著者
武田 香陽子 石突 諭 大野 裕昭 島森 美光
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.161-170, 2015-04-25 (Released:2017-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的 : 卒業基準を満たさなかった学生の学習状況の実態を把握し学習支援の在り方を検討する.方法 : 学習状況のアンケート調査を行い, その内容を成績別で比較した. さらに支援期間中の成績変化を解析した.結果 : 成績下位者は授業が理解できないため自習を希望していた. また, 卒業延期決定後から次年度授業開始までの顕著な成績低下が認められた.考察 : 授業が理解できず自習を希望する成績下位者に対しては授業前後の個別指導が必要と考えられた. また, 短期間で成績低下しないような分野 (領域) 横断型の勉強法の指導が有効と考えられた.
著者
高橋 雄介 山形 伸二 木島 伸彦 繁桝 算男 大野 裕 安藤 寿康
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.276-289, 2007-03-31
被引用文献数
60

本研究は,Grayの強化感受性理論(Reinforcement Sensitivity Theory)に基づいた2つの気質次元,行動抑制系(Behavioral Inhibition System)と行動賦活系(Behavioral Activation System)について,日本語版尺度の信頼性・妥当性の検討(研究1),生物学的基盤との対応関係の検討(研究2)を行った。研究1では,大学生446名を対象に質問紙調査を行い,Carver & White(1994)が作成した尺度の日本語版の信頼性を確認した。また,因子的妥当性,構成概念妥当性の検討を行い,十分な結果を得た。研究2では,慶應義塾双生児プロジェクトによって集められた双生児を対象に質問紙調査を実施し,293組から有効な回答を得た。行動遺伝学的解析の結果,BISとBASは遺伝要因によって部分的に説明され,お互いに独立な遺伝因子から寄与を受けていることが分かった。
著者
大野 裕史 内山 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.506, pp.53-56, 2007-01-19
被引用文献数
1

鳥類の向網膜神経核(ION)の向網膜ニューロン(IOニューロン)は,軸索突起を対側網膜に投射しており,網膜出力の注意による調節に関係していると示唆されている.我々は可動式金属電極をION埋め込み頭部無拘束ウズラのIOニューロンの活動を記録した.同時に高速度カメラ(100fps)と加速度センサを用いて頭部運動を記録し,頭部の運動や開眼開眼によるIOニューロンの活動の変化を観測した.その結果,IOニューロンの発火には光刺激に誘発される受動的な活動と特定の方向への頭部運動に先行する能動的な活動が存在することがわかった。受動的な活動によって受容野をマップすることができる.能動的な活動は,その受容野のある方向へ嘴を向けるような頭部サッカードの0-200ms前に起こる.これらの結果に基づき,IOニューロンの機能的意義について考察する.
著者
大野 裕
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-28, 2016-01-15 (Released:2018-11-15)
参考文献数
6

認知行動療法の方略(スキル)は日常的に使われているストレス対処法をわかりやすくまとめたものであり,うつ病などの精神疾患の治療としてだけではなく,一般身体疾患での精神的苦痛や,さらには日常生活でのストレスへの対処法として広く用いることが可能である。そこで本稿では,認知行動療法で重視される概念化(定式化),つまり「みたて」に基づくアジェンダ設定と治療技法の選択,および治療関係を軸に,認知行動療法を総合病院精神科の診療で活用する可能性について検討した。
著者
安藤 寿康 岡田 光弘 長谷川 寿一 大野 裕 平石 界 岡田 光弘 長谷川 寿一 大野 裕 平石 界
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

800組の青年・成人期の双生児を対象とした行動遺伝学的研究から、認知能力、パーソナリティなどの遺伝・環境構造の解明を行った。一般知能の遺伝的実在性、社会的適応に及ぼす内的環境適応の過程、パーソナリティの普遍的遺伝構造モデルの提案、自尊心感情の縦断的変化などが成果としてなされた。また双生児データのデータベース化、webによる双生児調査フレームワークの確立もなされた。
著者
安藤 寿康 内田 亮子 長谷川 寿一 大野 裕 神庭 重信
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

研究実施・運営上の主な実績は以下の通りである。(1)双生児レジストリの拡大:神奈川県、千葉県を中心に住民基本台帳から地域の双生児の悉皆的住所調査を行って住所リスト(レジストリ)を拡大し9000組のデータを得た。これにより、東京都その隣接県の主要地域をカバーする規模の大きな双生児研究を実施する基盤が整備されたと言える。(2)双生児サンプルの拡大と維持:上記のレジストリに基づいて調査への参加を呼びかけ、新たに約500組の青年期双生児の新サンプルを得、双生児被験者の数は800組を超した。またこれまでに協力してくれた双生児の親からも、養育態度、社会的態度に関する双生児の親からもデータを収集した。これにより、養育態度や社会的態度の家族内伝達に関する遺伝と環境の構造に関する研究が可能となった。(3)データの追加と収集:旧サンプルから新たに事象関連電位{作動記憶、情報処理測度、個別式知能検査(WAIS)のデータを、また新サンプルからは質問紙による卵性診断、と各種パーソナリティや摂食行動などに関するデータを入手した。これにより、より信頼性の高い遺伝率や遺伝と環境の構造のモデル探索が可能となった。これらの分析には構造方程式モデリングによるモデル適合を行った。(4)脳波解析プログラムの開発、脳波測定環境の改善:現在の測定状況に適合した特別の脳波解析プログラムを開発するとともに、正確な脳波測定のためにシールドルームを設置した。これは予定外の都合により脳波測定を行う実験室の場所の移動を余儀なくされたためであったが、結果的に実験条件の改善に寄与することとなった。
著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 久保 義郎 佐田 久真貴 松永 美希
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.159-173, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
6

本研究では、「気になる子」を担任する幼稚園教諭(コンサルティ)に対する集団コンサルテーションプログラムを作成・実施し、その効果を検討した。6名のコンサルティに対して全6回(フォーローアップ1回を含む)のプログラムを実施し、行動の見方や対応方法を応用行動分析学に基づき教授した。また、グループワークにおいては、コンサルティが行った「気になる子」の観察記録をもとに対応方法を検討した。その対応をコンサルティが実践した結果、対象児の行動に改善がみられた。さらに、コンサルティが子どもに対応する際に感じるストレスが軽減し、保育者としての効力感が向上した。満足度アンケートによる評価も高く、このコンサルテーションの内容は、幼稚園において実施可能であり、その対応方法は「気になる子」の支援に有効であることが示唆された。
著者
河上 雄紀 沼田 恵太郎 大野 裕史
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.38-45, 2021-11-30 (Released:2022-01-14)
参考文献数
17

本研究では,他者の視線検出に関する注意バイアスについて,社交不安の観点から検証を行った。社交不安の高い者は,他者の視線方向への注意バイアスを示すと仮定した。社交不安:高群(n = 30)および社交不安:低群(n=29)に対し,多数の妨害刺激の中から直視またはよそ見の視線刺激を検出することを求めた(stare-in-the-crowdパラダイム)。その結果,直視視線の検出速度が両群で類似していることが示された。ただし,社交不安:高群は,よそ見視線の速やかな検出を示した。これらの知見は,社交不安が,よそ見よりも直視を優先的に検出するという注意バイアスを弱めることを示唆している。最後に,社交不安の機能と今後の研究の方向性について議論した。
著者
大野 裕
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.359-365, 2018 (Released:2018-05-01)
参考文献数
4

うつ病などの精神疾患が単一の要因による疾患ではなく、複数の要因が関与した症状群だからである。したがって、治療に役立つ診断になるためには、単に症状だけに目を向けるだけではなく、発症に関与した可能性のある社会的、心理的、生物学的な要因を考慮し、一人の人として総合的に判断する“みたて”が極めて重要になってくる。そこで本稿では、世界的に用いられているアメリカ精神医学会の「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)」をもとに、うつ病の診断と治療の新しい考え方を紹介し、さらに職域における予防の可能性についても論じることにしたい。
著者
岡田 光弘 安藤 寿康 大野 裕
出版者
慶應義塾大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1)昨年度に引き続き線形論理や種々の新しい論理学理論の立場から、伝統的な認知科学的理論推論モデルや理論哲学的論理推論モデルの批判的分析や改訂を行った。特に、メンタルモデル理論とメンタルロジック理論に関する認知心理学の古典的論争やシンタクスとセマンティクスに関する論理哲学、情報科学等における二元論を現代論理学的観点から見直した。2)これまでは比較的少数の被験者調査を行うのが常であったが、統計的手法による実証的なデータ解析による大規模調査の方法論の研究を行った。「Baroco論理推論課題集」と呼ばれる演繹推論標準課題集を本申請グループが開発してきたが、これをさらに改良した。この課題集を用いて通常のIQ課題の関連性や、図形的表現による論理推論と言語的理論推論の(パフォーマンス)比較、抽象的推論と内容的推論の比較、信念相反的推論や領域依存的推論、論証構成と反例検索などに関わるデータの分析を行った。白血球中のRNAの転写量の差を調べるという方法論を導入することによって認知能力の関連遺伝子の所在とその効果量について調査する方法論を開発した。
著者
大野 裕幸 遠藤 涼 中埜 貴元 篠田 昌子
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

筆者らは、日本における測量としての地図作成に導入可能な高精度な地物抽出を実現するべく研究に取り組んでいる。セマンティックセグメンテーションによる地物抽出の評価用データセットとしていくつかのデータセットが知られているが、それらは日本国外を対象としたものであるほか、数都市程度のデータセットであり地域多様性が高くはない。そのため、日本での測量としての地図作成における地物抽出性能評価用のデータセットとしてそれらを用いるのは適切でないと考えている。そこで、日本における地図作成で実際に使われている空中写真を対象として、高い地域多様性を持った地物抽出性能評価用データセットを構築することを目的として、1967年以降に日本で空中写真撮影が実施された1328地区から均等に評価範囲を抽出して評価用データセットを構築した。さらに、pix2pix及びU-Netを使用し、道路と建物について我々が構築した評価用データセットと既存の評価用データセットによる評価結果とを比較して考察することで、我々が構築した評価用データセットで十分に信頼できる地物抽出の性能評価を実施することができるとの結論を得た。