著者
小島 大輔
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.604-617, 2009-11-01 (Released:2011-08-25)
参考文献数
33
被引用文献数
3 3

本稿では,日本人のカナダ旅行の発展に伴う日本人向け現地旅行業者の活動の展開に着目し,旅行目的地とその供給体系との関係について分析を行った.1970年代まで,日本人のカナダ旅行の供給体系はアメリカ旅行の供給体系のサブシステムだった.カナダでは主に現地の日系人が設立した旅行業者が媒介部門の役割を担い,日本人の旅行目的地においてカナダ西部と東部は,それぞれアメリカ西部と東部のそれに統合されていた.1980年代になると,東西両地域を含んだ旅行商品の大量供給や夏季以外の旅行商品の開発が行われた.また,日本人カナダ旅行者の急増に伴い,柔軟な催行体制を用いた日本系旅行業者の進出によって,アメリカ旅行の供給体系から独立したカナダ旅行の供給体系が構築された.1990年代後半の日本人カナダ旅行者数のピーク以降,日本から進出した日本系旅行業者は,季節変動に対し労働力の数量的・機能的柔軟さを高め,その存続を図っている.
著者
吉田 翔太 桐本 光 松本 卓也 小島 翔 鈴木 誠 大西 秀明 田巻 弘之
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.202-208, 2013-08-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

主動作筋の活動に先行して姿勢調節筋群が放電開始する現象は, 先行随伴性姿勢調節 (APAs) と呼ばれ, 補足運動野 (SMA) がその生成に関与すると考えられている。本研究では, SMAに対する経頭蓋直流電流陰極刺激 (陰極tDCS) が, APAsの機能に影響を及ぼすか否かを検討した。健常被験者11名が, 自己ペースで右上肢を急速拳上する課題を重心動揺計上で行い, この時の右三角筋と右大腿二頭筋の活動を表面筋電図で記録した。左側M1 (Cz上) とSMAに陰極tDCS (2 mAで15分間) 及び疑似刺激を行い, 刺激前後における両筋の放電開始時間差 (ΔEMG onset) の変化を比較した。陰極tDCS後におけるΔEMG onsetの有意な短縮はSMA刺激時にのみ認められた。APAsの生成にはSMAが重要な役割を果たし, また陰極tDCSはSMAの予測的姿勢調節機能を抑制し得ることが示唆された。
著者
小島 唯 阿部 彩音 安部 景奈 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-93, 2013-04-01
参考文献数
13
被引用文献数
4

【目的】学校給食の食べ残しと児童の栄養摂取状況との関連を検討すること。<br>【方法】2009年5~6月,東京都公立小学校に通う5・6年生の児童112名を対象に,給食の食べ残しに関する自記式質問紙調査と残菜調査を実施した。残菜調査は,対象者一人につき2回ずつ行い,延べ人数のデータを用いた。残菜調査の結果から,食べ残しの有無により,残菜率0%の児童を完食群,それ以外の児童を残菜群とした。この2群の栄養摂取量の中央値の差について,一般化推定方程式(generalized estimating equation: GEE)を用いて検討した。解析対象の栄養素等は,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,ミネラル5種,ビタミン4種,食物繊維とした。<br>【結果】延べ人数で,218名分の残菜データを得た。そのうち,男子104名(47.7%),女子114名(52.3%)であった。全体で,残菜群が80名(36.7%),完食群が138名(63.3%)であった。残菜率は0.2%~84.3%の間に分布していた。残菜群と完食群のエネルギーの中央値(25,75パーセンタイル値)は,各々 562(435,658)kcal,715(699,715)kcalであった(<i>p</i><0.001)。また,ビタミンCの中央値(25,75パーセンタイル値)は,残菜群で 26(16,35)mg,完食群で 41(41,47)mgであった。同様に,その他すべての栄養素等で差がみられた(すべて<i>p</i><0.001)。<br>【結論】残菜群のビタミンCを除く栄養摂取量は,完食群に比べて2~3割少なかった。残菜群のビタミンC摂取量は,完食群に対して4割程度少なかった。
著者
小島 裕
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.441b-441b, 1995
被引用文献数
1
著者
小島 ゆみこ アンナ 小林 修一 トマス ジャビエル アコスタ アヤラ 工藤 眞樹子 宮本 明夫 高木 光博 宮澤 清志 佐藤 邦忠
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.119-122, 2002-02-25
被引用文献数
1

Microdialysisシステム(MDS)は, 異なる細胞間の内分泌学的解析を分子レベルで行う方法である.今回, 馬の排卵前卵胞液中プロジェステロン(P_4), エストラジオール17β(E_2), アンドロステンジオン(A_4)とプロスラグランジンF_<2α>(PGF_<2α>)濃度を調べた.卵巣から卵胞を取り出し, ホルモン測定のため卵胞液を採取した.卵胞の大きさを大(30mm<), 中(29〜16mm)および小(15mm>)に区分けして, 各々の卵胞液中のホルモン濃度をEIA法により測定した.卵胞の大きさの違いで, P_4とPGF_<2α>濃度に有意差はなく, (A_4)濃度は大と中の卵胞間で差異を認めた.E_2濃度は, 中卵胞より大卵胞が高値であった.卵胞膜の小片にMDS操作を行い, LHを感作した時にP_4,A_4とPGF_<2α>分泌は増加した.PGF_<2α>を感作した時, P_4とA_4分泌の増加は認められたが, E_2の変動は小さかった.今回の結果から, 排卵前卵胞はLH感作により卵胞膜での黄体化とステロイドホルモン分泌を促進した.さらに, 発情周期のホルモン動態は, 他の動物種と大きく異なることが明らかとなったが, 主席卵胞が選択される機序は十分説明できなかった.
著者
二宮 祐 小島 佐恵子 児島 功和 小山 治 濱嶋 幸司
出版者
徳島大学
雑誌
大学教育研究ジャーナル (ISSN:18811256)
巻号頁・発行日
no.14, pp.1-20, 2017-03

高等教育改革において新しい役割を担う「専門職」の必要が生じている。本論ではそのうち,ファカルティ・ディベロッパー(FDer),キャリア支援担当者,インスティテューショナル・リサーチ(IR)担当者,リサーチ・アドミニストレーション(URA)担当者,産官学連携コーディネート担当者を取り上げる。これらの「専門職」は養成の制度化がいまだに不十分であって,他の隣接分野からの移動という事例も見られる。また,雇用のための予算が改革を推進するための時限付きの補助金であることが多いため,雇用期限が定められていたり,職位・給与が低位であったりするという特徴がある。The current higher education reforms in Japan have created a demand for new types of specialists who have had important roles in most universities since around 2000. This article focuses on Faculty Developers, Career Consultants, Institutional Researchers, University Research Administrators and Technology Licensing Managers among such new types of university-related jobs. Due to the lack of formal education systems to become one of these professionals, most of the candidates do not have enough knowledge and skills, and tend to come from related academic or business areas. When they are hired by universities, funds for their employment often come from government money budgeted for a time-limited and specific educational reform project. As a result, they tend to be hired for only a limited period of time, and/or their position and wage levels are usually lower than more traditional professions in universities.
著者
小島 庸和
出版者
高千穂大学高千穂学会
雑誌
高千穂論叢 (ISSN:03887340)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1-24, 2013-02