著者
福地 信義 木原 和之 土井 康明 豊貞 雅宏 若菜 啓孝 篠田 岳思 小川原 陽一
出版者
九州大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

軽量構造船は構造材がアルミ合金であるため、火災時には溶融・発熱燃焼が起こる危険性があり、軽量構造船特有の防火対策が不可欠である。このため、アルミ合金の船における火災伝播現象のシミュレーションと防火対策の等価性評価のための評価法の提案を行った。主な研究成果は次の通りである。(1)火災伝播現象シミュレーションのための数学モデル軽量構造船を対象に、火災時に破損孔を生じる可能性のある場合について火災伝播の様相を調べるために、火災現象の状態方程式と船内区画をリニアグラフで結合によりモデル化し、可燃物の燃焼特性、ガスの発生、熱および気流に関する状態方程式により火災現象の数学モデルを構築した。これにより火災伝播現象の数値シミュレーションのための計算法を確立した。(2)軽量構造船の火災伝播状態形状を簡易化した3層甲板客船モデルおよび単胴型高速船の延焼状態について計算を行い、壁体の破損温度、防熱材厚さおよび火災荷重と火災拡大の関係を明らかにした。また、壁体に破損が起こる場合の火災の拡大要因は、破損孔による酸素補給の有無と熱移流であり、防火構造の防熱性能と耐熱強度が問題であること、特に発火区画での火災減退期までの熱封鎖の可否が火災拡大の分岐条件となることを示した。(3)防火対策の等価性評価のための手法評価対象を評価する際に、代替項目により優れた特徴のみを問題視する代替的評価と欠点のないものを選好する補完的評価がある。このような多面性問題に対して、評価選好基準にBelief測度あるいはPlausibi-lity測度のようなFuzzy測度を用いた多基準分析法による代替性・補完性評価の手法を提案した。
著者
小川 由英
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.1553-1558, 1981-12-20

キシリトール大量輸液により蓚酸カルシウム結晶が組織に沈着することが報告され,キシリトールが蓚酸代謝に関係することが示唆された.蓚酸カルシウム結石群12人と対照群7人にキシリトールを投与し,蓚酸代謝を調べる目的で尿中及び血漿蓚酸を測定した.10時間空腹状態とした患者に5%キシリトール500mlを2時間で点滴したところ,尿中蓚酸排泄は直ちに増加した.キシリトール点滴開始より3時間での尿中蓚酸排泄量の増加は結石群が2.92±1.59mg(SD)で,対照群が2.25±1.48mg(SD)であった.一方尿中蓚酸濃度は点滴中は低下し,点滴終了後は上昇した.キシリトール投与前の血漿蓚酸値は結石群が2.64±0.43mg/lで,対照群が2.29±0.92mg/lであった.キシリトール負荷終了時の血漿蓚酸値は結石群が2.64±0.62mg/lで,対照群が2.81±0.56mg/lであった.キシリトール負荷試験の結果より結石群と対照群の間に蓚酸代謝上の相違は認められなかった.
著者
山本 雅一 吉田 操 村田 洋子 室井 正彦 小川 利久 門馬 久美子 榊 信廣
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.2723-2727, 1990-12-01
被引用文献数
20

1975年から1989年7月までに経験した421例の食道癌を対象とし, 食道癌症例における重複癌について検討を加えた. 重複癌は51例 (12.1%) で, 同時性26例 (6.2%), 異時性25例 (5.9%) であった. 重複部位の検討では胃癌が25例 (全体の 5.9% ;重複癌の 49%) と多く, 同時性15例, 異時性10例であった. また, 早期胃癌は19例(76%)であった. 次に多い重複部位は, 口腔, 咽頭, 喉頭などの頭頸部領域の16例 (同時性5例, 異時性11例) (ぜんたいの 3.8% ;重複癌の 31%) であり, うち10例 (62.5%) は食道癌診断以前にそれらの癌が診断されていた. 3重複以上の多重複癌は5例 (重複癌の 9.8%) であり, いずれも初癌から5年以上の生存例であった. 食道癌切除後の経過年数との検討では, 術後5年以上7年未満経過症例の重複癌発生率 (23.1%) は, 3年以内の症例の発生率 (1.1%) と比較すると有意に高かった. 近年, 食道癌における重複癌症例は増加しており, 現況を踏まえた日常診療が需要と考えられた.
著者
小川 嗣夫
出版者
関西学院大学
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1-60, 1972-12
被引用文献数
2
著者
小川 雅史
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.154-155, 2002

本校では2単位の課題研究を実施している。力学から原子物理にわたるまで様々な分野で実施しているが,原子物理分野のノーベル賞実験などの発展的な応用実験を希望するものが多い傾向にある。市販の実験機器も積極的に活用し,実験道具の製作などオリジナルな実験も加わり,充実した内容の礒究が増加してきている。
著者
小川 修三 長原 幸雄
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.104-114, 1949-11

上空(⪝1mH_2O)に於ける宇宙線東西強度の対称性は,地上及び地上より10,000m迄の高度に於ける各緯度で行われた東西強度の非対称性から予測されるproton primary hypothesisに対して困難を興えている. Arleyはこの困難を救うために, negative protonはprimary中に混在するとしている.然しながら彼のいうnegative protonが,π-中間子,μ中間子を経てsoftを興えるという現在容認されている立場から上空の東西効果の問題を如何なる点迄解決しうるかを判りさすために, primary protonとそれによるsoft componentの間の角分布を調べた.
著者
小川 正広
出版者
京都大学西洋古典研究会
雑誌
西洋古典論集 (ISSN:02897113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.89-117, 1989-09-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
小川 清 斉藤 直希
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2012-EMB-26, no.2, pp.1-8, 2012-09-03

ソフトウェアと文書の作成,編集および教育の取組みの経験を基に,ソフトウェア関連文書の品質改善を検討する。ソフトウェア関連文書の品質改善を行うにあたって,ソフトウェアの品質特性の枠組みに文書の特性を当て嵌めた。事例でソフトウェア品質副特性で分類し,改善の方向を考える。
著者
戸川 達男 斉藤 浩一 大塚 公雄 山越 憲一 小川 充洋
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、戸川らがコンセプトを提唱し、実際に研究を進めてきた高齢者の健康状態を在宅でモニタするための技術のさらなる開発を進めるものである。これらの技術の特色は、家屋および家具にモニタ機器を組み込むことにより、被検者の日常生活を妨げずに生理量や行動を計測するというところにある。被検者は無侵襲かつ無拘束で計測が可能であり、計測は自動化されており煩雑な機器操作を求められない。また、計測されていることすら意識させずに在宅で計測が遂行可能である。本研究では、これまでの研究成果を実用化するため、長期間にわたってデータを収集し、得られたデータの解析・解釈の方法を確立することを目的とした。具体的には、このために一般家庭で使用できるシステムを開発することをねらいとした。研究においては以下を行った。まず、独居被験者を対象とした生理量および行動モニタリングのためのシステムを構築し、モニタリング実験を行い、連続3ヶ月以上のメンテナンスなしでのモニタリングが可能であることを実証した。また、3世代家庭においても行動センサを用いてのモニタリングを行なった。また、小型の3軸加速度および3軸磁気センサを内蔵した腕時計型データロガーを開発し、生活行動中の測位が可能であるかどうかについて検討した。また、収集した行動データの定量評価法の開発を試み、具体的な評価法を示した。生理量モニタりんぐについては、ベッド内温度計、浴槽内心電計、トイレ体重計を用いた1ヶ月以上の連続計測を示したほか、トイレ体重計を改良した。また、被験者のプライバシや家庭に導入するモニタ機器のセキュリティに関して検討を行った。結果、本研究においては、長期の在宅健康モニタリングと、それを支援するための定量的評価プロセスが可能であることを示した。なお、被験者のプライバシ保護については更なる議論が必要と考えられた。
著者
岡村 真 島崎 邦彦 中田 高 千田 昇 宮武 隆 前杢 英明 堤 浩之 中村 俊夫 山口 智香 小川 光明
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.65-74, 1992-12-15
被引用文献数
6

別府湾北西部の海底には3 kmから5 kmの長さを持つ5本の正断層が分布する。この分布の様子は, 別府-島原地溝にみられる陸上の活断層分布と類似しているが, 連続する部分は認められない。今回, 長さ2 km以上の断層セグメントを命名した。活動度はいずれもB級 (1-0.1 mm/y) である。地溝状の, 相対する南落ちと北落ちの正断層とは, 東北東-西南西の線により二分される。伊予灘の中央構造線断層系においても地溝状の形態が認められ, 別府湾まで連続するかどうか興味ある問題である。断層の活動度は, 年代が解っている反射層の変位量から求めることができる。しかし, 個々の地震の発生時や変位量を求めるためには, 断層両側のコア試料の対比が必要となる。我々は当初, 豊岡沖断層の両側で海底ポーリングを行い, 海底下20 mまでの試料をえた。しかし, ポーリングによる海底堆積物採取は, 時間と費用がかさみ, 多くの断層に対して, また継続的に行うことがむずかしい。このため以後は, ピストンコアリングにより堆積物の採取を行っている。現在, 海底下20 m以上の連続試料を一日で数本得ることができるようになった。亀川沖西断層では, 過去6000年間に3回の地震発生が認められ, その変位量と時間間隔との間には規則性がある。断層変位の分布は対称で, 断層の両端の近傍で最大となる。
著者
大前 清嗣 小川 哲也 吉川 昌男 新田 孝作
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.317-323, 2010-03-28

慢性透析患者において,心電図(ECG)上のST-T変化と心臓超音波検査(UCG)上の異常所見は,それぞれ独立して心不全死の予測因子となることが報告されている.今回われわれは,維持透析患者を対象に安静時ECG上のST-T変化に関連する因子を同定した.対象は,吉川内科小児科病院の外来透析患者のうち,6か月以上安定した透析が行われUCGを施行している149例(男性88例,女性61例)である.安静時ECG上のST-T変化の有無を目的変数に,左房径(LADs),左室拡張末期径(LVDd),左室後壁壁厚(PWT),左室短縮率(%FS),左室心筋重量(LVM)のほか,年齢,性別,原疾患(糖尿病DM,非糖尿病nonDM),冠動脈疾患(CAD)の合併,透析歴,血圧,透析間の体重増加量,生化学末梢血検査値,使用薬剤を説明変数に用い多変量解析を行った.UCGは透析後もしくは透析翌日午前に施行され,検査値については6か月間の透析前平均値を用いた.多変量解析はステップワイズ法による多重ロジスティック解析を用いた.特定されたST-T変化関連UCG異常について,ST-T変化の有無により2群に分類し,重回帰分析を用い各群のUCG異常に影響する因子の抽出を行った.平均年齢は66.7歳で,平均透析期間は14.4年であった.原疾患はDMが41例で,26例にCADの合併が認められた.UCG所見は,平均LADs 42.4 mm,LVDd 52.4 mm,PWT 10.8 mm,%FS 36.3%,LVM 224.4 gであった.内服治療は,アンジオテンシン変換酵素阻害薬8例,アンジオテンシンII受容体拮抗薬103例,βもしくはαβ拮抗薬52例,カルシウム拮抗薬(CCB)116例であった.ST-T変化は79例に認められ,多重ロジスティック解析ではCADの合併,LADsおよびCCBの使用が関連因子であった.オッズ比は,それぞれ5.141,1.087,0.339であった.ST-T変化を有する症例ではLADsがLVMと正に相関し,左室肥大を反映する可能性が示唆された.