著者
小野 雄大 庄司 一子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.438-452, 2015
被引用文献数
5

本研究の目的は, 中学校と高校の部活動における先輩後輩関係の構造を明らかにし, また学年や性別, 部活動のタイプやレベルによって先輩後輩関係にどのような違いが生じているのか, さらに先輩後輩関係が, 部活動の活動内容や特徴によってどの程度予測されるのか明らかにすることであった。そのため, 全国の中学生と高校生711名を対象に質問紙調査を実施した。その結果, 中学生・高校生ともに1年生が最も先輩後輩関係を感じやすい立場にあり, 中学生では男子よりも女子の方が先輩後輩関係を厳しく捉える傾向にあることが明らかになった。また, 部活動のレベルやタイプ別の検討では, 競技・コンクール等で高いレベルで活躍する部活動や, 文化部よりも運動部において, 先輩後輩関係が明確になることが明らかになった。さらに, 部活動の方針や性格等が, 先輩後輩関係の各側面を高く予測することが明らかになった。
著者
小野寺 敦子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.15-25, 2005-04-20 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
7

68組の夫婦に縦断研究(子どもの誕生前, 親になって2年後, 3年後)をおこない親になることによって夫婦関係がどのように変化していくかについて検討した。夫婦関係は「親密性」「頑固」「我慢」「冷静」の4因子からなる尺度によって明らかにした。その結果, 親密性は親になって2年後に男女ともに顕著に低くなるが, 2年後と3年後の間には大きな変化はなかった。このことから, 夫婦間の親密な感情は親になって2年の間に下がるが, 3年を経過するとその下がったレベルのまま安定し推移していくことが明らかになった。しかし妻の「頑固」得点は母親になると著しく高くなっており, 妻は母親になると夫に頑固になる傾向が認められた。さらに夫の「我慢」得点は3期にわたって常に妻よりも高かった。これは夫が妻の顔色をうかがって妻に不快なことがあっても我慢してしまう傾向があることを示している。最後に「親密性」が低下するのに関連する要因について重回帰分析を用いて検討した。その結果, 夫の場合は妻自身のイライラ度合いが強いことと夫の労働時間が長いことが親密さを低下させていた。一方の妻の場合は夫の育児参加が少ないことや子どもが育てにくいことが夫への親密性を低める要因としてかかわっていた。
著者
西本 哲也 村上 成之 阿部 俊昭 小野 古志郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.591, pp.2386-2392, 1995-11-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
16
被引用文献数
7 6

The purpose of this study is to understand the mechanical properties of the human cranium in order to develop a FEM simulation model of the head. Craniectomy samples, autoclave bone flaps and dry cadaver skulls were tested using values of radial bending moment considered typical in the case of head injury. In this study, we developed a procedure for estimation of the mechanical properties of the cranium by assuming a proportional relation between the bone mineral density and Young's modulus. The mechanical properties of the human cranium have been determined from the three-point bending test and the bone mineral density measured by the dual energy X-ray absorptiometry. The human cranium consisted of inner and outer tables (cortical bones) and a diploe (a cancellous bone). The stress on the cortical and the cancellous bones in the field of bending stress was assumed that the cranium was a beam in which two different materials were combined. The experiment showed that fresh cranial fractures start at the inner table and the diploe and then propagate to the outer table. The fracture of a cranium taken out of a human being will exhibit elastic-plastic fractures. This fact implies that the inner table and the diploe fractures can occur even if no fracture is detected using plain X-rays in cases of acute extradural hematomas (EDH).
著者
小野寺 夏生
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.273-277, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)

電子ジャーナルサイトJ-STAGEのアクセス統計データを用いて,このサイトから公開されている『情報の科学と技術』に掲載された記事の本文ダウンロードデータを分析した。延べダウンロード数は漸次上昇しており,最近は月3万件程度で推移している。特集記事や連載記事など,非会員に6か月のエンバーゴ期間を設定している記事の多くは,発行当月多くのダウンロードがあった後大きく減少し,6か月経過後に急上昇に転ずる。この推移の分析から,会員と非会員の閲読傾向について考察した。
著者
小野田 滋 司城 能治郎 永井 彰 菊池 保孝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.245-254, 1989-06-20 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10

This paper describes the past and present state of railway tunnels, based on field surveys and historical records. In this second report the objects selected are the former Kyoto Ry. and Hankaku Ry., which were constructed to link Keihanshin district with Maizuru area in the 1890s, and the structural features of the tunnels on these railways are made clear here. These two companies were established with similar intentions, in similar periods, on a similar scale; later purchased by the National Railways of Japan, and now the greater parts of the lines have discontinued services upon completion of new lines. These tunnels are found very valuable as monuments to brick or masonry structures of the Meiji Era.
著者
加藤 健 兼本 園美 北村 正樹 畠山 まり子 奈良 京子 吉川 晃司 町田 勝彦 小野寺 昭一 吉田 正樹 柴 孝也
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.223-228, 2002-05-24 (Released:2010-07-21)
参考文献数
2

当院には, 感染制御チームをはじめとする感染症に関する様々な部門が組織化されている. 今回は, 院内感染対策の中心的役割を果たしている感染制御チームと事務局である病院管理課の業務を通じて, 院内感染対策における事務部門の役割について検討した. 事務局が, 感染症関連情報を一元管理することにより, 病院全体での感染症対策のレベルアップや管理体制の整備・拡大につながり, 病院管理部門と診療部門の円滑な運営をもたらすことができ, さらに, 臨床現場の意見が反映された改訂版の感染対策ガイドラインが作成されることになった. このような実績をもとに, 病院のクオリティ向上に貢献するとともに, 院内感染対策に対するリスクマネジメント体制が整備されることになった.
著者
小野 智佐子
出版者
東洋大学現代社会総合研究所
雑誌
現代社会研究 = The Journal of Contemporary Social Sciences (ISSN:1348740X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.177-183, 2017

<目的>ワーキングマザーが体験する、就学前および就学後の「小1の壁」を明らかにすることである。<結果>小学生1~3年生までの子をもつ核家族世帯の共働き家庭であるワーキングマザーを対象にインタビュー調査を行った。共働き家庭にあるワーキングマザーは、就学前と就学後にそれぞれ異なる「小1の壁」体験をしていた。就学前には【就学後の生活がイメージ困難】、【納得のゆく放課後保育を探せない】、就学後には、【学童保育は保育園の延長線ではない戸惑い】、【わが子の放課後が心配】、【雇用形態の変更に迫られる】、【夏休みに入り新たな問題に遭遇】、【PTA活動に貢献できないジレンマ】、【サポートが得られないことによるストレス】であった。

3 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第16冊, 1000
著者
小垣 匡史 伊佐 常紀 村田 峻輔 坪井 大和 奥村 真帆 松田 直佳 河原田 里果 内田 一彰 中塚 清将 堀邉 佳奈 小野 玲
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-12, 2020-03-31 (Released:2020-04-10)
参考文献数
28

目的:本研究の目的は,9~12歳の児童において日常的な外遊びと遂行機能の各項目(作業記憶, 認知柔軟性,抑制機能)の関連を性別で層別して調査することとした。方法:神戸市内の公立小学校2校に通う小学4年生から6年生314名を対象とした。作業記憶はDigit Span Test(DST),認知柔軟性はTrail Making Test(TMT),抑制機能はStroop testを用いて測定した。外遊びは自記式質問紙を用いてその頻度を測定し,週3日以上外遊びを行う児童を外遊び高頻度群,週3日未満外遊びを行う児童を外遊び低頻度群とした。児童期における外遊びの特性は性別で異なるため,解析は性別で層別して実施した。統計解析は,目的変数を遂行機能の各項目,説明変数を外遊びの頻度とし,学年で調整した回帰分析を実施後,交絡因子を学年,body mass index(BMI),身体活動量とした強制投入法による重回帰分析を実施した。結果:男児は女児と比べて身体活動量および外遊びの頻度が有意に高かった。男児において外遊びの頻度と遂行機能に有意な関連は認められなかったが,女児において外遊びの頻度と認知柔軟性にのみ有意な関連が認められた[偏回帰係数(B)=−8.90, 95%信頼区間:−16.97,−0.82]。交絡因子の調整後も女児において外遊びの頻度と認知柔軟性は有意な関連を示 した[B=−10.76(−19.42,−2.10]。結論:児童期後期において,女児の外遊びの頻度が認知柔軟性と有意に関連することを初めて示した。本研究は,特に外遊びが少ない女児において,遂行機能の一部と関連が示された外遊びが重要であることを示唆した。
著者
小野二郎 [ほか] 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1981
著者
小野均著
出版者
至文堂
巻号頁・発行日
1928
著者
鵜野-小野寺 レイナ 山田 孝樹 大井 徹 玉手 英利
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.61-69, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
33

絶滅が危惧される四国のツキノワグマの繁殖状況を把握するため、2005年から2017年までに捕獲された13頭の血縁解析を行った。19種類のマイクロサテライト遺伝子座を用いて親子判定を行った結果、4組の母子ペア、5組の父子ペアが確認された。繁殖が確認された個体はメス4頭、オス2頭で、少数のオスの繁殖への参加が確認された。血縁解析の結果から、繁殖オスは同胞兄弟である可能性が高いと考えられる。アリル多様度は他の地域個体群よりも低い傾向がある一方で、ヘテロ接合度の観察値が期待値よりも有意に高いことから、繁殖個体数が極めて少ない可能性が考えられる。血縁解析の結果に基づきCreel and Rosenblattの方法で算出した推定個体数は約16-24頭となった。
著者
星山 栄成 高野 雅嗣 竹川 英宏 宍戸 宏行 永山 正雄 小野 一之 平田 幸一
出版者
一般社団法人 日本神経救急学会
雑誌
Journal of Japan Society of Neurological Emergencies & Critical Care (ISSN:24330485)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.69-73, 2019-08-23 (Released:2019-08-24)
参考文献数
11

A 42-year-old male patient was admitted to our hospital because of generalized convulsive status epilepticus (GCSE), disturbance of consciousness, and shock. He had cardiopulmonary arrest after arrival our hospital, but he was return of spontaneous circulation as soon as cardiopulmonary resuscitation. He had disseminated intravascular coagulation (DIC) and multiple organ dysfunction. From the time of admission, we managed about the patient's breathing, circulation, body temperature. We also administrated sodium valproate 400mg, levetiracetam 1,000mg daily, and continuous use of midazolam to status epilepticus. In addition, he underwent continuous renal replacement therapy because of acute renal failure. The electroencephalogram showed scattered delta waves. Brain MR images showed hyper-intense lesions at bilateral pallidum and thalami, which led to a diagnosis of hypoxic encephalopathy associated with long-term GCSE. On day 13, he started tracking our fingers with his eyes. On day 34, he was able to obey commands and he was transferred to the general ward. GCSE is known to exhibit various organ dysfunctions. In this case, there was a history of epilepsy and had developed on GCSE, but as a result of the clinical examination, it was considered epilepsy-related organ dysfunction because the cause of multiple organ dysfunction was not clear.
著者
小野 英志
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-10, 1998-05-31 (Released:2017-07-21)
参考文献数
58

スタンリ・モリスンは, ゴランツ書店の斬新なブック・ジャケットによって知られるデザイナーあるいはアート・ディレクターであると同時に, 印刷・出版の歴史に関する深い学殖を備えた研究者でもある。1932年に発表され, 現在では最もポピュラーなローマン書体とも見做すことのできるタイムズ・ニュー・ローマンの開発経緯を例として, 彼の書体開発態度を, その著作を通じて検討した。その結果, 書体開発における彼の態度は, ブック・ジャケットのデザインのような場合とは異なり, たいへん慎重かつ保守的であり, そのことがまた彼の書体観ないし書体史観の反映であることが了解された。モリスンにおいてこうした態度を支えているものは, 文字の歴史に関する該博な知識と, それが差し示す書体の正統的形態を尊重する姿勢である。
著者
小野田 教高 須田 俊宏 木野 紀
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.2513-2517, 2018-12-10 (Released:2019-12-10)
参考文献数
8

72歳,男性.軽微な打撲で上肢に皮下出血を来たし,赤ら顔,満月様顔貌を認め,Cushing症候群が疑われた.3年前より,ベタメタゾン含有製剤を点鼻で継続使用していたことから,外因性ステロイドが原因であることが判明した.被疑薬剤を中止,ヒドロコルチゾンの補充漸減療法にて症状は軽快した.副腎皮質ホルモン製剤は,投与経路にかかわらず,内因性の視床下部―下垂体―副腎系を抑制し得ることを認識する必要がある.