著者
貝戸 清之 小林 潔司 神谷 恵三 新 雄成
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00130, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
33

我が国の高速道路舗装では,経年に伴う構造耐荷力の低下による損傷部位の深層化が確認されている.実務においては,表層材料が密粒度から高機能へと推移したことを受けて,損傷状態に応じた層別修繕が実施されているが,構造耐荷力がどの程度回復したかは定量的な評価がなされておらず,層別修繕の効果と構造耐荷力との関係性が明らかになっていない.本研究では,舗装構造の耐荷力の推移を,1) 経年によって低下する劣化過程と,2) 修繕時に向上する回復過程との複合過程としてモデル化する.これにより,構造耐荷力の劣化予測に加え,修繕時の回復を推移確率として定量的に評価することが可能となる.さらに,高速道路舗装を対象とした適用事例を通して,提案したモデルの有用性について考察する.
著者
福永 哲 李 賢哲 小林 敏之 折田 創 波田野 琢
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

虫垂切除によりパーキンソン病 (PD)の発症率を下げる可能性が報告されてから、虫垂切除に対する議論がなされている。PDと腸管との関連も注目されており、腸からαシヌクレイン(AS)シードが迷走神経を介して脳へ伝播するが、虫垂はASが凝集し易く、切除することでASシードが減少し発症率を下げるという可能性が指摘されている。近年慢性炎症とそれに伴う腸脂質代謝の変化は癌化や神経変性などに関与すると指摘されており、ASの異常集積に影響を及ぼす可能性を想起した。そこで本研究では、慢性虫垂炎症例におけるASシードを測定し、構造や蓄積過程を観察し炎症や脂肪酸代謝との関連を検討する。
著者
鈴川 芽久美 島田 裕之 小林 久美子 鈴木 隆雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.103-107, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
24
被引用文献数
16 6

〔目的〕本研究の目的は,要介護認定を受けた高齢者における外出行動と身体機能との関係を明らかにすることである。〔対象〕通所介護サービスを利用していた高齢者359名(平均年齢82.2±7.0歳,男性119名,女性240名)とした。〔方法〕調査項目は性,年齢,chair stand test 5 times,timed up-and-go test(TUG),階段昇降の自立度,mental status questionnaireとした。なお外出は,これら調査の前後1ヶ月間(2ヶ月間)の状況を対象者の家族から聴取した。〔結果〕多重ロジスティック回帰分析の結果,TUGが有意に町内までの外出と関連し(オッズ比;1.04,95%信頼区間;1.01-1.08),町外までの外出とは階段昇降の自立度が有意に関連した(オッズ比;1.74,95%信頼区間;1.06-2.86)。〔結語〕外出の実行には実用的な歩行機能が必要であり,より複雑な状況への適応を要求される町外への外出には,階段の自立度が関与した。
著者
小林 圓照
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.523-529, 1989-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
著者
愛甲 美穂 日高 寿美 石岡 邦啓 五十嵐 愛子 坊坂 桂子 山下 昭二 持田 泰寛 守矢 英和 大竹 剛靖 高橋 宏 小林 修三
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-224, 2016 (Released:2016-03-28)
参考文献数
11
被引用文献数
3

透析患者は末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease : PAD) の合併が多く, 重症虚血肢に至ると予後は著しく不良である. 予後改善にはPADを早期に診断・治療することが重要である. 足病変とPADの有無に基づき6つに区分し, 各区分に対するフットケアの間隔と内容を定めたフットケアプログラム (鎌倉分類) を策定した. 当院外来維持血液透析患者を対象に, 鎌倉分類導入前の2011年度群 (n=185) と, 導入後の2012年度群 (n=196), 2013年度群 (n=196) とに分け, 下肢潰瘍と切断発生件数をCochran-Armitage傾向検定を用い比較検討した. 新規潰瘍発生は, 2011年4.9件/100人・年であったが, 2012年3.1件, 2013年1.5件と有意に減少した (p=0.03). 下肢切断発生症例はすべて小切断で, 2011年1.6件/100人・年, 2012年1.0件, 2013年0.5件と推移した (p=0.14). 足病変を有する群で足関節および足趾上腕血圧比は足病変を有さない群に比較して低値であった. 足病変の有無を加味した透析患者における鎌倉分類はフットケアプログラムとして有用であり, 早期介入の意義が示唆された.
著者
松岡 友実 五十嵐 公嘉 齋藤 智之 高田 希望 橋本 玲奈 一條 聖美 小林 悠 田中 裕也 川本 俊輔 宮里 紘太 秋谷 友里恵 小林 洋輝 堀越 周 馬場 晴志郎 高島 弘至 逸見 聖一朗 功力 未夢 岡本 裕美 阿部 雅紀
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-6, 2023 (Released:2023-01-28)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において透析患者は重症化リスクが高く,COVID-19流行初期は,原則として全例入院加療で対応していた.しかし,東京都においては受け入れ可能な入院施設は限定され,新規陽性患者数の急増により,入院調整が困難な状況に陥っていた.そのため,東京都は2021年12月中旬に透析患者の受け入れが可能なCOVID-19透析患者の収容施設として,旧赤羽中央総合病院跡地を活用した酸素・医療提供ステーション(東京都酸素ステーション)を開設した.2022年1月1日~8月31日まで,酸素ステーションで受け入れたCOVID-19透析患者の現況を報告する.入所患者は211人,平均年齢は65歳,転帰は,自宅退院194例(92%),転院16例(7.5%)(そのうち肺炎の疑い13例(6.1%)),死亡1例(0.5%)であった.当施設は東京都のCOVID-19透析患者の入院待機者数の減少および病床ひっ迫の緩和の機能を果たし,また,治療の介入により重症化や入院を予防しており,施設の運用は有効であった.
著者
松本 昭憲 篠原 一彰 中川 雅之 佐久間 宏規 熊田 芳文 田勢 長一郎 小林 国男
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.9, pp.455-458, 2001-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

Iodoformgauze topical applications are often used to wound infections. We report a postoperative epidural abscess with delirium due to iodoformgauze topical application in an open wound. We had inserted an epidural catheter in 79-year-old man with an epidural abscess. After proper drainage, iodoformgauze was used to cover for the abscess. He suffered consciousness disturbance for 12 days postoperatively. Suspecting iodoform toxicity, we checked protein binding iodine (PBI) and total serum iodine. PBI was 14.5μg/dl and total serum iodine 152μg/dl. We stopped iodoformgauze use, and the man's consciousness cleared, indicating the importance of watching for side effects such as consciousness disturbance when using iodoformgauze.
著者
小林 久人 有馬 隆博
出版者
JAPANESE SOCIETY OF OVA RESEARCH
雑誌
Journal of Mammalian Ova Research (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.143-149, 2006 (Released:2006-12-25)
参考文献数
25

ゲノムインプリントは,母親と父親由来のゲノムに親の由来が記憶される現象である.この現象は動物では胎盤をもつ哺乳類にのみ存在し,2本ある対立遺伝子(アレル)の親の由来が識別された結果,片親性発現を示す数多くのインプリント遺伝子が報告されている.これらの遺伝子発現制御には,卵子・精子が成長する過程で各ゲノムDNA上に起こる性特異的なDNAメチル化が必須であることが,マウスを使ったこれまでの研究で明らかにされた.本稿ではゲノムインプリント機構とDNAメチル化の関連性について概説する.
著者
小林 正樹 星野 駿介 樋上 賀一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.61-66, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
50

長期の摂取カロリーの制限(caloric restriction; CR)は,加齢に伴う生理的変化や老化関連疾患の発症を抑制もしくは発症時期を遅延し,平均及び最大寿命を延伸する唯一の簡便で再現性の高い方法として,老化・寿命研究に広く応用されている。CRのメカニズムとして,成長ホルモン/インシュリン様成長因子1シグナルの抑制,mechanistic target of rapamycin complex 1の抑制,サーチュインの活性化,ミトコンドリア/レドックス制御の亢進などの関与が示唆されているが,その詳細は未だ充分に解明されていない。本総説では,最近の分子遺伝学的技術の進歩により得られた遺伝子改変動物を用いたCR研究の知見をベースに,我々が最近報告した白色脂肪組織リモデリングに関する新規知見を含めて,CRのメカニズムを考察する。
著者
小林章夫著
出版者
河出書房新社
巻号頁・発行日
1998
著者
小林章夫 [著]
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2022
著者
小林 彩香 柳下 泰香 室田 昌子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.131-134, 2011-03-10 (Released:2022-08-01)
参考文献数
9

本研究では、水辺空間の管理の問題を明らかにする。そのために水辺空間のタイプ別の管理実態と、住民団体との関係性の把握を行った。水辺空間を水遊びの有無と水生生物の有無で分類を行った。水遊びのできる水辺空間では塩素消毒による問題がある。水生生物のいる水辺空間では水生生物の大量発生などの問題がある。行政と住民団体との連携では水辺空間に関わる住民団体が少ないことが問題である。これらの問題を解決するために、本研究では、行政と周辺住民や住民団体との連携を提案し、今後の水辺空間の管理の方向性を見出す。
著者
河本 康介 山田 健人 小林 辰至 山田 貴之
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.585-598, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

本研究の第一の目的は,「理科と数学の教科等横断的な学習」が「理数の関連性の意識化」,「学習方略」および「自己効力感」を媒介し,「理数学習の有用性」に影響を及ぼすと仮定した因果モデルに基づいた質問紙を作成し,「理科と数学の教科等横断的な学習の意義」を構成している諸要因の因果モデルを明らかにすることであった。さらに,理科と数学の好き嫌いと各要因の関連性を明らかにすることが第二の目的であった。質問紙調査を行った結果,第一の目的については,「問題解決への意識」,「関数的な見方・考え方」,「理数学習の有用性」,「理科における学習方略」,「理科学習での数学の必要性」,「数式化・数値化の意識」の6つの因子が理科と数学の教科等横断的な学習の意義として抽出された。また,重回帰分析とパス解析を行った結果,「関数的な見方・考え方」が,4因子(「問題解決への意識」,「理科における学習方略」,「理科学習での数学の必要性」,「数式化・数値化の意識」)を経由しながら「理数学習の有用性」に間接的に影響を及ぼしていることが明らかになった。さらに,第二の目的については,理科と数学の好き嫌いと各因子得点の比較検討から,「数式化・数値化の意識」において,Ⅱ群(数学は好きだが,理科はあまり好きではない)とⅢ群(理科は好きだが,数学はあまり好きではない)との間で有意な差が見られた。理科学習において,「数式化・数値化の意識」を高めるために,自然の事物・現象や実験結果を数学的な知識・技能を活用しながら定量的に分析・解釈し,グラフ化したり公式や規則性を導いたりする活動の必要性が示唆された。
著者
小林 桂 星野 准一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.4_59-4_68, 2021-03-31 (Released:2021-03-30)
参考文献数
19

デバイスや認識技術の発展により,利用者の行動認識を利用した体験型展示が増加しつつある。しかし展示環境で利用者にどのような動作をして欲しいのかを伝えるのは難しい。本稿では,メディアアートや博物館の体験型展示で入力のための行動を伝えることを目的としたピクトグラムを使った行動伝達手段を提案する。行動のみを伝える造形や構図の工夫を行うとともに,静止画と動画のピクトグラムを制作して,20 代から70 代までの利用者に対して正答率と行動を達成する平均時間について比較した。20 代を対象にした評価実験では,静止画については正答率のばらつきがあったが,動画については全ての行動を88.5%以上の利用者が理解できた。また中高年層にも行動を伝えることができたが,時間がかかる傾向があることが分かった。これらの成果を神社や風呂敷などの日常的な日本無形文化を伝える体験型展示に適用した。
著者
小林 繁夫 長島 利夫
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.34, no.389, pp.332-339, 1986-06-05 (Released:2009-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Three subjects are studied for the vibration characteristics of laminated graphite-epoxy cylindrical shell. Firstly the eigen-value problem is exactly solved to obtain the natural frequency of layered composite cylindrical shell by use of Flugge type vibration equation. In the case of two layer crossply and angle-ply laminates the coupling effect decreases the fundamental natural frequency about 20%. For four layer antisymmetric cross-ply and angle-ply, the natural frequency is close to the one of the thickness-wise homogeneous cylindrical shell. However in the case of symmetric four layer crossply the lamination constitution unexpectedly affects the fundamental natural frequency. The natural frequency is explicitly obtained using Donnell type vibration equation of orthotropic cylindrical shell for the S2 boundary condition and the influence of lamination constitution is clarified. The optimum lamination constitutions for the highest fundamental natural frequency are disclosed. It is shown that the quasi-isotropic lamination is not optimal. The influence of lamination constitution on the nonlinear property of resonance curve for the fundamental natural frequency of the shell is analytically studied. It is concluded that the nonlinear property is softening for all laminations and the degree of the softening is stronger in the order of the circumferential layer alone, the ±45° angle-ply, the cross-ply, the quasi-isotropic and the axial alone.