autograft groups in flexion, extension and axial rotation. The autograft group showed significantly increased stiffness compared with that of the single-cage group in lateral bending. The stiffness values were far larger in both the double-cage and autogtraft with plating groups than in the other groups in all directions. There were no statistical differences in stiffness between the double-cage and autogtraft with plating groups in flexion, lateral bending and axial rotation. The double-cage group showed significantly decreased stiffness compared with that of the autograft with plating group only in extension. The stiffness values of the single- or double-cage groups would represent the characteristic biomechanical properties derived from the structure and shape of the implants.
著者
堀井 清之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.1-5, 2003-11-07

A new methodology with liner space analysis for human performances of ingenuity and skill including sports, drawings and literary works has been developed to clarify the implicit knowledge. The implicit knowledge has contained ideas, feelings, thought processes and patterns style and so on without being clearly formulated and defined in the mind. For analysis of novels by Natsume Soseki, spiral styles were visualized. This spiral style was supported as common sense that Natsume wrote novels theoretically and logically by many researches. Miyazawa's novels were observed the wave styles, which mean his novels involve rich sensitivities. The other implicit knowledge has been also disclosed; the sports performance with high skill has been revealed.
著者
堀 照男
出版者
新建築社
雑誌
新建築 (ISSN:13425447)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.p179-188, 1975-06
著者
小野 慶一 堀川 敏樹 小林 政尚 佐々木 整 竹谷 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.96, pp.77-84, 1996-06-15
被引用文献数
1

デルファイ(Delphi)法はアンケートの回答や意見を調整、収斂する方法の1つである。このデルファイ法は、回答者に前回の回答結果をふまえ再検討した回答を行わせるものであるが、回答者へのフィードバックは断続的に行われる。この断続性を解決しようとしたものに、リアルタイムデルファイ法があり、グループアナライザとして実現されている。しかし、このグループアナライザは回答者が同一の時間に同一の場所にいなければならないなど、限られた範囲でしか利用できない。そこで、本稿では、まずリアルタイムデルファイ法の問題点とその解決法について考察し、システムに必要な機能の検討を行う。さらに、具体例によってインターネットを用いたリアルタイムデルファイ法の実現方法について述べる。
著者
橋本 高志良 堀場 匠一朗 江藤 正通 津邑 公暁 松尾 啓志
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.58-71, 2013-10-30

マルチコア環境では,一般的にロックを用いて共有変数へのアクセスを調停する.しかし,ロックには並列性の低下やデッドロックの発生などの問題があるため,これに代わる並行性制御機構としてトランザクショナル・メモリが提案されている.この機構においては,アクセス競合が発生しない限りトランザクションが投機的に実行されるため,一般にロックよりも並列性が向上する.しかし,Read-after-Readアクセスが発生した際に投機実行を継続した場合,その後に発生するストールが完全に無駄となる場合がある.本稿では,このような問題を引き起こすRead-after-Readアクセスを検出し,それに関与するトランザクションをあえて逐次実行することで,全体性能を向上させる手法を提案する.シミュレーションによる評価の結果,提案手法により16スレッド並列実行時において最大53.6%,平均15.6%の高速化が得られることを確認した.
著者
原 敦子 深堀 範 中田 裕子 福島 千鶴 松瀬 厚人 河野 茂
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.574-577, 2006
被引用文献数
2

症例は21歳,男性.夕食摂取後に突然のくしゃみ,咳嗽,鼻閉を伴った呼吸困難が出現し,救急外来を受診したところ,低酸素血症,高炭酸ガス血症を認め,全肺野で笛声音を聴取し,顔面・前胸部・四肢に膨疹を認めた.夕食は市販の粉を使用して作ったお好み焼きであり,この粉は数カ月前に一度開封した後,室温で保存されていたものであった.皮膚プリックテストでは原因となったお好み焼き粉とハウスダストに対しては陽性であったが,開封直後の粉に対しては陰性であった.そのほか免疫学的精査の結果から,お好み焼き粉に混入したダニが原因のアナフィラキシー症例であったと考えられた.
著者
末満 達憲 奥藤 達哉 宮崎 彰吾 堀江 正知
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.27-34, 2007-01-20
参考文献数
22
被引用文献数
1

近年,本邦においては,精神障害または脳血管疾患や虚血性心疾患(以下,「脳・心疾患」)との因果関係があると解釈する範囲が拡大してきた.しかし,本邦以外においても,同様の解釈であるとはいえず,海外で事業を行う企業は,その活動する国・地域における法令,判例を把握することが望まれる.そこで,その端緒として,米国の政府機関,大学等のホームページに掲載された公式文書を対象として,過重労働による健康障害に関係する法令等を調査した.得られた知見の概要は以下のようである.1,米国においては州の権限が強く,雇用分野の連邦法が直接適用されていたのは,連邦政府や州際交易の事業等における雇用の領域関係に限られていた.しかし,業務に関連した傷病の記録及び報告は,全州においてほとんどの雇用主に義務づけられており,それに基づく全国的統計が整備されていた.2,業務に関連した死傷病報告の対象となる疾患の基準は,CFR (Code of Federal Regulations,2001年改正)で明規されていた.その改正過程において,精神障害の取扱いについては各界からの意見が錯綜し,最終的に現行の「医師等による当該疾患が業務関連性を有するとの意見書を,被雇用者が任意に雇用者に提出した場合」にのみ対象とすることとなった.3,脳・心臓疾患についての特段の基準はなく,CFRの当該個所に「既存の疾病を有意に悪化させた場合」も業務関連があると認定する旨が規定されているのみであった.4,民間事業所に係る業務関連休業傷病統計(2004)によると,精神障害は約3,000例(常勤労働者10,000人当たり0.3例)にのぼるが,脳・心臓疾患は合計で500例以下であった.米国においては,かなりの数の業務関連性を有する精神疾患が報告され,州政府等により職場におけるメンタルヘルスプログラムの必要性の啓発がなされていた.米国で事業を行う日本企業がメンタルヘルス対策をとる際は,これらの問題に係る人々の考え方や,法制を十分に理解した上で,プライバシーの侵害や,障害者の差別と指弾されることがないよう,特に留意をはかる必要があると考えた.業務関連性を有する脳・心疾患の報告は数少なかった.しかし,最近,この問題に係る文献レビューの刊行,会議の開催等がみられ,近い将来には課題となる可能性も考えられた.
著者
塚本 榮一 小坂 和子 赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.455-462, 2006

本研究は,学習者の描いたコンピュータのイメージ図を教授者の授業目標に基づいて分類し,成績別にイメージの変化を調べることによって,担当する大学の情報教育の授業を評価・改善する情報を得ようとしたものである.イメージ図は学年の初期と中期に収集され,収集された図は授業目標を基準に4つのカテゴリに分類され,機械群・人間群・関係群・分類不可群と命名された.学習者を学年末試験の成績によって上位・中位・下位の3群に分け,成績別に各カテゴリのイメージ図の数を初期と中期について調査したところ,成績上位群と中位群の学習者によって描かれたイメージ図は変化が少ないが,成績下位群によって描かれたイメージ図は統計的に有意に変化し,機械群のカテゴリが減少し分類不可群が増加していることが明らかになった.本研究の結果,成績下位群のイメージが授業目標から離れていることが示唆され,成績下位群に対する授業改善の必要性が示された.