著者
藤田 俊之 小林 亜樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.1, pp.1-12, 2023-01-01

インターネットを介したサービスとしてソーシャルネットワーキングサービス(SNS)が普及し,特に短文を投稿するTwitterにはその時々の情報が投稿されており,災害時の状況収集ツールとしても期待されている.このとき,災害情報のみを抽出する採集手法が必要であり,本論文では採集者による教師データを必要としない自己教師あり準リアルタイムでの採集方式を提案する.本方式は,主題となる検索語のみを入力とし,ストリームデータであるtweet列から採集する自己教師あり分類器である.これまでのTweet分類では短文性による困難さが指摘され,災害情報の事後分析を目的とした研究では人手による検索語集合を用いたフィルタリングが主流であった.そこで,会話を文書と見做すことで判定精度を改善し,更に会話内の部分単位での分析過程を導入した.実データを用いた数種の実験で,既存手法に対して精度良く見落とし少なく,また,当初の自己教師生成待ち時間以後はほぼリアルタイムでの採集を行えることを確認し,会話内の部分単位での分析が有効であることも明らかにした.
著者
内野 博司 本多 勇介 中島 健太 佐々木 功二 小林 明 田中 江里 久米 信夫 酒井 崇 嶋崎 豊 石川 巌 岡野 信雄 京極 英雄 船越 昭治 北田 嘉一 淵之上 康元 田中 萬吉
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_19-107_30, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

茶新品種‘ゆめわかば’が埼玉県農林総合研究センター茶業特産研究所で育成された。‘ゆめわかば’は1968年に‘やぶきた’ב埼玉9号’の交配により得られた個体群より選抜され,1994年から2003年に県単試験を含む栄養系適応性試験,裂傷型凍害抵抗性及びもち病抵抗性検定試験を実施し,更に2004年,2005年には香気の更なる発揚を目的に試験を行った。この結果,優秀と認められ,2006年10月17日に茶農林53号‘ゆめわかば’として命名登録,2008年10月16日に品種登録された。‘ゆめわかば’は摘採期が‘やぶきた’より1日から2日遅い中生品種である。生育,収量とも‘やぶきた’並である。耐寒性は赤枯れ抵抗性が「強」,青枯れ抵抗性が「やや強」,裂傷型凍害抵抗性が「強」でいずれも‘やぶきた’より強い。また,病虫害抵抗性は,炭疽病に「やや強」である。製茶品質は外観が優れ,内質も‘やぶきた’並に優れる。また,摘採葉を重量減15%から20%に軽く萎凋させることによって,香気及び滋味が向上する。耐寒性が強いために,関東やそれに類似した冷涼な茶産地に適する。
著者
藤井 英司 中村 竜太 大久保 義真 久住 孝幸 落合 剛 濱田 健吾 小林 慶一 石黒 斉 波多野 諒 中野 万敬 山中 基資 松井 則男
出版者
公益社団法人 日本化学会 コロイドおよび界面化学部会
雑誌
Colloid & Interface Communications (ISSN:27585379)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.2-19, 2023-03-10 (Released:2023-04-05)

国内には国立研究開発法人等の国立の研究機関だけでなく都道府県ならびに市立の研究所・センター(地方公設試験研究機関等)などが数多くあります。特に地方の研究所・センターは各地域の特色を生かした・地域の発展を支える研究・開発をされてきておられます。また、これらの研究所・センターにおいてコロイド・界面化学関連の研究についても数多くなされております。その一端をご紹介いたします。このご紹介を通して、各センター・研究所で研究をしている研究者の皆様方と本部会との交流の足掛かりともなればとも考えております。今回、岡山、秋田、神奈川、名古屋の各地域において、地域の産業・学術を担う研究組織である、岡山県工業試験センター、秋田県産業技術センター、神奈川県立産業技術研究所(KISTEC)ならびに名古屋市工業研究所におけるコロイド・界面化学分野の研究を紹介いたします。 〔1〕セルロースナノファイバー素材の界面制御技術を利用した金属ナノ粒子との複合化に関する研究 岡山県工業技術センター 応用技術部 食品・繊維科 藤井 英司岡山県工業技術センターの業務とナノ材料の複合化に関する研究事例を紹介する。「高圧湿式ジェットミル」を用い、マイクロ空間内での高剪断力およびキャビテーション効果を利用した複合化手法を開発した。セルロースナノファイバー素材の界面を制御し、金属ナノ粒子を複合化させたナノ複合体を作製し、特性評価をおこなった。〔2〕微小液滴撹拌を可能とする電界撹拌技術の開発とその応用 秋田県産業技術センター 中村 竜太・大久保 義真・久住 孝幸 〔3〕抗菌・抗ウイルス効果から空気清浄機まで ~光触媒評価総合サポート 地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 溝の口支所 川崎技術支援部 落合 剛・濱田 健吾 地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC) 殿町支所 研究開発部 小林 慶一・石黒 斉(地独)神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、神奈川県内中小企業を中心とする産業界から信頼される公設試験研究機関として、県内産業と科学技術の振興を図ることにより、豊かで質の高い県民生活の実現と地域経済の発展に貢献しています。本稿では、KISTECの溝の口支所と殿町支所が連携し、中心となって展開している「光触媒評価総合サポート」の概要と、主な研究成果を紹介します。 〔4〕液面プラズマを活用した金ナノ粒子担持複合粉体の調製 名古屋市工業研究所 システム技術部 製品技術研究室 波多野 諒気中電極と液面との間でプラズマを発生させる液面プラズマ処理技術を用いて、水溶液中で金イオンを還元し、アルミナ等の粉体上に粒径10~20nm程度の金ナノ粒子を均一分散担持させる手法を見出した。得られた金ナノ粒子担持複合粉体は、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴に由来する鮮やかな赤色の色調と抗菌性を示した。 〔5〕ゲル化と結晶化を利用した超撥水表面の形成 名古屋市工業研究所 材料技術部 中野 万敬・山中 基資接触角が150°以上である超撥水表面を植物由来原料から作製する手法を開発した。この表面は、低分子ゲル化剤が形成する一次元の自己組織体と脂肪酸が形成する微結晶とで構成された階層的な凹凸構造により超撥水性を発現している。本稿では、超撥水表面形成のメカニズムとこの表面が摩耗した後の接触角の自己復元性について述べる。 〔6〕名古屋市工業研究所 表面技術研究室 名古屋市工業研究所 松井 則男
著者
中沢 次夫 稲沢 正士 小林 節雄
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.491-494, 1979-06-30 (Released:2017-02-10)

カエルの体成分に起因するアレルギー症状(気管支喘息, 皮膚炎)を呈した稀有な1症例を経験したので報告する.症例は31才, 女性, 実験助手, 昭和42年, 食用ガエル(bull frog;Rana catesbeiana)の脳波壊実験を開始し1年後からカエルにさわると皮膚〓痒感出現, 昭和52年9月, 実験中に脳の付着した注射針を右中指に誤刺したところその部が腫脹, 20分後, 喘鳴呼吸困難が出現した.脳破壊実験に使用したbull frog 3匹から脳をとり出し作製した抗原液を用いて行つた各種アレルギー検査では, PK反応が陽性で, RAST値はscore 3であり, 特異的IgE抗体を証明しえた.一方, モルモットのheterologous PCA反応やゲル内沈降反応を用いて検索した特異的IgG抗体は検出できなかつた.これらのことから, 本例のアレルギー症状はbull frogの体成分に起因するものであり, それに対する特異的IgE抗体との反応, すなわちI型アレルギー反応の結果生じた症状であることが考えられた.
著者
小林 暁雄 坂井 寛章 桂樹 哲雄 伊藤 研悟 稲冨 素子 江口 尚 川村 隆浩
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.23-33, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

農研機構内のプロジェクトや研究部門・センター毎に進められているバイオ研究課題では,データ管理や解析ツール開発が一元化しておらず,データの分散や個別化が問題となっている.これを解決するため,研究課題のニーズに基づきリソースを集約・重点化することにより資源の活用を効率化し,研究成果の最大化に繋げるためのプロジェクトが機構内組織横断的に進められている.本プロジェクトでは,機構の持つ高度計算資源を連携してオミクス情報を収集・解析し,研究データの来歴保証と研究の効率化を実現する解析パイプラインシステムの構築が取り組まれている.この計算資源には,機構内のゲノム解析サーバ及びスーパーコンピュータ「紫峰」を用いるとともに,ゲノムデータと解析されたデータを保存・機構内横断で提供する基盤として,農研機構統合DB を用いる.さらに,DDBJ Sequence Read Archive に準ずるメタデータを採用し,機構内で横断的にゲノムデータを解析・検索可能な解析パイプラインシステム を実現する. 本稿では,メタデータ入出力システムの詳細について解説するとともに,パイプラインシステムの現状と課題について議論を行う.
著者
桂樹 哲雄 森 翔太郎 十一 浩典 石川(高野) 祐子 小林 暁雄 伊藤 研悟 山本(前田) 万里 川村 隆浩
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 (ISSN:24349895)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.13, pp.47-61, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
15

農研機構では,2012-2015 年度に実施した機能性農林水産物・食品開発プロジェクトの成果物を元に,農林水産物が持つ機能性成分について文献情報と共に整理し,「機能性成分・評価情報データベース」として2018 年より公開している.一方,2019 年から,農研機構は島津製作所と共同で「食品機能性成分解析共同研究ラボ(NARO 島津ラボ)」を設置し,機能性農林水産物に関する様々な分析を実施してきた.また,農研機構内には戦略的イノベーション創造プログラム第2 期「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(SIP2)の分析データも存在する.このたび農研機構では,機構内で得られた食品機能性成分データを一か所に集める狙いから,「機能性成分・評価情報データベース」,「NARO 島津ラボ」のデータ,SIP2 の成果等を集約し,「農研機構食品機能性成分統合データベース」を開発した.収録するデータには,公開情報だけでなく閲覧者を制限すべきクローズドデータが含まれるため,柔軟なユーザ認証機能を導入し,適切なアクセス管理を行えるようにした点に特徴がある.本データベースでは,データの属性に応じて検索結果をグループ化して表示するファセット検索機能やグラフ表示機能などを実装した.
著者
寺下 智美 立原 素子 堂國 良太 吉崎 飛鳥 関谷 怜奈 田村 大介 山本 正嗣 上領 博 小林 和幸 西村 善博
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.163-167, 2018-03-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
1

背景.炎症性筋線維芽細胞腫inflammatory myofibroblastic tumor(IMT)は稀な低悪性度の軟部腫瘍であり,術前診断しえた例は非常に少ない.症例.39歳,男性.健診での胸部異常陰影の精査目的で当院を紹介受診された.胸部CTでは造影効果を伴う左B8をほぼ閉塞するような境界明瞭な4 cm大の腫瘤影を認めるも,血液検査では炎症反応の亢進や腫瘍マーカー値の上昇を認めなかった.気管支鏡検査では左B8に発赤を伴う腫瘤の露頭を認めた.経気管支針生検transbronchial needle aspiration(TBNA)にてリンパ球などの炎症細胞の浸潤を伴った細胞密度の高い紡錘形細胞の増生を認め,α-smooth muscle actin(αSMA)とanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性であったためIMTと診断した.結論.本症例のように若年者の孤発結節影を認めた場合,IMTを鑑別にあげる必要がある.TBNAとALKの免疫染色は,術前診断に有用な手法であると考えられた.
著者
小林 孝 阿部 栄二 阿部 利樹 菊池 一馬 木下 隼人 木村 竜太 村井 肇 小西 奈津雄 岡本 健人 井野 剛志 大屋 敬太 福井 伸
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.26-30, 2019 (Released:2019-07-20)
参考文献数
5

増え続ける高齢者肺炎の過重な負担で疲弊していく呼吸器内科医師の負担を減らすため,当院では2010年2月より高齢者肺炎症例を全科で分担して診療している。今回,このような状況で整形外科医が行なった肺炎治療の成績を他科での治療成績と比較し,当院のシステムの検証を行なった。2017年11月1日から2018年10月30日までに当院に肺炎のため入院した70歳以上の症例を対象とした。データベースから肺炎の患者を抽出し,これらの症例の転帰,入院日数を科別に比較・検討した。上記期間内に当院に入院した372例を対象とした。年齢は平均85.6歳(70歳~100歳),男214人,女158人,平均在院日数は20.7日(1~107日),288例が軽快して退院したが,84例(29.2%)が死亡退院していた。CAPは143人,NHCAPは229人で診療科間で差はなく(ピアソンカイ二乗検定,p=0.19),A-DROPで評価した重症度にも診療科間で有意差は認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.25)。整形外科入院患者数は30人,年齢は平均86.1歳(71歳~99歳),在院日数は平均19.1日(1~107日)で,27人は軽快して退院したが3人(10.0%)が死亡退院していた。平均在院日数を診療科間で比較すると有意差を認め(ANOVA,p=0.0001),t‒テストを用いたペアワイズ比較では,循環器内科と外科(p=0.03),腎臟内科と脳神経外科(p=0.01),腎臟内科と外科(p=0.0005)の間で有意差を認めた。転帰を診療科間で比較したが有意差を認めなかった(ピアソンカイ二乗検定,p=0.15)。医師の偏在と医師不足の状況下で増え続ける高齢者肺炎に立ち向かうため,専門外の全科が連携して肺炎治療にあたることが重要である。
著者
蜂須賀 康己 三好 明文 福原 稔之 小林 展章
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.985-989, 1997-05-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
14

高校の野球部の練習中に行われた,発声訓練が誘因となって発症したと思われる特発性縦隔気腫の1例を経験した.症例は15歳の男子高校生.両頸部違和感と咽頭痛を主訴に来院した.胸部X線単純写真および胸部CTにて典型的な縦隔気腫を呈し,保存的治療にて約10日で軽快した.特発性縦隔気腫は若年男性に好発する比較的稀な疾患で予後良好とされている.最近6年間における38例について,本疾患の臨床像を検討した.胸痛や呼吸困難を訴え,皮下気腫を認め,発症時に胸腔内圧が上昇するような誘因がある場合は本症を疑う必要がある.
著者
髙瀬 陸 小林 隆史 大澤 義明
出版者
応用地域学会
雑誌
応用地域学研究 (ISSN:1880960X)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.25, pp.15-26, 2022-03-01 (Released:2022-03-03)
参考文献数
15

我が国では各地で「地域医療構想」が策定され病院の集約が検討されている。一方で、5Gなどの最新技術によるデジタル化の進歩で、病院間の連携はスムーズになり、そして住民は自宅で医療サービスを享受できるようになる。この二種類のデジタル化は病院の集約化にどのような影響を与えるのか、線分都市モデルを通して、投票と費用最小化との間に生じる齟齬、多数決のパラドックスに及ぼす影響を抽出する。さらに、集約化が進む医療高度化時代の費用構造に限定すると、投票ではハコモノ行政と揶揄される非効率な選択がされること、自宅病院間のデジタル化が改善、病院間デジタル化が改悪になることを明らかにする。
著者
小林 雅弘 関東火山灰グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.155-160, 2003-06-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
1

The research result by the Geological Research Group of Central Kanto Plain is already reported about the core samples collected from boreholes at Kasukabe, Itakura, Ora, and Yoshimi. The cordierite bering tephras were newly found from those core samples. Moreover, the same tephra was found out also from outcrop of Isumi-cho, Chiba Prefecture. As for cordierite bering tephras, the Joetsu Ash etc. are known until now. And the Joetsu Ash is 1.3Ma or 1.1Ma in age. In this study, newly found codierite bering tephras are described with grain-size composition, mineral assemblage, refractive index of volcanic glass and chemical composition of cordierites. These features show that newly found codierite bering tephras probably can be identified with the Joetsu Ash. This fact agrees with the consideration of the Geological Research Group of Central Kanto Plain (1994) that there is the underground structure of the form of the stairs which has the deepest portion in the Kasukabe area. Moreover, since codierite bering tephra was found directly under O-18 volcanic ashes layer in Boso Peninsula, the upper part of D layer of drilling cores is identified with the part of the Otadai Formation.
著者
石川 敦子 片岡 厚 松永 正弘 小林 正彦 神林 徹 川元 スミレ 木口 実
出版者
公益社団法人 日本木材保存協会
雑誌
木材保存 (ISSN:02879255)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.72-80, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 3

2009年に市販されていた木材保護塗料43種類(水性6種類:各2色,油性15種類:各2色,油性1種類:1色)をスギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材に塗装し,屋外暴露試験(つくば市,南面45度傾斜)を4年間実施して,各塗料の耐候性能を比較した。その結果,撥水度については,暴露12ヶ月目までは全ての塗料が塗替え目安の80%を上回っていたが,24ヶ月目までに全43種類中19の塗料が80%を下回ること,また,含浸形と半造膜形塗料は撥水度の低下傾向や劣化の形態が比較的似ていることが明らかになった。屋外暴露期間中の変色について統計的に解析したところ,明色系(ライトカラー)の塗料の方が濃色系(ダークカラー)の塗料よりも変色が大きい傾向が示された。さらに,今回測定した2009年市販塗料は,2004年に購入した市販塗料よりも,屋外暴露による変色と撥水度の低下が少ない傾向があること等が明らかになった。