著者
小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山. 第2集 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.277-292, 1982-12-28
被引用文献数
12

Sakurajima Volcano consists of two main stratovolcanoes, Kitadake and Minamidake, which are composed of pyroclastic rocks and lava flows of pyroxene andesites and dacites. The basement rocks are composed of sedimentary rocks such as shale, sandstone, and acidic tuff, welded tuff, and granitic rocks. Geomorphology, large-scale historic eruptions, and the classification of surface textures of andesitic lava flows are briefly summarized. Volcanic history on the basis of the correlation between tephrochronology and the welded pyroclastic deposits is also presented. Taisho and An-ei lavas extruded at the later stage of the eruptions contain microphenocrysts of olivine. Orthopyroxenes of Bunmei pumice of later stage are rich in En content than those of early stage. These facts suggest that the volcanic products of the large eruptions were derived from zoned magma chambers.
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.58, pp.55-83, 2021-06

日本では、古来、様々な自然災害―大雨、洪水、土石流、地滑り、地震、津波、火山噴火、雪害、雹、暴風雨、高波、高潮、旱害、冷害、蝗害等、そして、人為的災害―疫病流行、戦乱、盗賊・海賊、略奪行為の発生等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、彼らは忍耐を伴ないながらも、その都度、復旧、復興しながら、現在へと至る国家や、その基盤となって来た地域社会を形成、維持、発展させて来た。世界史的に見ても、日本はあらゆる災害の多発地であったし、その様相は現在でも変わりは無いのである。ここに住む限りに於いては、そうした災異は誰にでも降り懸かって来ていたのである。それ故の、独特で、固有の感性=対災異観を、ここに住み続けて来た人々は伝統的に醸成して来たと言うことができる。本稿では、今回、同時に発表している別稿(本誌掲載「「土左日記」に見る災異観 ~祈りのかたち~」)と共に、日本に於ける対災異観や、災害対処の様相、及び、思想を、意図して作られ、又、読者の存在が想定された「文学作品」を素材としながら、「災害対処の文化論」として窺おうとしたものである。作品としての文学に、どの様な災異観の反映が見られるのか、否かに関して、追究を試みた。今回、具体的な素材としては、紀貫之の筆に依るものと見られる「土佐日記」を取り上げ、そこに見られる「年中行事と習俗」を元にしながら、対災異観を明らかにしたものである。
著者
小林 健彦
出版者
新潟産業大学経済学部
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 = Bulletin of Niigata Sangyo University Faculty of Economics (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-54, 2021-06

日本では、古来、様々な自然災害―大雨、泥雨、洪水、浸水、土石流、地滑り(陸上・水底)、地震、津波、火山噴火、大雪、雪崩、雹、台風(大風)、暴風雨、竜巻(辻風)、落雷、高波、高潮、旱害、低温、高温、蝗害、黄砂、飛砂、塩害、山火事等、そして、人為的災害―疫病流行、戦乱、火災(失火)、盗賊・海賊、略奪行為の発生等々、数え切れない程の災害が人々を襲い、彼らは忍耐を伴ないながらも、その都度、復旧、復興しながら、現在へと至る国家や、その基盤となって来た地域社会を形成、維持、発展させて来た。文字認知、識字率が必ずしも高くはなかった近世以前の段階に在って、人々は口承、地名、石造物等の方法論を以って、そうした災害情報を後世へ伝達するべく、多大なる努力を払っていたものと見られる。カナ文字(ひらがな)が一般化する様になると、記録としての個人の日記や、読者の存在を想定した物語、説話集、日記、紀行等、文学作品の中でも、各種の災害情報が直接、間接的に記述される様になって行った。しかしながら、文学作品中に描写された災害事象が全て事実であったとは言い難い。ただ、最初から嘘八百を並べたものでは読者からの支持を得られる筈も無く、その作成に際しては、素材となる何らかの事象(実際に発生していた災害事象)を元にして描かれていたことは十分に考慮されるのである。従って、文学作品中には却って、真実としての、当時の人々に依る対災異観や、思想が包含されて反映され、又は、埋没していることも想定されるのである。本稿では、こうした点に鑑み、日本に於ける対災異観や、災害対処の様相、及び、思想を、意図して作られ、又、読者の存在が想定された「文学作品」を素材としながら、「災害対処の文化論」として窺おうとしたものである。作品としての文学に、どの様な災異観の反映が見られるのか、否かに関して、追究を試みた。今回、具体的な素材としては、紀貫之の筆に依るものと見られる「土佐日記」を取り上げ、そこに見られる「祈りのかたち」を明らかにしたものである。
著者
小林 正士
出版者
国士舘大学法学会
雑誌
国士舘大学大学院法学研究科・総合知的財産法学研究科 国士舘法研論集 = Kokushikan Daigaku Daigakuin Hogakukenkyuka Sougouchitekizaisan Hougakukenkyuka Koushikan Hokenronshu = the Graduate School law review
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-24, 2017-03-05

1 問題の所在2 学説状況―総論として3 判例と学説の状況―各論として4 市民法学における国家論の観点からの検討結語
著者
村上 龍 小林 収
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1053, pp.82-85, 2000-08-07

問 同世代だということもあって、村上龍さんのお仕事にはずっと関心を持ってきました。ここ数年は経済に非常に着目されていますね。経済小説というと、多くは作者のサラリーマン時代の体験を踏まえた会社の内幕話ですが、村上さんの作品は違う。もっと広い世界を舞台にして、その中で経済というツールをうまく使っておられる。
著者
小林 良樹
出版者
JAPAN ASSOCIATION OF INTERNATIONAL RELATIONS
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.158, pp.158_182-195, 2009-12-25 (Released:2012-02-20)
参考文献数
59

In December 2004, the United States Congress passed “the Intelligence Reform and Terrorist Prevention Act of 2004,” which created the Director of National Intelligence (hereafter DNI). This was the most significant overhaul of the basic framework of the U.S. Intelligence Community since it was established in 1947. The basic idea of this reorganization mainly came from so-called “the 9/11 Commission Report” published in July 2004. The report criticized the weak management of the intelligence community headed by the Director of Central Intelligence (DCI) who was also the head of the CIA, then recommended that the DCI should be replaced by a newly created National Intelligence Director to bring more integration and cooperation to the intelligence community. The object of this paper is to try to examine the following question; “Is the DNI functioning as was expected or not? In other words, is the DNI actually overseeing the Intelligence Community as a real head or not?”Evaluation of Major Factors(1) Status: The DNI, to some extent, has successfully demonstrated his leadership status over the intelligence community. However, some members of the community such as the Department of Defense seem to be still reluctant to recognize DNI's leadership status.(2) Man Power: The DNI has already established his own large institutional manpower base to support him, although it has only analytical function and does not have operational function.(3) Support from the President: The DNI also seems to enjoy strong support from the President to secure his leadership.(4) Budgetary and Personnel Power: The budgetary and personnel power of the DNI endorsed by the legislation is vague and not so strong, more or less similar to the power given to the DCI. The DNI seems to have established actual influence, to some extent, over personnel matters of civilian intelligence institutions such as CIA. However, DNI's actual influence on budgetary and personnel matters of military intelligence institutions affiliated to the Department of Defense seems very limited.(5) Quality of Intelligence Product: There has been some improvement for information sharing in the community after the reform. However, still it is too early to say that the new system has achieved significant improvement in the quality of the analytical products of the community.ConclusionTo some extent, the DNI seems to be successfully overseeing the intelligence community as new head of the community, especially over the civilian intelligence institutions such as CIA. However, DNI's oversight has not been perfect yet, rather partial. Especially DNI's budgetary and personnel power over the military intelligence institutions seems very limited. In other words, as a reality, the intelligence community may be divided into two parts; the civilian part overseen by the DNI and military part overseen by the Secretary of Defense.Given the above-mentioned limitations, it is unlikely that the DNI's oversight on military intelligence institutions would be improved significantly unless the current legislation is amended. The future success or failure of the DNI system also would depend on personality of those who will be actually appointed as the DNI as well as their personal relations with the president and other senior leaders.
著者
長尾 恭史 小林 靖 大高 洋平 齊藤 輝海 大林 修文 大隅 縁里子 水谷 佳子 伊藤 洋平 田積 匡平 西嶋 久美子 森 俊明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.567-572, 2020-06-10

要旨 【背景】入院の原疾患が脳卒中以外による急性期重度摂食嚥下障害患者に対する,完全側臥位の導入による帰結の変化について検証した.【対象】入院前Eating Status Scale(ESS)4以上であったが,入院後Dysphagia Severity scale(DSS)2以下の嚥下障害を認め嚥下内視鏡を実施した,原疾患が脳卒中以外の58名.【方法】評価姿勢として,完全側臥位を選択肢の1つとして導入した2016年4〜9月の37名(男性28名,平均年齢81.3±12.9歳)を側臥位導入群,導入前の2015年4〜9月の21名(男性15名,平均年齢79.8±10.9歳)を未導入群とし,両群間で帰結を比較した.【結果】退院時ESS 3以上の患者は側臥位導入群18名(48.6%),未導入群は4名(19.0%)であった(p=0.026).院内肺炎合併数は側臥位導入群6名(16.2%),未導入群8名(38.1%)であった(p=0.061).また,側臥位導入群は退院時ESS 3以上に関連する独立した因子であった(オッズ比6.62,95%信頼区間1.24〜35.25,p=0.027).【結語】完全側臥位は急性期摂食嚥下障害の治療戦略として効果的である可能性が示唆された.
著者
梅野 淳嗣 江﨑 幹宏 平野 敦士 冬野 雄太 小林 広幸 河内 修司 蔵原 晃一 渡邉 隆 青柳 邦彦 安川 重義 平井 郁仁 松井 敏幸 八尾 恒良 北園 孝成 松本 主之
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1411-1422, 2017-10-25

要旨●遺伝学的に確定診断された非特異性多発性小腸潰瘍症45例の臨床像を検討した.本症は女性に多いこと,貧血は必発するが肉眼的血便はほぼみられないこと,炎症所見は比較的低値にとどまること,約30%に血族結婚を認めることが確認された.また,終末回腸を除く回腸を中心に,輪走ないし斜走する比較的浅い開放性潰瘍が腸間膜付着側と無関係に多発することが小腸病変の形態学的特徴と考えられた.性別による比較では,胃病変は女性に有意に多く,ばち指,骨膜症や皮膚肥厚といった肥厚性皮膚骨膜症の所見は男性に有意に多かった.本症の診断に際しては,小腸病変の評価に加えて,上部消化管病変や消化管外徴候の評価,SLCO2A1遺伝子変異の検索も必須と考えられた.
著者
白壁 彦夫 碓井 芳樹 根来 孝 大橋 泰之 梁 承茂 韓 東植 松川 正明 小林 茂雄 丸山 俊秀
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.15-25, 1986-01-25

要旨 うまく二重造影すると,潰瘍性病変を変形でとらえるので,変形学が登場した.全体の変形は,胃,大腸など,それぞれに,また,局所の変形は全腸管に普遍的に使うことを,まず,述べた.そして,変形を使って検査,読影,診断するコツを全腸で比較した.更に,比較診断学の展開を虚血症候群について,X線所見の分析と総合の手法で行い,比較診断学の効果を述べた.二重造影法も,機能と二重造影のアベックの動きがある.
著者
小林 欣吾
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.28-43, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
8

組合せ論的ゲーム理論の礎とも目されるE.R. Berlekamp, J.H. Conway, R.K. GuyによるWinning Ways for Mathematical Playsという今や古典的な名著の翻訳を昨年の秋に完了した.その機会に合わせてSITA2019霧島のワークショップにおいて講演したので,そのときの話題を中心に組合せ論的ゲームを解説する.組合せ論的ゲームというのは,2人のプレーヤが交互に着手し,ゲームの規則,勝敗の判定法など必要となる情報はお互いに完全に分かり合っており,偶然性は入らないゲームをいう.そのようなゲームは子供のお遊びのチック・タック・トウ(マルとバツ),点と箱などから,囲碁,将棋,チェスなどという高度の戦略を必要とするゲームまで広範囲にわたっている.ゲームの勝敗を知るためには,局面の値を決定することが重要である.そのような値は単に数だけでは表現できず,Conwayの発案になる実数を拡張した超限実数という概念も顔を見せてくる.
著者
豊川 智之 村上 慶子 兼任 千恵 小林 廉毅
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.69-78, 2012
被引用文献数
11

医療への公平なアクセスを達成することによって,健康の社会的格差の縮小が期待される。本研究は,社会経済的障壁に焦点を当てて医療へのアクセスの公平性について検討した。東京都内および同近郊4自治体に居住する25~50歳を対象に行った「まちと家族の健康調査」の3,378名のデータを用いて,所得による医療受診の分布について集中度指標(CI)と,医療ニードについて調整した水平的不公平性指標(HI)を求めた。補助的分析として所得に対する受診控えの集中度指標を求めた。集中度指標によると,外来及び定期的外来は高所得層にアクセスが多かった(外来CI:0.038;定期的外来CI:0.053)。入院では低所得層にアクセスが偏っていた(CI:-0.032)。水平的不公平性指標でみると,外来(HI:0.043),定期的外来(HI:0.063),入院(HI:0.011)で高所得層に偏った結果となった。受診控えに関して同様に行った補助的分析では,集中度指標が-0.064となり,低所得層に多いことが示された。
著者
大櫛 陽一 小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.943-947, 2008 (Released:2009-01-13)
参考文献数
12

1. Introduction Cost of antihypertensive therapy has increased constantly. It accounts 7.8% in total cost of medical treatments in japan. Cost of antihypertension drugs also accounts 12.5% in all kinds of medical drugs. Especially, angiotensin receptor blocker (ARB) is discussed to be set cheaper. We verified the performance of antihypertensive therapy with our cohort study. 2. Methods We performed (1) cohort study to compare blood pressure levels and total disease's mortality in general population, (2) calculated hazard rates of antihypertensive therapy in general population, and (3) odds ratio of hypertension and antihypertensive therapy between general population and patients with stroke. 3. Results The total mortality were in lowest level until SBP/DBP of 160/100 mmHg. The hazard rate in persons who had cure of hypertension and blood pressure more than 180/110 mmHg at the baseline was increased five times than that in persons who did not have the cure. Hypertension did not show risk of stroke for older people over 60 years. Hypertensive therapy was risk of stroke for younger and elder people. 4. Conclusion Severe antihypertensive therapy will cause increase of total mortality and incidence of stroke. The target of the therapy should be restricted to people who have hypertension over 160/100 mmHg without atrial fibrillation. We should not decrease acutely blood pressure beyond 20 mmHg by drugs.
著者
〓 錦華 大山 恭弘 小林 裕之 忻 欣
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.797-802, 2005-10-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

This paper presents a new method of improving the disturbance rejection performance of a servo system by estimating an equivalent input disturbance. First, the concept of equivalent input disturbance is defined. Next, the configuration of an improved servo system employing the new disturbance estimation method is described. Then, a method of designing a control law employing the disturbance estimate is explained. Finally, the positioning control of a two-finger robot hand is used to demonstrate the validity of the method.
著者
小林 浩子 田中 ふみ子 松田 知明
出版者
羽陽学園短期大学
雑誌
羽陽学園短期大学紀要 (ISSN:02873656)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.131-141, 2016-02

本稿では、前稿に引続き、大正15年「幼稚園令」制定期から昭和戦後期までのわが国の幼稚園・保育所の成立過程と制度の変遷と山形のそれとを比較し、検証することを通して、本県の保育の特徴について検討した。その結果、全国と比較して大正末期・昭和前期・戦中期・戦後期までの幼稚園の設置数は全国に比べて低いこと、増加はほとんどみられず一定数を保ってきたこと、その一方で保育所は、農村地域の乳幼児の託児所と幼稚園機能を併せ持つ施設として地域の共稼ぎ家庭を支えてきたことなどがわかった。このような状況は、本県が独自の「幼・保一元化」の保育を全国に先駆けて実施してきたことをあらわしており、後の時代の「認定子ども園」普及への布石となったと考えられる。
著者
北野 和彦 小林 亜樹
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2019-GN-106, no.33, pp.1-8, 2019-01-17

単眼カメラによる撮影画像からの距離推定法として知られる DFF 法では,撮影フォーカス位置毎の像倍率変化が推定精度低下につながる.そこで筆者らは,撮影画像のみから像倍率変化率を推定する手法を開発し,推定精度を改善している.本稿では,DFF 法のもう一つの弱点であるエッジ部のボケの悪影響を回避するため,エッジ検出点が誤推定を及ぼす範囲を推定対象から除外する手法を提案する.実際に撮影した画像列から距離画像を推定し,その結果を精度の観点で性能評価を行い,提案手法の有効性を確かめる.
著者
長谷川 弘一 中村 民雄 小林 義雄
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.39-49, 1992-07-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
57

We noticed “Hokushin Ittoryu”, among several kenjutsu schools, which tried to re-build the sustem of techniquesa nd constracted them analytically. But in this essay, we have examinedt he kenjutesu-theory of Sugane Kubota who was a contemporary of Shusaku Chiba (the founder of “Hokushin Ittoryu”) and left enormous writings. Particularly we have studied, from the viewpoint of the history of athletic techniques, the features of the fundamentals of techniques which are the basis of the sustem of techniques.As a result, we have found the two faces; one is the part which tried to build the sustem of techniques consciously, that is, the part which changed from pre-modern (Edo era) kendo into modern (Meiji era) one, and the other in the part which could not get rid of the traditional “Kata-kenjutsu”.The results of the former are as follows(1) Not only feet position but also posture was right in the opposition to the opponent, and the direction of the sword was straight to the center of the opponent.(2) “Te-no-uchi in striking was similar to “pushing-cut” rather than “pulling-cut”.(3) The course of striking from the front along the central line to the opponent was proposed more mainly than from the right or left side. And continuous strikings were encouraged. The results of the latter are as follows:(1) The position of the sword was limited to the three; “jodan-no-kamae” “chudan-no-kamae”, and “gedannokamae”. And jodan-no-kamae”, in which the height of the point of the sword is fixed between the nose and mouth of the opponent, was the most basic.(2) The footwork was “ayumi-ashi” (walking step).(3) We guessed that swinging up was done without changing the condition of holding sword of the first posture.(4) The elbow joints were stretched more forward in holding the sword than modern kendo.(5) The follow-through of weight transfer after striking was not made unlike the present kendo, and it was directed to return to the former position soon.(6) “Kanemen-Zuki” was adopted, which was widely used in spear-fighting. It showed a tendency to the techniqueso f practical and comprehensivem ilitary arts. Thus, Kubota's kenjutsu-theory has some characteristics of the transitional age from pre-modern to modern theory. But it does not reach the stage which breaks with the traditional “kata-kenjutsu” and constructs the system of techniques.
著者
鈴木 啓助 小林 大二
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.707-724, 1987-11
被引用文献数
13

北海道北部の森林小流域(流域面積1.28krn2)において融雪流出の観測を行ない,融雪流出水の化学的な性質の検討,および融雪流出の形成機構についての考察を行なった。その結果,次のことが明らかになった. (1) 河川水中のCl<sup>-</sup>濃度は融雪初期に高く,後期には低くなる。HCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度は融雪期に融雪の前後より低くなる. (2) 河川水中の陰イオン組成は,融雪開始前はHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>が主要な成分であるが,融雪の開始とともに次第にCrの割合が大きくなり,融雪最盛期にはCrとHCO3<sup>-</sup>の当量がほぼ等しくなる.融雪完了後には融雪開始前の陰イオン組成に戻る. (3) 融雪最盛期の湧水のHCO<sub>3</sub><sup>-</sup>濃度は融雪開始前の河川水の濃度よりわずかに低く,Cl<sup>-</sup>濃度は融雪開始前の河川水の濃度よりわずかに高い.湧水を形成する「ふるい水」もその化学的性質は一定ではなく,わずかに融雪の影響を受けている. (4) 「ふるい水」のCl<sup>-</sup>濃度が徐々に変化するとして,水とCl<sup>-</sup>の質量保存則により2成分の流出成分分離を行なった結果,河川流量に占める「あたらしい水」の割合は,ピーク時でも約40%に過ぎず,日流出高については最大でも22%を占めるに過ぎない. (5) 融雪の進行に伴う積雪域の後退により,「ふるい水」の流出形態に変化がみられる.積雪域が河道近傍まで広がっているときには,「あたらしい水」の地中への浸透による「ふるい水」の押し出し流が顕著であり,積雪域の後退に従い押し出し流の効果が遅くかつ少なくなる.