著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.47-54, 2006-07-28
参考文献数
5
被引用文献数
2

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつであるが、垂直上下運動を基本とする剣舞の中にあって、水平方向の動きであるザイは、基本に相反する動きであると思われる。なぜなら、ザイをすれば、基本である垂直上下運動の軸がぶれ、基本を逸脱してしまうおそれがあるからである。ゆえに、「初心者は基本に徹しザイはするな」と指導される。また、保存会の踊り手以外は、たとえ経験年数が長い踊り手であったとしても、ザイができていない踊り手は多い。要約すれば、ザイは熟練者にのみ許された舞踊動作ということができる。それでは、なぜ、基本動作に相反すると考えられるこのザイの動作を剣舞の中で行うのか、また、なぜ、ザイを習得することが困難であるのか。本稿では、この2点について、モーションキャプチャによる定量化と舞踊の指導言語を通して分析し、ザイの動作特性について明らかにする。
著者
桑原 和之 小島 紀行
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.53-59, 1993 (Released:2015-08-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Red-necked Phalarope Phalaropus lobatus is a common spring and autumn migrant along the Japanese coast, and is also occasionally seen in small flocks inland. At about 9:00 PM on the night of September 13th, 1993, a flock of 100 Red-necked Phalarope strayed into Okoppe-cho Baseball Stadium (Monbetsu County, Eastern Hokkaido -44°28′N, 143°08′E). Presumably these birds had been attracted by the bright stadium lights (similar incidents have been recorded in the past for this species, but not during the last 20 years). The birds flew around the stadium, sometimes landing for brief intervals, for about 30 minutes before departing. Some of the birds crashed into the standium fence and were killed or injured. 6 of these were recovered as specimens to be measured and analyzed at the Natural History Museum and Institute. Chiba (specimen No. CBMZB1775-CBMZB1780). All of the recovered specimens were juveniles which had not yet molted into the 1st winter plumage. All specimens showed pale cream coloration from throat to breast, and diagnostic dark brown markings on the tertials. Juvenile feathers also remained on the mantle and wing-coverts. Observations at the stadium confirmed that no adults were present in the flock. Large flocks of Red-necked Phalarope, numbering from 1000-3600 individuals, are frequently observed during the spring migration period. These large flocks, however, are composed of adults, and flocks, however, are composed of adults, and flocks of juveniles number only in the low one-hundreds. This indicates that adults and juveniles migrate separately in spring. The data discussed here supports the contention that juveniles and adults also migrate separately in autumn, with juveniles leaving the breeding grounds later than adults. Unfortunately, age-composition data is not available for earlier incidents.
著者
小島千加子著
出版者
構想社
巻号頁・発行日
1980

5 0 0 0 新規疾患

著者
正木 康史 川端 浩 高井 和江 塚本 憲史 藤本 信乃 石垣 靖人 黒瀬 望 小島 勝 中村 栄男 木下 朝博 青木 定夫 TAFRO症候群研究班
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2029-2037, 2016 (Released:2016-10-28)
参考文献数
32

2010年に提唱されたTAFRO症候群は,thrombocytopenia;血小板減少,anasarca;全身浮腫・胸腹水,fever;発熱,reticulin fibrosis;骨髄のレチクリン線維症と巨核球の増勢,organomegaly;肝脾腫やリンパ節腫大などの臓器腫大からなる造語である。本症のリンパ組織病理像はCastleman病と類似するが,典型的な多中心性Castleman病とは臨床像が異なる。TAFRO症候群ではガンマグロブリン増加は軽度で,リンパ節は小さく,亜急性に発症し進行性の経過をたどる。TAFRO症候群は致死的な経過をとる例もあるが,早期からの治療による有効例も報告され,診断基準と治療指針の確立が急務である。厚労省研究班にて議論を重ね,平成27年度に本疾患の診断基準,重症度分類,治療指針を策定したので概説する。
著者
吉武 啓 政岡 適 佐藤 信輔 中島 淳 紙谷 聡志 湯川 淳一 小島 弘昭
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.145-150, 2001-11-15 (Released:2009-05-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

福岡市能古島でヤシオオオサゾウムシの発生を確認した。調査の結果,本種は現地において数年前から継続的に発生してきたと考えられた。ヤシの幹内温度は安定していたが,常に外気温よりも高いわけではなかった。また,低温処理実験によって突発的な寒波による短期間の低温では死滅しないということが示唆されたことから,寄主であるヤシ類さえ存在すれば,本種は従来の分布域より北方まで侵入・定着できる可能性が高いと考えられた。日本国内において,本種はこれまでに年平均気温15.8℃以上の地域で発生しているので,同一の温度帯に含まれ,しかも本種にとって好適な寄主植物であるカナリーヤシが植栽されている地域へは,今後,十分に侵入可能であると推測された。
著者
嶋田 典司 住吉 雅己 豊田 正司 佐藤 幸夫 小島 道也
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.65-73, 1974-03-15

国道6号線沿線の松戸市戸定地区および柏市豊町地区の土壌ならびに植物のPb, Zn, Cdによる汚染状況を調査し次の結果を得た.1.道路に近接した地点における土壌中のPbおよびZn含有率は顕著に高く,Cdについても一部地区で同様の傾向が認められた.また植物中のPb, Zn, Cd含有率はいずれも道路に近接した地点において高く,道路を中心に汚染が拡がっている状況が認められた.2.土壌中(表土)の重金属類の含有率は気象条件および季節によって変動した.変化の幅は道路に近い地点ほど大きかった.3.植物中のPb, ZnおよびCd含有率の変動は植物の種類によって異なったが,セイタカアワダチソウにおいては経時的に含有率が増加する傾向があった.4.下層土の各重金属含有率は表層土よりもかなり低かったが,道路に対する位置の関係については表層土と同様の傾向が認められた.
著者
小島 政滋 山崎 勝男 宮田 洋
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.61-70, 1992

本研究は, 入眠期における脳波, 眼球運動, 行動指標, 主観的睡眠体験を測定し, これらの時間特性及び各指標間の対応関係を検討した.被験者には言語刺激 (羊が1匹-700匹) を提示し, 内容 (羊の数) を記憶させながらボタン押しを行わせて昼間睡眠を取らせた.覚醒後に記憶していた羊の数を再生させた.本研究では, 被験者が初めて再生を失敗した時点を主観的睡眠体験の発生時点とした.α%, SEM<SUB>s</SUB>出現数, 運動反応率及び反応時間を測定し分析の対象とした.その結果, α%と運動反応率の間に正の相関, 運動反応率と反応時間, およびα%と反応時間の間に負の相関が認められた.また, α%と運動反応率は主観的睡眠体験の発生後に顕著な低下を示した.これらの結果は, 入眠期における脳波と行動指標が主観的睡眠体験と強く相関しながら変動することを示している.
著者
小島 和夫
出版者
北海道大学法学部
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.121-140, 1983-03-26
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 豊田 隆謙
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.423-426, 1999-04-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

慢性B型肝炎患者を配偶者にもつ女性が,初診時すでに妊娠していたためにワクチンを施行せず妊娠を継続したところ,妊娠中にHBVに感染した.本例はHBV感染前からウイルス学的に経過を観察され,急性B型肝炎の発症前後の臨床データの経過が明らかになった.さらに,妊婦に対するワクチン使用の問題や周産期の急性肝炎の取り扱いの問題をかかえており,Gianotti-Crosti症候群を合併した点など示唆に富む症例であった.
著者
小島 俊樹
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.177-190, 2011-02-01

名古屋市立高校における学校納入金の未納者数は、09年度6月において前年度の5倍以上となった。この原因は不景気を背景として、高校生の世帯に貧困層が拡大しているためと推測した。子どもの貧困率として相対的貧困率がよく採用されるが、これでは高校生のように養育費がかかる年齢には低すぎる基準と思われる。むしろ、自治体が用いる基準である、給与所得控除を足し夫婦2人世帯で年収450万円(2005年)が妥当な基準と考える。これを基準とすると、高校生世帯の約30%が貧困層であると推定される。授業料減免者数の生徒総数に対する割合の推移(1996年~2006年)をみると、11年間で約3倍になっており、貧困層の拡大が急激にすすんでいる。名古屋市立の全高校を対象にした調査から、授業料減免者を普通科・職業科・定時制で分けてみると、職業科・定時制に集中していることが明らかになった。さらに、授業料減免の対象者が市民税非課税で、ほぼ相対的貧困基準に相当するため、そこから高校生世帯の貧困基準に基づき推定してみると、職業科・定時制生徒の世帯の半数前後が貧困層に該当すると考えられる。最後に、学校納入金未納者の担任への調査を通じて、高校生の貧困世帯は、今回の不景気により親の失業などで新たに貧困層へ加わる世帯と、すでに貧困世帯であったがリストラや賃下げなど今回の不景気のしわ寄せで更に貧困となった世帯、これらの2類型があると思われる。
著者
小島 浩之
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.42-48, 2010-02-01

資料保存を指す言葉にプリザベーション,コンサベーションがあり,これらは,戦略や戦術などと近似する意思や方向性の決定を伴う概念である。本稿では資料保存における意思決定プロセスに着目し,日本の図書館における資料保存について分析し,その留意点や問題点の整理を試みる。まず種々の保存に関する理論的枠組みのうち,主要なものをとりあげてこれらが現在の資料保存の枠組みに与えた影響の大きさを考察する。その後,実際の保存計画の立案や保存対策のおける意思決定プロセスに焦点を絞り,資料保存の理論的枠組みがどのように利用されているかを概観する。
著者
小島 智恵子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.509-512, 2020-08-05 (Released:2020-11-14)
参考文献数
21

歴史の小径少数派物理学者としてのド・ブロイ
著者
内野 克喜 山村 喜一 齋藤 侑也 磯崎 貞夫 田村 善藏 中川 冨士雄 関根 一雄 小島 至
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.1101-1107, 1984-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

We developed a simultaneous detection method of 9 kinds of diuretics in the urine by using thin-layer chromatographic (TLC) method and/or high-performance liquid chromatographic (HPLC) method. The diuretic drugs were extracted from the urine according to modified Tisdall et al. method by use of 1M phosphate buffer and ethylacetate. The TLC method was performed with a commercially available chromatographic plate containing mixed fluorescent substance and isopropyl alcohol-ammonia mixture as a development solvent. The HPLC method was accomplished with UV detection at 271nm. To examine the limit of detection of the methods, normal subjects were individually administered with commercially available tablets of 11 kinds of diuretics, 9 drugs were detected from 24 h urine of normal subjects. However, 2 drugs were not detected. By applying these methods to urine samples of female patients with hypokalemia, furosemide (FD) and trichlormethiazide (TCT) were detected. The chromatographic peak of FD on HPLC method was further assigned by mass spectrometry. The quantitative determination of TCT in the urine was also developed by HPLC method, and the urine concentration in a patient with self-administration of TCT was 0.80μg/ml.