著者
小林 信義 山本 泰 明石 真言
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.323-330, 1998 (Released:2010-02-25)
参考文献数
44
被引用文献数
7 8

Prussian blue, a blue pigment, belongs to the ferric cyanoferrate (II) group. It binds univalent metal ions, and the binding activity depends on their ionic radius. Prussian blue is not absorbed from the gastrointestinal tract in a significant amount. The cesium is entero-enteric cycled through the intestine. Prussian blue inhibits the reabsorption of the cesium. Many studies using experimental animals showed that the oral administration of Prussian blue increases the rate of the fecal excretion of radiocesium which results in shortening its biological half life. The accident in Goiania, Brazil, in 1987 showed that Prussian blue effectively accelerated the removal of radiocesium without toxicity. In the present review, we describe Prussian blue from a biological aspect and discuss its clinical application for the decontamination of cesium in radiation accidents.
著者
黒田 悌且 今木 甚一郎 石橋 忠良 小林 明夫
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.27-33, 1982

本稿は,沿線火災によって被害が生じた鉄道の鉄筋コンクリートラーメン高架橋の復旧工事について述べたものである。設計の考え方, 復旧に伴って行ったコンクリートの配合試験, 新旧コンクリート及び吹付けコンクリートの一体化試験結果について報告する。
著者
小林 宏明 宮本 昌子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.158-168, 2018 (Released:2018-06-05)
参考文献数
21
被引用文献数
3

吃音のある小学生73名に,国際生活機能分類(ICF)に基づく発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加の質問紙調査を実施した.質問紙は,授業,学級活動,学年・全校活動,教師や子どもとのコミュニケーションにおける発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加に関する計50項目が得意か苦手かを5件法で答えるものだった.その結果,(1)苦手の回答が多かった項目は,授業,学級活動,学年・全校活動に関するもので,そのほとんどは大人数への発話や,長くまとまった話が求められるものであった.ただし,すべての項目で,苦手と回答した者は,得意と回答した者よりも少なかった.(2)学級活動,学年・全校活動に関する項目のなかに,吃音の心理面の問題との中程度の相関のある項目がある一方で,吃音の言語症状との中程度以上の相関のある項目はなかった.(3)発話・コミュニケーション活動と小学校生活への参加とに中程度の相関があった.
著者
和田 竜二 小林 法子 藤居 俊之 尾中 晋 加藤 雅治
出版者
The Japan Institute of Metals
雑誌
日本金屬學會誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.587-591, 2007
被引用文献数
2

Elastic interaction energy between two super-circular inclusions with purely dilatational misfit strains is evaluated. For the calculation, a two dimensional model is used together with linear elasticity for the cubic anisotropy of copper. When two inclusions lie parallel to <100> of the copper crystal, attractive interaction is observed between the inclusions. The maximum of the attractive interaction is realized when the two inclusions exist close to each other. As the inclusion shape becomes circular to square-like, the maximum interaction energy decreases and the distance between the two inclusions to give the maximum increases. Furthermore, the two inclusions are found to be most stable when they have the same size. In addition to the elastic interaction energy, interface energy of the matrix/inclusion interface is also considered. The results show that the two inclusions tend to become the same size even for a situation when the interface energy is much more dominant compared with the elastic interaction energy.<br>
著者
太田 千鶴子 近藤 明子 小林 重雄
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.91-104, 1979-09-30

本研究の目的は1対1の行動療法的訓練において,改善されにくいとされていた児童対児童の相互作用,遊びに必要なルールの理解を通じて集団遊びを形成することである。集団は「ことばのおくれ」,「他児と遊べない」を主訴とする児童6名で構成されている。対象児は自閉症と診断された3名である。目的を達成するために(1)つなひき,(2)電車ごっこという課題が設定された。第一期では,動作模倣,第二期では,かけっこ,つなひき,サーキット,第三期では,つなひき,電車ごっこを中心プログラムとした。1セッションは各課題とフリープレイから成っている。セッションは週1回,20〜30分で計19回行なわれた。これにより,次のような結果が得られた。1 動作模倣 3児とも達成率が増加し,特にT児は第7〜13セッションにおいて著しい伸びを示している。2 つなひき 次のようなルールの理解度を検討した。(1)合図を守る(2)後方へ引く(3)終点がわかる(4)勝ち負けがわかる(5)応援する。Y児はどのルールも理解できていない。T児は,どのルールもほぼ完全に理解可能となり,K児はルールの(1)〜(3)のみ確実に理解できた。3 電車ごっこ 3児ともお客さん,運転手,駅長などの役割を達成し積極的に参加できるようになっている。
著者
大豆生田久志 小林亜樹 佐藤宏紀
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.627-628, 2011-03-02

オンラインショッピングは実際の店舗よりも膨大な数の商品を気軽に商品を閲覧できる。しかし膨大な数の商品の中から自分で欲しいものを探さなくてはならなく、店員のように商品を推薦して、購入までの意思決定の支援をするものではない。そこで、Tシャツ販売を例にとって、店員の役割を果たす試作システムを作成する。本研究では、適合フィードバックのようにユーザの嗜好を学習し嗜好に合ったものに絞るだけではなく、嗜好に合わないものも適当に提示することによって購入の決断を促し、意思の決定を早める手法を提案する。その提案手法の有効性について、既存の適合フィードバックと比較し検証する。
著者
島村 珠枝 田口 敦子 小林 小百合 永田 智子 櫛原 良枝 永田 容子 小林 典子 村嶋 幸代
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_3-2_12, 2010-06-21 (Released:2011-08-15)
参考文献数
32
被引用文献数
2

目的:多剤耐性結核の治療のため隔離入院中の患者が病気をどのように受けとめ,どのようなことを感じながら入院生活を送っているかを明らかにする.方法:入院中の多剤耐性結核患者5名に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した.結果:病気について,全員が『治りにくい病気に罹った』と捉えた上で,『治るだろう』と受けとめている者,『治らないだろう』と考える者の両者が存在した.ほとんどの協力者が『先が見えない』と感じており,長期入院と隔離に大きなストレスを感じていた.入院生活について,全員が『楽しいことはほとんどない』と感じていた.『人に会えないのが寂しい』と閉塞感を訴え,『外とのやり取りで気が紛れる』と入院生活の辛さを紛らわせていた.『看護師との日常的な会話が楽しみ』と話す者もいた.結論:看護師は日常的に患者と関わる中で患者と外との接点になり得るため,日常的なコミュニケーション場面での配慮が求められている.
著者
中里 主哉 小林 えり 斎藤 和巳 風間 一洋 吉田 光男
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.401-402, 2016-03-10

Twitterでは、自分がどこでツイートをしたのかを情報として発信する位置情報付きツイートを行うことができる。 位置情報を基に「あるイベントに参加したユーザがどのような行動をとっているのか」、が解明でき、 最適観光ルート案内等の研究に応用することができる。本研究では"2015年開催のコミックマーケット(コミケ)"にてつぶやいたユーザの一週間のツイートを収集し、コミケ参加ユーザがよくつぶやく(訪れる)スポット、及び、そのスポットに訪れる時刻を抽出する。調査の結果、特につぶやきの回数が多かったのは、コミケ会場である東京ビックサイトと秋葉原で、それぞれ6時頃から14時頃と、15時頃から夜に頻繁に呟かれていることが分かった。
著者
鈴木 篤郎 小林 潔子 梅垣 油里
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.28-34, 1993

刺激頻度40Hzの聴性定常反応 (auditory steady-state response, 以下, SSR) における睡眠の影響を知ろうとして, 聴力正常成人9名を被検者とし, 500Hz, 55dBnHLの短音を用い, 刺激間隔125msでABR-MLRを, 間隔25msでSSR (以下実測SSR) を記録した。 さらにABR-MLR波形から25ms間隔の重ね合わせによって合成SSRを作成し, 主としてその振幅について検討した。 睡眠時/覚醒時の平均振幅の比はABR (V波) 0.648, Pa0.578, Pb0.338, 合成SSR0.604, 実測SSR0.398で, 睡眠時SSRの振幅は覚醒時の平均約40%に縮小した。 実測SSR/合成SSRの平均振幅の比は, 覚醒時0.845, 睡眠時0.557で, この振幅比については覚醒時と睡眠時の間に有意差が認められた。 この結果から, SSRがABR-MLRの直線的重ね合わせ反応であるとの解釈は, 覚醒時においては可能であるが, 睡眠時においては考え難いと結論した。
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.674-681, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

本研究の目的は,長期にわたる土地所有形態に対する地主の投機的な行動を考慮した非集計的フレームワークを提案することにある.本論文では,ランダム効用最大化理論に基づくロジットモデル型の動的離散選択モデルを適用することで,時間割引率の推定が可能な動学的土地所有形態選択モデルを定式化した.提案したモデルのパラメータは,道後温泉地区の土地台帳をデジタイズする事で得た家単位の地主毎の土地所有履歴という実データを用いて推定した.推定結果より,時間割引率から地主の近視眼的な土地所有選択,また,道後温泉地区における主要な建築物である外湯施設からの距離パラメータからは時代によって選好する土地の位置が異なる事が明らかになった.
著者
石川 知夏 小林 哲生
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.522-529, 2021-12-01 (Released:2021-12-15)
参考文献数
13

Given recent evidence that the visual shape of alphabetic characters such as “B” and “K” influences the bouba/kiki effect (Cuskley et al., 2017), it is interesting to rate and analyze the roundness-sharpness of characters in other languages. To address this issue, the present study experimentally rated the roundness-sharpness of Japanese Hiragana characters using Japanese-speaking, Japanese hearing-impaired, and English-speaking adults. The results showed significantly high correlations of roundness-sharpness ratings between all groups of participants, suggesting that in Japanese, character roundness-sharpness ratings are stable regardless of the amount of auditory input in Japanese. Moreover, in order to examine the roundness-sharpness of characters corresponded to nonsense words in previous bouba/kiki experiments, we analyzed the effects of consonants ([m], [n], [r] vs. [k], [t], [s]) and vowels ([u], [o] vs. [i], [e]) on character roundnesssharpness ratings. The participants of all groups showed significantly rounder ratings toward characters that corresponded to round related sounds ([m], [n], [r], [u], [o]) than sharp related sounds ([k], [t], [s], [i], [e]). These findings suggest a correspondence between the visual shape of characters and the visual figures of previous bouba/kiki experiments in terms of roundness-sharpness.
著者
渥美 さやか 大沼 美貴 末永 恵美 丸山 卓郎 菱田 敦之 木内 文之 小林 進 合田 幸広 袴塚 高志
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.178-189, 2013

ブラックコホシュはキンポウゲ科サラシナショウマ属Cimicifuga racemosaの根及び根茎に由来する西洋ハーブであるが、健康食品等として流通するブラックコホシュ製品からはC. racemosa以外の近縁種の混入が報告されており、基原鑑別法の確立が望まれてきた。そこで我々は、葉緑体trnL領域のDNA配列を基に、特異的プライマーを用いたPCRによりC. racemosaと近縁植物を区別するARMS法を確立した。7種のサラシナショウマ属植物を用いた検討では、ARMS法によりC. racemosaとそれ以外の種を正しく判別することができた。同様に、国内市場で流通するブラックコホシュ製品の基原鑑別を行った結果、8製品のうち2製品には近縁種が使用され1製品にはサラシナショウマ属植物は含まれないことが明らかになった。さらに、国内市場品16製品に対して行ったTLC及びHPLCによる指標成分分析の結果は、ARMS法による鑑別結果とよく一致した。以上の結果より、植物組織を含むブラックコホシュ製品の基原鑑別において、ARMS法は有用であると考えられた。
著者
佃 為成 酒井 要 橋本 信一 羽田 敏夫 小林 勝
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.p237-272, 1988-12

北部フォッサマグナの中央隆起帯を横断する千曲川構造線の東端に位置する長野県小県郡丸子町付近で1986年8月24日,M4.9の地震が発生した.ここは2つの火山前線がぶつかる点のすぐ背後でもある.通常の地震活動レベルは低いが,過去には1912年の上田市付近の地震(M5.2)がある.丸子町の地震活動は前震・本震・余震系列と本震の10日後から始まった群発地震が重なったものであった.2回の主要な活動ピークをもつ例は,北部フォッサマグナ地域では少なくなく,ピーク間の間隔は1918年大町地震の13時間,1969年焼岳の地震の2日,1912年上田の地震の5日,今回の地震の12日,1963年燕岳の地震の20日,1897年上高井の地震の104日というように様々である.2回目が群発地震であったのは丸子の地震と,燕岳の地震,上田の地震である.現地における臨時観測によって精密な震源分布が得られた.震源域は時間とともに拡大したが群発地震後最終的には東西3km,南北2km,深さは6kmを中心に3kmの幅をもつ拡がりであった.定常観測網で求めた震源との比較を行い,観測網に依存する震源の系統的なずれやその値のバラツキから震源の絶対精度と相対精度を推定した.MO~4.5の間のM別頻度分布はGutenberg-Richterの関係から少しずれる.群発地震の回数の減衰(p~2)は本震直後の余震のそれ(p~1)と比べ大きい.燕岳の地震ではどちらもp~2であった.本震の震源断層は発震機構及び余震分布の特性から西上り東落ちの高角逆断層である.これは中央隆起帯東縁でのテクトニックな変動と調和する.1986年の千曲構造線の地震活動はそのピークが東南東から西北西へ約150km/yearの速度で伝播した.1912年~1918年にもこの構造線の両端付近で地震があった.約70年の間隔を置いて同じような活動を繰り返したことになる.The earthquake of M 4.9 which occurred at Maruko town, eastern part of Nagano prefecture, at 11 h 34 m on August 24, 1986, was accompanied by foreshocks, ordinary aftershocks just after the main shock and peculiar swarm-like aftershocks that began 10 days after the event. Seismic sequences with double high adtivity peaks have occurred frequently in and around the northern Fossa Magna region; the intervals between the two peaks ranege from 13 hours to 104 days.